収納リフォームの費用や方法は、どこにどんな収納を設けるのかで変わります。今回記事ではリビング、キッチン、洗面脱衣所、トイレ、玄関、廊下・階段下、寝室、和室など、部屋別に収納リフォームの費用目安や方法を紹介。関東、中部、九州を中心にさまざまなリフォームを手掛ける、フレッシュハウスの廣瀨さんにお話を伺いました。収納リフォームを行うメリットやプランニングの注意点などについても解説していきます。

部屋別・収納リフォームの方法と費用相場
収納リフォームの中心費用帯は40万円〜60万円(SUUMOリフォーム実施者調査)ですが、収納リフォームの内容によって、実際にかかる費用はさまざまです。ここからは収納リフォームの方法や費用相場について、部屋別に詳しく見ていきましょう。
※リフォーム費用の目安は概算。実際の費用とは異なります。
リビングの収納リフォーム
家族が集まるリビングには、書類や細々とした日用品などのほかに、コレクションを飾ることもできるような壁面収納を設けるケースが少なくありません。
市販の収納棚でも、自宅のサイズに合わせて壁一面に設置できるようなものもありますが、壁面収納をつくり付けることで、より的確に自分の要望に沿うものを設置できるのが収納リフォームの魅力だとフレッシュハウスの廣瀨さんは言います。
「例えば、リビングの収納リフォームで多いのはテレビ周りの収納です。テレビ台だけでなく、テレビを設置する壁一面を収納として活用したいという要望をいただくこともあります。
壁面収納を設ける場合は何を収納するかに合わせて奥行きを考えますが、書類を収納するにしても、A4サイズのもので良いのか、A3サイズのものも収納するのか、収納するもののサイズによって、適切なサイズは変わります。しまうものに合わせた奥行きにすることで、使いやすい収納になります。
また、壁面収納については、収納したものを見せたいのか、隠したいのかというのもポイントです。棚の中身を見せたい場合は扉をつけないという選択肢がありますが、ホコリなどを防ぎたいのであれば、アクリルパネルやガラスなど、中が見える素材の扉をつけるという方法もあります」(フレッシュハウス・廣瀨さん、以下同)
壁面収納のリフォーム費用は、そのサイズや扉の有無などによっても変わりますが、幅1.2m程度でテレビ台程度の高さの扉のないオープンな壁面収納であれば、15万円程度からが造作する場合の目安になります。

リビングには書類や小物以外にも、掃除機などの掃除道具を入れられるような収納庫を設けるケースもあります。元々のリビングの片隅などにそのような収納庫がある間取りでも、既存の収納庫が使いにくい場合は、リフォームで使いやすい収納に生まれ変わらせることもできます。
「ロボット掃除機の収納スペースがなく、リビングの一角に出しっぱなしになっているのが気になるという声もよく聞きます。リビングの一角に収納庫がある場合は、収納庫の内部にコンセントを増設したりして、ロボット掃除機の基地にしてしまうことも可能です。扉付きの収納庫でも、下の部分に20cmほどの隙間を設ければ可能になります。ロボット掃除機を収納しても、その上に棚などを設置すれば、ほかの掃除道具も収納できます。
また、収納庫の上部などはデッドスペースになっていることも多いですが、そのような部分にもコンセントをつければ、ルーターやモデムなどをまとめて収納するスペースとして活用できます」
シンプルな収納庫であれば、12万円くらいの予算からで新設できるそうですが、内部に可動棚をつけたり、コンセントを設置したりすると、その分費用もアップします。

キッチンの収納リフォーム
システムキッチンを新しいものに交換するだけでも、キッチンの収納力をアップさせることができますが、システムキッチンを入れ替えるタイミングなどで、背面にカップボードを設けたり、パントリーや床下収納をつくったりすることで、さらに収納量を確保することができます。
「キッチン背面のカップボードは、置きたい家電に合わせてコンセントの数や位置を考えるのがポイントです。既製品でも、上下セパレートタイプのものやカウンタータイプのものなど、さまざまなバリエーションがあるので、既製品を設置するか造作するかにかかわらず、使いたい家電とそれを置く場所も考えた上で選ぶといいでしょう」とフレッシュハウスの廣瀨さん。
既製品か造作するかで費用も変わりますが、既製品の幅1.8mくらいのものであれば、設置費用も合わせて25万円程度から、一からオリジナルの背面カップボードを造作するのであれば50万円程度〜が目安のイメージになるそうです。
なお、既製品であれば価格の安いものを選ぶことで、造作するよりも費用を抑えることは可能ですが、高いグレードのものを選べば、造作するより費用が高くなることもあります。また、選ぶグレードに加え、大きなサイズのものになると運搬・設置するための費用が高くなる可能性もあります。
さらに、壁付きキッチンをカウンターキッチンにして、背面の壁にカップボードを設置するといった、キッチンの位置変更を伴う収納リフォームもありますが、その場合は目安の費用よりもリフォームにかかる費用は高くなります。
キッチン・台所リフォームで背面・壁面収納を増やす方法。リフォーム費用と実例も紹介!

