
建物を壊して土地を売却したり、新しい建物を建築したりする際に必ずといっていいほどついてくる工程。それが整地です。土の上に生えている雑草、木、土の中にある石といった不要なものを取り除いて、重機などで土を押し固め、なるべく凹凸をなくした土地の状態に整えます。この整地にはいくつかの種類があり、工事費用もさまざま。
整地の費用相場やコストを抑える方法などを解説します。
記事の目次
整地の種類と費用相場
整地とはその土地に家を建てることをはじめ、駐車場や工場、農地にするなど、その土地の活用目的を満たすような土地の状態に「整える」ことです。というのも、もともと家など建物が立っていて、売却や建て替えなどのために建物の解体工事を行った土地には、木材やガラス、石、鉄くず、瓦、などの瓦礫があります。工事で残っていたり、もともと埋まっていたりとその理由はさまざまです。
建物を新たに建てる場合にこうした瓦礫は不要ですし、工事の邪魔になります。そこで取り除いて、さらに土地を水平にならすなど整えた状態の土地が必要なのです。
ちなみに混同しがちなワードとして「更地」という表現もあります。これは、その土地の上に建物がない状態の土地を指します。つまり、石や草、木材など瓦礫が残っていても、建物がなければ更地です。更地の状態ではすぐに建物建設に入ることができないことが多く、場合によってはその土地の購入者が整地費用も負担しなければならなくなります。整地をすることも売却しやすさにつながるということです。
この整地には大きく分けて6種類の方法があります。気になる費用については「費用は会社によって大きく異なります。また、同じ広さの土地でも、重機が入れない狭小地やがけ地など立地環境によって費用がかさむことがあります」と株式会社マトイ生井さん(以下、生井さん)
それを踏まえたうえで、次からは一般的な整地の種類と相場を紹介します。
| 種類 | 費用目安(m2) |
|---|---|
| 粗仕上げ | 460円〜690円 |
| 砂利整地 | 1150円〜1700円 |
| 防草仕上げ | 1150円〜7000円 |
| 真砂土舗装 | 4000円〜5300円 |
| アスファルト舗装 | 4000円〜7000円 |
| コンクリート舗装 | 5750円〜1万2000円 |
粗仕上げ
「整地の大部分がこの方法になります」(生井さん)という代表的な整地方法。建物を解体した際にでる木片や石、ガラス片などを取り除き、重機のキャタピラで地面を整えます。費用負担が一番低く、後に紹介するような特別な工事をしないので、解体した後の土地の活用用途が決まっていないときにも最適な方法です。
ただ、瓦礫の処理方法は手作業で目立った石や瓦礫などを取り除く程度から、トンボや竹ぼうきなどを使用してきれいに整えてくれるなど、同じ粗仕上げでも会社によって仕上がりが変わります。事前に依頼する会社に確認しておくと安心です。
■費用目安
1m2/460円〜690円
1坪/1520円〜2280円
砂利整地
粗仕上げと同じように瓦礫を取り除いた後、砂利を敷き詰め、押し固める整地です。砂利を敷くことで、雑草が生えにくくなる効果が期待できます。粗仕上げの次に費用を抑えやすく、さらに雑草を抜くなど管理の手間が軽減されるのも特徴です。
■費用目安
1m2/1150円〜1700円
1坪/3800円〜5620円
防草仕上げ
雑草は春夏などの季節には想像以上の速さで生い茂ります。草が伸び放題の土地は見栄えが悪く、また近隣住民にも嫌悪されやすいことから近隣トラブルにつながることもあります。それを防ぐのが防草仕上げです。多くの場合、粗仕上げと同じく不要物を取り除き、土地をならした後、防草シートをかぶせます。シートによって太陽光を遮断し、また、飛んでくる雑草の種子の根付きを防ぐことができます。不要物を取り除く際に雑草を根までしっかりと除き、薬品を使って雑草を生えさせないようにするなど、依頼する会社や土地の活用目的によって細かい工事の違いがあります。
■費用目安
1m2/1150円〜7000円
1坪/3800円〜2万3140円
砕石舗装
上述した砂利整地とほとんど同じ特徴をもつ整地方法です。不要な瓦礫を取り除いたのち、適当な大きさに砕かれた石を敷き詰めて重機のキャタピラなどで押し固めます(転圧といいます)。一般的に砂利整地に使う石よりも大きく、また、砂利整地はいろいろな石や砂が入る一方、砕石舗装では均一の石を使うことが多いため、仕上がりがよりきれいに見えます。
