公的年金の受け取り額を増やすには? その方法と注意点

ここ最近、メディアが大きく取り上げて話題になったのが「年金2000万円問題」です。
これは、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(全51ページの報告書)の内容が話題になったものですが、メディアなどが一部分だけをピックアップして報じたため問題が大きくなったように思います。

話題になった部分の記載は次のとおりです(報告書P21から引用)

夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

この部分を一部メディアが「公的年金では2000万円不足する」と報じましたが、報告書の全文を読んでいただればそれほど問題視すべきものではないことが分かります。

とはいえ、多くの人にとって老後は、公的年金だけではゆとりのある生活を送ることが困難になってきているというのは十分に認識しておくべきですし、老後に向けた資産形成の必要性がますます高まってきていることは間違いないでしょう。

公的年金の仕組みや制度の内容を知っておこう

では、私たちにできることは何でしょうか?
やはりそれは、公的年金などの制度についての知識や、資産運用などの適切な考え方をきちんと学んで、それらを有効に使っていくことに尽きると思います。公的年金も、多くの人が当然のように加入し、保険料を支払っているのではないかと思われますが、制度内容をきちんと理解している人は意外と少ないように感じられます。例えば、公的年金も受取額を増やす方法がいくつかあるのです。

60歳以降に国民年金保険料を支払う任意加入

1つ目が、国民年金の任意加入です。これは、20歳以降で学生だった期間などに国民年金保険料を納めていなかった場合、その期間の国民年金保険料を60歳以降に支払うことで、年金額を満額に近づけることができる制度です。

ただし、20歳以降の学生の期間中に「学生納付特例」を利用して保険料の免除を受けた人で、大学卒業後などの10年以内に保険料の追納をした人は、学生納付特例を利用した期間も「保険料納付済期間」になっていますので、その期間分の任意加入は60歳以降になっても不可能です。

仮に20歳から2年間、国民年金保険料を納めていなくて追納もしていなかった場合、老齢基礎年金の年金額は、単純計算で満額よりも40分の2(=2年/40年)少なくなります。2019年度の満額(78万100円)で計算すると、年間で4万円弱少なくなるということです。「年間で4万円程度か」と思うかもしれませんが、公的年金は一生涯受給できます。20年で80万円近く、30年で120万円近くにもなるのです。60歳以降に任意加入する際は、60歳時点の国民年金保険料になりますので、現在とは金額が変わっている可能性はありますが、国民年金の未加入の期間がある人は、任意加入できることを覚えておきましょう。

受け取る時期を遅らせる繰下げ受給

そして2つ目が、誰もができる年金増額作戦、「繰下げ受給 」です!
実は、日本の公的年金は、65歳を基準として最大60歳までの繰上げ受給と最大70歳までの繰下げ受給ができるようになっています(現在、75歳までの繰下げも可能にする方向で検討されています)

繰上げる場合は1カ月あたり0.5%減額され、繰下げる場合は1カ月あたり0.7%増額されます。つまり、60歳まで繰上げると30%減額され、70歳まで繰下げると42%増額されるのです。この減額・増額された年金額は一生変わりません。長生きするのであれば、繰下げたほうがトクというのが基本です。

下表は、繰上げた場合に何歳までに亡くなればトクという損益分岐点と、繰下げた場合に何歳以上まで生きればトクという損益分岐点です。ただし、年金額の増減による税負担や社会保険料負担の変化を考えると、年金の手取り額で計算した損益分岐点は多少ずれます。

繰上げ受給の損益分岐点
受給開始年齢 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳
損益分岐点
(これより早く亡くなるとトク)
76歳8カ月 77歳8カ月 78歳8カ月 79歳8カ月 80歳8カ月
繰下げ受給の損益分岐点
受給開始年齢 66歳 67歳 68歳 69歳 70歳
損益分岐点
(これより長生きするとトク)
77歳10カ月 78歳10カ月 79歳10カ月 80歳10カ月 81歳10カ月

なお、加給年金(※1)や振替加算(※2)は繰下げによる増額の対象にはなっていないので、夫と妻の年齢差などによっては繰下げることが有利とは一概には言えなくなります。詳しくは年金事務所などに相談して確認するようにしましょう。

※1 老齢厚生年金を貰えるようになった時点で、その人が生計を維持し、65歳未満の配偶者または子がいれば、年金額が増える制度
※2 老齢基礎年金に加算される給付。大正15年4月2日~昭和41年4月1日生まれで、老齢基礎年金の受給資格があり、自身の年金加入期間のうち、厚生年金加入期間が20年(240月)未満などの条件を満たすことが条件

そのほか、現役世代の人にとっては、「収入を増やす」、「パートからフルタイムに変更する」などの方法で将来の年金額を増やすことも可能です。あらためて年金制度をきちんと理解して、将来に備えていくようにしましょう。将来的に行われる可能性のある制度改正についても、しっかりと見守っていくことが大切です。

参考
金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書
「高齢社会における資産形成・管理」(令和元年6月3日)
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

イラスト/杉崎アチャ

賃貸物件を探す
新築マンションを探す
中古マンションを探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
注文住宅の会社を探す
土地を探す
リフォーム会社を探す
売却査定する
公開日 2019年08月07日
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション・建築会社選びをサポートするプロ。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る