マンション+街並みも!世界的建築家・安藤忠雄に包まれる空間ができるまで

シティハウス仙川の外観

地上5階・地下1階建て。1階通り沿いはテナントスペースで住戸は計61戸。30㎡台~130㎡台のメゾネットまでそろう
物件名:
シティハウス仙川
所在地:
東京都 調布市
竣工年:
2004年
総戸数:
61戸

世界的にも稀有な街「安藤ストリート」の一員になれる“特典”付き

「好きなモノに囲まれて暮したい」
程度の差はあっても、これは、ほとんどの人に共通した心理だ。

マンション選びは、その実現に向けた第一歩。特に、立地、方角、広さ、設計、仕様など、後から変えられない部分にはできる限り妥協したくない。

なかでも、住まい手のこだわりが強く表れるレアな条件が「著名建築家の手による設計」だろう。自分の好きな建築家が手掛けた住空間に住めるというのは、ファンなら満足度は高いはずだ。

その意味で安藤忠雄が手掛けたシティハウス仙川は、まさに逸品といえる。

安藤忠雄――日本が誇る世界的建築家だ。独学で建築を学び、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど諸国を旅した後、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。日本国内はもちろん、世界でも多数の作品を手掛け、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」など、国内外の建築界から重要な賞を受賞している。1997年からは東京大学教授を務め、後進の指導にも尽力。作品の特徴は、コンクリートとガラスを多用した設計であることだ。フォルムは直方体が中心で、印象的なデザインはすぐに安藤氏が手掛けたものと分かる。

左の建物がシティハウス仙川、右側の道路が安藤ストリート

左がシティハウス仙川。安藤ストリート沿いはハナミズキが並ぶ。道路端には自転車専用レーンが整備済み

上の写真のとおり、シティハウス仙川も安藤建築の特徴を前面に押し出したマンションだ。ただ、この物件の価値はそれ単体では計れない。というのは、シティハウス仙川が立つこの通りは、安藤忠雄が設計した建築物がほかに5棟集積しているのだ。通称「安藤ストリート」。シティハウス仙川に暮すと、この世界的にも稀有な場所の一員になれる特典が付くのである。

安藤ストリートを構成するのは、初の分譲マンションであるシティハウス仙川、2番目の分譲物件で2012年に竣工したシティハウス仙川ステーションコート、さらに美術館、保育園・劇場や店舗など。いずれもシティハウス仙川同様、コンクリートとガラスで覆われた直方体をモチーフとしており、統一感のある景観がつくり出されている。

シティハウス仙川ステーションコート

甲州街道と安藤ストリートの交差点に立つ第2の分譲マンション「シティハウス仙川ステーションコート」。地上9階建て・地価1階建て。総戸数91戸

乱開発を防ぎ、景観を守る!という熱意が街づくりの原動力に

この唯一無二の街はどのようにして生まれたのか。仕掛人は、一帯の地主である伊藤容子氏である。

「発端は1990年の都道整備の計画決定でした。京王線仙川駅の南側に広がる伊藤家所有の長さ423m、約1万6000㎡の細長い土地を南北に都道が貫くことになったのです。幅16mの都道が通ると、両側には三角形や車一台がようやく停められるような狭小地が残されることになりました」(以下、コメントはすべて伊藤さん)

シティハウス仙川の屋上から眺める安藤ストリート

シティハウス仙川の屋上から北側の甲州街道方面を撮影。安藤ストリート沿いの景観が統一されていることが分かる

前年に父親を亡くしていた伊藤さんは、相続税対策に頭を悩ませていた。都道両側の土地を売却して利益を得れば、相続税問題解決の糸口が見えてくるが、一方で心配だったのが売却後に想定される乱開発だった。

