
単身で1DK・約34m2のマンションを購入したKさんは、結婚を機にわずか1年半で物件を手放すことに。あまり高望みはせず、買値と同じ価格で販売をスタートし、約1カ月後、50万円の値下げを受け入れて1740万円で売却しました。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県神戸市 |
| 築年数 | 築15年 |
| 間取り・面積 | 1DK(約34m2) |
| ローン残高 | 1200万円 |
| 査定価格 | 1700万~1800万円 |
| 売り出し価格 | 1790万円 |
| 成約価格 | 1740万円 |
都会のマンションを購入するも、結婚が決まり約1年半で手放すことに
兵庫県神戸市で、単身で賃貸住宅に住んでいたKさん(30代)は、貯金がある程度まとまったことから「高額な家賃を払うなら、これを頭金にして家を買った方が、毎月の支払いを抑えられるし資産にもできる」と、マンションの購入を検討します。
候補に挙がったのは、神戸市内の1DK・約34m2の物件。飲食店や百貨店・雑貨店などのある繁華街まで徒歩約5分で、徒歩約10分圏に3つの駅があり、路線が3つ利用できました。
築13年(購入当時)と築年数はたっていましたが、利便性がよく、資産性は十分。街に馴染むモダンな外観も気に入り、2018年12月、35年ローンを組んで1790万円で購入します。
しかし1年半ほどたった2020年5月、交際中だった人と結婚することに。マンションを手放し、2人で暮らせる広めの部屋に住み替えることにします。
他社と比較検討したうえで、住み替え先も同時に探せるA社と仲介契約
ゆくゆく2人でマンションを買いたいと思っていたKさんですが、ピンとくる物件が見つからなかったことと、約1年は夫の職場で家賃補助がでることから、しばらくは賃貸住宅に住むことにします。
まず部屋を借りようと、賃貸の仲介会社を訪れたところ、そこで思わぬ出会いがありました。
「その日、接客してくれた営業担当が、たまたま関連会社のA社から応援にきた人で、本業は不動産売買の仲介をしているとのこと。『よかったら売却もサポートします』と言われ、窓口がひとつの方がスムーズにいくのではないかと思いました」

ただ、成り行きに任せるのは少し心配だったKさん。一括査定サイトを利用して、複数の会社に話を聞くことにします。
「コロナ禍で何社も家に招くわけにはいかなかったので、早めにレスポンスがあったB社・C社とA社の3社に訪問査定をしてもらいました。
そこでの結果はA社・B社が約1800万円、C社が約1700万円。
ほぼ同じ価格帯でしたが、B社の営業担当は新人のためか、やや頼りなくて。
一方、C社の査定価格は見劣りして、少し不満を持ちました。部屋の状態は悪くなかったですし、私としては少なくとも購入金額の1790万円で売り出したいと思っていましたから。
そこで、部屋探しと売却活動の両方をお願いできて、信頼もできそうなA社にお願いすることにしたのです」
2020年7月、KさんはA社と「専任媒介契約」を結びます。
「『一般媒介契約』より『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』の方が主流だとネットで見たことから、A社に勧められるまま、この契約タイプを選びました」
3週間に2人の内見を実施。好感触だったもののすぐには決まらず
購入価格を下回りたくないと思っていたKさんは、買値のまま1790万円で売り出すことに。
その理由をこう話します。
「入手してまだ1年半の物件だったので、調べれば当時の販売価格はすぐ分かるでしょう。それなのに値段を釣り上げれば、相手から値下げ交渉が入るのは必至です。
このころには住み替え先が決まっていたので、『余計な時間をかけたら支出を増やすだけ』と、現実的な値付けをすることにしました」
A社では、自社のホームページと不動産ポータルサイトに情報をアップするなどして販売活動をスタート。
Kさんはひとつでも多くの内見を迎える気持ちで、A社からの連絡を待ちます。
