地盤地図(マップ)、ハザードマップとは。家を建てる前に知っておきたい地盤のこと

地盤の情報がわかる地図(マップ)はある?家を建てる前に知っておきたい地盤のこと

地盤は家を支える大切なもの。安心して暮らすためには、土地の地盤の強さを知り、それに合わせた対処をする必要があります。でも、地盤の情報ってどうやって調べればいいのでしょう? ジャパンホームシールド 地盤技術研究所の内山雅紀さんにお話を伺い、地盤について知っておくべきポイントをまとめました。

そもそも地盤とはなに? 家を建てるのにぴったりなのはどんな場所?

地面や土地、敷地、宅地、地盤など、さまざまな呼び方がされる陸地の表面部分。その地面を、どう利用するのか、どう見るのかなどによって呼び方が変わってきます。この記事のテーマである「地盤」は、住宅など建物の基礎からの荷重が地面に伝わる地中部分のことを指しています。
地盤は住宅の基礎を支える大切な部分。地層の種類や年代、成り立ちによって、地盤の硬さが違ってきます。また建物の荷重に対して必要とされる地盤の強さは違ってきます。

家を建てるときには、安全性を高めるために地盤を補強する「地盤補強(地盤改良)」を行うことがあります。地盤の条件や建てる建物の規模などによりますが、硬くて安全性の高い地盤だと、この補強が不要になり、コストを抑えることにつながります。

軟らかい地盤の場合、何も対処をせずに家を建てると基礎の沈下によって住宅が傾くなどのトラブルが起きます。ただし、適切な地盤補強工事を行うことで、沈下を防ぐことが可能です。

つまり、家を建てるなら、住宅の基礎をしっかり支える安定した硬い地盤に、もし軟らかい地盤であっても適切な地盤補強工事を行うことができます

硬い地盤、軟らかい地盤はそれぞれどこにある?

地形は、丘陵地や台地と呼ばれる標高の高いところと、川の周辺に広がる平野部の2つに大きく分けられます。

標高の高いところは硬い地盤が多い

「丘陵地など標高の高いところには洪積層というものがあります。これは硬く、良好な地盤ですが、斜面が多い地形のため、場合によっては造成をして土地を平坦化して家を建てる必要があります」(内山さん、以下同)

平野部は軟弱な地盤が多い

「一方、洪積層よりも新しい沖積層が広がる平野部、さらに平野部でも低い湿地などを埋め立てたり、盛土※1をしたりした人工地盤は、いつ埋め立てや盛土をしたのかにもよりますが、一般的に軟弱地盤が多くなります」

※1盛土(もりど):低い土地や谷間、山の斜面に土を盛って平坦な地面をつくること

良好な地盤の洪積層、軟弱な地盤の沖積層や人工地盤をあらわしたイラスト
谷底や平野から一段高い段丘や台地を構成しているのが洪積層。河川沿いや沿岸の低地の平野を構成するのが沖積層(イラスト/つぼいひろき)

平野部でも強い地盤、丘陵地でも弱い地盤がある

洪積層によって成り立っている丘陵地や台地はすべて良好な地盤で、沖積層や人工地盤が広がる平野部はすべて弱い地盤なのかというと、そういうわけでもありません。丘陵地でも家が傾く不同沈下が起きたり、川のそばの地盤がしっかりしていたりということも。

丘陵地や台地でも窪んだ谷地になっているところに盛土をしていれば軟弱地盤となります。特に切土※2をしたところと盛土をしたところの境目に建てた家は要注意。不同沈下の可能性があります。

一方、平野部でも地盤の強いところはあります。昔、川が氾濫し、あふれた砂が堆積してできた場所は自然堤防と呼ばれる強い地盤です。こういう場所は、昔からの市街地になっているケースが多く、土地が売り出されたときに高い価格で売り出されることも多いですね」

※2 切土(きりど):斜面を切り取って平坦な地面をつくること

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左はもともとある地盤のうえに土を盛った盛土。土や家の重みで土中の空気や水分が抜けて、家が傾くことがあります。右は斜面を削った切土と高低差をならすための盛土。地盤の強さに違いがあるため、地盤の弱いほうへ家が傾くことがあります(イラスト/つぼいひろき)

