湾岸生活の魅力を知らしめた、隅田川と天空を結ぶタワー

センチュリーパークタワーの外観

物件名:
センチュリーパークタワー
所在地:
東京都 中央区
竣工年:
1999年
総戸数:
756戸

湾岸タワーの先駆となった複合再開発のランドマーク

都心暮らしのスタンダードであるタワーマンションの第一号は、1971年、港区三田に竣工した「三田綱町パークマンション」といわれている。その後、都心にはタワーが次々に現れ、2000年前後の「都心回帰」をきっかけに供給地は湾岸エリアへと広がった。ここで紹介するセンチュリーパークタワーは、湾岸タワーの先駆け的存在だ。

物件が立つのは隅田川の河口付近にある中央区の佃。歴史をたどると、ここは1853(嘉永6)年、水戸藩の徳川斉昭によって造船所(現:株式会社IHI)が創設された人工島だった。

佃小橋から望むリバーシティ21

屋形船などが停泊し、往時の風情を残す佃小橋からリバーシティ21を望む(写真提供:photoAC)

飛んで1979年、江戸から昭和にかけて4つの時代にわたって操業した造船所が移転した後、官民一体の「大川端リバーシティ21開発事業」がスタート。1986年の住宅着工を皮切りに、計15のタワマンや板状型マンション、商業施設や学校などが建設された。現在、中央・江東・品川区などの湾岸エリアに集積する巨大なタワ―マンション群の先をゆく、大規模複合再開発プロジェクトだったのだ。

そして1999年、満を持して竣工したのがセンチュリーパークタワーである。地上54階建て、高さ約180mでリバーシティ21における最高層のランドマークとなった。三井不動産(現:三井不動産レジデンシャル)のフラッグシップ物件という話題性もあり、販売センターには約1万1000組が来場したという。

1階のアトリウムは4層吹抜け。ここを抜けてエレベーターホールへ向かう

1階のアトリウムは4層吹抜け。ここを抜けてエレベーターホールへ向かう

このマンションが、今も湾岸エリアのタワマンのなかで別格なのは、佃島の北端に位置し、悠々と流れる隅田川に相対する立地が大きな要因だ。隅田川は佃島の北端で左右に分岐し、東京湾へ流れ込むため、マンションの周囲は常に豊かな水に満ちている。当然ながら川の上には橋以外の建築物はなく、眺望の“抜け感”が他のタワーより圧倒的に高いのだ。目まぐるしく変貌を続ける東京の都心において、大きな河川に囲まれる不変の環境や開放感が、多くのタワーマンション・ファンを惹き付けている。

隅田川は中央のセンチュリーパークタワーを境に左右に二分して東京湾へ向かう

隅田川は中央のセンチュリーパークタワーを境に左右に二分して東京湾へ向かう

隅田川がつくる圧倒的“抜け感”がストロングポイント

隅田川に囲まれた特別なロケーションを体感するため、33階にある共用施設「マナーハウス」へ向かった。

33階マナーハウスの入口。天窓の上は屋上部まで続く吹抜け

33階マナーハウスの入口。天窓の上は屋上部まで続く吹抜け

まずは北西の方角に面した2層吹抜けのラウンジだ。北の方角には悠々と流れる隅田川が延び、その奥にスカイツリー。空気のクリアな季節には北関東の独立峰・筑波山も拝むことができる。

ラウンジから北の方角に延びる隅田川を望む

ラウンジから北の方角に延びる隅田川を望む

そして西側の窓からは銀座、皇居、東京タワー方面を一望。夜景もさぞ素晴らしいだろう。こちらも眼下には隅田川が流れており、高層ビルが林立する都心部に比べると段違いに開放感が大きい。

ラウンジ西側は都心方面ビューを一望

ラウンジ西側は都心方面ビューを一望

「ラウンジは住人の方が打ち合わせや読書などを楽しめる憩いのスペースです。以前にはスターバックスコーヒージャパンとタイアップして、美味しいコーヒーの淹れ方講座なども開催され、好評でした」とマンション管理会社・三井不動産レジデンシャルサービスの石田さんが教えてくれた。ラウンジのほかにもライブラリーやカードルーム、防音室などがあり、いろいろな過ごし方ができる。

