上がり框(あがりかまち)とは?高さの目安、ない場合のメリット・デメリット。式台や手すりをつけるときの注意点

上がり框(あがりかまち)とは?高さの目安、ない場合のメリット・デメリット。式台や手すりをつけるときの注意点

普段はあまり気に留めない、玄関の上がり框(※)。新築やリフォームをするので高さや素材を決めなければいけない、年齢を重ねて段差が危なく感じるようになった、という方のために、高さの目安や、上がり框がない場合のメリット/デメリット、上がり框が高い場合の対処法などを、建築士の白崎治代さんに教えて頂きました。
※上がり框(あがりかまち)

上がり框とは?高さの目安はどのぐらい?

上がり框とは、玄関のたたきとホールとの間の境目の部分

上がり框とは、玄関のたたきとホールの境目にある部分のことです。玄関框とも言われています。日本の住宅の場合、段差があるケースが多く、その段差に腰かけて靴を脱ぎ履きしたり、段差により屋外のほこりやゴミが室内に入るのを防ぐ役割があります。

上がり框のイメージ
玄関の上がり框のイメージ。段差部分にある材を「框材(かまちざい)」、框材の下のへこんでいる部分を「蹴込(けこみ)」と言います(画像/PIXTA)

「玄関の上がり框は、下足と上足がはっきり分かれる日本の家ならではの部分といえます。昔の住宅は上がり框の高さが現在より高めで30cm程度の例もありました。ご近所さんが気軽に腰かけて、会話を楽しむ場としても使っていたようです」(シーズ・アーキスタディオ 白崎治代さん。以下同)

上がり框の高さは18cm以下を目安に

現在の戸建て住宅は、上がり框の高さは18cm前後が主流のようです。これは、国土交通省の「高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針」に18cm以下が望ましいと記されているためです。

ただ、上がり框の高さは、戸建住宅の方が高めで、マンションの方が低めのことが多いようです。これは、床下のつくりの違いからくるものです。

「一般的な木造住宅では、基礎、土台、床下地、仕上げ材の高さを合計すると、地面から1階床の立ち上がりが45~60cmぐらいになります。この高さを、玄関ポーチと上がり框とで上るため、上がり框の高さは15~20cmのケースが多くなるのです。

一方、マンションでは、共用廊下と室内の床を支えるコンクリートがフラットにつながるケースが多いです。その場合、室内の床下地と仕上げ材の厚さと、たたきの仕上げ材の厚さの差が、上がり框の高さになります。室内の床下地は必要最低限の高さでよいので、上がり框は5cm前後になることが多いようです。

新築やリフォーム時に、上がり框を高くしたい/低くしたいなどのリクエストをしても、住宅の床下のつくりなどにより希望に応えられないこともあります。その場合は、手すりやベンチを設けるなどの代案を提案してもらうとよいでしょう」

上がり框の高さのイメージ
イラスト上が木造住宅、下がマンションの玄関まわりの断面イメージ。上がり框の高さの差は、床下のつくりの違いから生じます(イラスト/長岡伸行) 

上がり框の形や材質の決め方は?

形は、玄関の広さや収納、動線との兼ね合いで決めよう

上がり框の形は、直線や斜め、L字型などさまざまです。

「どの形にするかは、玄関の広さや収納との兼ね合いで決めます。例えば、玄関スペースがあまり広くない場合、上がり框を斜めにすると、たたきとホールの両方に広い部分ができて使いやすくなるケースがあります。また、直線と比べると幅が長くなるので、複数人が並んで靴を脱ぎ履きできるようになります。

他には、下足のまま入る収納の出入口の位置や、ホールから居室までの動線を考慮して形が決まるケースが多いですね。S字や半円などの曲線をご希望される方もいますが、框材の加工コストが高くなります」

