土地売買に消費税はかからない?課税取引と非課税取引についてプロが解説

最終更新日 2022年09月23日
土地売買に消費税はかからない?課税取引と非課税取引についてプロが解説

一戸建てを購入する際、建物には消費税が課せられるが、土地売買自体は消費税の課税対象ではなく、消費税がかからない。
また、土地売買に関連するものには課税対象になるものとならないものがあるため、消費税の課税対象になる取引条件や、課税対象となる項目・非課税となる項目、土地売買の際の消費税に関する注意点について不動産コンサルタントの田中歩氏に伺った。

消費税の課税取引について

消費税とは、消費一般に対して広く公平に課される税のこと。原則として日本国内の取引であること、事業活動であること、対価を得ていること、モノの売り貸し・サービスの提供であることの4つの要件を満たしているものが課税対象となる。納税義務者である事業者の売上げに対して課税されるが、取引の際に支払人(購入者)に転嫁して課税分を払ってもらう仕組みになっている。

また、検査、裁判などの公共サービス、健康保険を利用した医療費などの社会福祉事業等によるサービス提供、国債の取引や預貯金の利子など、課税対象にならないものや社会政策的配慮から非課税となっているものも。

不動産売買において消費税が課税されるものとされないものは、下記のようになる。

不動産購入時の諸費用に関する消費税(土地売買に関わるものは太字)
■消費税課税
売買代金 登記費用 融資関係 その他
建物売買代金
※一般に個人がマイホームを売る場合は非課税
・司法書士手数料
・土地家屋調査士手数料
ローン事務手数料 ・仲介手数料
・事業用不動産の取引慣行で精算される建物に関する固定資産税都市計画税
※一般に個人がマイホームを売る場合は非課税
・土地に埋まっている地下型の車庫
■消費税非課税
売買代金 登記費用 融資関係 その他
土地売買代金 登録免許税 ・火災保険料・地震保険料
・保証会社への保証料
・団体生命保険の保険料
不動産取得税

土地売買に関しては、土地そのものには消費税は課税されない。

消費税は事業者の売上げに対して課す税金のため、登録免許税や不動産取得税などの税金、保険料については非課税になり、不動産仲介業者に支払う仲介手数料や、銀行に支払うローン事務手数料、司法書士や土地家屋調査士に支払う登記費用の手数料などは消費税の課税対象となる。

ちなみに建物の売買代金が課税対象になるのは、建物建築会社の受注した請負が建築会社の課税売上に当たるからだ。
また、中古住宅を個人が売却する場合には事業売上に当たらないため非課税となる。個人売主による中古物件の売却であっても、家賃収入を得ることを目的とした投資用不動産を売却する場合は事業活動に該当するため、消費税の課税対象となる場合があるので注意しよう。

土地売買で消費税が課税される項目と費用の目安

では、土地売買における消費税の課税項目について詳しく説明していこう。費用相場を把握して、消費税がどれくらいかかるかの目安を押さえよう。

【仲介手数料】

不動産の売買や賃貸の取引を行う際、売主(貸主)と買主(借主)の間に入って案内~契約・引き渡しまでサポートする不動産仲介会社に支払う手数料。

賃貸住宅を契約するときには家賃の0.5カ月~1カ月分を仲介会社に手数料として支払う。売買の場合は、売る側と買う側の双方が仲介業務を行う不動産会社に仲介手数料を支払う。
仲介手数料の支払額について、算出方法は以下の通り。なお、仲介手数料は現金で支払うため、あらかじめ用意しておくことが必要だ。

<仲介手数料の支払額>

売買価格×3% + 6万円 +消費税

賃貸住宅 売買
家賃の0.5~1カ月分 +消費税 売買価格×3% + 6万円 +消費税

【ローン事務手数料】

住宅ローンの借り入れに必要な事務手続きに対して金融機関に支払う費用。この事務手数料は金融機関ごとに条件が異なり、金利を低く設定する代わりに、事務手数料を取るケースも。それぞれの金融機関の違いについても確認しておこう。

【司法書士手数料】

土地売買をする際に、土地所有権移転登記や土地に対する抵当権設定などの登記を行う必要があり、不動産を管轄している法務局で登記を行うことから、専門的知識を要するため司法書士に依頼することが多い。司法書士の費用・報酬は自由化されているため、地域や各司法書士事務所によって相場は異なるが、一般的な土地ならば10万~20万円程度が目安。

【土地家屋調査士手数料】

土地の売買をする際、土地の境界をしっかりと定めるために、土地家屋調査士に土地の大きさ、形状、境界標、隣地、接道、障害物、構造物などを確認してもらう費用。土地の大きさや形状など条件によって費用が異なる。

【土地に埋まっている地下型の車庫】

土地の地下部分に地下駐車場があり、これを課税事業者が譲渡する場合は、土地ではなく「設備の譲渡」と見なされるため、課税対象となる(地下車庫がついている戸建て住宅などを見かけるが、マイホームの売却は建物や設備も非課税)
なお、土地の譲渡はマイホームだけでなく事業であっても非課税となる。また、住宅の賃貸も賃料には消費税がかからない。ただし、住宅用建物の貸付で1カ月に満たない貸付けは課税対象、土地を使って月極駐車場などを行っている場合もその駐車場使用料が課税対象となるので注意が必要だ。

土地には、土地の上に存する地上権、土地の賃借権、地役権、永小作権などの土地の使用収益に関する権利も含まれる。これらの設定に伴う更新料や名義書換料は、土地の貸付けまたは土地の上に存する権利の設定の対価として見なされるため、非課税となる。

