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注文住宅を検討する際、まずは土地だけ購入しておきたいと考える人も多いでしょう。その場合、土地代の支払いはどうすればいいのでしょうか? 住宅ローンは使えるのでしょうか?この記事では、土地だけ先に欲しいときに使えるローンとして、「つなぎ融資」と「土地先行融資」を紹介します。それぞれの特徴や金利、メリット・デメリット、選び方などを、住宅ジャーナリストの大森広司さんに伺い解説しますので、参考にしてください。
「基本的に住宅ローンというのは、自分で住むための家、つまりマイホームを取得するためのローンです。金融機関が特別に低金利で長期間貸してくれるのも、マイホームを建てる負担を軽くする目的があるからです。そのため土地だけを買いたい場合は、住宅ローンは使えません。
しかし、その場合、マイホームを建てるための土地を先に購入したい場合には、資金をどう用意するかが大きな課題になります。そうしたときに使われるのが、住宅ローンの実行までの資金を一時的に借りる『つなぎ融資』と、土地購入費用を先に住宅ローンの一部として借りる『土地先行融資』です。いずれも『その土地に住宅を建てる』という前提があるときにのみ使える仕組みです」(大森さん/以下同)
「つなぎ融資」「土地先行融資」とはどのようなものなのか、次章からその仕組みと特徴について詳しく紹介していきます。

つなぎ融資とは、住宅ローン実行までの「つなぎ」として一時的に資金を借りるものです。住宅ローンが実行されると同時に、そこから一括で返済します。

つなぎ融資は、土地が見つかった時点で申し込み、承認が下りると売買契約を締結します。無担保で借りられるケースもあり、土地代の支払いはもちろん、建築会社への着工金(工事着工時に支払う代金)や中間金(建築資材の購入や人件費に充てるお金)など、家が完成する前の段階で必要となる資金に幅広く対応できます。ただし金利は住宅ローンよりも高めで、年2~4%かかるのが一般的です。
つなぎ融資には、土地先行融資と比べて以下のような特有のメリットがあります。
「無担保や仮登記で借りられる点は、つなぎ融資ならではのメリットです。これにより、抵当権を設定するための登記費用や司法書士報酬が不要、または低額になり、初期コストを抑えられます。
さらに取り扱い金融機関が多く、建築プランが簡易な段階でも申し込みできることも特徴です」
一方、つなぎ融資には以下のような注意点・デメリットがあります。
※住宅ローン控除:住宅取得のための借入金残高に応じて、一定額が所得税・住民税から控除される制度。年収や住宅性能などの条件によって利用可否が変わる
「つなぎ融資は金利が高いので、竣工まで長引くとその期間の利息負担が大きくなります。また、住宅ローン控除が使えないという点もデメリットに感じる人もいるでしょう。ただ、つなぎ融資自体は住宅ローン控除を受けられませんが、住宅ローンは土地代と建物代を合わせて借り入れるため、その額に相当する控除は受けられます。
さらに、借入期間は1年程度に制限されることが多く、例えばある銀行では最長11カ月とされています。
借入期間を超えると延長できないため、事前に確認が必要です」
つなぎ融資についてもっと詳しく→
住宅ローンのつなぎ融資とはどんな時に必要? 負担を抑えるコツとは
土地先行融資は、住宅ローンのうち土地代にあたる部分を、建物完成前に「土地取得費用」として前倒しで借りられる仕組みです。建物が完成するまでは、土地代として先行実行された分の利息のみ返済し、建物が完成後に元金と利息を合わせた住宅ローンの返済がスタートするのが一般的です。
近年はつなぎ融資同様に、土地代だけでなく中間金や着工金も先行して融資を受けられる商品もあります。

