宅地と分譲地はどう違うの?土地を選ぶときのチェックポイントとは

宅地と分譲地はどう違うの?土地を選ぶときのチェックポイントとは

家を建てる土地を探しているけれど、宅地であれば日当たりや周辺環境だけで決めて大丈夫? 分譲地はどんなメリットがあるの? そんな土地選びの素朴な疑問に対して、一級建築士の佐川旭さんに教えてもらいました。

宅地と分譲地、何が違うの?

言葉の定義が違うが、どちらも家を建てられる土地を指す

宅地と分譲地は、どちらも家を建てられる土地であることは同じです。ただ、それぞれ土地の状態や家を建てる際の制限などに違いがあります。

宅地」とは土地の登記記録に記載される「地目」の種類のひとつです。地目とは土地を利用状況によって区分したもので、法律によって定められています。宅地のほかに「田」「畑」「山林」「公衆用道路」など23種類に分けられています。地目の中で「宅地」は「建物の敷地及びその維持もしくは効用を果たすために必要な土地」と定義されています。つまり、家を建てられる土地、ということです

一方「分譲地」とは、不動産会社などが広い土地をいくつかの土地に分けて(区画整理して)宅地用に販売している土地のことを分譲地と呼びます。つまり「宅地の中でも、いくつかの区画に分けて販売されている土地」ということです

住宅街
(画像/PIXTA)

「宅地」と「分譲地」でインフラの整備費用や施工会社選びが変わる

「宅地」と「分譲地」、どちらも家を建てられる土地であることは変わりませんが、建てる際に注意しなければならないことが異なります。売主が「分譲地」と敢えて名前をつけているように、他の宅地とは違うんだよ、というわけです。

ではどこが違うのでしょうか。宅地と分譲地それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。

●宅地
メリット

・施工業者の選択:自由に選べる

デメリット

・電気・ガス・水道~土地の購入者が費用を払って敷地内に引き込む
・擁壁(ようへき)~隣家や道路との境に段差がある場合、擁壁が必要になるが、土地の購入者が費用を払って行う場合もある(土地を売る側が販売のために擁壁をしている場合もある)
・境界~はっきり決まっている場合がほとんどだが、決まっていない場合もある

●分譲地
メリット

・電気・ガス・水道~敷地内に引き込まれた状態で販売されている
・擁壁~擁壁が必要な場合、擁壁がされた状態で販売されている
・境界~はっきり決められている

デメリット

・施工会社の選択~家を建てる施工会社が決まっている場合が多い(建築条件付き土地、と呼ばれる)

こうして比べてみると、料理で例えるなら宅地はまだ泥のついた素材のままで、分譲地は既に洗ってあってコックも決まっている、という感じでしょうか。

宅地・分譲地のどちらも注意すべきこと

建ぺい率(建蔽率)、容積率、北側斜線に注意

建てられる家は、法律によってさまざまな規制が設けられています。その中でも「建ぺい率(建蔽率)」「容積率」「北側斜線」の3つ(※)は、同じ土地面積でも家の広さやカタチが変わってしまう規制なので、宅地・分譲地にかかわらず、土地を購入する場合は事前に調べることが重要です。

※建ぺい率(建蔽率)とは敷地に対する建築面積。建築面積÷敷地面積×100で求められる。容積率とは敷地面積に対する空間の割合。延べ床面積÷敷地面積×100で求められる。北側斜線とは自分の土地の北側にある隣家の日当たりに配慮するための規制。敷地の境界から垂直に5mまたは10m上がった先の高さで一定の勾配をつける

「建ぺい率(建蔽率)が40%、容積率が80%なんていう厳しい条件のところもあります。この場合、敷地面積が100m2ある土地でも、家を建てられる(建築面積)のは40m2で、1階と2階の延床面積を合わせて80m2。さらに北側斜線が5m上がって0.6度の勾配をつけないといけないなら、2階の部屋の一部が床から1m~1.5mあたりのところから屋根が傾斜しなければならず、大人が腰をかがめないといけない場所ができてしまいます」