地盤の情報の調べ方。まずは確認したい「ハザードマップ」

2000年の建築基準法改正で、住宅は原則として地盤調査の結果に基づいた設計をしなければならなくなりました。土地を買って注文住宅を建てるなら、まず地盤調査を行うことになります。でも、地盤補強のコストを抑えるためにも、できるだけ安定した地盤の土地を買いたいと考えるなら、土地探しの段階で、住みたいエリアの土地情報、地盤情報を知っておくことが大切です。

必ず確認したいのはハザードマップです。

ハザードマップとは、その地域にどのような災害リスクがあるかを示したもの。洪水や津波、高潮、土砂災害、地震、火山の噴火などの災害が対象。どのような状況で、どのような被害が想定されるのか、地図上に色分けなどでわかりやすく表示されています。

多くの自治体がハザードマップを作成しており、WEBで閲覧、ダウンロードできたり、パンフレットとして配布をしたりしています。国土交通省「ハザードマップポータルサイト」でも、住所を検索することで災害別の情報を確認することができるほか、各自治体が公開しているハザードマップへアクセスするリンクも掲載されています。

地盤情報を知る前に、まずはそのエリアの地震や浸水のリスクを把握しておきましょう。

地盤マップ(地図)からは、何がわかる?

地盤については、今回取材をさせていただいたジャパンホームシールドが運営する「地盤サポートマップ」から、さまざまな情報を得ることができます。

地震、液状化、浸水、土砂災害など防災情報を住所から検索

住所で検索してレポートを作成することで、その土地の標高や地質、大雨時の浸水や土砂災害の可能性、地震時の揺れやすさや液状化の可能性などを確認できます。

地盤サポートマップの検索結果のイメージ
住所から検索した地盤などに関する詳しいレポートには、防災情報もわかりやすく記載されています(画像提供/ジャパンホームシールド)

海や谷の埋め立て地や盛土地を「土地条件図」でチェック

家を建てる土地が決まっていない段階なら、住みたいエリアや購入候補の土地があるエリアの地盤の種類を「地盤情報」の中にある「土地条件図」で調べることができます。

「台地の場合はいつごろ形成されたものなのか、平野の場合は河川の氾濫によってできたのか、海水面の低下によって陸化したのかなど、細かく色分けされたマップでその土地のできた経緯がわかります。人工地形の場合も、低地に土を盛ったのか、海や谷を埋めてできた盛土地なのかといった詳細を見ることができます」

地盤サポートマップの土地条件図からわかる地盤の種類
東京都中心部の地盤の種類が分かる土地条件図。濃いオレンジ色は約1万年前より古い時代に形成された台地や段丘(画像提供/ジャパンホームシールド)

古い航空写真や地図で谷や川だったら、盛土の可能性あり

地盤サポートマップの「航空写真」から見ることができる古い写真や、国土地理院のホームページなどで公開されている古い地図から、その土地が過去にどのような使われ方をしていたかを調べることもできます。

「航空写真を見ることで直感的にわかることが多くあります。例えば丘陵地の宅地で見ていただきたいのは、そこに谷があったかどうか。売り出されている土地が、過去の航空写真で黒っぽい影になっていたら、そこは窪んでいるところに盛土をして平坦にした可能性があります。また、古い航空写真や地図から川が流れていたような跡を発見することも。現在の地図に川が描かれていなければ、そこに土を入れて盛土をしているということがわかります」

古い航空写真からわかる土地の窪みを示した画像
赤い枠で囲んだ部分は周辺よりも窪んでいる土地。もしも、現在、窪みがなくなっていれば、盛土をして平坦化したと考えられます(画像提供/ジャパンホームシールド)

地形図からは、何がわかる?古い地形図で水田だったら地盤補強を

地形図とは地形を詳細に示した地図。標高や起伏、河川や道路、建物や土地利用などの詳細がわかります。

「家を建てるならぜひチェックしていただきたいのが古い地形図です。現在は宅地だけれど古い地形図で水田になっているところは、だいたい盛土をしているのでもとは軟らかい地盤です。

畑だった場合は、硬く締まる砂がちな土壌の場合が多いので心配は少ないのですが、水田だった場合は水分を多く含む軟弱な地盤である可能性があるため適切な地盤補強が必要です」

水田があったことがわかる古い地形図
地図記号で水田は「II」、畑は「V」ですが、古い地形図や地図では水田は「II」のみが乾田、下に横棒1本もしくは2本は水田・沼田を表していました。乾田は水を入れない冬場は乾いた地盤であるのに対し、水田・沼田は水を入れなくても湿っている地盤を表しており、水田・沼田の方がより軟弱地盤であることが多いといえます(画像提供/ジャパンホームシールド)

地盤沈下や液状化しそうな場所は?