金利については、土地を担保にするため、建物完成前でも住宅ローンと同等の低金利が適用されます。
土地先行融資には、つなぎ融資と比べて以下のメリットがあります。
「土地先行融資は、住宅ローンの一部として土地代を先に借りる仕組みなので、金利も住宅ローン並みに抑えられます。現状では変動金利で年0.6~1.0%程度が一般的で、つなぎ融資より支払い利息はかなり抑えられます」
土地先行融資には、以下のような注意点・デメリットがあります。
「土地先行融資を使うには、土地に抵当権を設定する必要があります。そのため、登記費用や司法書士報酬などがつなぎ融資よりかかります。ただし、つなぎ融資の場合も住宅完成時に住宅ローンを借りる際に登記費用や司法書士報酬が必要です。
また、土地と建物をまとめて一括で審査するので、審査に時間がかかります。そのため建築プランや建築会社を早めに決めておかなければなりません。金融機関によっては取り扱っていないこともあるので、事前に確認が必要です。
なお、土地先行融資では『初回融資から竣工(完成)までの期間は原則1年』『1年以内に着工、2年以内に竣工』というように、金融機関ごとに竣工までの期限が明確に決まっています。
スケジュール管理はしっかり行いましょう」
土地だけを先に購入する場合、つなぎ融資と土地先行融資のどちらを使えばよいか迷う人も多いのではないでしょうか。それぞれの仕組みやメリット・デメリットを踏まえ、どんな人にどちらが向いているのか、大森さんに聞きました。
つなぎ融資は、以下のようなニーズを持つ人に向いています。
「つなぎ融資は手続きが簡単で、審査も比較的ゆるめです。建物プランが簡易でも借りられることが多いので、とにかく土地だけ先に押さえたいという人に向いています。
また、土地先行融資を取り扱っている金融機関は少ないため、住宅ローンの借り入れを希望する金融機関に商品がない場合は、必然的につなぎ融資を選ぶことになるでしょう」
土地先行融資は、以下のような希望がある人に適しています。
「土地先行融資は、住宅ローン並みの低金利で借りられるのが魅力です。控除も使えるので、トータルの負担を抑えたい人はこちらを選ぶことが多いですね。
ただし、建物の審査が必要で、登記も発生するなど土地を買うときの手続きは煩雑になります。それらを手間と感じず、ある程度計画の見通しが立っている方に向いています」

ここでは、土地を購入するときにどのような順序で手続きを進めればよいのかを解説します。
土地を購入する意思が固まったら、不動産会社を通じて「買付証明書」を提出します。これは「この土地をこの金額で購入したい」という買主の意思表示であり、売買交渉の優先順位を決める重要なステップです。
土地は一点物なので、人気のあるエリアでは早めに出さないとほかの人に取られてしまうことも少なくありません。買付証明書には有効期限があり、提出後すぐに売買契約やローン契約まで進むわけではないため、内容や条件に納得できない場合はキャンセルも可能です。提出のハードルは高くないため、検討中の物件がある場合は「まず出しておく」という判断も必要になるでしょう。
買付証明書の提出後は、つなぎ融資もしくは土地先行融資の申し込み手続きを進めましょう。
「とくに土地先行融資を利用するには、建物プランも合わせて用意し、住宅ローンと同様の審査を受けなければなりません。審査条件や必要書類を早めに確認しておくとスムーズです」
審査が通り、条件に納得できたら、売主と正式に売買契約を結びます。この段階で手付金(売買代金の5~10%が一般的)を支払い、契約内容を確認します。不動産会社を通じての土地購入の場合には、仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税が上限)も必要です。
売買契約締結後、つなぎ融資・土地先行融資の本申し込みを経て融資が実行されると「決済(支払い)」と「土地の引き渡し」が同時に行われます。

土地を先に購入する場合には、住宅ローンや建築スケジュールの面で注意すべきポイントがあります。ここでは、土地購入でトラブルを防ぐために知っておきたい2つの大切な視点を紹介します。
土地の売買契約を結んでから決済・引き渡しまでの期間は、一般的に1カ月程度です。その間に融資の本審査や契約手続きを終えなければなりません。そのため、土地だけ先に探していては間に合わないこともあります。
手続きをスムーズに進めるには、土地探しと並行して、建築会社選びや融資の相談も進めておくことが重要です。とくに建物のプランが必要になる土地先行融資を希望する場合は、余裕を持って準備を進めましょう。
「よくある失敗が、土地を買ったのはいいけれど、その土地には希望の家が建てられなかったというケースです。法令上の規制や地形の問題、建築コストの増加などが原因になることもあるので、事前に建築会社に相談して確認しておくことが何よりも重要です」

最後にあらためて大森さんに、これから土地を先に購入して注文住宅を検討している人に向けてのアドバイスを伺いました。
「土地だけを先に買う場合は、建物の計画や住宅ローンの手続きの両方で、かなりのスピード感が求められます。建築会社や金融機関との相談を後回しにしていると、決済に間に合わなくなることもありますから、土地探しと並行して動くことがとても大事です。
土地購入のチャンスを逃さず、スムーズに家づくりを進めるためには、建てたい家がその土地に本当に建てられるかどうかも含め、建築会社に相談しながら進めることをおすすめします」
土地を先に購入するときには「つなぎ融資」か「土地先行融資」を活用するのが一般的
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自分の状況にあった選択をすることが重要
土地購入と資金調達計画は、建築会社に相談しつつ同時進行するとスムーズ