不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

相続した不動産を売却するコツは?不動産売却の検討者・実施者アンケートから分析

不動産売却で一般媒介を選ぶべき人とは?専任媒介・専属専任媒介との比較や注意点と不動産会社選びを解説

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘、以下リクルート)が運営する『SUUMO』では、不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査を実施しましたのでご報告させていただきます。
また、こちらの調査の詳細に関しては、こちらのリリース内でも掲載しています。

記事の目次

相続した不動産の売却を検討した人のうち、実際に1年以内に売却したのは37.4%

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

過去1年間に、不動産売却を検討した首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県) 在住の20-69歳男女を対象に「不動産の売却について具体的に行ったこと」について調査を実施したところ、相続や贈与により不動産を得た人については上のグラフのような結果となりました。

不動産の売却が必要になる理由や場面は人それぞれですが、この記事では調査では売却者タイプを
・「買い替え」タイプ:自分が住んでいた物件を売却し、新たな物件を購入するタイプ
・「相続・贈与」:親などが住んでいた物件を相続・贈与され、その物件を売却するタイプ
に分け、「相続・贈与」物件の売却を検討した人のケースに注目していきます。

「相続・贈与」物件の売却検討者のうち、実際に1年以内に売却を完了した人は37.4%

また売却方法については、「相続・贈与」物件の売却検討者が、検討した方法は「仲介会社に依頼」がトップで、57.5%と半数以上。このうち、実際に売却を完了した人がとった売却方法は「仲介会社に依頼」が47.3%と約半数、次いで「不動産会社に買取ってもらう」が26.4%という結果に。

多くの人が仲介と買取を中心に複数の売却方法を検討し、最終的には仲介で売却していることがわかります。

「相続・贈与」物件の売却検討者が、検討した方法は「仲介会社に依頼」がトップで、57.5%(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

「相続・贈与」物件の売却検討者が、検討した方法は「仲介会社に依頼」がトップで、57.5%(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

実際に売却した方法は「仲介会社に依頼」が47.3%と約半数。ついで「不動産会社に買取ってもらう」が26.4%(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

実際に売却した方法は「仲介会社に依頼」が47.3%と約半数。ついで「不動産会社に買取ってもらう」が26.4%(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

相続した不動産の特徴は「古い」「広い」「駅から遠い」

売却を検討する際、「相続・贈与」によって得た物件の場合を、買い替えのための売却物件と比較したところ、次のような結果となりました。

相続物件は買い替えのための売却物件と比べて「古い」「広い」「駅から遠い」という傾向が(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

相続物件は買い替えのための売却物件と比べて「古い」「広い」「駅から遠い」という傾向が(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

相続物件の特徴のひとつに「物件の築年数」が古めということが挙げられます。買い替えのために売却した物件では「築25年以上」が19.6%のところ、相続物件は約半数の48.3%。一方、「取得してからの年数」は買い替えのために売却した物件より年数が経っていない傾向にあり、相続して間もないケースが多いことがわかります。

「物件の平米数」を見ると、買い替え物件は60〜80平米がボリュームゾーンなのに対し、相続物件は150平米以上と、広さに大きな差があるのが特徴。

そして「最寄駅からの徒歩分数」を比べると、徒歩10分未満の合計が、買い替えのために売却した物件では47.0%のところ、相続物件は40.1%。相続物件のほうが駅から遠めの物件が多い傾向が見られます。

相続・贈与「する」側がマイホームを手に入れた時代は、私鉄沿線を中心とした住宅開発が進み、通勤時間はかかっても緑豊かな郊外に広い家を、という動きがあった時代。こうした背景もあり、相続物件は「古い」だけでなく「広い」「駅から遠い」という特徴があるようです。

また「ローンの残額」にも大きな違いが。買い替えのために売却した物件では「ローンの残額がなかった」が47.3%と半数に満たないところ、相続物件では79.6%。約8割が残債のない状態で相続しています。