「土地を持つ者には、景観を守る社会的な責任もある。以前から都市計画に興味もあり、統一的な街並みをつくることを決意したのです」

そして伊藤さんが設計を依頼したのが、安藤忠雄氏だったというわけだ。

粘り強い交渉が導いた、安藤忠雄建築研究所のチーム力

「1980年代から、私は安藤先生の“追っかけ”でした。国内はもちろん、海外もほとんどの安藤作品を見て回りましたね。光と風を採り入れ、自然と共生しつつ、コンクリートを活かしたシャープなデザインを追究する安藤建築は、緑の多い仙川にマッチすると考えたのです」

伊藤さんは安藤氏に熱いラブコールを送った。国内外を飛び回り、多忙を極める安藤氏とはなかなか密に連絡を取れなかったが、それでも伊藤さんは諦めずに打診を続けた。最終的に仕事を請け負うと返答があったのは1995年のことだった。

「『設計は僕らが責任をもってさせていただきます』と連絡をいただきました。“僕ら”、すなわち、安藤忠雄建築研究所がチームとなってこの案件を引き受けます、とおっしゃっていただいたのは感動しましたね」

その後、2004年にはシティハウス仙川、美術館の「東京アートミュージアム(TAM)」、共同住宅、店舗などが入る「仙川アベニュー・アネックスⅡ」が竣工。続いて2007年には、店舗などが入る「仙川デルタ・スタジオ」と「調布市せんがわ劇場/調布市仙川ふれあいの家/調布市立仙川保育園」、そして2012年には安藤ストリート最後の建造物である、シティハウス仙川ステーションコートが登場した。

シティハウス仙川の対面に立つ調布市せんがわ劇場

シティハウス仙川の対面に立つ調布市せんがわ劇場。これも安藤建築の粋を表す建造物だ

シティハウス仙川の対面に立つ東京アートミュージアム(TAM)


シティハウス仙川の対面に立つ東京アートミュージアム(TAM)

伊藤さんが支配人を務める東京アートミュージアム(TAM)もシティハウス仙川対面に立つ。アート展示のほか、コンサートなども開催。TAMの登場で「音楽・芸術の街 仙川」のイメージが定着した

東京アートミュージアムにて安藤ストリートが生まれるまでの経緯を展示した際のパンフレット

2007年6月30日~2008年9月28日には、TAMにおいて安藤ストリートが生まれるまでの経緯を展示した(パンフレット提供/伊藤容子氏)

成熟し続ける安藤ストリートとシティハウス仙川

以来、安藤ストリートには、東南アジア、中国、スペイン…そしてもちろん日本国内からも、いろいろな所から建築を志す学生や一般の安藤建築ファン、自治体の視察チームなど多様な人々が見学にやって来た。2020年には、海外を中心に再び多くの人が訪れるはずだ。そしてシティハウス仙川もまた、多くの人たちが目にすることになるだろう。

シティハウス仙川エントランス

シティハウス仙川エントランス。内部もコンクリート打ち放し

シティハウス仙川の内廊下

こちらは内廊下。照射角度を絞った照明が緊張感漂う空間を演出

伊藤さんによると、シティハウス仙川の半分以上の住人の物件購入理由は、やはり「安藤建築のファンだから」だったという。価値観が近い住人で構成されたマンションは管理状態も良好で、築10数年を経た今も古びた様子を感じさせない。

ある住人は「私はマンション自体もさることながら、帰り道、仙川駅を出て、このストリートに入った瞬間が好きなんです。コンクリートとガラスでつくられた安藤建築が連なる雰囲気は、ここにしかないですからね。時間帯によってはライトアップしていてそれもまたきれいなんです」と、満足そうに教えてくれた。

ちなみに伊藤さん自身もシティハウス仙川内に自宅を構えている。ただし、現在の本宅は同じ調布市内に立つ一戸建てとのこと。

「安藤ストリートにオフィスがあるので毎日ここに通勤していて、シティハウス仙川はセカンドハウス的に使っていたんです。でも、今後1~2年以内に本宅を引き払って、こっちに引っ越すつもり。本格的にマンション暮しをするのは実は初めてで、楽しみです」

シティハウス仙川の入口

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/相馬ミナ

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