
父から相続した築32年の一戸建てを売却することにしたTさん。インターネットの一括査定を利用したうえで、4社に現地査定を依頼。近隣の売却事例を基準に、不動産仲介会社の査定より高い売り出し価格で売却活動をスタートしました。
| 不動産区分 | 一戸建て |
|---|---|
| 所在地 | 北海道札幌市 |
| 築年数 | 32年 |
| 間取り・面積 | 4LDK(延床面積…約123m2、敷地面積…約196m2) |
| ローン残高 | - |
| 査定価格 | 800万~1300万円 |
| 売り出し価格 | 1390万円 |
| 成約価格 | 1380万円 |
相続して1年後、両親が建てた家の売却を決意
2017年に父親が亡くなり、実家の一戸建てを相続したTさん。1年ほど考えて、空き家にしていた家を売却することにしたそうです。
「母は早くに亡くなり、一人っ子の私はすでにマンションを購入しているので、父が残した家に住む人はいません。賃貸に出すことも考えましたが、古い家ですからリフォームに費用がかかります。あまり便利な立地ではないので借り手がつくかどうか……。あれこれ悩んだ末に、手放す決心をしました」
Tさんが相続した家は、両親が建てた築32年の一戸建てです。最寄りの駅から歩いて20分ほど。途中に急な坂があり、周囲には店舗がほとんどないため、車がない人には暮らしにくい立地だといいます。

「売却するにしても、あまり魅力のある物件ではないだろうと思っていました。不動産の売却の流れがわかっていなかったので、まずインターネットで勉強するところから始めました」
訪問査定を4社に依頼し、高く売ってくれる会社を選択
Tさんは不動産情報サイトの一括査定を利用して、5社から簡易査定をとりました。その後、4社に訪問査定を依頼したといいます。
「同じ市内ですが私の自宅と売却する家は離れているため、休日に不動産仲介会社のアポイントを入れ、何度も現地に通いました。査定価格は800万円~1300万円と500万円も幅があり、不動産仲介会社の対応もさまざまでした。その中から、『できるだけ高く売ります』と言ってくれた不動産仲介会社に仲介を依頼することにしました。地域密着型の不動産仲介会社であること、こちらの希望をよく聞いてくれたことが決め手です」
2018年10月、Tさんは不動産仲介会社と専任媒介契約を結びました。
「いつまでに売れないと困るという制限はなく、こだわったのは価格です。不動産仲介会社から提示された1000万円前後という査定価格には納得していませんでした。というのは、査定の際に各不動産仲介会社から周辺の売却事例の資料をもらい、実際に1200万円で売れたという家も見ましたが、これなら私の物件のほうが高く売れるはずだと思ったからです。私の物件のほうが家も大きいし、角地というアドバンテージもあったので」
Tさんは、1200万円で成約したという売却事例を基準に、もっと高く売れるのではないかと不動産仲介会社の担当者に相談。売り出し価格を1390万円に設定しました。
「依頼した不動産仲介会社は、少しでも高く売りたいと写真にもこだわっていました。WEBやチラシに使う物件の写真は、天気の良い日を選んで実物以上に見栄えのするカットを撮影してくれました」
■物件写真
WEB広告やチラシなどに使う物件写真は、購入検討者にアピールする重要なポイントです。多くの人に物件に興味をもってもらい、内見というアクションにつなげるために、暗い印象の写真やピンボケの写真はご法度。不動産仲介会社に丁寧な撮影を求めましょう。外観は天気の良い日に撮影し、室内は暗い写りにならないように注意を。居住中の場合は、部屋を片付けて物件そのものがわかる写真を撮影してもらいましょう。不動産仲介会社によっては、室内写真を家具のない状態に加工してくれるサービスを用意している場合もあります。
3組目の内見者が決断。庭の大きな木が決め手に
2018年11月、不動産仲介会社は売却活動をスタート。WEBサイトに物件情報を掲載し、チラシのポスティングも行いました。
「見栄えのする写真のおかげか反響は良く、1カ月のうちに2組の内見がありました。私は家が遠いため内見には立ち会わず、不動産仲介会社に対応を任せました」
そして売り出しから1カ月半ほどたったころ、3組目の内見者から購入の意思表示があったといいます。
「子どものいる若いご夫婦で、庭の大きな栗の木が気に入ったということでした。栗拾いなどいろいろ楽しめそうだと、自然豊かな環境が好印象だったようです。私としては不便な立地だと思っていましたが、子育て中のファミリーには意外と魅力のある物件だったんですね。フルリフォームを前提に中古物件を探していたそうです」
交渉の際は、建物ではなく、庭の栗の木について要望があったそうです。
「道路まで栗の木の枝がはみ出していたためカットしてほしいということでした。剪定(せんてい)は購入後に買主にしてもらうことにして、その分10万円を値引きし、1380万円で交渉が成立。その後の段取りはスムーズに進み、12月末に売買契約を結び、翌2019年1月に物件を引き渡しました」
思い出のある家を納得の価格で売却できた
売却活動全般を振り返って、「予想より早く、希望以上の価格で売れたので満足度は高いです」とTさん。
「査定価格より、近隣の売却事例を基準に売り出し価格を決めました。もし反響がなければ下げればいいと考えて、直前に価格を100万円アップしたんです。父が残した大切な家なので、妥協しなくて良かったです。 不動産仲介会社選びは難しかったですね。でも時間をかけて4社に訪問査定をしてもらったことで、私の希望に寄り添ってくれる不動産仲介会社を選ぶことができました」
悩んだ末に相続した家を手放したTさん。長く空き家になっていた家に新しい住み手が見つかり、「やっと肩の荷が下りました」と晴れ晴れとした笑顔が印象的でした。
| 2018年9月 | ・5社に簡易査定を依頼 |
|---|---|
| 2018年10月 | ・4社に訪問査定を依頼 ・不動産仲介会社と専任媒介契約を結ぶ |
| 2018年11月 | ・1390万円で売り出し |
| 2018年12月 | ・購入検討者が現れる ・売買契約を結ぶ |
| 2019年1月 | ・物件を引き渡す |
まとめ
- 仲介を依頼する不動産仲介会社は、複数から比較検討して自分の要望に合う会社を選びたい
- 売り出し価格は査定価格だけでなく、近隣の売却事例も参考に決めよう
- 暮らしやすい立地や環境は、ライフスタイルによって異なる
取材・文/小宮山悦子 イラスト/杉崎アチャ