キッチンパントリーは人が入れるような広いサイズのものから、コンパクトなクローゼットくらいのサイズのものまでさまざまですが、小さなものであれば12万円程度〜が費用の目安になります。
「幅80cm、奥行き45cm〜50cmくらいの比較的コンパクトなサイズのパントリーでも、内側に棚を設けることで、食品のストックなどをたくさん収納することができます。何を収納したいかで中に取り付ける棚の数や奥行きも変わるので、パントリーに収納したいものに合わせてプランニングするのがおすすめです。
また、2畳〜3畳あるような大容量のパントリーをつくる場合は、面積が広くなる分、人が出し入れするための通路が必要になります。通路がデッドスペースのように感じてしまう人もいるので、その点も考慮して、使いたいイメージに合わせた大きさを検討するのが良いと思います」
カップボードの配置や選び方も詳しく解説。使いやすいキッチンレイアウトとは?

普段あまり使わない備蓄などをしまう収納スペースとして、キッチンに床下収納を設けることもできます。
フレッシュハウスの廣瀨さんによると、マンションの場合は床下に十分なスペースを確保できない可能性が高いため難しいですが、一戸建ての場合、開口幅が60cmの床下収納であれば、4万円〜5万円で設置することができるそうです。
なお、床下収納を設ける場合、床組や配管などを避けて設置するので、一戸建ての場合でも設置できる場所は制限されます。
洗面所・脱衣所の収納リフォーム
洗面所・脱衣所は洗面化粧台を交換することで、収納量を増やしたり、使いやすくしたりすることができますが、そのほかに、収納棚やキャビネットを新たに設置するという収納リフォームも可能です。
洗面化粧台を交換する時に、収納力の高いものや、キャビネット付きのものを選ぶという方法もありますが、洗面化粧台自体にはそれほど費用はかけたくないという場合は、洗面化粧台を一回り小さなものにして、そのサイドの壁面などに棚を取り付けるという方法もあると、フレッシュハウスの廣瀨さんは教えてくれました。
この場合、洗面化粧台やシステムバスの交換など、他の工事と一緒に行うのであれば、3万円ほどの予算で棚の取り付けは可能だそうです。
ただし、棚をつける場合、扉のないシンプルな棚であれば費用は抑えられますが、引き出しが欲しかったり、全て扉をつけて隠したいなどの場合はその分費用も高くなります。
なお、リフォームにかかる費用は、収納力の高いキャビネット付きの洗面化粧台に交換する場合、25万円程度〜が目安です。
洗面所・脱衣所リフォームの費用やもらえる補助金は?おしゃれな施工事例も紹介!

トイレの収納リフォーム
トイレの場合、トイレの壁面上部や手洗いカウンターの下などに収納を設けるのが一般的です。
「トイレの上の部分に吊り戸棚を付けるのは4万円〜5万円ほどの予算で可能です。トイレに棚を取り付ける場合は、どのくらいの高さにするかは十分検討しておきたいポイントで、高い位置に取り付けると、収納したものが取り出しにくくなる可能性がありますが、一方で、低い位置に設置してしまうと、圧迫感を感じる人もいます」とフレッシュハウスの廣瀨さん。
また、トイレの背後にキャビネットを設け、トイレタンクをキャビネットの内部に収納するタイプのトイレもありますが、その場合は背後のキャビネットの両サイドなどは収納として活用することができます。
「キャビネットの中にタンクを収納するタイプのトイレの場合、一般的なタンク式トイレよりも少し相場は高くなり、トイレの交換と内装工事を併せて、35万円くらいが費用の目安になります」
【2024年版】トイレリフォームで使える補助金・助成金は?対象工事や申請期限、注意点も解説!

