建築物省エネ法とは?これから住宅建てる人は、届け出は必要なの?

建築物省エネ法とは?これから住宅建てる人は、届け出は必要なの?

2015年7月に制定され、2016年4月から段階的に施行されている「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)」。この法律ができた背景や、一戸建てを建てる場合にはどう関係するのか、また、2019年5月に国会で成立した建築物省エネ法の改正についても概要を解説しましょう。

建築物省エネ法とはどんな法律? 対象になる建物は?

エネルギー消費を減らすことが日本の急務

日本のエネルギー需給は、東日本大震災以降ひっ迫しています。また、地球温暖化対策として、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度の水準から26%削減するというパリ協定の目標達成のためにも、エネルギー消費量を減らすことが大きな課題です。

製造業や農林水産業などの「産業部門」、人や物の輸送にかかわる「運輸部門」のエネルギー消費量が減少するなか、建築物部門ではエネルギー消費量は増加。下のグラフのように、建築物で消費されるエネルギーなどの「業務・家庭部門」は、いまでは全体の3分の1を占めています。そのため、住宅や建築物の省エネ対策の強化を図ることがとても重要。パリ協定でも、日本は2030年度までに業務・家庭部門の温室効果ガス排出量を約40%削減(2013年度比)することを約束しています。これが「建築物省エネ法」が制定・施行された背景といえます。

エネルギー消費シェアの推移
業務・家庭におけるエネルギー消費のシェアが増加している。「エネルギー消費シェアの推移」(国土交通省資料より)

建築物省エネ法には義務の「規制措置」と任意の「誘導措置」がある

建築物省エネ法は、日本のエネルギー消費量の削減のためにとても重要な法律ですから、その概要について知っておきましょう。

建築物省エネ法は2016年にスタートした「誘導措置」と、2017年にスタートした「規制措置」の大きく2つに分かれています。そのうち規制措置は、一定規模以上の建築物の新築・増改築が対象で「義務」とされています。

<規制措置(義務)>
■省エネ基準適合義務・適合性判定義務
2000m2以上の非住宅建築物を新築・増改築する際に省エネ基準への適合義務・適合判定義務が必要。以前は届け出義務だったので、建築物省エネ法の施行で適合や判定が義務化され、規制が強化されたことになります。

■省エネ計画の届け出
300m2以上の住宅を含めた建築物の新築・増改築では省エネ計画の届け出義務が必要なことのほかに、建築物省エネ法の基準に適合しない場合は、所管行政庁が計画の変更や指示、命令などをできるようになりました。

■住宅トップランナー制度
新築戸建を販売する事業主に対して、省エネ性能を高めた家を供給するよう推進する「トップランナー制度」は引き続き実施されています。トップランナー基準に該当する住宅は、【フラット35】の金利が一定期間引き下げられる【フラット35】Sの対象でもあるので、住宅を購入する人にとってメリットがあります。

■規制措置(義務)
施工日 内容
2017年4月1日 ■省エネ基準適合義務・適合性判定義務(2000m2以上の非住宅の場合)
■省エネ計画の届出(300m2以上の建築物)
■住宅トップランナーの制度
対象となる建築物:一定規模以上の建築物の新築・増改築
対象となる建築物:一定規模以上の建築物の新築・増改築

注文住宅を建てる際、建築物省エネ法はどうかかわってくるの?

延床面積300m2以上なら省エネ計画の届け出が義務

延床面積300m2以上の建築物の場合、新築・増改築にかかる計画を所管行政庁へ届け出る義務があります。オフィスビルやテナントビル、アパートなどの集合住宅のほか、一戸建も対象です。

300m2以上の一戸建てというとずいぶん大きな家という印象ですが、延床面積が大きいケースが多い二世帯住宅や、建坪が45坪程度を超える総2階の戸建てなどは該当する可能性があります。該当する場合、省エネ計画を着工の21日前までに所管行政庁へ届け出る必要があります

