“住人の植栽愛”を育むユニークな取り組み
新宿駅から小田急線急行でおよそ20分の場所にある、多摩川手前の狛江駅が、グランドメゾン狛江の最寄駅だ。駅からマンションまでは徒歩6分。つまり、新宿の喧騒から30分弱の移動で到着できる。にもかかわらず、マンション敷地内はまるで里山のような雰囲気だ。
この雰囲気は豊かな植栽のたまものだ。約1.9万㎡の敷地には、高さ20mを超えるヒマラヤ杉、ケヤキなどの既存樹約100本と、マンション開発時に新たに植樹した、約1万8000本の木々が連なっている。筆者が取材で現地を訪れた真夏の時期は蝉の大合唱が迎えてくれたが、敷地内の大木の下を歩くと少しひんやりした心地よい空気も流れていた。
住人の皆さんも、この里山のような環境に満足しているようだ。
「徒歩6分の駅近なのに、こんなに緑が豊富。それでいて新宿からマンション最寄の狛江駅までおよそ20分で着ける。そこに価値があります」
「街中では滅多に見ることのできないツミ(野鳥)やタヌキが出没することも。もちろん最初は驚きましたが、野生の生き物にとっても暮らしやすいのだろうと思うと納得でき、愛らしく思えました。自然と隣り合わせになっていることで、日々、少しずつ変化する四季を感じられる点も気に入っています」
「夜になると植栽が照明でライトアップされて、とてもきれいなんです。遊びに来た友人が『海外のリゾートホテルみたいだ!』と驚いていました。かなり自慢できましたね」
いずれも、これだけまとまった植栽と共存していればこそのメリットだろう。ただその一方、1万8000本以上となると、それなりの手入れも必要では? マンションのメンテナンスを担当する理事会の担当者に聞いてみると、
「もちろん理事会としては毎月の植栽メンテナンスの状況をしっかり確認するとともに、年に1度のペースで植栽管理業者に来てもらい、植栽のコンセプトや年間維持管理計画に関する役員向けの説明会を開催してもらっています。
また、これだけ植栽があると自然が身近で快適な半面、虫の発生への配慮も必要です。住人の安全に十分留意し、極力薬品散布を抑えて、バランスを取りながら管理しています」とのことだった。
こうした理事会の取り組みによって、住人も「植栽は単純に気持ち良さや安らぎを与えてくれる存在を超えた、マンションの大切な付加価値」と認識しているという。その認識をさらに深めているのが、植栽管理業者のレポート『今月の見どころ植栽』だ。四季折々の開花情報などが詳しく掲載され、マンション内に掲示しているほか、希望する住人に配布している。
さらに、グランドメゾン狛江の自治会「グランドメゾン狛江クラブ」も“住人の植栽愛”を後押し。敷地内の“植栽見学ツアー”を実施し、親子連れからシニアまで幅広い年代が参加しているそうだ。自然をより身近に感じる機会になっているだけでなく、住まい全体への愛着を深める好機になっているという。このツアーを通じて、グランドメゾン狛江が自分の故郷だと考えるようになる子どもはたくさんいることだろう。
住人が主体的に活動する数々のサークル、同好会も
グランドメゾン狛江クラブは、この植栽見学ツアー以外にも季節に応じてさまざまなイベントを催し、住人交流を促している。自治会メンバーが説明してくれた。
「当クラブは、マンション竣工時、理事会と同時に発足して活動を開始した自治会組織です。活動目的は地域コミュニティーの形成と向上。輪番表を基に順番でマンション住人が複数年担当します。
具体的な活動は、マンション住人全体を主な対象にした『夏祭り』や『クリスマスイベント』などの季節行事をはじめ、定期的に『子育てイベント』なども企画しています」
自治会のこうした取り組みが住人の横のつながりを育み、そこから気の合った住人同士が自発的に同好会、サークルなどをつくって活動しているのもこのマンションの特徴だ。しかもその数は10団体以上。多様な世代が住んでいることを反映した、豊富なバリエーションだ。
「例えば、テニスサークルやピラティス、料理、英会話サークル…グランドメゾン狛江クラブはそのようなサークル活動に対しても補助金などを出してサポートしています。各種のイベント、同好会、サークルへの参加を通じて、ご近所付き合いが生まれることで、ひいては安心・安全に暮らせるマンションを目指しています」
自治会の行事、同好会にも参加しているある住人は、
「知り合いが生まれ、そこから家族ぐるみのご近所付き合いに発展しました。職場や旧知の友人関係以外のつながりができたのは、このマンションに暮したからこそ。おかげさまで楽しい毎日が送れています」と満足気に答えてくれた。
自助、共助を促し、自然災害にも強いマンションに
グランドメゾン狛江クラブが目指すのは「住人同士の交流促進を通じた、安全安心な暮しの実現」と前述したが、近年ではそこに「防災会」も加わり、より安心して暮せるマンションに向けた足固めをしている。防災会メンバーの一人に説明していただいた。
「そもそもこのマンションは、東日本大震災など過去に起きた地震、災害の教訓に学んだハードを備えたマンションなんです。停電時に使える、ディーゼル自家発電機器をはじめとする各種防災設備を備えています。
ただ、いくらこうした設備があっても、いざそのときにうまく使いこなせなければ意味がありません。万が一のときに防災設備を効果的に使える人を一人でも増やすために、防災訓練や防災会企画のイベントで設備操作の体験をしていただき、大規模災害発生時の“自助”“共助”を意識していただく啓発活動を行っています。
将来的には、ソフト・ハードの両面から、地震はもちろん、自然災害全般に対して強く、安心して暮らせるマンションにしたいですね」
理事会、自治会、防災会のトライアングルで、成熟を遂げつつあるグランドメゾン狛江。理事会のある担当者は、
「これからも豊かな植栽を大切にし、住人の皆さんの協力をいただきながら、『経年美化』していくマンションを目指します」と話してくれた。
このまま歳月を重ねていけば、その言葉は現実のものになりそうだ。
※2020年のイベント開催は新型コロナウイルス感染症対策のため上記の通りではありません。今後の開催は未定です