登記簿謄本とは?オンラインで取得・請求できるの?取り方、メリットデメリット、料金を解説

最終更新日 2023年09月20日
登記簿謄本とは?オンラインで取得できるの?取り方、メリットデメリットを解説

確定申告で住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けるときや、住まいを売却するときなどに必要になる「登記簿謄本」。インターネットで請求することもできるらしいが、法務局の窓口で登記簿謄本取得を行う場合とどう違うのだろう? 実際に、インターネットで取得してみた。

登記簿謄本って、何が書かれているもの?

登記簿謄本、登記事項証明書、いろいろあって混乱。どう違うの?

よく耳にする「登記簿謄本」という言葉。しかし、法務局のWEBサイトなどでは、「登記事項証明書」という言葉も使われている。どう違うのだろう?

不動産の登記簿謄本は、その土地や建物の概要、所有者、抵当権設定など、これまでの記録や現状が記載されているものだ。これらの登記情報は、以前は登記簿という紙の書類に記載されていた。登記簿謄本が必要になって取得する場合は、その不動産を管轄する登記所(法務局や、法務局の支局、出張所)の窓口へ行って直接請求するか、郵送で請求し、登記簿の写し(コピー)を受け取っていた。

しかし、現在はコンピュータ化されたことにより、登記情報は紙の登記簿ではなく登記記録というデータとして保管されている。もともと「謄本」には原本を転写した文書という意味がある。データから登記情報の証明書を発行するようになったため、「登記簿謄本」という名称は、「登記事項証明書」と変更されたのだ。

つまり、登記簿謄本と登記事項証明書はほぼ同じと考えていい。現在も、一般的に浸透している登記簿謄本という言葉は使用されているが、登記事項証明書が正式名称だ。

かつての名称 現在の名称 書類の内容
登記簿謄本 登記事項証明書 土地や建物の所在地や構造、面積、所有者や抵当権設定の記録・現状が記載されている
登記簿抄本 一部事項証明書 登記記録の一部を出力した証明書

登記事項証明書は内容によって4種類

登記事項証明書は、一部事項証明書のほかに、記載内容によって以下のように4種類に分けられる。

全部事項証明書 登記記録に記録されている全ての事項が記載されたもの(閉鎖登記記録を除く)
現在事項証明書 以前の所有者や抹消された抵当権(担保権)が記載されず、現在の権利状況だけが分かるもの。現在の状況だけが分かればいい場合は、現在事項証明書が見やすく分かりやすい
一部事項証明書 登記記録の一部が記載されているもの。例えば、大規模なマンションの敷地は権利者が多く、全部事項証明書を請求すると書類のページ数が膨大になる場合もあるため、自分の記録のみが必要な場合には一部事項証明書を請求するといい
閉鎖事項証明書 登記記録がデータ化される以前の、手書き・縦書きで記録されていた登記簿謄本。そのほか、データ化される前に合筆された土地や滅失された建物などの記録が記載されたもの。その不動産を管轄する法務局でのみ取得が可能

登記簿謄本はどこでどうやって取得できるの?

窓口へ行くか、オンラインで取得が可能

法務局から登記事項証明書を取得するにはいくつかの方法がある。

まず、登記所(法務局や、法務局の支局、出張所)の窓口で交付申請を行い、受け取る方法。以前は、その不動産を管轄している登記所へ出向くか、郵送でやりとりする必要があったが、オンライン化されたことで離れた場所にある不動産の登記事項証明書を、最寄りの登記所で受け取ることができるようになった。

そのほか、オンラインで請求し、受け取る方法もある。法務局の「登記・供託オンライン申請システム」内の「かんたん証明書請求」から交付の請求をし、受け取りは登記所の窓口か郵送だ。

交付請求・受け取り方法によって手数料などが違う。下の表にまとめた。

交付請求の方法 受け取り方法 手数料※
登記所窓口 登記所窓口 600円
オンライン 登記所窓口 480円
オンライン 郵送 500円

オンラインで請求するメリット、デメリットは? 実際にやってみた

オンラインで手続きが済む法務局の「かんたん証明書請求」。実際に、筆者の自宅の登記事項証明書の交付を請求してみた。

オンラインでの交付請求自体は簡単

まずは、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスし、申請者情報登録を行う。申請者IDやパスワードを自分の好きな文字列で設定し、登録が済んだら「かんたん証明書請求」にログイン。「証明書請求メニュー」のページから「不動産」を選択し、必要事項を入力していく。操作手引書もダウンロードできるので、読みながら進めていくといい。窓口で受け取るか郵送してもらうかの交付方法を選び、手数料を払うための「納付情報」が発行されたら、手数料を納付する。

