不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

義父母と同居して元の自宅を売却。準備万端でもコロナ禍と重なり苦戦/埼玉県北足立郡Tさん(50代)

埼玉県北足立郡 Tさん(50代)/義父母と同居するために自宅を売却。半年前から準備したが、売り出しがコロナ禍と重なり苦戦

妻の両親と同居するために新居を建て、築20年の一戸建てを売却することにした埼玉県のTさん。引っ越し後に売り出すと、間もなくコロナ禍となってしまい反響がストップ。このまま待っていて売れるのか、悩んだTさんが選択したのは買取でした。

不動産区分 一戸建て
所在地 埼玉県北足立郡
築年数 20年
間取り・面積 土地面積約115m2・延床面積約100m2・3LDK
ローン残高
査定価格 1200万円
売り出し価格 1450万円
成約価格 800万円(買取)

義父母と同居できる広い一戸建てに住み替えを計画

2012年に埼玉県北足立郡で一戸建てを買ったTさんが自宅の売却を意識し始めたのは、購入から5年ほど経った2017年頃でした。

「うちは4人家族で、下の子どもが生まれた年に中古で購入した家です。妻の実家に近い地縁のあるエリアですから安心して子育てができます。周囲は畑が多く、自然も豊か。最寄駅から徒歩12分ほどで、小学校やコンビニも近く暮らしやすかったですね。売却を考えるようになったのは、妻が両親と同居したいと言い出したからです。3LDKの間取りに6人で暮らすのは無理がある。それなら、広い家に住み替えようということになったんです」

Tさんの一戸建ては築20年。和風の造りが特徴だったといいます。

「和室中心の間取りで、畳や砂壁、柱など、自分が生まれ育った家を思い出す懐かしい雰囲気がありました。購入時に私名義で組んだ住宅ローンはすでに完済していたので売却を急ぐ必要はなく、新居選びを優先することに。土地を買って注文住宅を建てるか、それとも中古住宅を購入するか。いろいろな選択肢を検討しながら時間をかけて探し、ようやく近隣に広い土地が見つかり家を建てる運びとなりました」

購入時の仲介会社を売却のパートナーに選ぶ

2019年春、土地の売買契約を済ませたTさんは、新居を建てながら売却活動を始めることにしました。

「売却を意識し始めた頃から、インターネットの不動産情報サイトを利用して周辺の相場を何度もチェックしていて、1100万円~1300万円で売れるだろうと予想していました。どこに仲介業務を頼もうかと考えたとき、すぐに思いついたのが、購入するときにお世話になった地元の不動産仲介会社です。この家が新築だった時の分譲会社でもあり、設計や内装のこだわりを担当者がじっくり説明してくれました。愛着のある家ですから、物件の魅力をよく知る熱意のある担当者に任せたいと思い、他の会社は検討しませんでした」

Tさんはさっそく地元の不動産仲介会社に仲介業務を依頼。2019年4月、専属専任媒介契約を結びました。

「しかし、すぐに売り出しとはなりませんでした。さほど急いでいないなら、引っ越しまで待って空き家にしてから売り出したほうがいいとアドバイスされたからです。住んでいる状態で内見者を迎えると、家の汚れや傷み具合を正確に判断するのが難しく、後からトラブルになることがあると。確かに、私も新居探しで居住中の家を見学したときは、見えない部分の状態が気になったので、アドバイスに従うことにしました」

2019年11月、完成した新居への引っ越しを済ませると、不動産仲介会社による現地査定が行われました。

「提案された売り出し価格は1450万円。100万円程度の値引きを想定した価格です。柱にハンモックを吊るための穴を開けてしまい、多少査定に影響したかもしれません。リフォームをした方が売りやすいということで、畳の入れ替え、一部フローリングの修繕、トイレ交換などを行いました。見積額は120~130万円で、売却後に清算することになっていました。ここまで時間とお金をかけて準備したので、多少時間がかかっても1200~1300万円で売りたいと考えていました」

チラシ効果で出足は好調、しかしコロナ禍で反響がストップ

2019年12月、Tさんの物件は1450万円で売り出されました。

「物件ポータルサイトに掲載し、近隣に新聞折り込みチラシも入れてもらいました。出足は好調で、内見も3組ほどありました。私はすでに引っ越していたので、対応は不動産仲介会社の担当者に任せていましたが、近隣の方や東京からの移住希望者などが購入を検討してくれたようです。しかし、順調だったのはここまで。しばらくしてコロナ禍が始まると、パタッと反響が止まってしまったんです」

売り出して3カ月が過ぎたころ、不動産仲介会社から値下げの提案があったそうです。

「何とか状況を打開しようと担当者と相談し、価格を1350万円に変更。値下げに合わせて、もう一度折り込みチラシを打ってもらいましたが、それでも反響はありませんでした。私の物件だけでなく、不動産全般が動かなかったのだと思います。担当者が『買取もできますよ』と言っていたことを思い出し、もうそれしかないかもと考えるようになりました」

2020年4月、Tさんは不動産仲介会社に買取を依頼しました。

「不動産仲介会社から提示された買取価格は800万円。安くなるとは聞いていましたが、さすがにガッカリしましたね。本当に買取でいいのかと相当悩みましたが、不安な気持ちを抱えながらこれ以上待ち続けても買い手が現れるとは思えない。一日でも早く売って、売却代金を新居の住宅ローンの繰り上げ返済に当てた方がいいと決断しました」

■買取とは

買取とは、不動産会社が買主となり、売主から直接その不動産を買い取る方法。仲介と比べて価格は安くなりますが、短時間で売却できるのが最大のメリットです。一般的に「買取」は買取専門会社が行います。売主が査定を依頼し、提示された価格に納得すれば、すぐに現金で買い取ってもらえます。また、仲介を手がける不動産会社による「買取保証」という選択肢もあります。これは一定期間仲介による売却活動を行い、買い手が見つからなかった場合、不動産会社が約束した金額で不動産を買い取ることを保証するもの。時間はかかっても、まずは希望額を目指して売却活動をしたいときに利用します。

売却のタイミングは悪かったが、住み替えには後悔なし

Tさんは、今回の売却活動を10点満点中5点と振り返ります。

「売り出し時期がコロナ禍に重なってしまいタイミングが悪かった。売却の進め方は間違っていなかったと思うし、不動産仲介会社は手を尽くしてくれました。買取という結果になったのは仕方がないと思っています。売却は成功とは言えませんが、住み替えたのは正解。妻は新居の壁紙や照明などを選ぶのが楽しかったといい、自分たちで家をつくったという満足感があります。もちろん住み心地は快適。妻の両親との同居はまだ実現していませんが、そろそろどうかと話しているところです」

新居は洋室をメインに、ご両親のための和室も用意。家族6人でにぎやかに暮らす日が待ち遠しいと話してくれました。

不動産売却後、新居で過ごす家族のイメージ

2019年4月 ・地元の不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ
2019年11月 ・新居に引っ越す
・現地査定を受ける
2019年12月 ・1450万円で売り出し
2020年3月 ・売却価格を1350万円に変更
2020年4月 ・不動産仲介会社と売買契約を結ぶ

まとめ

  • 売却の進め方は、不動産仲介会社の提案やアドバイスをよく検討したうえで決めることが大事。
  • 早く売りたければ買取という方法もある。状況によって検討しよう。
  • 想定外のことが起こったときこそパートナーが重要。信頼できる不動産仲介会社を選ぼう。

取材・文/小宮山悦子 イラスト/村林タカノブ

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