ズバリ!「貯金」は、「ダイエット」とよく似ています!特に、2つの点で酷似しているとさえ言えます。
1つ目が、一朝一夕には達成できないという点です。日々の意識と継続が重要。つまり、習慣化がカギになります。
もしあなたが、貯金やダイエットについて、うまくいった経験がなかったとしても、それはあなたがダメな人間だからではありません。気にしないでください。うまくいかなかったのは、おそらく、目的意識が弱かったか、頑張りすぎちゃったから、です。
とにかく、そんな過去のことは忘れてください。人生はいつでも「これから」です。あなたは大丈夫!ここで触れる方法を実践して、貯金もダイエットも成功させちゃいましょう!
そして、2つ目が、理屈はシンプルだという点です。
摂取カロリーよりも消費カロリーのほうが多ければ、体重は確実に落ちます。同様に、収入よりも支出のほうが多ければ、貯金はできませんし、貯金残高も確実に減っていきます。
ダイエットで重要なのは、摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすか。同様に、貯金で重要なのは、収入を増やすか、支出を減らすか、です。理屈はとてもシンプルなのです。
それはわかっているけど……という人も多いでしょうね。とにかく難しく考えないことが重要です。ここでは、あなたの家計がカンタンに貯蓄体質に変わっちゃう3つのステップをまとめておきますので、ダマされたと思って実行してみてくださいね。
目的とは、「何のために」です。
何のために貯金をするのか。何のためにダイエットをするのか。
この目的が明確でないと、目的意識が弱くなり、継続するパワーも弱くなってしまうのです。
単に、「お金を貯めたい」とか、「痩せたい」だけでは目的意識が弱くなりがちです。
「老後資金を貯めたい」、「〇キロ痩せたい」でも、弱いかもしれません。もっと明確にしましょう。目標数値や達成期限を設定するのもひとつの方法です。
「10年後までに500万円を貯めて、ナイアガラの滝を見に行く」とか、「1年以内に10キロ減量して、お気に入りの洋服で三ツ星レストランに行く」などといったように、達成したときの自分に対するご褒美まで明確にすると、やる気も格段に上がるはずです。
また逆に、以下のような危機意識を明確にするのもひとつの方法です。
「公的年金だけでは老後生活資金のすべてを賄うのは難しいようだ」、「平均でも約2000万円足りないという報道があったということは、ゆとりのある老後生活のためには3000万円は必要かもしれない」、「老後も元気なうちは旅行に行きたいし、美味しいものも食べたい」、「お金に困る生活はしたくない」など。
これらを、単なる言葉としてだけでなく、心の底から「このままだと、マジでヤバい!」と感じることができれば、やる気が出てくるはずです。「貯金しないとマズい」と。
ダイエットも同様です。極端な例ですが、「あと5キロ痩せないと、1年以内に死にますよ」と医者に言われたら、やる気が出ますよね?「痩せないとヤバい」と。
実は、この第1ステップの話は、貯金やダイエットだけでなく、仕事や勉強などにも通じる話です。目標を達成するためには、「何のためにそれをするのか」という目的を明確にすることが重要。そして、自分が目標を達成できてうれしい状態(うれしさをかみしめている姿)も想像してみてください。これを日々意識できると、習慣化するまでの日数を短くすることができます。
読書、運動、早寝早起き、勉強などなど。あなたが習慣化したいと思っている事柄は、あなた自身にとってメリットのある、とてもよいことであるはずです。しかし、なかなか習慣化できない。なぜかというと、頑張りすぎちゃうからです。
頑張ることがいけないわけではないのですが、いきなり「毎朝30分早く起きてランニングする」などといった、これまでの生活スタイルに比べて高めのハードルを設定してしまうと、1日や2日はクリアできても、習慣化できるようになる前に挫折してしまう可能性が高まります。「頑張ること」が「不快」になってしまうと、人間の脳は本能的に不快から避ける行動をとるように指令を出しますから、習慣化できる前に挫折してしまうのです。
習慣化するためのコツは、なるべく低いハードルを設定すること。ほんの少しだけ頑張ればできること、とにかく毎日の歯磨きのように日常のルーティーンに組み込める内容にします。そして、たとえ低めのハードルであっても、達成できたらその喜びをかみしめることです。自分で自分をきちんと褒めましょう。