玄関の収納リフォーム
玄関収納というと主に靴の収納ですが、シューズキャビネットやウォークインタイプのシューズクローゼット、オープンな壁面収納棚などさまざまなものがあります。
「シューズキャビネットは、天井まで高さがあるトールタイプやカウンタータイプ、カウンタータイプに吊り戸棚を組み合わせたセパレートタイプなどがあります。
どのタイプが最適かは、収納したい靴の量にもよりますが、一番収納量が多いのはトールタイプです。しかし、トールタイプは圧迫感が気になるという人もいるので、その場合はカウンタータイプかセパレートタイプという選択肢を検討するのも良いでしょう。
また、シューズキャビネットは床から少し上に取り付けるタイプのものもありますが、キャビネットの下に隙間があると、脱いだ靴をキャビネットの下に置いたり、間接照明を入れて、空間を演出したりすることもできます。
シューズキャビネットを設置する費用の目安は、セパレートタイプの80cm幅程度のもので6万円くらい〜です」
キャビネットよりも大きなウォークインやウォークスルータイプのシューズクローゼットになると、1.5畳程の広さのもので、費用の目安は25万円〜ということですが、シューズクローゼットの場合は床の処理をどうするかなどで、大きく費用が変わってくるとフレッシュハウスの廣瀨さんは言います。
「例えば、既存の玄関土間がタイル張りの場合、新たにつくったシューズクローゼットの床の部分だけ新しく床材を張るのか、既存の土間と同じタイルを張りたいのかということでも、費用は大きく変わります。
また、建物の基礎や配管の位置によっては、シューズクローゼットと玄関土間を完全にフラットにするのが難しい場合もあります」
玄関リフォームの費用相場やもらえる補助金は?玄関リフォームの実例も費用別に紹介

廊下・階段の収納リフォーム
廊下や階段下など、デッドスペースと感じる部分を収納リフォームで有効活用できないかと考える人も少なくないでしょう。
まず、廊下の場合は壁面に収納棚などを設置することは可能ですが、通路として必要な幅は確保しておく必要があります。
「マンションや一戸建ての場合、廊下の幅は一般的に70cm〜80cmですが、その幅の廊下の壁面に収納棚などを設置してしまうと、通路として歩きにくくなることが考えられますし、人が通る場所なので、ものの出し入れもしづらい収納になってしまう可能性があります。廊下に収納を設けたい場合は、通路としての幅をきちんと確保できるかを考える必要があります」
通路の幅に問題がなく、壁面に可動棚を取り付けるリフォームであれば、4万円〜が費用の目安になります。
階段のリフォーム費用相場。階段の種類や注意点、もらえる補助金や使える減税制度、価格帯別の事例も紹介

次に、階段下の収納については、上部が斜めになる上に高さも取りにくい場合が多く、奥行きも深くなるため、使いやすい収納スペースにするのは難しいと言います。ただし、奥行きがあり、ある程度大きなものも収納できるので、季節毎に使用する家電や使用頻度の低いものなど、収納するものを工夫すれば収納庫として活用することが可能です。
フレッシュハウスの廣瀨さんによると、間取りにもよりますが、階段下を洗面室の一部として取り込んで、洗濯機や洗面化粧台を置く場所として活用できるケースもあるそうです。
「階段下を収納庫にする場合は、奥行きは80cm程度になってしまうので、どうしても使いにくいと感じるかもしれません。レイアウト上可能であれば、階段の反対側からも取り出せるようにすると、奥行きの深さによる使いにくさは軽減することができます」
既存の階段の下に収納がない場合、新たに階段下に収納庫を設けるとなると、約20万円〜がリフォーム費用の目安になります。

寝室・洋室の収納リフォーム
寝室・洋室には元々十分な容量のクローゼットが付いているというケースも多いと思いますが、リフォームでは、クローゼットを新設するだけでなく、既存のクローゼットをより使いやすくすることも可能です。
“洋服をかけるだけでなく、引き出しも欲しい”、“半分は可動棚に変更したい”、“壁付きのクローゼットを広げてウォークインクローゼットにしたい”など、使う人によっていろいろな要望があると思いますが、使い方に合わせてクローゼット内をつくり替えることがリフォームでは可能だとフレッシュハウスの廣瀨さんは話します。
ただし、ウォークインクローゼットにつくり替えるような、間取り変更を伴う収納リフォームになる場合、一戸建ての場合は、柱や筋交など、構造的に移動できない部分もあるので、工夫が必要になることもあるそうです。
なお、寝室・洋室に新しく壁面クローゼットなどを新設する場合の費用は15万円程〜、既存のクローゼットの内部をつくり替える場合は約7万円〜8万円、ウォークインクローゼットにする場合は大きさや間取りによってもかなり左右されますが、35万くらい〜が目安になります。