■費用目安
1m2/2300円〜8050円
1坪/7600円〜2万6600円
真砂土整地
真砂土(まさど)とは、花崗岩(かこうがん)が風化してできた目の細かい砂のような土で、水はけがいいという特徴があります。瓦礫等を撤去してトンボなどで平らにした後、真砂土を敷きつめて押し固めます。きれいに整えられることで見栄えがよく、購買意欲の向上につながるとも言われています。また、庭として使うスペースにこの方法で整地されていると、水はけがよい分、ガーデニングを楽しみやすいという特徴があります。くわえて真砂土の粒は細かいため、雑草も生えにくくなります。
■費用目安
1m2/4000円〜5300円
1坪/1万3220円〜1万7520円
アスファルト舗装
主に駐車場として土地を活用する場合に採用される整地方法です。砕石舗装などよりも土地が平らになることや、勾配をつけて舗装することで雨水などがたまらないことから使いやすい駐車場になります。後述のコンクリート舗装に比べて数時間で固まるため、工期が短く費用も抑えやすい一方、夏の強い日差しなどで劣化しやすく、定期的な補修が必要になります。
「駐車場活用を希望する場合、大手駐車場チェーンに依頼するという方法も一考の価値があります。駐車場経営に必要な機材などを含めた費用の相談に乗ってくれることが多いからです」(生井さん)
■費用目安
1m2/4000円〜7000円
1坪/1万3220円〜2万3140円
コンクリート舗装
アスファルト舗装と同じく駐車場や工場などの土地活用で採用される整地方法です。鉄筋組みで舗装されることなどからアスファルトよりも耐久性がありますが、アスファルト舗装に比べると工期は長く、コストも高くなります。
■費用目安
1m2/5750円〜1万2000円
1坪/1万9000円〜3万9660円
坪数別の整地費用相場

坪数ごとにどのくらいの費用がかかるのでしょうか。ここではすべて粗仕上げ、整形地、重機の搬出入ができるという条件で試算してみました。
注意点はあくまでも目安ということです。「狭小住宅地で重機が入れず手作業になったり、地中に大量の瓦礫や以前の住宅の基礎が残っていたりするなど、地中物の内容によっても費用は変動します。
さらに崖地や傾斜地など平地ではない場合、造成が必要になり追加費用がかかります。また、庭に大きな木がある場合、伐採や根の除去などに追加費用を設定している会社もあるので、事前に確認しておくことが大切です」(生井さん)
| 20坪 | 3万400円~4万5600円 |
|---|---|
| 30坪 | 4万5600円~6万8400円 |
| 40坪 | 6万800円~9万1200円 |
| 50坪 | 7万6000円~11万4000円 |
整地が必要なケースとは

では、どんなときに整地が必要になるのでしょうか。ここでは代表的な場合を解説します。
土地を売却する場合
土地購入者の視点で考えると、瓦礫が埋まっていたり、整っていない更地よりも、整地をして土地がきれいになっている方が購入意欲もわきやすくなるでしょう。また、土地購入後すぐ家の建築に進めたり、工場、駐車場として活用できたりするので、購入者の算段が立ちやすくなります。こうしたことから早めに売却をしたい、なるべく高値で売却したいという人は整地を考えましょう。
土地の活用方法を決めていない場合
整地をしておくと土地の活用の幅が広がります。前述の通り、更地状態ではすぐに家を建てたり、駐車場として活用したりすることもできません。
ちなみに活用方法を決めていない場合の整地は、その後どのようにでも対応できる粗仕上げや真砂土仕上げがおすすめです。コンクリートやアスファルト舗装をしてしまうと、その上に家を建てることができないので、多用途に使えるような整地方法を選びましょう。
建物を建てる場合
建物を建てる際に整地は必須となります。建物を建てる際には基礎という土台をつくります。そのためには、整地によって地中に埋まった草木や大きな石を取り除いて、基礎をつくれる状態にすることが必要です。
また、住宅地として土地を売却する場合、購入者はすぐに建物を建てたいという場合がほとんどです。いざ建物を建てようと直前に整地をして思わぬものが地中にあった場合、建築工事の開始が遅れることにもなります。
整地を依頼できる会社はどこある?

