TOKYO LINK WITH TOWN PROJECT（東京リンクウィズタウンプロジェクト） （取材レポート）

■鈴木〉ＵＲリンケージは、小川住宅の再生検討の段階からコンサルタントとしてご支援をしてきました。建替え決定後も、まちづくり・すまいづくり支援企業のノウハウを活かし、小川住宅の皆さまの想いを計画に実現するサポートなどを進めています。

■高田〉長谷工コーポレーションの建替事業部は、組合員の皆様がどのような住まいを望んでいるのかを丁寧にヒアリングし、その声を開発・設計へつなぎ、計画へ反映するための役割を果たしています。

■矢代〉長谷工不動産の分譲マンション事業部では、建替えによって新たに誕生する分譲部分の販売を見据え、新しい購入者のニーズに合ったプランニングから販売までを一貫して担っています。

■鈴木〉当初から感じていたのは、駅に近く、商業施設も近くにあり、かつ広大な敷地を有していることから大規模マンションの立地として非常に希少性が高いということです。

■高田〉「八坂」駅を含め徒歩圏内に4駅が利用できる利便性があり、特に「久米川」駅へと続く商店街は、カフェなども点在する賑わいを感じられるエリアです。建替えによって未来に繋いでいく価値があると感じました。

■柏木〉設計の観点では、全体計画として大きな敷地である魅力。そして、建替えだからこそ地権者の方々と直接お会いし、意見を伺いながら計画を進めることができる。私たち自身も刺激を受けながらつくっていくプロセスは、とても貴重だと思います。

■柏木〉もともとこの地域は、東京街道（江戸街道）沿いに広がる緑豊かな環境が特徴です。そこで私たちは「自然を暮らしの中に取り込むこと」を大きなコンセプトのひとつとしました。そのため、広大な敷地を建物でぎっしり埋めるのではなく、余裕を持たせたプランニングを行っています。

■鈴木〉実際、当初の計画よりもさらに敷地にゆとりを持たせています。事業としては建物を大きくして住戸数を増やす方向に傾きがちですが、組合員の皆さまから「余裕のある住まいを実現したい」という強いご意向があり、それを反映した結果、ゆったりとしたランドプランになりました。

■柏木〉集合住宅はどうしても建物が敷地の大部分を占めがちですが、本プロジェクトでは“空地率”を60%以上確保しています。空地率とは「敷地に対して建物以外の空間がどれだけ残されているか」を示す数値です。東京街道（江戸街道）沿いには約1300m²の公開空地を設け、その緑の奥に建物がひっそりと佇む──そんな景観が街道沿いからも感じられるはずです。

■高田〉容積率は160％に設定しています。容積率とは「敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合」です。地区計画では容積率は180％が上限ですが、そこをさらに押さえることで、ゆとりを重視したプランになっていると思います。
　　　

■鈴木〉サステナビリティ（持続可能性）の観点では、多世代がひとつのマンションに集うことに大きな意義があると思います。かつてのニュータウンのように、同じ世代が一斉に入居すると、数十年後には一気に高齢化が進み空き家が増えてしまうという課題がありました。
このプロジェクトでは、新しく入居される方と元々住んでいた方が暮らすことになります。さらに、間取りのバリエーションを豊富に設けることで、単身者から子育て世帯、ご高齢の方まで幅広い世代を受け入れられるようにしています。多世代が暮らし、循環しながら次の世代へと紡がれていく──。そのバランスの良さこそ、持続可能なマンションづくりのポイントだと考えています。

■柏木〉住戸のバリエーションは確かに幅広いですね。同じ面積帯でも間取りのプランを変えることで、それぞれに特徴を持たせています。新しい住まい方の提案にチャレンジしている部分です。

■高田〉UGOCLOを採用していることもサスティナビリティの一つですね。UGOCLOとは間取りを可変化できる仕組みのことで、ライフステージの変化に合わせて空間を柔軟に使えるため、長く住み続けることができます。

■柏木〉さらに、省エネルギーや脱炭素の時代に合わせた取り組みも欠かせません。本プロジェクトでももちろん力を入れており、緑化率を高く確保することで、環境にやさしいだけでなく、暮らし心地の良い住環境を実現しています。
　　

■高田〉本当に良いマンションになると思います。そもそも、建替えが成立する団地はそう多くありません。立地にポテンシャルがなければ実現できないからです。ここは駅も近く、商業施設や公園も身近にあり、住み心地のバランスも非常に良い。まさに「終の棲家」として安心して暮らしていただける場所になると思います。

■柏木〉これほどの大規模プロジェクトが誕生することで、周辺エリアもさらに発展していくはずです。実際、新しい商業施設の計画も進んでいますし、ここ数年で街自体が大きく進化していくでしょう。その流れを見据えつつ、この街に期待を寄せながら暮らしていただければ嬉しいですね。

■鈴木〉現在、建替え後の管理についても検討を進めています。これからの時代は、防災・防犯をはじめ「自助・共助」が欠かせません。しっかりとしたコミュニティを形成し、有事の際にも助け合える──そんなコミュニティを重視した計画であることも、大きなポイントだとお伝えしたいです。

■矢代〉この建替事業では、もともと住んでいた方と新しく入居される方、そして幅広い世代がつながって暮らしていきます。全575邸というスケールに加え、広場や充実した共用部、多彩な住戸プランを備えていますので、多様なライフスタイルに応えられるはずです。多くの方に、この新しい街での暮らしをぜひご検討いただきたいと思います。