押入れ・床の間の収納リフォーム
和室の収納リフォームで多いのは、押入れや床の間をクローゼットに変更するリフォームです。
「押入れをクローゼットに変更する場合の重要なポイントは奥行きをどうするかという点です。
そのままの奥行きであれば費用は抑えられますが、押入れは通常のクローゼットよりも奥行きが深いので、ハンガーパイプを横に取り付けて洋服をそのまま掛けると、出し入れがしにくくなることがあります。奥行きを変えないのであれば、ハンガーパイプを横向きではなく、前後の縦方向で取り付けるなどの工夫が必要です」
フレッシュハウスの廣瀨さんによると、押入れの奥行きを変更する場合は、押入れの後ろの面を前に出し、隣接する部屋側の収納にするという方法もありますし、押入れの前面を後退させて、その部屋の床を広くするということもできるそうです。
和室の場合は床が畳ということだけでなく、壁が真壁(柱や梁を露出させた壁)という場合もあります。和室のまま押入れや床の間をクローゼットのようなつくりに変更したいのか、それとも、部屋も収納も洋室仕様にするのかで工事の内容も変わってきますが、既存の押入れを解体し、クローゼットにつくり替えるリフォーム費用は25万円〜が目安です。
押入れをクローゼットにリフォーム! 押入れリフォームの費用や注意点、アイデア満載の事例も紹介

収納リフォームのメリット
部屋ごとのさまざまなリフォーム方法や費用の目安を紹介してきましたが、ここからは収納リフォームのメリットを見ていきましょう。

収納量を増やせる
まず、収納リフォームをすることで、収納できるスペースを増やせるというメリットがあります。収納する場所がなく、家の中に物があふれているという場合は、収納したいものの量と収納できる量の釣り合いが取れていないのかもしれません。収納リフォームなら、間取りから見直して、家の中に収納できる場所を確保することが可能です。
ライフスタイルに合う使いやすい収納にできる
収納リフォームでは、ライフスタイルに合わせて、オーダーメイドの収納プランを立てることができます。
「住む人それぞれのニーズは違いますが、収納リフォームであれば、細かい要望に合わせて計画することができます。
リフォームの際は、慣れてしまって不便さに気づいていないような部分も確認しながら、適材適所の収納をプランニングしていきます」とフレッシュハウスの廣瀨さんは話します。
収納するものの大きさに合わせられる
収納リフォームは収納したいものや、収納したい場所に合わせたサイズの収納をつくることができます。
市販の家具もさまざまな形やサイズのものがあるので、置きたい場所、置ける場所に合う形やサイズのものを探すことはできますが、なかなかピッタリ合うものが見つからないこともあるでしょう。
収納リフォームであれば、大きさに合わせてつくることができるので、デッドスペースが生まれにくいというのは大きな魅力です。

収納家具を置かなくていい
収納家具を置くことで部屋が狭くなったり、圧迫感を感じたりすることがありますが、収納リフォームであれば、間取りから見直すこともできるので、部屋の広さも考慮しながら収納を設けることができます。
また、置き家具の場合は、地震の時に倒れないような対策を自分できちんとしておく必要がありますが、収納リフォームの場合は、壁面収納などもしっかりと壁に固定されるため、棚が転倒する心配がありません。
整理整頓しやすくなる
しまいやすい場所に、機能的な収納があれば、自然と整理整頓もしやすくなりますが、適材適所の収納をプロの力を借りて一からつくることができるのが収納リフォームです。
整理整頓しやすい収納が実現できれば、片付けも楽になり、部屋もスッキリ広々と使いやすくなります。
トータルコーディネートしやすい
収納リフォームなら、収納棚の色や素材などを、壁紙や建具、家具などのインテリアに合わせてつくることができます。
トータルコーディネートしやすいので、使いやすさや片付けやすさを叶えるだけでなく、ワンランク上のおしゃれな空間を実現することができます。