斜めタイプ
上がり框が斜めの実例写真
上がり框が斜めの実例。写真左手には廊下、写真右手に下足で入るシュークロークの入り口があるため、必然的に斜めに。手前の半円は造作のベンチ(写真提供/シーズ・アーキスタディオ)
L字型タイプ
上がり框がL型の実例写真
上がり框がL型の実例。写真正面は客間、写真左手は廊下につながる。玄関たたきから直接客間に上がれるようにするため、L型を採用(写真提供/シーズ・アーキスタディオ)
変形タイプ
上がり框が変形の実例写真
上がり框が変形の実例。狭小地の住まいの玄関で、たたきの広さを確保するために壁を変形に配置。その兼ね合いで上がり框も変形に。階段の1段目に腰かけて靴を脱ぎ履きすることも可能(写真提供/シーズ・アーキスタディオ)
曲線タイプ
上がり框が曲線のイメージ
上がり框が曲線の例(画像PIXTA)

素材は、ホールかたたきと揃えるのが一般的

上がり框の素材は、木や石が多く、ホールかたたきと揃えるのが一般的です。

「木の場合は、無垢材や木調建材、石の場合は大理石や御影石、人工大理石や石調建材を用います。たたきがタイルの場合は框もタイルにすると目地が汚れやすいため、木製にするか、タイルと同じか似たような色調の棒状建材を用いることが多いです。

素材は、ホールと揃える方が広く感じやすく、スッキリとした印象になりやすいと思います」

玄関ホールと同じ素材にした場合
上がり框をホールと同じ素材に揃えた例の写真
上がり框をホールと同じ素材に揃えた例。ホールとたたきとの間にメリハリが生まれ、スッキリと見えます(画像/PIXTA)
たたきと同じ素材にした場合
上がり框をたたきと同じ素材に揃えた例の写真
上がり框をたたきと同じ素材に揃えた例。天然石にするなら、メンテナンス方法も確認しておきましょう(画像/PIXTA)

上がり框のない場合のメリット・デメリットは?

メリットは、段差のない玄関がつくれること

近頃は、上がり框がない玄関も見られます。

「上がり框がないと、たたきとホールに段差のないバリアフリーの玄関がつくれます。その際、素材を揃えれば玄関スペースがより広く感じられるでしょう。ただ、同じ素材にすると靴を脱ぐ場所が分かりにくいので、マットを敷くなどの“目印”があるとよいですね」

上がり框のない玄関の写真
上がり框をなくして、たたきとホール、廊下を同じ素材で揃えた玄関(画像/PIXTA)

デメリットは、屋外のホコリや砂が室内まで入りやすいこと

上がり框がない場合のデメリットは、屋外のホコリや砂などがホールや廊下に入りやすいことです。

「たたきのお掃除をするときに、上がり框の段差の下の部分にホコリや砂が溜まっているのを見たことはありますよね。上がり框がないと留まるところがないので、ホールや廊下に入ってくることになります。衛生面を考えると、少しでも段差があった方がよいと思います」

上がり框が高すぎる…リフォームで手すりや式台を設置する方法は?

年齢を重ねたり、介護が始まったりすると、上がり框の段差が気になるかもしれません。

「ご家族の年齢や体の状況にもよりますが、上がり框の段差が20cm以上あるなら、安全性や昇り降りのしやすさを考慮して、手すりや式台(しきだい)、ベンチなど何かしらをリフォームで設けて補いたいですね」

手すりを付けて、段差の昇降時に体を支えられるようにする

新築やリフォームで手すりを設置する場合、場所や高さに迷う方もいるかもしれません。

「手すりの位置は上がり框の真横に付けるのが基本です。昇降だけに使うなら縦に1本のI型、昇降後にも体を支えたり伝え歩きをしたいならL型か、I型と水平の手すりを組み合わせて設置するとよいでしょう。

高さは、手すりが必要な人の身長を考慮して決めてください。肘を曲げて掴みやすい高さを目安にすると、昇る時に手の力で体を引き上げたり、降りる時は体が倒れないよう支えたりしやすくなります。