「こんな低いハードルは達成できて当然」と思うのではなく、「よしよし、できてるよ!いい調子いい調子!エライよ自分!」と言ってあげるのです。できれば、配偶者やパートナーなど、習慣化に協力してくれる人と褒めあうことができたらサイコーでしょうね。
例えば、低めのハードルとしては、「毎日家計簿をつける」。ダイエットの場合の「毎日体重計に乗る」と同じようなものです。まずは現状を把握する。これが第一歩です。
無料の家計簿アプリもたくさんありますから、入力するのが楽しくなりそうな、ワクワク感が得られるものを選ぶのもいいですね。とにかく、お金の出入りがあったら入力するというのをクセづけていきましょう。
習慣化できるまでは、何回か、つけ忘れるかもしれません。でも気にしないでください。「まだ慣れていないから仕方ないね。大丈夫、大丈夫」と自分に言ってあげてください。
習慣化できるまでの日数は人によって異なります。1カ月足らずで習慣化できる人もいれば、3カ月以上かかる人もいるでしょう。これも気にしないでください。第1ステップで設定した目的を強く意識すれば、いつかは必ず歯磨きのように習慣化できますので。
そして、家計簿と同様の低めのハードルとしては、給与天引きなどで積み立てを始めてしまうのもひとつの手です。毎月1万円、それが厳しければ毎月3000円でもいいです。給与振込口座とは別の銀行や証券会社の口座など、貯まっていくのが目に見えたほうがモチベーションも上がりやすいので、新規で口座開設をしてもよいでしょう。これを機会に「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用していない人は、とっとと始めましょう。
そして、途中途中で小さな達成感をかみしめてください。貯まったお金が1年で3万6000円だったとしても、「たった3万6000円」などと思わないこと!
「これまで貯蓄グセがなかった私が貯められた!ヤッター!!」です。
1年も続いたんですから大丈夫。これからは、毎月6000円にチャレンジしましょう。
家計簿も続けられているなら、家計の見直しもできるはずです。削減できる固定費はないか。保険料やローンの支払い、通信費など、毎月の負担を引き下げることができるものがあれば、それは貯金の原資にできます。定期的に見直しをしてみてください。信頼できるFPに相談するのもひとつの方法です。
現代社会において、お金は命の次に大切なものとも言われます。しかし、単なる道具であることも忘れてはいけません。お金は、使ってこそ価値が生まれます。お金を貯めることは、目的ではなく手段なのです。
せっかくゆとりのある老後生活のためにお金を貯めたのに、不安で使えない人たちがたくさんいます。「使ったら減ってしまう」、「残高が減るのを見るのが怖い」ということのようです。
老後に対する漠然とした不安が、せっかく貯めたお金を使えないものにしてしまっているのでしょうが、何のために貯めたのか。他人事ながら、残念でなりません。
やはり重要なのは、上手に使うということです。お金は、貯めることよりも使うことのほうが難しいとも言えます。だからこそ、バランスを考えて使っていくこともクセづけていきましょう。
お金を使う喜びを大きくしながら貯めていく例としては、「週3回の外食を週1回に減らす代わりに、その1回の外食はこれまでより少し良いレストランへ行く」といった感じです。1回分の外食代は増えますが、トータルの外食費は下げられているので、外食の喜びを大きくしつつ、貯金を増やせます。
節約自体に喜びを感じられる人はいいのですが、多くの人はそうではないでしょう。節約が目的ではないはずです。節約をすることで、何かほかのことにお金を使うことができる。お金を使う喜びが待っているからこそ、節約できるのです。
あなたの家計を貯蓄体質に変える3つのステップ、いかがでしたか?
お金を貯めるには時間がかかります。欲しいもののために時間と労力をかける。それによって手に入れたものは、手に入れたときの喜びが大きいだけでなく、手に入れた後もきっと大切にするはずです。大きな喜びと感謝の気持ちも芽生えるでしょう。自分に対して自信も湧いてくるはずです。
この3つのステップは、人間として成長していくためのステップであると言っても過言ではないでしょう。貯金を通じて自分の成長をかみしめることができるのです。
あなたなら大丈夫です。できます。気楽に始めてください。明るい未来が待っています。挫折しても大丈夫ですよ。また第1ステップから始めればいいだけですからね。
イラスト/杉崎アチャ