【SUUMO副編集長からのアドバイス】 相続した不動産の売却ならではのポイント

相続物件を売却する場合、相続ならではのポイントがあります。売却活動をスムーズに成功させるためのコツをSUUMO副編集長の笠松美香がアドバイスします。

できれば相続前に物件の価値を把握しておく

前述したように、相続・贈与される家の多くは「通勤時間はかかっても緑豊かな郊外に広い家を」という時代の家。共働きが主流の現代では、通勤利便性が優先され、広い庭や家を持て余すことも多く、思ったほど高く売れないというケースもあります。

今はまだ相続のタイミングではないとしても、住人が70代前後になると、一戸建ての維持管理は面倒になってきます。例えば、もし親が郊外の庭付き一戸建てを持て余しているなどの場合、もっと便利でコンパクトな住宅に住めるよう、一緒に考えてあげてもいいのではと思います。亡くなったタイミングで売却活動を始めようとしても、思った条件では売れないこともあるかもしれません。早めに査定をしてもらい、その物件にどれくらいの価値があるのかを親・きょうだい全員で把握しておくことが重要です。

売却査定のイメージ

(画像/PIXTA)

10カ月以内に相続税の申告が必要に

相続物件を売却する理由の多くは、複数の相続人でお金にして分けるためや、相続税を納めるため。特に相続税には申告書の提出期限があります。被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告が必要となります。10カ月というと十分な準備期間がありそうに思えますが、実は意外とやることが多くてギリギリだった、という人も多いようなので注意が必要です。

たとえば相続した物件が遠方にある、相続人が複数いる場合など。お互いのスケジュールを合わせて話し合い、合意をし、協議書に同族人全員で捺印をする必要がありますが、相続人の意見に相違があった場合などは、さらに時間とパワーがかかるということも考えておきたいものです。

家族会議のイメージ

(画像/PIXTA)

相続から3年以内に売らないと3000万円控除が受けられない

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと「相続空き家の3000万円特別控除」が適用され、売却で得たお金のうち3000万円が控除の対象になります。

適用期限があり、平成28年(2016年)4月1日から令和5年(2023年)12月31日までの間で、かつ、相続開始日(亡くなった日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば適用に。つまり、相続してから3年以上放置して売ろうとしても、控除は受けられない、ということになってしまいます。

なお、この要件には「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること」というものがありますが、被相続人が老人ホームに入居していたなどの事情で住んでいなかった場合には特別ルールも。対象となりそうな場合は、国税庁のホームページなどで制度の詳しい情報をチェックしましょう。

相続不動産売却のポイントは?

「必要な書類を準備すること」に手間を感じている人が多い

今回の調査では、相続物件の売却を検討した人のうち、16%が売却をあきらめていることも明らかに。売却活動が思うように進まない、途中であきらめてしまう……その原因は何なのでしょうか。

調査によると、「不動産の売却を検討する中で最も手間だと思ったこと」は「必要な書類の準備をすること」が28.2%でトップ。これを売却者のタイプ別に見ると、買い替えの場合は26.6%なのに対し、相続・贈与の場合は34.7%とさらに大きくなります。自分で購入した物件ではないため不明な点が多かったり、建物の完成から年数が経っているといったことが大きな原因でしょう。

「被相続人が元気なうちに書類を用意しておくのはとても大事なこと。権利書、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本やマイナンバーカード、身元確認書類のほか、登記簿など物件に関する資料も用意する必要があります。新築時や売買契約時点での住宅の性能を示す書類があれば評価がプラスになることもあるので、早めに探しておくことが大切です」(SUUMO副編集長・笠松美香)

売却活動で最も手間だと思うことは「必要な書類の準備をすること」で、相続・贈与の場合34.7%(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

売却活動で最も手間だと思うことは「必要な書類の準備をすること」で、相続・贈与の場合34.7%(株式会社リクルート「不動産売却を検討する人および実施した人の意識と行動に関する調査」よりSUUMO編集部作成)

【SUUMO副編集長からのアドバイス】 準備に手間をかけたくない人は「買取」の選択肢もアリ

記事の冒頭で「多くの人が仲介と買取をあわせて検討している」というデータを解説しましたが、最初から買取をしてもらうのではなく、買取保証をつけるという方法もあります。

