
東京都町田市のOさんが住んでいた築20年の3LDKのマンション(ローン残高1250万円)は、2人暮らしには部屋数が多く、普段使わない部屋も。このマンションを3900万円で売却し、同じマンション内で、2人暮らしに合った2LDK(3780万円)のマンションへ買い替えを決めましたが、売却が決まるまで、ダブルローンが続くのがいちばんの不安だったといいます。
| 不動産区分 | マンション |
|---|---|
| 所在地 | 東京都町田市 |
| 築年数 | 約20年 |
| 間取り・面積 | 3LDK(約75m2) |
| ローン残高 | 1250万円 |
| 査定価格 | 3800万円 |
| 売り出し価格 | 4080万円 |
| 成約価格 | 3900万円 |
2人暮らしで持て余していた3LDKからフルリフォームした2LDKへ住み替え
子どもと2人暮らしをしている東京都町田市在住のOさん(40代女性)。2020年、同じマンション内で住み替えをしました。売却前に住んでいた3LDK・約75m2から、2LDK・約61m2へ、サイズダウンの買い替えでした。当時Oさんが住んでいた3LDKは、その5年前、引っ越しに迫られて決めた部屋で、使い勝手に不満がありました。 「マンションは、最寄駅から徒歩3分の住宅街にあり、駅をはさんで反対側には商業施設があります。住環境としては良かったのですが、2人住まいにはLDK以外に3部屋も必要ないと感じていました。実際、東側の2部屋は、寒くて次第に使わなくなり、子どもも私も過ごすのは居心地のいいリビングだけ。これから思春期を迎える子どもの個室にしようにも、リビング横の部屋は和室なので子どもが使いたがらなくて。今度こそは、家族に合った住まいを探したいと思っていました」
チャンスがあればと以前から探していましたが、2019年11月、同じマンションで、2LDK・約61m2の部屋が売りに出ました。フルリフォーム済みで南向きのリビングは日当たりが良く、玄関を入ると洗面所があり、リビングからキッチンへつながる動線は家事効率も良さそうでした。リビング横には、子どもの個室に良さそうな居室もあり、Oさんは買い替
えを決意。同年、12月に住宅ローンを組み、3780万円で購入しました。
物件周囲の環境を見定め、査定価格より280万円高く売り出す
買い替え先の売買契約を締結したころ、売却活動を開始したOさん。ネットでの情報収集のほか、ポストにチラシを入れていた不動産会社のうち、数社の訪問査定を受けましたが、いずれも査定価格は、3800万円でした。結局、住んでいたマンションを管理していた管理会社の系列である大手不動産会社と仲介契約を締結。仲介手数料や販売計画の広告内容などを考えると複数の会社に仲介業務を任せるメリットが感じられず、専属専任媒介契約で仲介業務を依頼しました。
売却価格は、
不動産会社に任せるだけでなく、自分でアンテナを張り、物件の住環境の変化を考慮し、同等物件の成約価格を調べました。 「過去の同等物件の成約価格を見ても、3800万円の査定価格は妥当でしたが、ちょうどそのころ最寄駅が急行の停車駅になり、また、駅の近くには大規模商業施設がオープンしたばかり。査定価格より上げても良いのではと思いました」
不動産仲介会社にもう少し上げたいと伝えたところ、査定価格での販売を
強く勧められましたが、最終的に自分で決めた4080万円で売り出すことにしました。
住み替え先の購入額と売却額の差を少なくするため価格にこだわる
買いたい物件が決まり売買契約してから自宅の売却に着手したOさん。この「買い先行」の進め方は、売却がスムーズに進まなかった場合、購入する物件と売却予定の物件、両方のローンを並行して支払う期間(ダブルローン)が起きたり、その期間が長くなったりといったリスクがあります。そのため、売却を先に進めて手元に入るお金のめどがついてから次の物件を探す「売り先行」を勧められたり、どちらも並行して進める場合でも、確実に売れる値段での売り出し価格を勧められることが多いものです。このケースでは引っ越しまでの期限がありましたが、Oさんは価格面も妥協したくないと考えていました。
「売却段階でのローン残高は、1250万円ありました。ダブルローンになってしまうので、なるべく早く決めたい気持ちもありましたが、買い替え先の購入額と売却額の差をできるだけ小さくしたかったんです。住み替え先の住宅ローンは、3780万円だったので、売り出し価格の4080万円から、後で値下げしても3800万円位で売れたらいいなと考えていました」
