通称「コンビニ」、正確には「コンビニエンス・ストア(convenience store)」のconvenienceという言葉は、日本語では「便利」とか「利便性」という意味です。
まさに多くのお店が24時間営業でいつでも開いている、生活に必要なさまざまな商品が置いてあるなどの利便性によって、1980年代あたりから爆発的に全国に広まっていきました。
多くの人にとって便利なコンビニは、時代の流れとともに、その利便性をさらに高めていきました。単なる食料品や日用品の販売だけでなく、宅配便、ATM、各種チケット購入、各種料金の支払い、住民票等の発行、クリーニングなど、いまやコンビニさえあれば、生活上のほとんどのことが片付いてしまう時代になったと言っても過言ではない気がします。
そんなコンビニが、さらにサービスを充実させようとしています。それは「保険」です。古くは、十数年前からバイク自賠責保険や自転車保険などの取り扱いはありましたが、最近になって少しずつ取扱商品数が増えてきています。中心商品の損害保険だけでなく、生命保険であるガン保険の取り扱いを行うところも出てきました。
コンビニ大手3社の取扱商品は、以下のとおりです(2020年7月現在)
商品名 | 取扱保険会社 |
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・ガン保険 | 三井住友海上あいおい生命保険 |
・1DAY自動車保険 ・1DAYレジャー保険 ・バイク自賠責保険 ・自転車保険 |
三井住友海上火災保険 |
商品名 | 取扱保険会社 |
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・ちょいのり保険(1日自動車保険) ・バイク自賠責保険 |
東京海上日動火災保険 |
・自転車向け傷害保険 | 損害保険ジャパン |
商品名 | 取扱保険会社 |
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・ちょいのり保険(1日自動車保険) ・バイク自賠責保険 ・自転車保険 ・ゴルファー保険 |
東京海上日動火災保険 |
各社とも取り扱っていて補償内容もほとんど同じなのが、
(1)「1DAY自動車保険」・「ちょいのり自動車保険(1日自動車保険)」
(2)「バイク自賠責保険」
(3)「自転車保険」・「自転車向け傷害保険」
です。
「1DAY自動車保険」、「ちょいのり自動車保険」は、友人の車を借りて運転するとか、親の車を借りて運転するなどといった際、その車の持ち主が加入している自動車保険では被保険者の範囲から外れていて補償が受けられないような場合に役立つ保険です。
セブン-イレブンでは店舗にあるマルチコピー機、ローソンでは店内端末Loppiで申し込みと契約が可能です。ファミリーマートは、ネットで事前申込を行ってから店頭で保険料を支払うことで契約できます。
「バイク自賠責保険」は、車検のないバイク(250cc以下)や、いわゆる原チャリ(原動機付自転車)が対象の保険です。
そもそも、自賠責(自動車損害賠償責任保険)は、法律で加入が義務付けられている強制保険。定期的に車検を受けなければならない250cc超のバイクや自動車は、車検のつど加入し直しますので、加入し忘れは基本的にありません。
一方、車検のない250cc以下のバイクや原チャリは、自賠責への加入義務はありますが、車検がないので、加入し忘れの危険性があるのです。強制保険である自賠責は、どの保険会社で契約しても保険料は同じなので、近くのコンビニで契約できるというのは便利でしょう。
「自転車保険」、「自転車向け傷害保険」は、近年、加入を義務付ける自治体が増えてきていることが、ニーズの高まりにつながっています。関東でいえば、東京都・神奈川県・埼玉県が加入を義務付け、千葉県・茨城県・群馬県が加入を努力義務としています。
自動車保険に加入する際、特約として家族全員の自転車についての補償を付けているケースなど、すでに何らかの方法で自転車保険に加入している人は、重複してまで加入する必要はありませんが、未加入の人は検討する価値はあるでしょう。
そのほか、レジャー保険やゴルファー保険など、1日だけ補償が欲しいといったニーズを満たす保険がコンビニで取り扱われています。手軽に利用できるという意味では、確かにconvenienceでしょう。
しかし、保険は「たくさん入れば入るほどトク」というものではありません。また、必ずしもコンビニで加入することがトクとも言い切れません。本当に必要なのかどうかを冷静に検討し、ほかの加入方法も含めて複数社の商品を比較検討することが重要でしょう。
イラスト/杉崎アチャ