「約1週間後にまず1人、内見希望者が現れました。
当日は少しでも印象がよくなるよう、室内の照明はすべて点けて、内見者の方も『いいですね』などと話していて好感触だったのですが、結局、売れなくて。『売主を目の前に本当のことは言わないのだな』と後になって気づきました」
A社から2週間に1回ほどのペースで、メッセージアプリで活動報告をもらっていたKさん。そこから2週間がたち、また1人、内見の声がかかります。
「今回も滞りなく済んだのですが、ほかでいい物件が見つかったのか、また断られてしまって。
前回は『すぐ次があるだろう』と楽観視していましたが、少し焦りを感じてきました」
買主が見つかるも、設備の古さなどを理由に予想外の値引き交渉をされる
買主が決まらないまま、Kさんは新居に引っ越し。直後に3人目の見学者の連絡を受けます。
「A社の立ち会いで内見してもらったところ、今度こそ気に入ってもらえたようで、『買いたいと言っている』と連絡が。心からほっとしました」
そこで相手から20万円の値引き交渉がありましたが、「その程度は許容範囲」とKさんは即承諾。
しかし、予想外の話が持ち上がります。
「買主から『ドアとクローゼットの扉が開けにくい』『修繕積立金が近々、値上がりするようだが、事前に説明がなかった』と指摘され、追加で30万円の値引き依頼をされました。
次の候補者を待つこともできたのですが、いつ現れるかの保証はありません。『値下げしないと確実に引いていきますよ』とA社に念押しされ、早く区切りをつけたい気持ちから、条件をのんで売却することにしました」
2020年8月、Kさんは買主と1740万円で売買契約をします。
■契約不適合責任について
不動産の売買において、売主は買主に契約内容にあったものを引き渡す義務があり、物件に不具合があるときはあらかじめ買主に知らせないといけません。契約書にない不具合が後から見つかった場合、責任を負う必要があり、それを「契約不適合責任」と言います。トラブル回避のために大切なのは、売却する不動産がどのようなものかを、売主がしっかりと把握し、売買契約書に物件の状況や契約の条件を記載すること。買主の同意を得られれば、後で不具合が見つかっても契約不適合責任の対象外(免責特約)にすることも可能です。
後悔はあるけれど、最低限の値下げに止められたので満足度は60点
2020年9月に買主に物件を引き渡したKさん。
「売却の結果に点数をつけるなら60点くらい」と、苦笑いして見せます。
「悔しいのは最後に値引きした30万円。
確かに修繕積立金が値上がりすることや、設備の不具合を説明できてなかったのは私の手抜かりで、事前に伝えておくべきでした。しかし、A社の方で、上手く交渉してほしかったなと。
ともあれ約1年半住んで50万円のマイナスなら、上出来と言えるでしょう」
その後Kさんは、住み替え先に10カ月住み、再び同じエリアに35年ローンを組んで約4000万円でマンションを購入。今度の部屋は3LDK・78m2で、最寄り駅まで徒歩約10分。住み心地は上々だと話します。
「マンションは『売却』も『購入』もスケジュールが要。早めにいい不動産仲介会社にお願いすることが大切なのだと、一連の活動で実感しました」
そう言ってしみじみと頷いてみせるKさんです。
| 2020年5月 | ・マンションの売却を考え始める |
|---|---|
| 2020年6月 | ・A社・B社・C社で簡易査定をする ・A社・B社・C社で訪問査定をする ・住み替え先の賃貸住宅を探し始める |
| 2020年7月 | ・A社と専任媒介契約を結ぶ ・住み替え先が決まる |
| 2020年8月 | ・購入者が現れる ・買主と売買契約をする ・住み替え先に引っ越す |
| 2020年9月 | ・マンションを買主に引き渡す |
まとめ
- 信頼できそうな不動産仲介会社に出会っても、他社と比較検討し、より納得のいく会社を選ぶ
- 販売価格があまりに高いと、値引きを打診されて時間をロスする可能性が。現実的な値付けをしよう
- トラブル防止のため、設備の不具合などのデメリットは事前に必ず伝えること
イラスト/いぢちひろゆき