手数料の納付方法に注意

手数料の納付方法は、インターネットバンキング、またはPay-easy(ペイジー)マークのあるATMを使う。インターネットバンキングが使えない場合は、ATMから納付することになるが、すべての金融機関が対応しているわけではないので注意が必要だ。

自宅で請求と受け取りができる点がメリット

オンラインを使った場合のメリットは、窓口で請求する場合よりも手数料が安いこと。そして、インターネットバンキングと郵送を選択すれば、家から一歩も出ることなく登記事項証明書が入手できる。

郵送の場合、到着までの日数は?

筆者が選択したのは「郵送」での交付。証明書を発行してくれる管轄の登記所に、何日くらいで届くのかを電話で確認してみたところ、手数料の納付が済めば1~2日後には配達されるそうだ(速達も利用できる)。ただし、かかる日数は登記所によって、また、手続きの混み具合によっても変わってくるため、確定申告時期などは余裕をもって申請したほうがいいだろうとのこと。

申請前に必要な準備は?

オンラインで請求する場合も、窓口へ出向いて請求する場合も、その不動産の「所在・地番」(登記上の住所)が必要。これは普段使っている住所(住居表示)とは違う表記になっているケースがほとんど。「所在・地番」は不動産の権利書や固定資産税の納税通知書に書かれているので事前に確認を。分からない場合は、法務局に問い合わせれば教えてもらえる。
また、オンラインで請求する場合は、インターネットバンキングが利用できるか、行きやすい場所にPay-easy対応のATMがあるかを調べておこう。ATMが不便な場所にある場合、登記所の窓口で直接請求したほうが便利なこともある。

閲覧だけなら「登記情報提供サービス」が利用できる

登記事項証明書の内容を見たいだけなら、インターネットで登記情報を確認できる「登記情報提供サービス」がある。その不動産の所有者のみが記載された「所有者事項」と、登記記録全てが記載された「全部事項」をPDFでダウンロード可能。所有者事項のみなら手数料は1通当たり145円、全部事項のみなら手数料は335円で、クレジットカードで支払いが可能。

住宅ローン控除や住まいの売却などの際に必要な公的な証明書には使えないが、登記されている内容を知りたいだけなら、手数料の決済が終了次第、すぐに閲覧できるので便利(ただし、利用可能なのは平日8:30~21:00)。

所有者事項
不動産の所有者が誰なのかが分かる「所有者事項」。登記情報提供サービスで取得したもの

取得した登記簿謄本、どこを見ると何が分かる?

表題部で物件の概要が分かる

では、登記情報提供サービスで入手した、登記事項証明書の情報をもとに解説していこう。

・表題部
表題部

これは、マンションの専有部分についての情報。専有部分が何階のどの住戸なのか、敷地の所有権割合はどれくらいなのかが分かる。住宅ローン控除の書類に記入する「床面積」は、登記事項証明書に記載されている「床面積」を書くこと。

権利部(甲区)で誰が所有しているかが分かる

・権利部(甲区)
権利部(甲区)

権利部(甲区)には、その不動産が、いつ、誰が、どうやって取得したのかが記載されている。現在の所有権を確認する際には一番下の欄をチェック。何度も売買を繰り返されてきた物件ほど、この欄の数が多くなる。

権利部(乙区)で所有権以外の権利関係が分かる

・権利部(乙区)
権利部(乙区)

権利部(乙区)で分かるのは、その物件に対する所有権以外の権利関係。住宅ローンを借りたときに担保として設定される抵当権。そのほか根抵当権、地役権、地上権など。住宅ローンを完済し、抵当権が抹消されるとその旨が記載される。この登記事項証明書では、まだ抵当権が設定されている(住宅ローン返済中)ことが分かる。

登記簿謄本(登記事項証明書)を取得するには、いくつかの方法がある。オンラインでの交付請求は便利だが、郵送を選ぶと受け取るまでに日数がかかる。また、住所ではなく「所在・地番」を事前に確認しておく必要もある。今後、確定申告などで必要になる人は、どの取得方法を選ぶにしても早めに準備がオススメだ。

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取材・文/田方みき
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