土地や家の相続放棄とは どんな場合に有効?メリットやデメリット、手続きは?

将来空き家になりそうな実家の家や土地、親が何十年も前に買ってしまい放置している山林や原野の土地。遺産として相続したくない不動産がある場合、相続放棄はできるのだろうか。手続きはどうすればいいのだろう。日本相続知財センター 札幌の常務理事で行政書士、相続診断士の成田幹さんに話を聞いた。

遺産を受け取りたくない!相続放棄ってどんなこと?

「相続放棄」って何? どんなメリット・デメリットがあるの?

相続が発生したときに、相続人が遺産の相続を放棄する「相続放棄」。原則、親等の被相続人が亡くなってから(自己のために相続の開始があったことを知ったときから)3カ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行うことで認められる。

「亡くなった方(被相続人)に預貯金などの財産よりも借金が多い場合など、マイナスの相続になる場合に相続放棄が選ばれるケースが多いです。相続放棄をすることで、親が遺した借金を返済していく必要がなくなるというメリットがありますが、同時に、借金以外の財産を相続する権利も失うデメリットがあります」(成田さん、以下同)

相続放棄をすると、遺産はどうなるの?

法定相続人全員が相続放棄をした場合、遺産の預貯金や債券類、美術工芸品類、そして借金は、その後どうなるのだろう?
「親族等にも引き取り手がいない場合、家庭裁判所に申し立てをすることで、家裁が遺産の精算を行う相続財産管理人を選任。残った財産は最終的には国庫に帰属させることになります」

相続放棄ができないのはどんなケース?

親が遺した借金を引き継がないよう、相続放棄を考えていたのに、それができないケースがある。

まずひとつは、家庭裁判所に相続放棄を申し立てる期限(3カ月以内)を過ぎてしまった場合。

「もうひとつは、遺産の一部に手をつけてしまった場合。遺品整理をして被相続人が所有していた車や美術品などを売却し、そのお金を使ってしまった場合など、相続放棄はできなくなります」

土地や家の相続はトラブルになりがち?

優良な不動産でも要注意。生前の対策が重要

相続財産の大半が預貯金や、株券や国債などの有価証券といった現金化して分けやすいものの場合はまだいいが、土地や不動産など分割しにくい財産がある場合、もめごとの原因になることがある。

例えば、兄が実家のマンションを相続し、弟にはそのマンションを売却した場合に得られそうな金額の半分を現金で渡したとしても、「このへんの物件は年々値上がりしているから、マンションを手に入れた兄貴のほうが将来的にトクなのではないか」「将来、もしも賃貸に出して家賃が得られたら、それを兄貴が独り占めするのはずるい」など、弟に不平不満が出ることも。

また、「相続した不動産に住みたい」「売却してお金で分けたい」など、希望や価値観の違いからもめるケースもあるようだ。

大切なのは、遺族がもめないように、被相続人が元気で意思表示ができる状態のうちに、相続について話し合い、遺言書を残しておくこと。親世代が自ら将来の相続について切り出すのが理想だが、自分の死のことなど考えたくない親も多いだろう。

「親が準備をする気配がなければ、子どもがうまくリード。その場合、弁護士や税理士、行政書士、司法書士など第三者から、生前に準備をしておかないことで発生するリスクについて説明してもらうと、親御さんも重い腰を上げるのではないでしょうか」

だれも相続したくない不動産はどうしたらいい?

住む可能性のない地方の実家や土地。売却できそうなら?

子どもたちが全員都会に出てしまい、親がひとりで暮らしている地方の実家。将来、売ったり貸したりしやすい不動産でも、相続の際にはもめごとが起こる場合があるのに、誰も欲しがらない家や土地が遺産として残る場合、どうすればいいのだろう。

「相続で問題になるのは、相続したい遺産(現金など)と相続したくない遺産(借金や不要な不動産など)が混在している場合。相続放棄をすれば相続したいプラスの遺産も手放すことになります。相続放棄をしなければプラスの遺産は手に入りますが、同時に遺族間で押し付け合うマイナスの遺産も出てくることになります。地方にある家や土地を相続すると、今も将来も住む予定はなくても所有しているかぎり毎年の固定資産税は納めなくてはなりません。空気の入れ替えや給排水管のメンテナンスのために、ときどき足を運ぶ手間もかかり、火事等が起きた場合の管理責任もあるため遺族の負担になることが多いのです」

では、地方にある実家を、将来、遺族で押しつけ合わないためにはどうすればいいのだろう。

「家や土地を売却できれば、利益に対する税金が発生しても、現金化できることで遺族で分けやすくなります。あまり利便性のよくない地方の一戸建てでも、お隣の土地の所有者が購入してくれる場合もあります。できれば生前に売却できればいいですね」

売れそうにない家や土地は相続放棄できる?

売却したり、賃貸に出すのはむずかしい実家の家や土地、そのほか、かつて親が購入し活用していない土地がある場合はどうすればいいのだろう。空き家のままになりそうな実家や、誰も欲しがらない土地を相続放棄で手放すことは可能だ。しかし、その場合、預貯金などのプラスの財産も相続できなくなるのは前述のとおり。

「相続放棄を視野に入れる場合も、被相続人が元気で判断能力があるうちに相続の方法について話し合い、相続人全員が納得する形で進めることが大切です」

将来の相続でもめごとにつながりそうな家や土地。重要なのは、相続が発生する前に対策を行うこと。家族の意見がまとまらない場合や、専門家や第三者のサポートが必要な場合は、行政書士や弁護士などの専門家が相続に関する相談を受けるサポートセンターに相談してみるといい。

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取材・文/田方みき イラスト/森越ハム
公開日 2018年11月05日
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