たまに主婦向けの雑誌などの取材を受けると、編集担当者やライターさんから、
「手取りの月収に占める1カ月間の食費の割合は、どのくらいが適切ですか?」とか、
「家賃は月収の何割までが適正ですか?」、
「電気代やガス代等の光熱費は月収の何%以内に抑えるべきですか?」などといった質問を投げかけられることがあります。
正直いって、このような質問にはいつも困ってしまいます。そもそも、人それぞれで収入も違えば生活のスタイルも異なるのが当然だからです。適切な食費の割合や家賃の割合、光熱費の割合なんて、一概に言えるわけがありません。
食事にお金をかけることに喜びを感じる人もいれば、いかに安く済ませるかに喜びを感じる人もいます。家賃の安さや光熱費の節約に喜びを感じる人もいれば、少しくらい割高でも快適な空間で快適な生活を送ることに喜びを感じる人もいます。価値観の違いによって、お金の使い方が根本的に異なるのです。
例えば、筆者が以前住んでいた家の近くに、数量限定の特別な食パンを1本(=3斤)あたり5000円で売っているパン屋さんがありました。なんと、1斤あたり1700円近い食パンです。
ウチの場合、ほぼ毎日食べる食パンでその値段は家計を大きく圧迫する可能性があるので、とても普段用に買うことはできませんでしたが、そのパン屋さんでは毎日のように予約が入ってコンスタントに売れているようでした。やはり、そのようなパンを普通に食べている人も現実にはたくさんいるわけです。
したがって、適切な支出の割合は、人それぞれで大きく異なるのが自然なのです。比較的多くの人が、平均的な数値を知りたがります。確かに、その気持ちもわからなくはありません。ですが、平均的な数値を気にして窮屈な生活をするくらいなら、「人は人、自分は自分」と割り切ってストレスのない生活をするのが一番ではないでしょうか。
もちろん、「ストレスをなくすために、後先考えずにお金を使いましょう」と言いたいわけではありません。自分の収入や生活スタイルに合ったバランスを見つけていくことが大切なのです。
自分に合ったバランスの発見は、一朝一夕にできることではないと思いますが、自分なりのバランスを見つけるべく日々考えて行動していくのが、賢くお金と付き合えるようになる唯一の道だといっても過言ではないでしょう。