外階段をリフォームする方法と費用相場を素材別に解説。施工実例も紹介!

外階段のリフォームや普段のメンテナンスにはどういう方法があって、費用相場はいくらでしょうか? 外階段はふだんから風雨にさらされる場所なので、鉄骨素材は劣化が進みやすく、ひどくなれば危険な状態になりかねません。早めに外階段のメンテナンスやリフォームを行う方法と費用相場を一級建築士の柏崎文昭さんに聞きました。そのための予算を準備しておきましょう。

外階段のリフォームに備えて採寸をしている写真

(写真/PIXTA)

記事の目次

鉄骨製の外階段をリフォームする方法と費用相場

外階段に多いのが鉄骨階段です。表面をモルタルが覆っていてコンクリート階段のように見えても中身は鉄骨でできていることが多いです。鉄は錆びると劣化が進むので、早めの対処方法を知っておきましょう。

錆びてきた外階段は10年目くらいに補修し塗り直す

鉄骨階段は経年変化で錆びます。対処方法は定期的に鉄部の塗装を行うことです。

「鉄製の階段は、10年くらいで再塗装しないと質を維持できません。20年も放置しておくともう再生が不可能になることもあります」と一級建築士の柏崎文昭さん(以下同)はいいます。

「サビを長期間放置すると鉄に穴が空いてきて、内部までサビが浸透していきます。そうなると、鉄が弱くなって強度を損ないます」

そこまでサビが進むと、階段として使うには危険な状態です。塗り直しの目安は10年目ですが、サビの進行は環境にもよります。海に近い地域などでは一般の地域よりも錆びるのが早いと思ったほうがいいでしょう。

「サビが出てくると鉄の表面がボコボコと浮いて破れてきます。そうなると塗り直しが必要です。もちろん早め早めに手を打ったほうがよいので、専門業者に点検をしてもらって、必要な場合はすぐに塗り直しをしましょう」

【Before】

長年使ってサビが出てきた古い外階段の写真

塗膜のはがれとサビが出ている状態
【After】

再塗装を行ってきれいになった外階段の写真

下処理を行い、サビ止めを塗布した後、再塗装をしてきれいになった外階段(写真提供/ブセナ21)

外階段カバー工法とは

外階段のリフォーム方法として、塗装以外に階段用の長尺シートを張る方法があります。もちろん事前にサビ落としなどの下地処理をした上でのことです。
滑り止め加工をした長尺シートを階段の踏み板などの上から上張りする方法ですが、階段がきれいになり、滑りにくくなります。

外階段カバー工法を行う場合は、サビが残ったまま表面をシートで覆ってしまうと、内部でサビが進行し、階段の寿命を縮めてしまうことになるので注意しましょう。

鉄骨階段の腐食が進んだら早めに交換リフォームを

再塗装を繰り返しても外階段の維持には限界があります。
経年変化で鉄骨階段の鉄部の腐食が進んでしまったら見栄えが悪いだけでなく危険でもあるので、新しい階段への交換を検討しましょう。
鉄の階段は錆びますが、金属製の階段でも錆びにくい素材のものもあるといいます。

「以前は鉄の階段が一般的でしたが、最近アルミ製の階段も普及しはじめました。アルミは鉄と違って錆びないのが特徴の素材なので、耐久性が鉄よりもかなりよいです。アルミ製の階段は、アルミ製品のメーカーなどから階段ユニットとして商品化されていて、工事も比較的簡単です。コスト的には鉄のほうが安く、アルミは高くなりますが、今の鉄の階段を交換するなら耐久性の点からアルミ製階段がオススメです」

アルミ製階段の商品は手すりや踊り場もセットになっています。
手すりが片方だけのもの、両側についているもの、ストレートなもの、途中で角度が変わっているもの、折り返しタイプなど多様な商品があるので、取り付け場所などによって選びましょう。

鉄の階段をどれぐらい使ったら交換するべきなのかについては、環境やこまめにメンテナンスしてきたかなどによって違ってきます。リフォーム会社に現在使っている階段を見てもらって、交換するべきかどうかを判断してもらいましょう。

