増築・改築の費用相場。増築と改築の違いは?建て替えとどっちがオトク?

増築・改築の費用相場。増築と改築の違いは?建て替えとどっちがオトク?

「増改築」というのは、リフォーム全般を指す言葉としても使われますが、本来は「増築」と「改築」を合わせた表現です。
では、増築と改築の違い、増改築の工期はどれくらいかかるか、また、建て替えと増改築ではどっちがおトクなのかを紹介します。そうした疑問に答えるとともに、増築・改築の費用相場についてもみていきましょう。

記事の目次

増築と改築の違いって何?

増築と改築はともにリフォームのカテゴリーでくくられていますが、厳密には両者は異なります。
それぞれの定義を明らかにするとともに、費用相場についても見ていきましょう。

増築は既存の家に追加して建築すること

増築は文字どおり既存の家に追加して建築を行い、床面積を増やすことです。

既存の家をほとんどいじらずに、サンルームなどのスペースを追加するパターンと、既存の家をリフォームするとともにスペースを追加するパターンがあります。

既存の家にほとんど手を加えない場合は、リフォーム費用も安く済みます。
既存の家をリフォームしつつ増築する場合は、リフォームの規模にもよりますが、費用は既存に手を加えない場合よりも高くなります。

増築・改築のイメージ

(写真/PIXTA)

改築は床面積を変えずにリフォームすること

一方、改築は既存の家の面積を変えずに、リフォームすることです。
設備交換から、内装一新、間取り変更や性能向上など、リフォーム内容もさまざまです。
内容しだいで費用が増減し、間取り変更や性能向上がらみのリフォームは大規模工事となり、費用がかさみます。

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増改築の費用相場と工期は?

増築は前述のようにサンルームを付け加えるような単純なパターンと、既存の家に手を加えながら増築する大がかりなパターンがあり、それぞれ費用が変わってきます。

サンルームを増築する場合の費用相場

サンルームは手軽に家の面積を増やして、生活スペースを広げられる方法です。
庭にゆとりがあることと、増築によって面積が法的制限(後述)を超えないことが条件となります。

サンルームは、その名のように、壁や天井をガラスなどで構成した日当たりのよいスペースで、リビングの床続きに設けると、まるでリビングが広くなったかのような開放感が味わえます。

サンルームは造作でつくる方法と、既製品を用いる方法があります。
ここでは既製品のサンルームを例にとって費用相場を見ていきましょう。

サンルームの一般的な費用相場は、周りを窓などで囲まれた天井のついたもので、サイズ間口約270cm、出幅約120cmで、設置工事費込み約80万円~。
間口約360cm、出幅約240cmになると、設置工事費込みで約120万円~となります。

日除けやカーテンレール等を取り付けるとその分が付加されます。
土台部分にテラスやデッキを造作すると別途、工事費がかかります。

●既製品のサンルームの費用相場(設置工事費込み)
サイズ 費用相場
間口約270cm、出幅約120cm 約80万円~
間口約360cm、出幅約240cm 約120万円~

LIXIL ガーデンルームGF

既製品のサンルームの例。ガーデンルームGF(写真提供/LIXIL)

増築を含む大規模リフォームの費用相場は1000万円~

既存部分のリフォームとともに増築を行う場合は、大きく間取り変更をして、例えばリビングを広くしたり、部屋を増やしたりするケースが考えられます。
二世帯同居に伴い、部屋数を増やしたり、スペースを広くするケースなども多いようです。

この場合、費用はリフォーム面積、使用する設備や建材のグレードなどによって、ケースごとに変わります。

増築を含むリフォームの場合、既存部分の改築よりも増築部分のほうが費用はかかります。
坪単価で比較して、既存部分のリフォーム費用の1.5~2倍程度は見ておく必要があります。

大規模増改築の場合、費用の目安は1000万円~3000万円程度の幅をもって見ておきましょう。

増築の工期は2週間~3カ月程度

既製品のサンルームを増築するリフォームでは、およそ1~2週間も見ておけばよいでしょう。

増築を伴う大規模リフォームの場合は、2~3カ月程度かかることも少なくありません。
既存部分を全てリフォームするのか、一部を残すのかなどによっても工期は変わります。

大規模リフォームの場合は仮住まいが必要になることが多い

サンルームを増築する程度の場合は、住みながら行うことが可能です。
しかし、既存部分を含むリフォームの場合、住みながらでは難しいことも多いようです。

その場合は仮住まいが必要になりますので、工期を聞いて、引越しや仮住まいの手配をする必要があります。
荷物が多ければ、トランクルームなどに一時的に預ける必要もあり、そうした費用も予算に含めなければなりません。

工事のイメージ

(写真/PIXTA)

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増改築と建て替えのメリット・デメリットは?

