本格的な防音室が自宅にあると、近所に気兼ねせずに映画鑑賞や楽器演奏を大音量で楽しめます。現在の持ち家にリフォームで防音室をつくる場合、一戸建てを新築する際に設ける場合、ぞれぞれ知っておきたいポイントは何でしょう。また、いくらくらいかかるものなのでしょうか。ここでは、ホームシアターと、ピアノとギターの練習室について解説します。
遮音性能の高いパネルと防音ドアでできた、部屋の形をした防音ユニットルーム。室内に設置することで、楽器や歌などの練習が気兼ねなくできます。アップライトピアノなら2.0~2.5畳、グランドピアノなら3.0~3.5畳など、必要な広さに合わせて選べます。部屋の壁や床を傷つけることなく、移設や不要になった際の撤去もしやすいので、賃貸住まいの方や引越しの可能性がある方にもぴったり。
価格は遮音性能が高いほど高額になり、2.0畳サイズは80万円台から、3.0畳サイズは100万円台から販売されているようです。中古での販売や、レンタルサービスも提供されています。また、部屋の大きさよりもひとまわり小さなユニットを入れることで、部屋全体を防音ルームにすることも可能です。
映画や音楽のソフトをホームシアターのスピーカーで再生するときの音は、一般的に80dB~90dBと言われています。近所や、眠っている家族などに気兼ねせずに楽しむには、性能の高い防音室にすることがポイントです。床・壁・天井だけでなく、窓やドアなどの開口部を防振二重構造にします。建物の本体の内側に、振動が伝わらない部屋をつくるイメージです。床だけなど、部分的な防音工事では建物本体に音が伝わり、期待する性能が得られない場合があるので注意が必要です。
費用は、一例ですが、部屋の外にほとんど音が聞こえないレベルの防音性能の6畳の部屋で、マンションなら200万~240万円、既存の木造一戸建てなら230万~260万円、一戸建ての新築時の施工で仕上げや電気工事を含まない場合は200万~260万円です(施工会社によって異なります)。一般的に、木造の住宅よりもコンクリート壁のマンションのほうが遮音性能が高いため、木造一戸建てよりもマンションのほうが施工費用が低くなります。
ピアノやギターなどの楽器を思う存分練習できる防音室。必要な防音レベルは、住宅の構造や周辺が静かな住宅地なのか幹線道路沿いなどのにぎやかな場所なのかによっても違います。また、室内で演奏する楽器の種類によっても違ってきます。例えば、エレキギターなどの音の大きさはピアノの10~20倍もあり、十分な防音・音響設計と確実な施工が求められます。
費用の目安は、6畳の部屋でマンションならピアノ演奏用で215万~230万円、エレキギター演奏用で230万~250万円。
既存の一戸建てならピアノは225万~250万円、エレキギターは265万~300万円。
一戸建て新築時の施工の場合は、ピアノ180万~195万円、エレキギターは210万~250万円です(施工会社によって異なります)。
防音室を快適に使うには、防音だけでなく、低音から高音まで美しく響く音響設計も重要です。ですから、防音室の設計や施工は、ノウハウをもった専門の会社に依頼するのが安心。
では、防音室の設計や施工はどんな会社に依頼するといいのでしょうか。防音効果や音響の良し悪しは、設計・施工の技術力によって大きく違います。ポイントは、実績が豊富で、これまでの施工例を公開してくれる会社かどうか。住宅の建築会社が行うオープンハウスにあたる見学会”オープンスタジオ”を積極的に行っている会社が安心でしょう。
なお、一戸建ての新築時に防音室を設けるなら、建物全体を設計・施工する建築会社との打ち合わせでは、建物のプランが決まる前の早めの段階で防音工事の専門会社に同席してもらい、工事の分担やスケジュールなどの調整をしてもらうとスムーズです。