では実際に整地をする際どこに依頼すればいいのでしょう。会社によって依頼できる土地の状態、注意点があるので、チェックしておきましょう。
解体工事業者
整地に関して豊富な経験やノウハウを持っており、依頼されることが多いのが解体工事業者です。最大のメリットは建物を取り壊すついでに整地も依頼できること。解体工事に粗仕上げなどの整地作業が見積もりに含まれている場合もあるので、コストを抑えつつきれいな仕上げの整地が実現しやすいでしょう。
リフォーム会社
土木工事の免許やノウハウを持っているリフォーム会社にも整地をお願いすることができます。多くの場合、減築をして庭を新たにつくるなどが挙げられます。メリットとしてはリフォームとセットで整地も任せると割り引きが効く場合があることです。
土木工事業者
広い土地で大規模な整地を行う場合は、土地改良や造成などを行う土木工事業者に依頼するのも手です。平地はもちろん、傾斜地や崖地など整地がしにくい土地であっても豊富な実績を持っている会社が多く、対応してもらいやすいでしょう。また、重機を多数持っていたり、専門業者ゆえのノウハウを持っていたりすることもあるので、工事がスムーズに進むことも期待できます。
工務店・ハウスメーカー
工務店やハウスメーカーに依頼することもできます。ただ多くの会社では更地の場合のみ依頼を受け付け(解体は別)たり、整地のみの依頼の場合、整地費用とは別に工務店やハウスメーカーに支払う仲介手数料がかかったりすることがあります。これは工務店やハウスメーカー自体が整地をするのではなく、土木工事業者や解体工事業者に整地を依頼することになるからです。結果割高になるケースが多くなります。
| 業種 | 土地の状態、特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 解体工事業者 | 取り壊す予定の建物が立っていてもOK。ほとんどの場合状態によって依頼できないことはない | 解体工事の専門業者のため、会社によって整地仕上がりに差が出ることがある |
| リフォーム会社 | リフォーム予定の建物が立っている | リフォーム依頼をすることが前提となることがほとんど |
| 土木工事業者 | 更地の状態(崖地でも傾斜地でも対応可能) | 土地の状態で費用がかなり変動するので、事前にチェックしてもらうことを必須に |
| 工務店やハウスメーカー | 基本的に更地の状態 | 仲介料がかかる分、割高になることも |
信頼して整地を任せられる会社の選び方

整地費用は土地の広さに応じて数十万円かかることもあります。余計な不安を抱えずお願いできる会社を選びたいものです。そこで、信頼できる会社選びの方法を紹介します。
複数社に見積もりを依頼する
整地を行う会社は全国に数多あります。同じ土地や整地方法でも会社によって費用が大きく異なるのが常。そこで複数社に見積もりを依頼して比較しましょう。きっと適正価格がわかるはずです。また、費用だけでなく、対応できる整地の種類や、付帯サービスの質も考慮しましょう。
会社の実績を確認する
会社のホームページやチラシで実績を確認し、その会社がどんなエリアや土地での工事を得意としているか、自分が希望する整地方法の実績があるかをチェックしましょう。また「ホームページ上での情報だけでなく、実際に電話をしたり、できれば現地を見てもらう際に同行したり、その際の対応、姿勢などもチェックしておくと、その後の不安なく進めることができると思います」(生井さん)
費用が明確な会社に依頼する