建物が築30年などと古くなった場合、建て替えも検討しなければなりません。
建て替えか増改築かをどこで判断すればよいのでしょうか?
それぞれのメリット・デメリットを知って、建て替えか増改築かを検討しましょう。

【増改築のメリット1】建て替えより一般に割安

増改築のメリットは、建て替えに比べると一般に費用が割安になること。
老朽化した部分の多くを解体撤去する場合でも、例えばコンクリートの基礎や使える柱や梁は残すなど、全て撤去することはありません。
全て撤去すると建て替えになります。

そのため全て撤去して、土工事、基礎工事から始める建て替えに比べると、全面リフォームでも既存の材料を残す分、安くなることが多いようです。

しかし、劣化状態などによっては、増改築のほうが高くなることもあります。

契約のイメージ

(写真/PIXTA)

【増改築のメリット2】愛着のあるものを残せる

例えば、子供のころに身長を測って印をつけた柱、階段、部屋の一部などを残すことができます。
愛着のあるものを残しつつ、性能や間取りを今の生活に合わせて変えられるのが、増改築のメリットといえるでしょう。

【増改築のメリット3】今ある建物より小さくなることがない

建て替えの場合、前面道路の幅が狭いと、道幅を広げるために敷地を後退させなければならないことがあります。
建築基準法では、家を建てるための土地には接道義務があり、4m幅以上の道路に2m以上接していなければならないとされているからです。
そのため、建て替える際は、道路の中心線から2m後退したところまで、敷地をセットバックさせなければいけません。

そのため、面積制限などから建てる家が今より小さくなるケースがあるのです。

増築をしない内部の改築なら、その心配はなく、今の面積を確保できます。

●道路幅が4m未満の場合の敷地のセットバック

道路幅が4m未満の場合の敷地のセットバック

【増改築のデメリット1】建物の配置は変えられない

建て替えは、建物の配置から自由に決められますが、増改築はあくまで今ある建物が基本になりますから、配置の大きな変更はできません。

【増改築のデメリット2】間取りや性能に既存状態から制約を受けることも

増築部分は新築同様なので、既存部分との性能に差が出ることがあります。
また、イチから建て直す場合と異なり、既存部分の影響を受けて、間取りや性能に制約が出ることもあります。

増改築か建て替えかの判断は専門家の意見を参考に

増改築でどこまで性能向上ができるのか、法的に建て替えが可能なのか、費用はどうなるのかなど、素人ではわからないことも多いものです。

増改築か建て替えかを選ぶにあたっては、リフォーム会社や建築会社、設計事務所など専門家の判断を仰ぐのがよいでしょう。

契約のイメージ

(写真/PIXTA)

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費用がわかる増改築事例

大規模リフォーム時に増築を行った費用のわかる事例を紹介しましょう。

【リフォーム費用1142万円】バリアフリー化のため水まわりを増築

増築したトイレ・洗面室

車椅子で使えるよう一部増築し、広くしたトイレ・洗面室

間取り図

父が車椅子を利用しており、床の段差や狭いトイレに不便を感じていたため、安心して暮らせる空間を目指しリフォームに取り組みました。
床段差をなくして、車椅子でも快適に動けるようにするとともに、トイレ・洗面室を広くし、浴室手前に脱衣室を確保するため、一部増築を行いました。
手すりも設置し、車椅子を置くスペースも確保したゆとりの水まわりで、快適な生活ができるようになりました。

リフォーム費用:1142万円
工期:約2.5カ月
リフォーム面積:142.48m2
設計・施工:山商リフォームサービス

【リフォーム費用2940万円】二世帯が快適に暮らせるよう間取り変更と増築

増築した1階ダイニングとデッキ

増築した1階ダイニングとデッキ

間取り図

売りに出た隣地を購入したTさんは、家族6人がもっと快適に心地よく暮らせる住まいに刷新するためにリフォームを決意。
新規に購入した土地も活用し、増築を行って南側に1階の空間を拡張し、ここを既存の和室とつなげて皆が集まるLDKとするプランを採用しました。