用途地域を確認する

こうした規制は都市計画法で定められる「用途地域」ごとに定められています。用途地域とは各エリアの特性や街づくりの目的に合わせて指定される基本的な地域区分のことです。詳細は下記のとおりですが、用途地域によって建てられる建物の種類が決められているので、宅地を購入する際には必ず確認しましょう。

用途地域別の概要。第一種低層住所専用地域 低層住宅専用地域。第二種低層住居専用地域 小規模な店舗の立地を認める低層住宅の専用地域。第一種中高層住居専用地域 中高層住宅の専用地域。第二種中高層住居専用地域 必要な利便施設の立地を認める中高層住宅の専用地域。第一種住居地域 大きな店舗・事務所の立地を制限する住宅地のための地域。第二種住居専用地域 大きな店舗・事務所の立地を一部制限する住宅地のための地域。田園住居地域 農業の利便性をの増進を図りつつ、良好な低層住宅の環境を保護する地域。準住居地域 自動車関連施設など沿線サービス業と住宅が調和して立地する地域

さらに上記の「用途地域」の規制を強化する狙いで「特別用途地区」や、逆に規制を緩めて地域の活性化を図るために「高度利用地区」を制定している地域もあります。いずれも土地を販売している不動産会社に聞けばわかりますし、市区町村役場でも確認できます。

地質調査や地盤改良は土地の購入者が行う

宅地も分譲地も、家を建てる際に行う地質調査やその結果地盤改良が必要になった場合の費用は、土地の購入者の負担となります。

地質調査は一般的な方法で約5万円。地盤改良の費用は、地盤の状態によりますが、床面積20坪くらいで約50万円~。場合によっては100万円かかることもあります。土地の強度は100m離れただけで変わることがよくあるので、土地の購入後に地質調査をしてみないとはっきりとはわかりません。とはいえ販売会社に以前はどんな土地だったのか聞いたり、地域のハザードマップなどで液状化のリスクの有無などを事前に確認しておいたほうがいいでしょう。

宅地を選ぶ際に注意すべきこと

土地によってインフラの引き込み費用に差がある

分譲地と違って、施主が電気・ガス・水道を引き込む必要がありますが、その際土地によって費用に差が出ます。

●水道を引き込む場合、思いのほか費用がかかることがある
先述のとおり電気・ガス・水道は土地を購入した人が費用を払って敷地内に引き込みます。目の前の道路に本管がある場合、敷地内にどれだけ引き込むかによりますが、目安としては20万~25万円といったところ。しかし注意しなければならないのが水道の本管が離れている場合だと佐川さん。

「道を挟んで土地が向き合っているとします。たいていは道路の両側、つまりそれぞれの敷地側に水道の本管があり、自分の敷地内にすぐ引き込めるのですが、昔からある宅地などの場合、水道の本管がどちらか一方の側にしかないケースがあります」

購入した土地側ではなくお向かいの土地側に水道の本管があった場合、目の前の道路を横切って自分の土地に引き込まなければなりません。そのためには道路の通行を止めて道路を切って掘り、配管して埋め直す工事が必要になります。「道路部分の工事費用はもちろん、通行を止めるので警備員も雇わないといけないので、この工事だけで100万円くらいはかかります」

もう一つ、水道で注意しなければならないのが、やはり古い家を取り壊して販売されているような昔からある宅地のケース。
「昔は今ほど水を使わなかったので、水道管が現在の一般的なもの(20mm)より細い(13mm)ことが多いのですが、13mmだと、例えば2階にリビングや浴室を持っていくには水圧が足りません」

そのため20mmに変える工事も必要になります。

このように水道の整備状況次第では、住むまでの費用が思いのほかかかる場合があります。これらの費用の支払いは施工会社に建物の建築費用等とまとめて請求してもらうことになります。

●ガスを引き込む場合、施主の名前での振込が必要
ガスの場合も本管から敷地内に引き込みます。費用の目安は水道の場合と同様引き込む距離によって金額が異なりますが、目安は20万~25万円。ただし水道と違い、もし本管が離れていて水道のように道路の工事が必要でも、その工事費用はガス会社持ちとなります(施工条件により施主負担の金額が発生する場合もあります)。

