愛犬家なら知っておきたい、老犬(シニア犬)が快適に過ごせる家

愛犬家なら知っておきたい、シニア犬が快適に過ごせる家

 

近年、ペットのためにリフォームをする人が増え始めているようです。編集部でも「犬が段差につまづくようになり、リフォームを検討したことがある」という話を聞き、老犬(以下、シニア犬)が過ごしやすい環境について考えてみました。

 

過ごしやすい環境のポイントは「大きく変えない」

一般的にシニアとなるのは小型犬・中型犬で11〜12歳、大型犬で8〜9歳ぐらいから。筋力の衰えやトイレの回数の変化を感じたら、それは老化のサインかもしれません。家族同然に暮らしてきた愛犬だから、老後も快適な生活を送らせてあげたい。シニア犬のためにリフォームで出来ることはどんなことでしょうか? 旭化成ホームズ村松浩さんと東京ガスリモデリング前田さんにお話を聞きました。

 

「今までの環境で穏やかに過ごせることが、シニア犬にとって幸せなこと。環境をあまり変えず、現状を工夫してあげるのがよいと思います。リフォームするなら大きな変化を伴わないリフォームをオススメします」(前田さん)

「シニア犬に限らず犬を飼うと床の傷が気になるので、表面に傷がつきにくい硬めのフローリングを敷くことが多いのですが、歩行のしやすさを考えるとカーペットなどの滑りにくい素材を敷くこともオススメの選択肢です」(村松さん)

 

高齢になるほど環境の変化が辛くなるというのは、愛犬も私たちと同じ。元気なうちに先々のことを考えた環境づくりをするのがベストですが、シニア犬となってから気づく不便さもあります。それでは、大きく環境を変えずにできる対策を見ていきましょう。

 

家の中を安全に 階段・床対策

足腰や視力の衰えによっておこる「階段の上り下りが苦手になる」「歩き方が弱い・おぼつかない」などの加齢サイン。床や階段には、どんな対策が出来るでしょうか?

「シニア犬に限りませんが、歩行しやすいようにフローリングからカーペットにしたいというご要望は多く、表面に傷がつきにくい硬めのカーペットをオススメしています。階段もカーペットなどの滑りにくい素材を敷くのがよいでしょう」(村松さん)

また、DIYで必要なところだけを対処することも方法のひとつです。
「特別なリフォームでなくとも、愛犬の移動経路に市販のカーペットを敷いたり、すべり止めを階段に貼ったりして対処は可能です」(村松さん)

「白内障などで目が見えなくなってしまう場合もあるので、環境を変えてしまうと愛犬にさらに負担がかかります。先と同じになりますが、できるだけシニアになる前に計画したほうがよいでしょう」(前田さん)

 

一方、よろけてぶつかることの多くなったシニア犬の安全のために、専用のスペースをつくるリフォームも。専用スペースやペットサークルは愛犬の安全だけでなく、飼い主の安心にもつながります。
「階段下収納をわんちゃんスペースにリフォームしたことがあります。床は掃除のしやすいタイルにして、壁は消臭・湿度調整の効果があるクロスを貼り、清潔に保てるようにしました」(前田さん)

 

ニオイ対策 清潔に保つためには

ニオイ対策は「まめな掃除」と「床材やクロスの見直し」で

【画像1】ニオイ対策は「まめな掃除」と「床材やクロスの見直し」で(画像:Fotolia)

 

トイレがうまくできなくなる、回数が増える、おもらしをするなど、シニア犬のトイレ事情はなかなか大変。清潔を保つためにできることはあるのでしょうか?

「汚れを落としやすい抗菌性のあるクロスや、消臭機能のあるクロスがあります。床材も同様に滑りにくく、傷がつきにくく、消臭効果もあるフローリング・クッションフロアがあります」(前田さん)

「住宅の床材は継ぎ目が多く、そこから床におしっこが染みてしまうことがあるので、タイムリーな掃除を心がけてください。消臭効果のある素材にリフォームをしても、清潔にはならないことに注意です」(村松さん)

 清潔の秘訣はまめなお掃除にあり! ですが、清掃性が高いクロスや床材を選べば飼い主の負担は軽くなります。ニオイ対策は「まめなお掃除」と「床材やクロスの見直し」両面から考えるとよさそうですね。

 

防音・寒暖差(断熱)は、「カーテン」「窓」でまとめて対策

シニア犬は寒暖差で体調を崩しやすくなり、また、これまでしなかった無駄吠えをするようになる子も。防音と断熱は、「カーテン」と「窓」を見直すことで同時対策が可能です(病気などの苦痛によって吠えている場合もあります。まずは獣医師に相談しましょう)。

防音・遮音カーテンには、遮光・遮熱効果を備えたものも出回っています。カーテンを取り替えるだけなので、最も手軽な方法といえるでしょう。
「高度な断熱リフォームもありますが、カーテンを防音・遮音のものに変更するのが現実的な方法です。エアコンや窓の開閉で穏やかな屋内環境にする心がけを」(村松さん)

カーテン以上の防音・断熱を見込めるのが「二重窓」。実は、夏の熱気が入ってくるのも、冬の暖気が出ていくのも、半分以上は窓や出入口からです。窓が2枚となるため、防音効果もしっかりあります。⇛実は家の温度に影響大! 窓を見直して快適生活

 

まとめ

年齢を重ねると、これまで出来ていたことも難しくなるし、大きな環境の変化への戸惑いや不安は人も愛犬も同じなのですね。リフォームする前に、「人も犬も快適な室内環境とは?」「飼い主の介護の負担を減らすには?」という観点で考えてみるとよさそうです。ワンちゃんの身体のケアはリフォームで、心のケアは飼い主さんの愛情でコミュニケーションをたくさんとって安心させてくださいね。

 

 ●取材協力

・旭化成ホームズ株式会社 村松浩さん
・東京ガスリモデリング株式会社 前田さん