そうすれば、売却物件のローン残高の1250万円をそこから完済、約2500万円手元に残したまま、次の家のローンを支払っても、毎月返済額は、それまでとほとんど差がなく、無理がありません。また、この先、なにかあって返済に無理が生じた場合でも2500万円でローンの大半の返済が可能です。
しかし、売却活動中に発生した新型コロナウイルスの流行で、物件の動きが停滞。近隣へのチラシ配布をしても反響が少なく、不動産仲介会社の不動産情報サイトに掲載した物件広告へのアクセス数は多いものの、内見希望も入りませんでした。
そこで、不動産仲介会社に「そろそろ値下げをしたい」と伝え、3980万円に価格改定をしました。その後、内見の申し込みがあったのは5件。住みながらの内見対応は、スケジュールの調整、掃除片付けが大変でした。不動産仲介会社の専属専任媒介契約のプランに含まれていたハウスクリーニングのオプションを活用。内見者に評判がいいと聞き、水まわりのクリーニングを重点的にしてもらいました。
家族連れの内見者に好評だったのは、4人家族でも十分な広さがあり、収納が多いこと。富士山が望める奥行き2mのゆったりしたバルコニーを気に入る人も多く、内見者の対応をするなかで、手応えを感じることができました。最終的には、購入者との値引き交渉の末、3900万円で売却することになりました。
「実は、売買契約を結んでからが大変だったんです。売買契約には、買主保護のローン条項が特約にあり、購入者のローンが不成立だと契約解除になる可能性がありました。ところが、購入者のローンの本審査がなかなか通らなかったんです。購入者はフルリフォームを希望していて、リフォーム内容が確定するまでローンが決まらないという事情もありました。契約解除になってしまうのではないか? ダブルローンをいつまで続ければ良いのか? と本当にハラハラしました」 結局、3月末に売買契約を結んだものの、引き渡したのは6月で、その間にOさん家族は引っ越しを行い、新居に移りました。
■ローン条項(ローン特約)とは
売買契約書に「(買主が)融資を受けられないことが確定した場合は、契約を解約できる」旨を記載したものが、ローン条項です。住宅用の土地建物売買契約においては、買主が金融機関との間でローン契約を締結して売買代金の決済をするのが一般的です。通常は、売買契約締結後に予定していたローンが実行されなかった場合、買い主は、代金が支払えないため、売主から売買契約を解除された上、違約金を支払う必要があります。ローン条項があれば、予定したローンが実行されない場合でも、買主が違約金などのペナルティなしで売買契約を解消できるのです。
仲介会社に任せきりにせずに、自分で何でも調べるのが大事
買い先行はリスクもあり、活動中の不安が大きかったものの、希望の物件が売りに出たタイミングを逃さず売却活動を行ったOさん。売却価格は「おおむね満足」で売却活動もスムーズだったと振り返ります。対応が難しかったのは、税金のことでした。 「譲渡所得が1000万円だったので、譲渡所得税が大きく負担に感じました。確定申告でも注意が必要で、マイホームの売却で3000万円の特別控除の適用を受けると、買い替え先の新居では住宅ローン控除は使えません。税金の手続きは、相談できる人がいなくて苦労しましたね」
妥当な売却価格や税金について、自分で調べて一つひとつ解決し、理想の住まいを手に入れました。「リフォーム済みの部屋は壁も床もきれいで、子どもも自分の個室を気に入っています」とOさん。住居をあえてサイズダウンすることで、満足度は大幅にアップ。新築同然の新居で、2人暮らしを楽しんでいます。
| 2019年11月 | ・住み替え先が決まる ・売却活動開始 |
|---|---|
| 2019年12月 | ・不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ ・4080万円で売り出し |
| 2020年3月 | ・売却価格を3980万円に変更 ・購入検討者が現れる |
| 2020年3月末 | ・3900万円で売買契約を結ぶ |
| 2020年4月 | ・住み替え先に引っ越す |
| 2020年6月 | ・物件を引き渡し、売却活動終了 |
まとめ
- 周囲の開発状況や物件の動きを自分で調べ、納得できる売却額を決める
- 購入希望者から交渉されることを見越して、売り出し価格を高めに設定する
- 不動産仲介会社の言うことをうのみにせずに、自分からも提案する
取材・文/内田優子 イラスト/キットデザイン