既存階段の状態を点検中の写真

(写真/PIXTA)

鉄骨製外階段のリフォーム費用相場

鉄骨製階段のリフォーム費用は、塗装の場合、サビ落とし、下塗り(サビ止め)、上塗りの全てを行って、約15万円~20万円です。
長尺シートのカバー工法の場合は、下地補修を含めて約20万円~30万円を見ておきましょう。
また、外階段を交換する場合は、アルミ製外階段を採用した場合、既存の解体費を含め約100万円~150万円になります。

●外階段のリフォーム費用相場
リフォーム方法 費用相場
塗装 約15万円~20万円
カバー工法 約20万円~30万円
アルミ製に交換 約100万円~150万円
下地補修、交換の場合は解体費含む

外階段を新設リフォームする費用相場

住まいを二世帯住宅や賃貸併用住宅にリフォームするときには、外階段を新設するケースがあります。その場合はどれくらいの費用相場になるでしょうか?

既製品はコストを抑えられるが特注は割高になる

外階段の新設の場合は、既存の外階段を解体・撤去する費用がかかりません。その代わり、階段を固定する基礎工事が必要です。それを合わせて、交換工事と同程度と考えてよいでしょう。
アルミ製の階段を新設する場合は、既製品を用いて約100万円~150万円が費用の相場です。階段が折り返しや途中で曲がるタイプはこれより1~2割高くなります。
また、既製品ではなく特注すると高くなることが多いです。既製品のバリエーションから選ぶのがコストを抑えるコツです。

アルミ外階段の踊り場付きユニットの商品画像

アルミ外階段の踊り場付きユニット「アルミ階段 ステッピア」※(写真提供/LIXIL)
※設置には条件があります。また取り付け可否の判断については、管轄の行政へご確認ください。

コンクリート製の外階段をリフォームする方法と費用相場

鉄やアルミなど金属製の外階段以外で多いのはコンクリートの階段です。マンションなどコンクリート住宅は当然ですが、一戸建てでも敷地と道路との段差を解消するなどの目的でコンクリート階段を設けることが一般的に行われています。
コンクリート外階段をリフォームする方法と費用相場を見ていきましょう。

コンクリートの外階段を上がる女性の写真

(写真/PIXTA)

防水が弱まったら防水措置を行う

コンクリートの外階段は、コンクリート自体が長持ちするので、鉄骨階段と比べると比較にならないほど耐久性が高いです。
しかし、長年使っていると、コンクリートにひび割れができてしまうことがあります。コンクリートがひび割れると、そこから雨水が染み込むおそれがあります。
雨がコンクリート内部に染み込むと、内部の鉄筋を錆びさせ劣化が進んでしまいます。ひび割れが目立ってきたら早めに防水処理をするのがいいでしょう。
コンクリート外階段の防水施工は、コンクリートのひび割れを補修してから、表面にウレタン防水剤を塗布します。ウレタン防水剤で処置を行う費用は約20万円~30万円です。
なお、鉄骨階段で表面にモルタルを塗っているケースがありますが、その場合も同様で、モルタルがひび割れてきたらひびを修復してから防水処理が必要となります。

コンクリート階段をつくり直すリフォーム

コンクリート階段は鉄骨階段よりずっと長持ちするだけに、住まい手の高齢化によって階段勾配をきつく感じるようになる場合もあります。そうした場合はコンクリート階段をつくり直すリフォームがオススメです。
コンクリート階段をつくり直す場合、既存の階段を解体・撤去して、あらたに鉄筋を組んで、型枠にコンクリートを流してつくり直します。コンクリートが固まるまで養生するなど、工期も1週間程度かかります。コンクリート階段をつくり直す費用相場は約40万円~50万円を見ておきましょう。

外階段は床面積に入る?

家の床面積を計算する際に外階段を含める必要があるのでしょうか?