地盤情報が記載されたマップや航空写真、古い地形図などからわかる地盤や、過去の土地の履歴。そこから、地盤沈下や液状化の可能性は読み取れるのでしょうか?

「地盤沈下の可能性があるのは、水域だったところ等に土を入れた旧河道といわれる場所や水田、低地などで、過去10年くらいの間に盛土をしたところです。盛土の厚さにもよりますが、土を入れてから月日がたつと地盤は徐徐に安定していきます。しかし、過去10年くらいの盛土では、まだ安定化の途中段階である可能性があり注意が必要です。

もうひとつが寒い地域に見られる泥炭地※などの腐植土の地盤(特殊地盤)。このような地盤は、水分を多く含むため建物の荷重で地盤沈下を起こします。マップなどからは見つけにくいのですが、その地域を歩いてみるとビルやコンビニなど建物の基礎部分やマンホールが、地面から浮いている『抜け上がり』という現象が発生することがあります。これは、駐車場や道路の地面が地盤沈下で下がっても、硬い支持層まで杭を打った建物や地面から数mという深さまで設置されているマンホールは沈下せずに地面よりも高くなる状態です」

※泥炭(でいたん):植物が完全に分解されずにできた腐植土

地盤沈下の跡を発見した人のイラスト
軟弱地盤の地域を歩いてみると、地盤沈下をした跡を発見することがあります。土地探しの際には、更地になった土地だけでなく、周辺の建物と地面の様子などを見てみることが大切です(イラスト/つぼいひろき)

古くからその地域に住んでいる人は、特殊地盤かどうか把握していることが多いので、地域に詳しい人に尋ねてみるのもいいでしょう。

また、液状化しやすいのは、盛土や埋め立て地といった人工地盤だそう。自治体によってはハザードマップに液状化の発生傾向を盛り込んでいるところもありますから、確認してみましょう。ジャパンホームシールドの「地盤サポートマップ」でも、「防災情報」で液状化の可能性を確認することができます。なお、過去に液状化した地域では、腐植土地盤と同様に抜け上がり現象が確認できる場合があります。

地面が沈下して、建物が浮いているように見える状態
杭基礎により建物は沈下せず周囲の地盤が液状化により沈下したため、浮き上がったように見える建物(画像提供/ジャパンホームシールド)

家を建てるなら、地盤の何にどう注意しておけばいい?

地盤の状態を知ったうえで適切な対処を

家を建てるための土地を探す場合、また、購入後の注意ポイントは何でしょうか?

「土地探しでは、ハザードマップのチェック、最近、盛土をした土地や腐植土などの特殊地盤ではないかを確認しましょう。購入後は、地盤調査をして適切な対策が必要。盛土などの軟弱地盤の場合、地盤対策に100万~500万円程度かかることもあります。安さを理由に購入した土地で、対策費が思った以上にかかることも。土地代と地盤対策費はセットで考えるといいでしょう」

中古戸建ての地盤は基礎の状態や傾きをチェック

中古戸建てを購入する場合も、地盤の状態は気になるでしょう。特に、建築基準法が改正される2000年よりも前に着工された中古戸建ては、地盤調査を実施していない可能性もあります。

「中古の戸建て住宅では地盤に対する対策が不足しているケースもあります。しかし、すでに家が建っている地盤を補強するのはコスト的に難しく、建て替えができるくらい費用がかかります。中古戸建ては契約前に、基礎にヒビがないか、建物が傾いていないかをインスペクションで確認することがポイントです」

地盤の状態は、地盤調査をすることで確認できます。しかし、土地探しの段階では、ハザードマップや地盤マップなどで調べておくことも大切。軟弱地盤の場合は、地盤調査をしっかり行い、地盤の状態に対してどんな対処をするのかをハウスメーカーに確認しましょう。

まとめ

住宅をしっかり支えるには硬い地盤が安心

軟弱地盤の場合は適切な地盤補強をしたうえで住宅を建てることが大切

地盤の情報は地盤サポートマップや古い航空写真や古い地形図を現在の状況と照らし合わせることで推測できる

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取材・文/田方みき イラスト/つぼいひろき
公開日 2022年01月26日
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