収納リフォームの注意点
より満足度の高い収納リフォームを実現するために、注意しておきたいポイントもあります。
収納をつくりすぎて部屋が狭くなってしまう
せっかく収納リフォームをするのであれば、将来に備えて収納スペースを余分に確保しておきたいと考える人もいるでしょう。しかし、住まいの限られたスペースを収納に多く使い過ぎてしまうと、生活するスペースがその分狭くなってしまいます。
「将来のための収納スペースが確保されているよりも、今使う空間に面積を活用した方が快適な暮らしが叶うかもしれません。無駄な収納スペースをつくらないことで、部屋を広くできるのであれば、あえて収納をつくらないというのも選択肢の一つです」とフレッシュハウスの廣瀨さん。
リフォームのタイミングで全部の収納をつくっておかなくても、必要な場所に下地を入れておいたり、電源を確保しておくなど、将来リフォームがしやすくなるような準備をしておくこともできるので、将来的な希望などもリフォーム会社に相談してみるのがいいそうです。
建物の構造などで希望の収納をつくれないことも
マンションのキッチンには一般的に床下収納を設けることが難しいと前述しましたが、マンションの場合は構造上の制限に加え、管理規約や使用細則によってリフォームの内容が制限されることがあります。
また、一戸建ての場合も柱や筋交の位置など、建物の構造などによっては、希望通りの位置や大きさの収納を設けることが難しい場合もあります。
場所や用途に配慮した収納扉を選ぶ
収納扉には開き戸、折れ戸、引き戸などさまざまなタイプがありますが、開き方の違いによって、収納の使い勝手は変わります。
フレッシュハウスの廣瀨さんによると、開き戸の場合は、片開きでも両開きでも、収納の間口を目一杯使えるというメリットがあるそうです。一方で、開き戸は扉の回転半径分、開閉のためのスペースが手前に必要になり、また、間口が広い収納になると、開き戸では幅が足りなくなるため、対応できないケースが多くなります。

次に、折れ戸の場合は扉を折りたたむようにして開閉します。開き戸ほど扉の手前に開閉のためのスペースが必要ないというのはメリットですが、全開にしても端に折り畳んだ扉があるので、折り畳んだ扉の後ろにあるものは取り出しにくくなるとフレッシュハウスの廣瀨さんは言います。
「折れ戸のクローゼットに引き出しなどを入れてしまうと、中の引き出しが十分に引き出せなくなることがあるので注意が必要です」

引き戸については横にスライドして使用するため、開き戸や折れ戸のように扉の手前に開閉のためのスペースは不要ですが、扉を引き込むスペースは必要です。そのため、開き戸のように間口いっぱい全開にして、ものを出し入れすることはできません。一方で、引き戸の場合は複数枚の扉を引き違えることで、間口の広い収納にも対応することができます。
「引き戸は、扉手前に開閉のためのスペースがいらないという点が大きなメリットです。寝室に大きなベッドを置くと、クローゼットの前に十分なスペースが確保できないということもありますが、引き戸であれば、クローゼットすぐ手前の位置までベッドがあっても、開閉することが可能です」とフレッシュハウスの廣瀨さんは教えてくれました。
開き戸、折れ戸、引き戸、それぞれの特徴を理解した上で、収納の場所や用途に合わせた扉を選ぶと、より収納が使いやすいものになります。

収納リフォームのよくある質問
ここからは、収納リフォームで気になる疑問について、フレッシュハウスの廣瀨さんに教えてもらいました。
Q 屋根裏を収納スペースにリフォームすることはできる?
A 屋根裏は収納スペースとして活用できます。
ロフトは「高さ1.4m以下」、「直下の階の半分以下の床面積」などの法律上の制限がありますが、屋根裏をロフトにリフォームして、収納スペースとして活用できるようにすることは可能です。
「ロフトは屋根に近いため、熱が溜まりやすいことがあります。換気扇をつけるなどの対策も可能ですが、熱の影響が気になるものを収納するのは避けた方が良いでしょう。また、ハシゴを上り下りしてものを出し入れすることを考えると、使用頻度なども考慮して収納するものを考えるのが良いと思います」