「買取保証」とは、まずは仲介で売却活動をして、一定期間までに売れない場合は、不動産会社が事前に取り決めた価格で買い取るという方法です。不動産仲介会社を探す際、買取保証に対応しているかどうかに着目するといいでしょう。

買取保証の価格は提示されるので、売却活動を始めてみて、買取保証価格より高値で売れそうならばそのまま売ることもできますし、うまくいかなくてもあらかじめ決めた時期に決まった金額で買取される、という保証もあるので、安心して売却活動をすることができるでしょう。

ただし、地域などによっては買取保証がないケース(不動産会社が買ってもその後の転売ニーズがないなどの場合)、受けられるサービスメニューが違うこともあるので、査定のときに確認しましょう。

売却相談のイメージ

(画像/PIXTA)

【SUUMO副編集長からのアドバイス】 複数社のサービス比較が重要。会社選びのポイント

相続した物件の場合、自分で購入して住んでいる物件と違い、物件周辺の状況やニーズがわかりにくいことも多く、不動産会社から提示される売却プランのよしあしが判断しづらいこともあるでしょう。そうなると、その会社の知見に頼る部分が大きくなるため、どんな会社を選ぶかがより重要になってきます。

まず、その地域の情報に詳しい会社であることは必須条件。たとえば地元に密着した会社、営業実績の豊富な会社、あるいは全国展開していて幅広いネットワークを持っている会社など、タイプの異なる複数の会社に話を聞き、比較検討することが大切です。

また、相続では相続人の間でゴタゴタすることがあるかもしれません。そんなときは、法律の専門家と連携してくれる会社、または紹介してくれる会社もあるので、チェックしてみるといいでしょう。

また、その会社と今後やりとりを進めていくにあたり、相続人のうち誰が窓口になるかを決めておくことも重要です。相続の場合、共有名義で相続するケースが多く、きょうだいで合意をとりながら進めていくことも多いので、このポジションは重要となるでしょう。

売却成功のカギを握るのはパートナーとなる不動産仲介会社選び。地域の情報、相続関係の法律などに詳しいのはもちろんのこと、自分の抱えている問題に真摯(しんし)に向き合ってくれる会社を選ぶことが大切です。さまざまなタイプの会社をじっくり比較検討し、納得できる会社を選びましょう。

取材/文 前川ミチコ

●調査概要

<調査目的>不動産売却検討者&実施者の意識と行動の把握
<調査対象>下記条件を満たすマクロミルモニター
【スクリーニング調査】
首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県) 在住の20-69歳男女
【本調査】
過去1年以内に居住用不動産の売却を主体的に検討し、以下いずれかの行動をした方
情報収集、仲介会社へ問い合わせ、訪問査定、媒介・代理契約、売却完了または停止
<調査方法> インターネットリサーチ
<調査時期・回答数>
スクリーニング調査:2021年12月18日(土)~2021年12月22日(水) 有効回答数:20,000人
本調査:2021年12月21日(火)~2021年12月22日(水) 有効回答数:1,239人
<ウェイトバック集計について>
【スクリーニング調査】
首都圏×年代ごとの構成比を、令和2年度国勢調査結果の実人口と一致させた。

  首都圈
20代 30代 40代 50代 60代 小計
実サンプル数 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 20,000
WB後サンプル数 4,034,079 4,465,020 5,630,791 5,016,722 3,935,770 23,082,382

【本調査】
首都圏、年代ごとの人口構成比(令和2年度国勢調査結果を使用)に、スクリーニング調査での売却検討&実施者の出現率を掛け合わせて、市場実態に近い年代構成で回収した。

■有効回答サンプル数 (人)
過去1年検討者 20代 213
30代 280
40代 242
50代 196
60代 290
合計 1,239
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●解説
笠松美香

2018年より「SUUMO」副編集長に着任。「SUUMOジャーナル」をはじめとする情報コンテンツを担当。またスーモ リサーチセンター研究員も兼務。住まいに関するカスタマー動向、物件の最新トレンド全般や住まいに関わる制度や住宅ローンほか、住宅購入や賃貸を借りるためのノウハウ等について幅広くメディア出演や講演などを行う。

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