ホームページ上などで料金の内訳が丁寧に記載されている会社を選ぶこともポイントです。もちろん見積書の費用欄の細かさも判断基準になります。例えば庭木1本いくら、瓦礫の重量ごとに細かく算出されていると、どの項目にどれだけの費用がかかるかを把握でき、安心して依頼できるでしょう。
整地にかかる費用を抑えるポイント

費用を抑えるためのポイントを2つ紹介します。「自分でできる作業は自分で行う」「自分で整地する」です。もちろん「できることできないことがあり、万が一の事故にもつながりかねないので、無理はしないことが前提になります」(生井さん)
できる作業は自力で行う
事前に雑草除去などを自力で行うと、会社に依頼する費用を節約できます。自分にできそうな作業が思いつかないなら、依頼する会社に費用を抑えるために自分でできる作業があるかを聞いてみても良いでしょう。そうして話し合ったうえで、自分で行える作業は自分で行い、コストを抑えることが大事です。
自分で整地する
自力で整地をすることで費用を抑えられます。そのためにはまず整地をするために必要な道具を用意しましょう。主な道具は土を掘り返す「スコップ」、平らに整える「トンボ」、雑草を取る「罐(かま)や鍬(くわ)」となります。道具を用意したら、石や雑草を取り除き、土を耕して地中に埋まっているものがないかを確認します。
ちなみに地中や地上にある不要なモノはガラといいますが、このガラを捨てるには法律上専門の会社に依頼が必要です。産業廃棄物を扱える会社に依頼しましょう。
土を耕し、不要物がなくなったら土地が水平になるようにトンボ等でならしていきます。土を固める際は、足で踏み固めたり、スコップで叩いたりして固めていきましょう。最後に必要に応じて雑草防止のための除草剤を撒きます。
整地の主なステップ(粗仕上げ)
道具の用意→石や雑草を取り除き、スコップなどで土を耕す→土を平らにして固める
【用途別】実際の工事でかかった整地費用

株式会社マトイが実際の整地工事でかかった費用の実例を、<農地><住宅用地>の2種類の用途別に紹介します。
農地の整地でかかった費用
「約90坪の広い土地ながら、農地の整地ということで粗仕上げで整地。もともと庭だったことから植えてあった大きな樹の移し替えが発生したが、地中からも大きな不要物がほとんど出ることなく、広い敷地で重機も入りやすかったことから作業はスムーズに進みました」。結果約20万円で整地完了。
住宅用地の整地でかかった費用
住宅密集地の工事例。「旗竿形状の土地で間口が1mない平屋のお住まい。約10坪と広くはない土地だったのですが、重機が入れずスタッフが手作業で整地を行いました。毎日6名ほどが工事にかかり、地中からガラも多く出てきたため、完了まで一週間かかりました」。
結果、前述の農地の1/9の広さにもかかわらず、金額は約40万円。土地の条件によって費用は大きく変わることがよくわかります。
実際にかかった費用、坪数、整地の種類を記載。
| 費用 | 坪数 | 整地方法 | 土地条件 |
|---|---|---|---|
| 約20万円 | 約90坪 | 粗仕上げ | 大きな樹木の移し替えが発生 |
| 費用 | 坪数 | 整地方法 | 土地条件 |
|---|---|---|---|
| 約40万円 | 約10坪 | 粗仕上げ | 旗竿形状 重機が入れず手作業 |
家を建てるにも駐車場経営など運用するにも必須になるのが土地の整地。土地売却のしやすさにもつながるとのことです。ただ、種類や土地の状態、条件によって整地費用は大きく異なります。まずは信頼できる会社を見つけることが失敗しない整地の近道となりそうです。
●監修/株式会社マトイ 生井隆行さん
●取材・文/山口俊介
●構成/サクラサクマーケティング株式会社