Q ベランダにリフォームで収納を増やすことはできる?
A マンションは共用部分であるベランダのリフォームはNGです。
マンションの場合、リフォーム工事ができるのは基本的に専有部分のみです。ベランダは専有使用ができる場所ですが、共用部分にあたるため、収納リフォームを行うことはできないと考えておきましょう。ベランダは、緊急時に避難経路として使用する可能性があるため、通行の妨げとなる収納家具などを置くことも基本的にNGです。
また、収納を置くために一戸建てのベランダに屋根を後付けしたいという場合、屋根の大きさによっては、建築基準法で制限される建ぺい率を超えてしまう可能性があるため、法律上問題がないか確認する必要があります。
フレッシュハウスの廣瀨さんによると、ベランダに屋根をつけることができても、ベランダの収納リフォームはあまりおすすめできないとのこと。ベランダは防水加工をして雨の浸入を防ぐような仕様になっているので、そこに何かを固定することで、雨仕舞い(※)が悪くなり、建物の不具合につながる可能性もあるそうです。
※雨仕舞いとは、建物に雨が浸入しないよう、雨を防いだり、受け流したりする仕組み
Q 棚を設置するほかに、壁面を活用できる収納リフォームの方法はある?
A ニッチや壁掛け式の収納などの方法もあります。
壁面には棚を設置するほかにも、ニッチを設けたり、ものを掛けられるようにしたりすることも可能です。
ニッチは壁の厚みを利用してつくるくぼみのような収納棚のため、それほど奥行きをとることはできませんが、壁面に棚を取り付けるのと違い、壁面に収納が収まるのですっきりとした印象になります。
「玄関に鍵をちょっと置けるスペースが欲しいといった場合や、オープンな洗面化粧台で、少し収納が足りないといった場合などは、壁面にニッチを設けるのもいいと思います。また、インターホンなどを収める場所として壁面にニッチをつくることも多いです」

また、壁面に金物や有孔ボードを取り付けて、ものを掛けて収納できるようにするという方法もあります。収納リフォームの際にそれらを全て取り付けることももちろんできますが、後々DIYなどで取り付けたいという場合もあるでしょう。ただし、その場合はリフォームの際にその後のDIYのプランを相談しておくのが安心と、フレッシュハウスの廣瀨さんはアドバイスをくれました。
「下地がない場所に金物を取り付けてものを掛けたりすると、取り付けた金物はすぐに外れてしまいます。将来的に何か壁に取り付けたいものがある場合は、取り付けたい場所に下地を入れて補強をしておくことができるので、ぜひリフォーム会社に相談してみてください」
収納リフォームをした施工事例を紹介
ここからは実際に収納リフォームを行った事例を見ていきましょう。
※各事例の費用は施工当時のもので当該部分の工事のみの概算。現在の費用とは異なります。
大勢の来客にも対応できる大容量のパントリーとシューズクローゼット
人を招いて料理を振る舞うことが多いということで、リフォームではこだわりのキッチンを実現。調理器具や食材のストックが多いので、キッチンのそばに大型のパントリーを設けました。パントリーの内部には棚をたくさん付けて収納量を確保し、取り出しやすくなるよう、棚の奥行きは浅くしました。
また、来客が多く、家族人数も多いため、玄関には1畳のシューズクローゼットを新設。L字型に細かく棚を設置し、靴をたっぷり収納できるようにしました。コートも掛けられるようになっているゆとりあるスペースです。


圧迫感のないオープンな収納で、すっきり広々とした住まいを実現
リビングが広々と感じられるよう、廊下をなくし、リビングインの玄関にリフォームしました。シューズクローゼットにも扉をつけないことで、空間全体の圧迫感を軽減しています。
間取り変更をして広くなったリビングの壁にはデスクにもなるオープン棚を設置。本を読んだり、勉強をしたり、PC作業をしたり、家族がそれぞれ自由に過ごせる場所になっています。
また、親子それぞれの寝室の間にはウォークスルークローゼットを新設。出入り口には扉を設けていないので湿気がこもらず、回遊できるので身支度もスムーズです。
プライベートな空間の洗面脱衣所にも、造作の洗面台の下と洗濯機の上にオープンな棚を設けました。オープンな収納になっているので、しまうものに合わせて、柔軟にアレンジして使うことができます。



1階全面をリフォーム。土間収納はトレーニングもできる場所に
子どもの独立を機に築24年の住まいの1階を全面的にリフォームしました。ほとんど使っていなかった2間続きの和室はリビングに取り込み、広々と開放感のあるリビングを実現。リビングの壁面収納はナラ材で造作し、床と同じ色に塗装して統一感を出しています。
玄関から続く土間スペースには棚やバーを取り付けて、たっぷりと靴やコートなどを収納できるスペースを創出。手洗い台も設置しました。十分な広さがあるので、懸垂用のバーを取り付け、ランニングマシンなどの器具も置き、トレーニングができる場所としても活用しています。


収納リフォームをすることで、今までうまく使えていなかったデッドスペースが活用できるようになったり、整理整頓しやすくなったりすれば、暮らしの質が格段に上がるはずです。リフォームで自分の暮らしにぴったり合う収納を叶えてみてください。
構成・取材・文/島田美那子