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副編集長が解説!
withコロナ時代の街選び

コロナ禍で遠出を控えたり、テレワークに移行したりと新たな生活様式が定着し始めました。時間にゆとりが生まれたことで、自分の住む街を見つめ直す機会が増えたといえます。withコロナ時代の街選びの新しい基準について、SUUMO副編集長の笠松美香氏に伺いました。

SUUMO副編集長

笠松美香 氏

SUUMO「閲覧数が急上昇した街ランキング2020」

株式会社リクルート住まいカンパニーでは、SUUMOに掲載されている1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)にある1,519駅を対象として、ユーザーが閲覧した賃貸物件の閲覧数(※)を2019年1~9月と2020年1~9月で比較、閲覧数が急上昇したものをランキング化しました。

  • ※閲覧数:駅徒歩15分以内の物件がどれだけ閲覧されたかをカウント。

今回のランキングの結果には、コロナ禍で人々の暮らし方が変化したことが大きく影響していると考えられます。閲覧数が急上昇した街には「郊外」「交通アクセス」「再開発」という特徴が浮かび上がってきます。今回は、上位の街をこれらの特徴別に紹介します。

再開発が行われた“郊外の街”が上位にランクイン

1位は東京メトロ有楽町線と副都心線の始発の「和光市駅」です。2013年に東急東横線との相互運転が開始されてから新宿三丁目駅、渋谷駅にも直通し交通利便性が向上したことで注目が集まりました。さらに2020年に南口の再開発が完了。駅ビルがリニューアルして新たに商業施設が開業しました。今後は北口の再開発も予定されておりさらに注目が高まる街になりそうです。

2位にランクインしたのが「立川駅」。2020年に駅の北側にオープンした大型複合施設には店舗、ホテルやオフィスが入っています。中でも地元の名店や人気店が入る飲食店は平日にもかかわらずランチ時には行列が出来るほどのにぎわいをみせています。また豊かな植栽や水辺があり、ゆっくり滞在できるため幅広い層でにぎわう新名所となっています。

複数の駅や、ターミナル駅への交通アクセスが抜群

3位の「西大井駅」は、2019年に相鉄線・JR直通線の停車駅となり、新宿駅・渋谷駅の都心ターミナル駅へのアクセスが向上したことが注目度を高めた要因と考えられます。さらに「西大井駅」を中心にみると徒歩20分未満で行ける駅が6つもあり、東急大井町線や都営浅草線など7路線が利用できることなど交通利便性が高いエリアです。加えて、住宅街のなかには生活インフラや多くの学校が揃っていることから、子育て環境が充実した街ともいえます。

再開発で注目される「渋谷」と周辺エリア

「渋谷スクランブルスクエア」を筆頭に再開発で高層ビルが立ち並び、街が様変わりする「渋谷駅」が10位にランクイン。宮下公園が2020年に「MIYASHITA PARK」としてリニューアル。1~3階には約90店ものショップが入り、屋上には芝生公園が広がる人気スポットとなっています。再開発が続く渋谷駅は、今後もさらに注目度が高まることが予想されます。

また、大規模な再開発にともない周辺駅の「代官山駅」や「祐天寺駅」もランクアップする結果になりました。4位「代官山駅」は「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」ができたことで渋谷駅までの回遊性が高まりました。渋谷駅から「渋谷ストリーム」を抜け、渋谷川沿いの遊歩道を経由し、「渋谷ブリッジ」までの歩行者導線を利用できるようになり、さらにJRを越えて「ログロード代官山」を通り抜けると代官山駅前へ到着することができます。 こうした“歩ける利便性”により注目度がアップしたのかもしれません。 5位の「祐天寺駅」は、渋谷駅周辺の駅の中では家賃相場が比較的手頃な街であるといえます。駅周辺には商店街が広がり、2018年には駅ビルがリニューアルして生活利便性が向上。また東急東横線で「渋谷駅」「中目黒駅」へすぐに行くことができ、商店街を走るバスで「三軒茶屋」や「目黒」方面へのアクセスが良いなど、交通利便性も高い街です。

SUUMO 副編集長が教える これからの街選びのヒント

急上昇しているのは、今まさに変化が起きている街

交通利便性の向上や街の再開発により、新たな人の流れが日々生み出されています。これからは通勤通学先に足回りが良いこと以上に、日常が快適なこと、現在の変化の先にある将来性ある街に注目が集まるでしょう。また時間にゆとりができたことで散歩や自転車による探索で、広く街をとらえ魅力を見つける機会が増えました。withコロナ時代は街選びを駅前の印象だけに限定せず、多様な視点で街を選ぶきっかけを作ったともいえるでしょう。