「底地」とは? 「借地」と何が違う? 底地の買取・売却までわかりやすく解説

「底地」とは? 「借地」と何が違う? 底地の買取・売却までわかりやすく解説

相続や不動産投資を行う中で「底地(そこち)」という言葉を見聞きした人もいるのではないでしょうか。「底地」とはどんな土地でしょうか。「借地」と何が違うのでしょう。司法書士の清水さんと、不動産コンサルタントの長谷川さんに教えてもらいました。

「底地」とは? 「借地」と何が違う?

底地とは?

「底地(そこち)」とは、借地権(下記を参照)が設定されている土地のことをいいます。「貸地(かしち)」とも呼ばれます。底地の所有者が地主、土地を借りている(借地権を持っている)人を借地人(しゃくちにん)といいます。

底地を所有する地主には、借地人に土地を貸すことで地代(賃料)を受け取れる権利や、契約更新などの際に借地人から一定のお金をもらえる権利があります。また借地人が他の人に借地権を売買する際は地主の承諾が必要で、その際は承諾料を請求できます。

底地=他の人に貸すことで、何らかの利益を得ている土地、ということもできます。

底地は他の人に貸すことで利益を得ている土地
(画像提供/PIXTA)

借地とは?

「借地(しゃくち)」とは、他人から借りている土地のことです。借地には「借地権」という権利があります。これは土地を借りた人(借地人)が、そこに自分の建物を建てるなど土地を利用する権利のことです。

つまり「底地」と「借地」は、物理的には同じ土地です。土地を貸している地主から見れば「底地」であり、土地を借りている借地人から見れば「借地」ということです。

地主から見れば「底地」、借地人から見れば「借地」
地主から見れば「底地」、借地人から見れば「借地」

固定資産税や都市計画税が必要なのは「底地」? 「借地」?

固定資産税や都市計画税は、土地と建物ともに課税されます。そのため「底地」の所有者である地主は土地の、建物の所有者である借地人は建物の、それぞれ固定資産税や都市計画税を払うことになります。ただし、後述しますが、底地や借地にある建物の課税標準額は、それ以外の土地・建物と比べて評価が低くなります。

課税対象者は土地と建物で異なる
(画像提供/PIXTA)

借地権のほうが守られている?

地主から見て、一度借地人に貸した土地(借地)は、正当な事由がない限り取り戻すことは難しいでしょう。それは借地人を保護するという観点で明治時代に「建物保護ニ関スル法律」、大正時代に「借地法」「借家法」が定められたためです。これらの法律は一般的に「旧借地法」と呼ばれています。

旧借地法では当時の世情を反映し、立場の弱い借地人を保護する観点から制定されました。なにしろ、江戸時代から他人の土地を借りて家を建てる、あるいは農業をするといったことが当たり前のようにありました。経済的に余裕のある地主が、経済的に不利な土地のない人に土地を貸す、という構図です。

そのため、一応借地権では契約期間が20年や30年という期間が設けられているのですが、先述のように立場の弱いと思われる借地人を守るため、正当事由がない限り期限が来ても契約は更新されることになっています。また底地を所有する地主は、借家人から地代や契約更新料を受け取る権利があるといいましたが、その金額は一度決められたら金額を上げることがほとんどできません。地主からみれば、一度貸してしまったら二度と帰ってこないし、貸すことで利益を上げようにもままならないというわけです。

しかし時代が進むにつれ、地主が必ずしも経済的に余裕があるというわけでもなくなってくると、いわゆる旧借地法が実態にそぐわなくなってきました。そこで契約期間をしっかりと定めた「借地借家法」(一般的に「改正借地借家法」と呼ばれています)が平成4年8月に施行されました。この中で、「定期借地権」という文字のとおり、あらかじめ定められた期間が満了したら、更新せず、土地を所有者に返還する制度が設けられました。

「改正借地借家法」では契約期間が明確に定められるように
「改正借地借家法」により、契約期間が明確になった

ただし、借地借家法が施行される以前に契約が結ばれた借地権には、旧借家法が引き続き適用されるので、相続や売買の際は注意が必要です。

底地の評価額はどうやって決まる?

底地の相続税はどうやって算出される?

底地かどうかを問わず、土地を相続する際の相続税は相続税評価額が基準となります。相続税評価額は国税庁が公表している「路線価」をもとに算出されますが、路線価が設定されていない地域の場合、「倍率方式」で算出されます。倍率方式は固定資産税評価額をもとに算出されます。

さて、底地の相続税評価額はどのようになるのか。ここではわかりやすいように「路線価」で見てみましょう。

路線価の一例
路線価の一例
(SUUMO編集部にて作成)

上記図で、道路上に記載されている「510C」や「490C」といった表記の数字部分が路線価です。数字の後ろのアルファベット(A~Gの7種類)は借地権割合を示し、A=90%、B=80%、C=70%……G=30%となります。

「510C」と表記されている道路に面している土地は、1m2あたり510千円、つまり51万円という意味です。底地でない場合は1m2あたり51万円ですから、例えば100m2の土地なら相続税評価額は5100万円ということになります。

しかし底地である場合、510Cなら70%が借地権ですから、5100万円×(100%-70%)=1530万円、ということになります。

このように底地の相続税は、一般的な土地よりも低く、また底地よりも借地権のほうが高く評価されます。なお借地権割合は国税庁が定めていて、土地の利用価値が高い地域ほど借地権割合が高くなります。

底地の売買で注意すべき点は?

「底地」は売却しにくい?

ここまで見てきたように、地主からみれば底地はなかなか返してもらえず、途中で地代を上げることが難しい土地です。金融機関も底地を担保にお金を貸してくれることはまずありません。そのため底地を売却するのは難しいでしょう。

ただし「底地」の固定資産税を地代で十分まかなえて、ある程度利益が出ている場合は、その利益に応じて借地人以外の第三者に売れる可能性もあります。その「底地」がどれだけの利益を上げるのか、いわゆる「利回り」次第で売却価格も変わります。

借地人が「底地」を買う可能性は?

では底地に住んでいる借地人なら、底地を買うかといえば、実はそうとも限りません。売買価格にもよりますが、地代のほうが安いと思えば、わざわざ土地を買わなくても今の暮らしを維持できるからです。

ただし、借地の場合は底地同様、金融機関から担保設定してもらいにくいため、例えば住宅ローンを組んで建て替えることが難しくなります。家を建て替えるなら底地を買って土地も建物も自分のものにすれば(借地権を外せば)、土地を担保に住宅ローンを組めるようになるので、借地人が底地を買いたいと考えるかもしれません。

いずれにせよ底地を買い取るのは、底地を買ったほうが住宅ローンを借りられるなどメリットがあると感じた借地人か、底地の売買を得意とするプロの不動産会社になるでしょう。

まとめ

底地とは「借地権が設定されている土地」のこと

底地は、借地権を所有する借地人から見れば「借地」となる

底地は相続税が低くなる

底地や借地を担保にして金融機関からお金を借りることは難しい

底地は売却しにくく、売却価格もあまり期待できない

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取材・文/籠島康弘 イラスト/杉崎アチャ
公開日 2020年04月21日
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