「日当たりがいいのに物置のようになっていた1階の和室を何とかしたかった」という悩みは、この増築を含む間取り変更により解決。障子を開ければウッドデッキにも出られる、開放的で明るいLDKに変身しました。

リフォーム費用:2940万円
工期:約2カ月
リフォーム面積:168.56m2
設計・施工:優建築工房

増改築をするときの注意点

増改築をするときは、法的制限など気をつけなければならないことがあります。
とくに増築面積は、制限を超えないよう、気をつけなければなりません。

増築する場合は面積の法的制限を守る

家の面積は、地域によって決められた「建ぺい率」と「容積率」によって制限されており、それを超えて増築することはできません。

●建ぺい率/建築面積(建物の外周で囲まれた面積)の敷地面積に対する割合
●容積率/延床面積(各階床面積の合計)の敷地面積に対する割合

その敷地の建ぺい率が50%、容積率が100%の場合で説明します。

敷地面積が100m2だとすると、建ぺい率が50%なので、建築面積は50m2以内に、容積率は100%なので、延床面積は100m2以内に収めなければなりません。

下図の場合、建ぺい率は50%、容積率は100%でOKです。

■建ぺい率

建ぺい率

■容積率

容積率

増築するときは、まず敷地の建ぺい率・容積率を調べ、現状の面積がその制限に対してどの程度ゆとりがあるのか計算してみましょう。

建ぺい率・容積率の制限いっぱいに建築されていたら、増築はあきらめざるを得ません。

建築確認申請の必要性の有無を確認する

敷地の建ぺい率・容積率にいくらかゆとりがあって、増築が可能な場合、増築を行う前に、建築確認申請をしなければいけない場合があるので注意をしましょう。

建築確認申請は、建築基準法に合致しているかどうか設計図などの書類を添えて役所に申請するもので、受理されないと建築ができません。

増築の場合、建築確認申請が必要な場合とそうでない場合があります。

建築確認申請をしなくてよいのは以下の場合です。
都市計画法で定められた「防火地域」および「準防火地域」以外の地域で10m2以内の増築をする場合は建築確認申請が必要ではありません。

「防火地域」「準防火地域」では、増築面積にかかわらず建築確認申請が必要です。

防火地域は、駅前の繁華街など密集した市街地に多く、準防火地域はその周辺の地域です。
いずれも火災に強い建物にするなどの制限があります。

増築をする際は、自分の地域が防火・準防火地域に該当しないか、確認しましょう。

内部の改築だけのリフォームの場合は、建築確認申請をする必要がない場合がほとんどです。

増築・改築のイメージ

(写真/PIXTA)

耐震性能を確保する

既存部分の耐震性が低いまま増築をしても安心して暮らせません。
築年数のたった家を増改築する場合は、耐震診断をしてもらって、必要な耐震補強を行いましょう。

耐震診断は現行法に照らして、今の家を調べ、倒壊の恐れなどがないか診断をするもの。
自治体やリフォーム会社でも行ってくれます。
耐震診断には一般に5万円~10万円程度の費用がかかりますが、自治体によっては診断費用と補強費用を合わせて助成しているところもあります。
役所のホームページで、耐震助成について確認しておきましょう。

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まとめ

増築は既存の家に追加して床面積を増やすことで、サンルームなどのスペースを追加する場合と、既存の家もリフォームしながらスペースを追加する場合があります。

改築は既存の家の面積を変えずにリフォームすることで、設備交換から、内装一新、間取り変更や性能向上など、リフォームする箇所も内容もさまざまです。

増築・改築のなかでも、間取り変更や性能向上のためのリフォームは大規模工事となる場合が多く、費用がかかります。

増築・改築には法的な規制をクリアする必要があります。経験が豊富で、法律にも詳しいリフォーム会社に依頼しましょう。

構成・文/林直樹 イラスト/長岡伸行 監修/甚五郎設計企画(柏崎文昭)
※文中の費用相場は著者および監修者による試算に基づきます