2層吹抜けのラウンジ全景

2層吹抜けのラウンジ全景

続いて同じフロアのゲストスイートへ。大規模マンションでは一般的なゲストルームだ。750戸超の大規模物件なのだが1室しか用意されておらず、それだけにプレミアム感が高い。方角は北東向き。美しい朝日と共に目覚めることができ、北にはラウンジ同様、隅田川とスカイツリーを眺められる。

「都心のホテルにも負けないロケーションでほぼ連日宿泊される方がいらっしゃいますが、なかでも高い人気となるのが、毎年夏、浅草で開催される隅田川花火大会の当日です。浅草まで直線距離で約4km離れていますが、花火を遮るものが一切ない上、打ち上げ花火とほぼ同じ標高で鑑賞できるのは極めて希少な体験ということで、抽選倍率は非常に高くなります」(石田さん)

東京の夏の風物詩を独占できる、まさに特等席なのだ。

ゲストスイートのベッドから隅田川方面を望む。天空に浮かんで寝ているような感覚になれそう

ゲストスイートのベッドから隅田川方面を望む。天空に浮かんで寝ているような感覚になれそう

ゲストスイートには隅田川を望む位置にビューバスも付いている

ゲストスイートには隅田川を望む位置にビューバスも付いている

隅田川花火大会の花火をほぼ同じ標高から堪能できる

隅田川花火大会の花火をほぼ同じ標高から堪能できる(写真提供:photoAC)

ハード・ソフト両面で改良進め「タワー・ヴィンテージ」へ

一方で、東京駅や銀座方面までわずか約2kmというアクセスも魅力だ。竣工時から暮らす管理組合の吉井理事長は、通勤利便性に惹かれてセンチュリーパークタワーを選んだと話す。

「ここで暮らし始めた当時のオフィスは箱崎にありました。地下鉄などを使うと30~40分以上かかってしまうのですが、歩けば15分ほど。通勤路は隅田川沿いでした。春には桜の名所になる場所で、満員電車のストレスとは一切無縁の快適な時間でしたね」

理事長の通勤ルートは隅田川沿いに整備された「隅田川テラス」だ。隅田川の両岸約47㎞の内、約28㎞の区間が整備されている貴重な水辺空間で、春の花見はもちろん、ジョギングやウォーキング、愛犬の散歩などを楽しむ人が引きも切らない都心の名所である。

隅田川の両岸に整備されている遊歩道、隅田川テラス

隅田川の両岸に整備されている遊歩道、隅田川テラス(写真提供:photoAC)

マンション足元にはスーパー堤防を活用してつくられた中央区立石川島公園がある。ここは公園の一角にある隅田川に面したパリ広場

マンション足元にはスーパー堤防を活用してつくられた中央区立石川島公園がある。ここは公園の一角にある隅田川に面したパリ広場。1999年の「日本におけるフランス年」を記念してつくられた

「そういえばこのマンションには、犬を飼っている方が実に多い。朝、出勤のために下に降りていくと、犬を連れて歩いている方を本当によく見かけます。マンション内には、愛犬を介したコミュニティもつくられているようです」(吉井理事長)。豊かな隅田川の水とマンションの足元の公園など、愛犬との散歩には最適な環境があるからこそだろう。ここに住み始めてからジョギング、ウォーキングを始めた住人も多いそうだ。

1階外のイングリッシュガーデン。毎年、初夏と秋には見事なバラのアーチが現れる

1階外のイングリッシュガーデン。毎年、初夏と秋には見事なバラのアーチが現れる

今年で竣工からちょうど20年。昨年春にはおよそ3年の歳月をかけた大規模外壁修繕が終わり、特徴的なブルーとベージュに彩られた外壁タイルは、竣工時の雰囲気が忠実に再現された。また、各住戸のインターホン更新に合わせたカードレスエントリーシステムの導入や、共用施設照明のLED化、冷暖房システムの更新、1階ガーデンラウンジのインテリア変更など、住人の快適な暮らしの維持、コストカットも着実に進んでいる。「タワー・ヴィンテージ」としてますます成熟していくことも期待できそうだ。

車道に面したエントランス。左手の緩やかな坂を上るとマンションの入口がある

車道に面したエントランス。左手の緩やかな坂を上るとマンションの入口がある

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/柴田ひろあき

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