土地売買で消費税が非課税になる項目

一方で、土地売買における消費税の非課税課税項目について詳しく説明していこう。

【印紙税】

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など、特定の文書に課税される
税金のこと。不動産売買契約書に貼付する印紙の額は個別に定められており、契約金額によって変わる。

記載された契約金額 税額
10万円を超え 50万円以下のもの 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 1000円
500万円を超え 1000万円以下のもの 5000円
1000万円を超え 5000万円以下のもの 1万円
5000万円を超え 1億円以下のもの 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 16万円
10億円超 50億円以下 32万円
50億円を超えるもの 48万円
(注)不動産の譲渡に関する契約書のうち、その契約書に記載された契約金額が10万円以下のものは、軽減措置の対象となりません(税額200円)。また、契約書に記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。

【登録免許税】

土地や建物を建築したり購入した際、所有権保存登記や移転登記等にかかる税金。税額は土地や建物の評価額(固定資産税評価額)に税率をかけて計算する。条件を満たせば、税率の軽減措置が受けられる場合も。

住宅ローンの借り入れの際にも、金融機関が土地や建物に抵当権を設定する登記が必要になるため、登録免許税が課税される。抵当権とは土地・建物を担保にお金を融資し、もしも返済が滞ったら差し押さえて競売などにかけて貸したお金を回収できる権利のこと。抵当権の設定登記にかかる登録免許税は、住宅ローンの借入額に税率をかけて計算する。

<税額算出方法>

評価額(固定資産税評価額)×税率=税額

<登録免許税の軽減(新築)>
課税標準 税率 軽減税率
建物 保存登記 法務局
認定価格 ※1
4/1000 マイホームの軽減特例
2024年(令和6年)3月31日まで
1.5/1000 (一般住宅)※2
1/1000 (低炭素住宅・長期優良住宅・買取再販住宅)
土地 移転登記 固定資産税
評価額
20/1000 15/1000
(マイホームを問わず2023年[令和5年]3月31日まで)
抵当権の設定登記 債権金額 4/1000 マイホームの軽減特例2024年(令和6年)3月31日まで
1/1000 ※3
※1 固定資産税評価額が決定していない新築の建物価格について、建物の構造別・用途別に、各法務局が便宜上作成している価格
※2 新築マイホーム軽減特例の要件
(1)自己の居住用住宅であること (2)注文住宅の新築後又は分譲マンション・一戸建て住宅の取得後、1年以内に登記されたもの (3)登記床面積50m2以上
※3 新築マイホーム抵当権設定登記の特例 ※2の要件を満たす住宅への抵当権設定
<登録免許税の軽減(中古)>
課税標準 税率 軽減税率
建物 移転登記 固定資産税
評価額
20/1000 マイホームの軽減特例
2024年(令和6年)3月31日まで
3/1000 ※4
土地 移転登記 固定資産税
評価額
20/1000 15/1000
(マイホームを問わず2023年[令和5年]3月31日まで)
抵当権の設定登記 債権金額 4/1000 マイホームの軽減特例2024年(令和6年)3月31日まで
1/1000 ※5
※4 中古マイホーム軽減特例の要件
(1)自己の居住用住宅であること
(2)取得後1年以内に登記されたもの
(3)登記床面積50m2以上
(4)新耐震基準に適合すること。「耐震性を有することの証明書」を添付
※5 中古マイホーム抵当権設定登記の特例 ※4の要件を満たす住宅への抵当権設定

【不動産取得税】

不動産取得税とは、土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得した際、取得した方に対して課税される税金のこと。有償・無償の別、登記の有無にかかわらず課税対象となる。不動産を取得した日から30日以内に、当該不動産の所在地を所管する税務所へ申告する。ただし、課税標準となるべき額が10万円未満の場合、不動産取得税は課税されない。

税率は原則4%で、令和6年3月31日までは、土地および住宅家屋は3%となっている。
また、令和6年3月31日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の課税標準額は価格の1/2となる。

さらに、住宅用の土地を取得し、一定の要件を満たす場合、課税標準から一般住宅・低炭素住宅は1200万円、長期優良住宅は1300万円が控除される。

居住用の中古住宅を取得する場合にも、耐震基準に適合、床面積50m2以上240m2以下などの条件を満たす場合、新築された日に応じて控除額が設定されている。

税金のイメージ
(画像/PIXTA)

土地売買時の消費税に関する注意点

手数料など税込表示で総額を確認する

消費税の課税事業者が、値札をはじめ広告やチラシに課税資産の譲渡・サービスの提供等の取引価格を表示する際に、消費税・地方消費税を含めた金額で表示することを「総額表示」といい、2021年4月1日から義務付けられている。

不動産価格は税込表示だが、仲介手数料(「売却額の数%」と計算される金額)は税抜価格をもとに計算するため、算出金額に消費税が。仲介手数料など手数料に関しては税抜表示の場合もあるため、税込価格で表記されているか確認をしよう。

建物付きの土地を買う場合は、建物には消費税が課税される場合がある

建物付きの土地を買う場合、先述したように、一般に個人がマイホームを売るのであれば建物の売買代金は非課税になるが、売主が建売業者などの課税業者である場合は、建物の売買代金には消費税がかかるので注意が必要だ。建物付きの土地を購入する際は、建物部分の価格には消費税が課税されることを踏まえて予算を検討しよう。

まとめ

売主が建売業者などの課税業者である場合、建物の売買代金は課税対象となるが、土地そのものには消費税は課税されない

仲介手数料や、ローン事務手数料、登記費用の手数料などは消費税の課税対象となる

登録免許税や不動産取得税などの税金、保険料については非課税。また、建物の売買代金に関しては、中古住宅を個人が売却する場合には事業売上に当たらないため非課税となる

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取材・文/金井さとこ
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