省エネ性能向上計画認定を受けることで、【フラット35】Sの対象に

一戸建で関係するのは「省エネ性能向上計画認定・容積率特例」と「省エネに関する表示制度」の2つ。これらは誘導措置と呼ばれ義務ではありません。

  • 省エネ性能向上計画認定

2016年4月1日以降に建築された住宅で、建築物省エネ法で規定された「エネルギー消費性能に係る誘導基準」と「熱性能基準(外皮[外壁、窓等]の熱性能)」を満たすことで、一定期間金利が引き下げられる【フラット35】S(金利Aプラン)を利用することができます。

認定を受けるためには、設計図書や認定申請書、登録省エネ判定機関による技術的審査適合証または設計住宅性能評価書といった書類を着工前に所管行政庁に提出、審査を受ける必要があります。

なお、容積率特例に関しては、一戸建てで利用できるケースは極めて少ないといえるでしょう。容積対象外となるのは、通常の建築物の床面積を超える部分(例 導入されている省エネシステムの機械スペース)。省エネシステムは(1)太陽熱利用、太陽光発電、(2)燃料電池、(3)コージェネレーションシステム、(4)地域熱供給、(5)蓄熱、(6)蓄電池、(7)全熱交換器で、このうち、(1)(2)(3)(5)(6)(7)は一戸建てでも設置できますが、(5)以外は一般住宅用は基本的に屋外設置(7の全熱交換器は天井内設置)となるため、容積対象外になる機械スペースを設ける必要がないためです。

  • 省エネに関する表示制度

省エネに関する表示制度は、行政庁による認定を受けることで、省エネ基準に適合していることを示す「eマーク」を表示することができます。また、建築物の省エネ性能を表す他の制度として「BELS※」があり、現状ではこちらの方が普及しています。「eマーク」「BELS」とも広告などに表示することができます。将来、売却することになった際、客観的な省エネ性能をアピールできるのがメリットといえるでしょう。

※BELS(ベルス)とは、建築物の省エネルギー性能について第三者機関に評価してもらい、5段階の星マークなどで表示するものです。建築物省エネ法の省エネに関する表示制度の基準適合はBELSでは星2つに該当します。ZEH等の補助金申請を行う場合、省エネ性能を評価するために提出が求められる資料のひとつです

法改正で300m2未満の住宅は、建築士からの省エネについての説明が義務化に

2019年5月、建築物省エネ法の一部が改正になりました。改正内容には、注文住宅を建てる際に関係することも。2年以内の施行が予定されているのは「戸建住宅等に係る省エネ性能に関する説明の義務付け」です。延床面積が300m2未満の小規模な住宅・建築物の新築の際、設計者(建築士)から建築主(施主)への省エネ性能に関する説明の義務づけが盛り込まれました。

国土交通省が行ったアンケート調査では、住宅購入等の当初は省エネ住宅に関心がない人のうち、「建築士等から具体的な提案があれば省エネ住宅を検討したい」と回答した人が81.4%と高い割合を示している。省エネ性能に関する説明が義務付けられることで、省エネ住宅を検討する人が増え、省エネ基準に適合した家づくりがより身近になるのではと期待されます。

イラスト

届け出や認定の申し込みなどは、自分でするの?

300m2以上の住宅の義務になる省エネ計画の届け出や、任意ではありますが「省エネ性能向上計画認定」「省エネに関する表示制度」の申請。これらは施主が自分で行うものなのでしょうか?

建築確認申請もそうですが、図面や書類の作成には専門的な知識が必要なものが多く、建築士資格を持たない人が自分で申請を行うのは難しいというのが正直なところ。申請は建築主(施主)が行うものではありますが、設計者が手続きを代行するのが一般的です。

まとめ

建築物省エネ法は日本のエネルギー消費量削減のために重要

一戸建ては、延床面積300m2以上の場合の新築・増改築で省エネ計画の届け出が必要

2019年5月の法改正で、新築の際、設計者から施主への省エネ性能に関する説明が義務化に

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取材・文/田方みき 
公開日 2019年06月28日
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