外気に開放されていれば床面積には含まれない

家を建てるときには建ぺい率や容積率を守らなければなりません。建ぺい率は敷地に対する建築面積の、容積率は敷地に対する延床面積の割合です。それぞれの敷地は、建ぺい率・容積率の割合が決まっていて、それを超える面積の家を建てることができません。
また、リフォームの場合も法的な面積の制限を超えてしまうと違法建築となってしまいます。では、外階段は計算上、床面積に入るのでしょうか?

建築基準法では、階段の長さの2分の1以上が外気に開放されていて、手すり上部の高さが1.1m以上、かつ階段の天井の高さの2分の1以上あれば、床面積には含まれません。要は階段が外気に開放されていれば床面積には含まれないというわけです。

「ただ、階段の踊り場や屋根など微妙な部分もあります。家の面積に関係してくるので、外階段を新設する場合は、設計段階で役所に確認してもらうのがいいでしょう」

外階段リフォームの実例紹介

ここからは外階段をリフォームした実例をかかった費用とともに紹介しましょう。

傷んだ部分を補修し階段用床材で再仕上げ

タイル張りの鉄骨階段でしたが、経年劣化でタイルが欠損していました。そこで、タイルの欠損部、浮いた部分をしっかり補修、その上から階段用の長尺シートを張ってカバー工法できれいにしました。
階段用長尺シートは適度なクッション性と防滑性、耐候性に優れているので、長く安全に外階段を使えるようになりました。

【After】

外階段をカバー工法でリフォームした写真

下地補修をしっかり行って階段用の長尺シートでカバーしました(画像提供/マナカ)

【DATA】
リフォーム費用:30万円
築年数:26年~30年
工期:5日
設計・施工:マナカ

二世帯住宅にリフォームし外階段を新設

二世帯住宅といっても水まわり設備を共有して同居するタイプ、水まわりをそれぞれに設けて完全に分離して同居するタイプなどがあります。
この事例では、二世帯住宅同居のためにリフォームしたのを機に、1階の玄関を通らず2階の子世帯住居に行けるよう後付で外階段を設けました。
リフォームで、1、2階で住み分ける完全分離型の二世帯住宅が実現しました。

【After】

2階に2階に直接出入りできる外階段増設後の写真

2階に直接出入りできる外階段を増設(画像提供/亥太郎建設)

【DATA】
リフォーム費用:170万円(外階段)
築年数:不明
工期:3カ月以上(そのほかのリフォーム含む)
設計・施工:亥太郎建設

外階段リフォームの会社選びに失敗しないコツ

外階段リフォームの実績をチェック

ここまで述べたように、外階段リフォームにも塗装からカバー工法、新しい階段と交換、新設までいろいろあります。そこで、外階段をリフォームしようとなったら、自分がやりたいと思っている工事の実績があるかどうかを会社のホームページなどでチェックしましょう。塗装が目的なのにその他のリフォーム実績が多い会社に依頼してもうまくいかない場合があります。
また、やりたいリフォームが外階段だけなのか、総合的に家をリフォームしたいのかによっても選ぶべき会社が違ってきます。ある程度の金額以上のリフォームでなければ請けてもらえない場合もあるからです。外階段単独で工事をしてもらいたい場合は、そうした実績の多い会社を探すのがよいでしょう。

リフォームの見積もりをチェック

どんなリフォームでも同じですが、リフォームをする際には必ず見積もりをもらいましょう。それも明細のわかるものがいいです。階段塗装の場合でも、使う塗料によっては耐久性に影響します。
外階段の場合はリフォームの方法もいくつかあるので、現場を見てもらい、どのような方法でリフォームを行うのか、使用する材料はどのようなものなのかを聞いておくことが大切です。それが見積もりに記載されていることを確認しましょう。その上で複数の会社を比較して、予算など条件に合っている会社を選びましょう。

取材協力・監修/一級建築士 柏崎文昭(甚五郎設計企画)
構成・取材・文/林直樹 

外構のリフォーム工事費用の相場を部位別に解説。防犯対策やリフォーム実例も紹介