「注意したいのは、ガスの引き込みは施主が自ら申し込み、費用を振り込むことが原則になっていることです」。たいていは施工会社が施主の名義で代行してくれますが、家を建てる際には段取りなどを確認しておきましょう。

なお、電気の引き込みは近くの電信柱から電線を引き込む(なければガス同様、電気会社が電柱を用意する)だけなので、水道やガスほど費用はかかりませんし、土地によって費用が変わることもほぼありません。

土地に接している道路の幅に注意

土地が接している道路の幅が4m以上あるかどうか、注意が必要です。「昔は尺貫法が使われていたため、道路の幅も尺貫法で2間(約3.6m)道路が一般的でした。しかし戦後にメートル法が導入されて道路幅は4mになりました。わずか40cmほどと思うかもしれませんが、家を建てる際は道路の幅を約3.6mから4mにしなければなりません。道路を挟んで向こうにも土地がある場合、自分の土地から40cmの半分、20cm分を道路として提供しなければいけないのです」

つまり、購入した土地の面積が減ってしまうということです。購入時には注意が必要です。

住宅街
(画像/PIXTA)

土地の境界がはっきりしているか

本来、土地の所有者は境界がはっきりと決められた地積測量図を添えて売るのが基本です。隣地との境界がはっきりしていないと、隣地の所有者とトラブルが発生しやすいからです。しかし中には「隣地の所有者となかなか連絡がとれず……」「元は代々続いていた畑だったので、地積測量図がない」など諸事情により境界が曖昧なまま販売されるケースも珍しくはありません。

境界が曖昧でも、隣家との境界と思われる部分に塀や側溝があるなど、ある程度敷地がわかれば家を建てること自体は可能です。恐らく、その分土地の価格も安いでしょう。とはいえ境界があいまいだと、後々境界を巡る隣家とのトラブルがたいてい起こるので、避けたほうが無難です。購入時には境界がはっきり定められている地積測量図があるかどうか確認しましょう。

分譲地を選ぶ際に注意すべき事

建築条件付き土地かどうか

分譲地の多くは、家を建てる際の施工会社があらかじめ決められていることがあります。その場合、基本的には他の建築家や施工会社に依頼することができません。そうなると、どうしても分譲地内に同じような家が建ち並ぶことになり、自分の好みを反映するのが難しい場合もあります。

また同じような間取りの家が並ぶ場合、窓を開けると目の前に隣家の窓があって毎朝目が合う、なんてことにもなりかねませんので、どのようなプランがあるのか、どの程度自分たちの意思を反映した家が建てられるのか確認しましょう。

ただし、建築条件がついている分譲地でも「たいてい追加の費用を払うと、条件を外して自由に建築家や施工会社を選ぶことができます」と佐川さん。費用の目安は300万円程度だそうです。条件を外すことができるのか、確認してみましょう。

インフラ整備代は土地の価格に反映されがち

宅地と比べて分譲地は電気・ガス・水道が敷地内に引き込まれた状態で販売されていますから、購入後の追加費用があまりありません(地質調査と地盤改良費用は除く)。また道路も現在の法律に則りつくられるので、宅地のように道路を広げるために土地を削る、ということはありません。

ただし、こうしたインフラの整備代はどうしても土地代に反映されがちです。「特に道路の整備代は通常かなりかかりますから、その分は反映されていると考えたほうがいいでしょう」。もし他に気になる宅地があるのであれば、この点も踏まえてどちらがよいか検討したほうがいいでしょう。

このように宅地と分譲地では、用途地域の確認などどちらの場合でも注意しなければならないことがある一方で、それぞれ違いもあります。購入時の参考にしてください。

まとめ

「宅地」は、施工業者を自由に選択できるが、インフラ整備がされていない状態で販売される

「分譲地」は、施工業者が決められている場合が多いが、インフラ整備がされた状態で販売される

●取材協力
佐川 旭さん

佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける
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取材・文/籠島康弘 
公開日 2019年06月07日
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