もし、今は必要ないけれど先々を考えて付けておくなら、I型の手すりを、上端が肩より少し高い位置になるように設けておくとよいでしょう」

玄関にI型の手すり
玄関にI型の手すりを設けた実例の写真
玄関に手すりを設けた実例。写真右手は通常の上がり框とホール、写真中央の半円はベンチで、ベンチから和室に直接入れる。I型の手すりは、ベンチからの立ち上がりやすさを考慮した位置に(写真提供/シーズ・アーキスタディオ)
玄関にL型とI型の手すり
玄関にL型とI型の手すりを設けたイメージ
必要に応じて2カ所手すりを設けても。その際は、靴を脱ぐ・履く、立ち上がるなどの動作に応じて、L型とI型と組み合わせたい(画像/PIXTA)

手すりをホームセンターなどで購入し、DIYで取り付けようと考える方がいますが、安全性を考えると避けた方がよいかもしれません。

「手すりには結構な力が掛かるので、壁の表面だけでなく、壁の下地にしっかり取り付けないと取れてしまう可能性があります。手すりを取り付けたい場合は工事会社にお願いして、下地のある所に強固につけてもらうことをおすすめします。ちょうど良い位置に下地が無くても、補強したうえで取り付けてくれるので、お任せがした方が安心です」

式台を設けて、段差を小さくする

上がり框の段差を小さくするために、式台を設ける方法もあります。

「式台とは、上がり框の前側に設けられた板敷の部分のことです。奥行きは30~45cm程度で、足が大きな人でもゆったりと昇れて、スリッパを置くこともできます。

式台は重い板を置くだけというケースもありますが、上に乗ったときに動いたり、動いて生じた隙間につまずいたりする可能性を考えると、工事会社に取り付けてもらった方が安全です。多くの建材メーカーでは、上がり框と同じ素材の式台を用意していますので、上手に活用するのもよいでしょう」

式台のある玄関のイメージ
玄関に式台を設けた例。昔の戸建住宅は上がり框の段差が高かったため、式台が多く見られました(画像/PIXTA)

ベンチを設けて、腰を掛けて体の向きを変える方法も

玄関スペースにゆとりがあれば、ベンチを設けるのもよい方法です。

「体のコンディションによっては、上がり框を立ってふらつきながら昇降するより、ベンチに一旦腰かけて、ゆっくりと体の向きを変える方が安全かもしれません。靴の脱ぎ履きや荷物の一時置きにも便利です。設ける場所は上がり框の横で、たたきとホールの両方から腰かけられる大きさにするとよいでしょう」

玄関にベンチを設けた実例の写真
玄関にベンチを設けた実例。ベンチを大きめのサイズにして、たたきからもホールからも腰かけやすく。ベンチは奥の和室の板の間を兼ねている(写真提供/シーズ・アーキスタディオ)

デザインと安全性の両面を考慮して決めよう

高さは、今の家を参考にして検討しても

上がり框は、高さによって昇降のしやすさが変わる部分であり、玄関の雰囲気を決める部分でもあります。

新築やリフォームでの高さを決める場合、今の家を参考に、もっと高く・低くなどの希望を伝えると良いでしょう。ただ、建物の床下のつくりによって、希望通りの高さできない場合があります。高さの目安は18cm以下としたいところですが、20cm以上になる場合には、手すりや式台などで安全性や昇降のしやすさへ配慮しましょう。

また最近では、上がり框を設けない場合もあります。設けない場合のメリット・デメリットを考慮して、安全面とデザイン面の両方を考えて決めましょう。

まとめ

上がり框とは、玄関のたたきとホールの境目にある部分のこと。高さは18cm程度以下を目標に

形状は、玄関の広さや収納、動線との兼ね合いで決める。素材は木や石が一般的

上がり框がない場合のメリットは、段差のない玄関がつくれること。デメリットは屋外のホコリや砂が室内まで入りやすいこと

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取材・文/山南アオ イラスト/長岡伸行
公開日 2021年11月30日
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