
賃貸オーナーとして複数の投資用物件を所有しているKさん。全体的な収支バランスを見直すために所有している複数の物件のうち、ローン完済までの期間が長く、残債の多い物件を売却することに。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 東京都豊島区 |
| 築年数 | 約33年 |
| 間取り・面積 | 1R(21m2) |
| ローン残高 | 350万円 |
| 査定価格 | 750万〜1200万円 |
| 売り出し価格 | 1190万円 |
| 成約価格 | 990万円 |
60歳になり、ローン残債の多い物件は売却を決断
30数年前から賃貸オーナーとして複数物件を所有しているKさん。2016年末から、自身の年齢を考えて、ローンの完済期間までが長く、残債も多く残っている物件は整理していこうと売却活動を始めました。所有する不動産すべての一括査定を行い、豊島区の最寄駅から徒歩10分くらいの場所に立つ築33年のワンルームマンションを2017年から売り出しました。33年前の新築時に、投資用として1990万円で購入した物件です。
「入居者が入れ替わるタイミングで畳の張り替えやエアコンの修理などの簡単なリフォームを繰り返していたので、築年数の割に内装はきれいでしたよ。学生が多い街で、比較的貸しやすい投資向き物件だったと思いますが、自身の年齢を考えると、ローン残債が多い物件はプレッシャーでしかなくて。80代後半になる親が所有する自宅やアパートも、いずれ私が相続することになりますし、今のうちに収支バランスを見直して、残債のある物件は手放してしまい、純粋に資産運用のメリットを享受できる物件だけに絞っていこうと思ったんです」
インターネットの一括査定を活用したところ450万円もの価格差が!
Kさんが2016年の時点で所有していた不動産はすべて、投資用として扱いやすいワンルームマンションでした。
「今回売却が成立した豊島区の物件は21m2のワンルームですが、750万〜1200万円と査定額の幅がとても大きかったんです。そんなに差が出るものかと正直驚きました。それでも、売り出すに当たってはできるだけ高値で売れるに越したことはないわけですから、高めの価格提示があった2社に直接訪問して話を聞きました」
問い合わせ数は多いがなかなか買い手が見つからず、時期を見て少しずつ値引き
物件を一括査定額の上限に近い1190万円で売り出しましたが、なかなか買い手が見つかりませんでした。
「最初の価格設定が高かったのか、問い合わせの数はかなりあったのですがなかなか売れなくて。あっという間に半年が過ぎて行きました。高めの売り出し価格を設定してしまったことに加え、周辺により条件の良い築浅物件が多数出ていたこと、それらの物件の価格設定が低めだったこともなかなか売れなかった要因だったのかなと思います。一括査定は価格の相場を知るという意味では良いシステムだと思いますが、自分でもしっかりと適正価格を評価できる知識や能力がないとダメだなと思いましたね」
売り出し開始から半年過ぎた2017年半ば、担当者から価格を下げてみる提案があり、1050万円まで下げてみました。しかし、そこからまた半年たってもなかなか買い手は現れませんでした。
「値段を下げたことで、2019年には買い手が見つかったので不満があるというわけではないのですが、不動産仲介会社の担当者からはむやみに価格を下げず、状況を静観しながら値下げ時期を見極めようという提案がありました。築年数の古さがネックなのかと思いましたが、物件の規模にもよるそうです。築年数よりも総合的な条件が売れるかどうかを左右すると伺い、最初の価格設定も重要なんだなと勉強になりました」
■住宅ローンと年齢制限
住宅ローンを扱う多くの金融機関で借入要件として、「申し込み時年齢」と「完済時年齢」の制限を設けています。金融機関が年齢を重視するのは、健康面や収入面などによるローン破綻のリスクを考慮してのことです。一般的に申し込み時の年齢下限は20歳以上です。上限は金融機関によって異なりますが、65歳〜70歳以下と定めているところが多いようです。また、完済時の年齢は80歳までとしているところが大半ですが、金融機関や商品によっても異なります。仮に70歳で住宅ローンの申し込みができたとしても、完済時の上限年齢から逆算して最長の借入期間が決まりますので、45歳以上の方はフラット35など最長で35年の借入期間となる商品を選ぶことができません。また、申し込み時の年齢や借入期間に問題がなかったとしても、年齢が高くなると健康状態によっては住宅ローンを組む際に原則として加入が必要となる「団体信用生命保険」に加入できないケースが考えられます。ただし、親の住宅ローンを子が継承して返済する「親子リレーローン」の場合は、親の申し込み時年齢や完済時年齢に関係なく、継承者である子の年齢を基準とする場合もあります。
時間はかかったもののこれ以上は下げないと決めた金額990万円で売却
不動産会社担当者からのアドバイスにより、最終値下げ価格を990万円までと設定。2018年1月に値下げして売り出したところ、2019年8月になって購入者がようやく現れました。
「この物件のローン完済時期は2024〜2025年ごろだったのですが、売り出し開始から月日がたってローンの残債も減りつつあったので、もう売れなくてもいいかなと思い始めていたんです。でも、担当者のアドバイスを受けてギリギリの値下げ額を決めて売り出したら、すぐに購入者が見つかりました。やはり、最初の価格設定が高過ぎたんですね。私が売却時期よりも価格にこだわっていたので、むやみに値下げせず、粘って販売活動をしてくれ、最終的に決めた価格で売り切ってくれた担当者には『よく売ってくれた!』と、とても感謝しています」
ようやく見つかった買い手は、定年を迎えられ、退職資金を運用する目的で投資物件を探されていた方だったそうです。
「媒介を依頼した不動産会社の担当者は手続きが丁寧でしたね。さまざまな情報をまとめたファイルを用意して、丁寧に売却の流れや資料の説明をしてくれました。売れる物件の条件を分析された資料なども見せていただき、とても勉強になりましたね。売買契約も対面で行い、手続きがしっかりしていると感じました。理不尽に値下げすることなく、じっくり売却活動に取り組んでくれたと思います。990万円まで価格を下げたときに、これ以上下げてまで売るつもりはないことを伝えていたのですが、ちゃんと買い手を見つけてきてくれたことを評価したいですね。誠実な対応をしていただいたと思います」
| 2016年末 | ・所有する不動産の整理・売却を検討 ・インターネットの一括査定を利用 ・高めの価格提示があった2社を訪問 ・不動産会社と専属専任媒介契約 |
|---|---|
| 2017年1月 | ・1190万円で売り出し |
| 2017年半ば | ・売却価格を1050万円に下げる |
| 2018年1月 | ・売却価格をこれ以上は下げないと決めた990万円まで下げる |
| 2019年8月 |
・購入検討者が現れる ・売買契約を結ぶ |
まとめ
- 査定額が適正かどうかを自分でも評価できるだけの知識や情報はもっておくべき
- 総合的な条件が整っていれば、築年数が古くても売れる可能性はある
- 適正価格は物件条件だけでなく、周辺状況など総合的に鑑みて設定するべき
取材・文/馬場敦子 イラスト/キットデザイン


