
頭のいい子・集中力のある子に育ってほしいという想いは多くの親に共通してあるもの。
そんな想いを叶えるカギが、実は「和室」にあった。
北九州市立大学国際環境工学部・森田洋准教授の研究によると、イグサに含まれるフィトンチッドやバニリンなどの芳香成分により鎮静作用が促進され、集中力が上がることが分かった。
同氏は中学1年生と小学5年生計260名に対し、畳教室とフローリング教室でテストを実施。簡単な算数の問題を30分で何問解けるかを調べた結果、畳教室のほうが解答数は14.4%(※)、正解率では2.7%(※)高い結果になった。「畳教室では、畳の香りに加え、表面の黄緑色が視覚的に落ち着きをもたらし“集中力の持続”につながったと考えられます」と森田氏。
さらに試験結果では、中学1年生よりも小学5年生の解答率が約2倍も高くなっている。これについて森田氏は、「小学生のころはまわりの環境の変化に敏感でまどわされやすく、集中力を保つのが難しいのです。それが中学生ぐらいになると、自己をコントロールする能力が備わってくるため、環境の影響が少なかったと考えられます。やはり低年齢の子ほどイグサの効果が表れやすいので、子ども部屋にはできるだけ幼いころから和室をおすすめしたいですね」
※個人の伸び率を比較した数値
※森田洋准教授のイグサ効果の研究結果より
北九州市立大学
国際環境工学部准教授
森田 洋氏
北九州市立大学准教授。イグサの研究を行い、多くのメディアでその研究結果が紹介される。2006年、敷物新聞社特別功労賞を受賞。
イグサの持つ芳香効果によって、集中力がアップするのは前述の通りです。もし、さらにその効果を高めたいのであれば、できるだけ庭やバルコニーに面していて、勉強をしながらでも、景色が眺められるような和室のある間取りを選びましょう。景色を眺めることで心を和ませることができます。特に、ガーデニングされた草木のある庭やバルコニーであればいいですね。より高いリラックス効果が期待できますよ。緑という色味は、心を落ち着ける効果を導くからです。
イグサの芳香作用に加えて、そういった視覚的プラス要素を加えることができるのであれば、集中力はもちろんのこと、勉強への意欲がより増すと考えられます。
全国の小・中学校で余裕教室を活用するための改修費用に普通交付税が措置されている。畳教室への改修もその対象。日本人は和室で行う茶道や座禅などで、礼儀や作法、忍耐力といった精神的なたくましさを育ててきた。畳教室の普及で、基本的なしつけや生活習慣が身につくきっかけが生まれそうだ。