親からの資金援助。贈与税の2つの特例 「直系尊属からの非課税制度」と「相続時精算課税の住宅資金特例」をどう使う?

公開日 2022年12月23日
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
親からの資金援助。贈与税の2つの特例 「直系尊属からの非課税制度」と「相続時精算課税の住宅資金特例」をどう使う?

マイホームを買うための資金の一部または全部を、父母または祖父母から援助してもらえる場合、「もらう」のか、「借りる」のか、「共同で買う(共有する)」のか、3つの選択肢があります。

今回は、このなかの「もらう」(=贈与)部分に焦点を当て、暦年課税や相続時精算課税制度、父母や祖父母などの直系尊属からの非課税制度について解説します。

住宅資金贈与の贈与税には2つの特例がある

重要な結論から言うと、住宅資金の贈与については2つの特例があって、どのように使うのかを決める必要があるのと、特例を使うのであれば、贈与税がかからなかったとしても、確定申告が必要なことを覚えておきましょう。

贈与の課税方法には「暦年課税」「相続時精算課税」の2つの種類がある

2つの特例の説明をする前段階として、贈与の課税方法にも2種類あることを知っておく必要があります。すでに知っている人は、この部分は飛ばして読んでください。

そもそも贈与とは、贈与する人(贈与者)が、お金や資産などを「あげるよ」と言い、そのお金や資産などをもらう人(受贈者)が「もらうね」と言うことで成立する契約です。この契約は、口頭でも文書でも成立します。

そして、一定金額以上の財産をタダでもらった人には、税金をかける。その税金が、贈与税です。

贈与税の課税方法には2種類あって、1つが「暦年課税」。もう1つが「相続時精算課税」です。

暦年課税

暦年課税(れきねんかぜい)は、「年間110万円」という基礎控除を使えるものです。
ですから、誰かから何らかの財産をもらったとしても、1年間で合計110万円以内であれば、基礎控除の範囲内なので、贈与税はかかりません。確定申告も必要ありません。

では、父親から110万円をもらって、母親からも110万円をもらう場合は?
これは、合計で220万円なので、110万円を超えた部分に贈与税がかかります。贈与税がかかる場合は、翌年3月15日までに確定申告をして納税する必要があります。

贈与税額は、以下の速算表を使うと算出できます。そして、直系尊属(父母または祖父母)からの贈与の場合は税負担が少し軽くなるようになっています。

贈与税額速算表
贈与税額速算表
※特別:直系尊属からの贈与(図表提供/筆者 図作成/SUUMO編集部)

では、叔父さん、父親から贈与を受けた場合の税金についてみていきましょう。

1000万円を叔父さんからもらった場合

直系尊属ではないので、贈与税額は、
基礎控除後の課税額 ×税率― 控除額=贈与税額
(1000万円-110万円)×40%-125万円=231万円

1000万円を父親からもらった場合

直系尊属に該当するので、贈与税額は、
基礎控除後の課税額 ×税率― 控除額=贈与税額
(1000万円-110万円)×30%-90万円=177万円

なお、贈与税の基礎控除は毎年使えるので、毎年110万円以内の贈与を受けるのであれば、原則として贈与税はかからないことになります。これが、贈与税の暦年課税という仕組みです。

相続時精算課税

もう1つの相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫が贈与を受けるときに選択できる制度です。

相続時精算課税を選択すると、2500万円までの特別控除を利用できるので、2500万円以内の贈与であれば、贈与税はかかりません。財産の種類や贈与回数の制限もないので、何回に分けて贈与しても、合計で2500万円を超えるまでは贈与税がかからないのです。2500万円を超えた場合は、超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。

この2500万円の特別控除は、異なる親子間それぞれで使えますので、父親から長男への贈与、父親から次男への贈与、母親から長男への贈与、母親から次男への贈与、といった4パターンで使うと、合計1億円の特別控除を使うことが可能です。ただし、相続時精算課税を一度使うと、同じ親子間(祖父母孫間)では暦年課税(基礎控除110万円)が使えなくなります

それにしても、贈与者1人あたり2500万円までの特別控除が使えるというのは、とってもオトクに感じるかもしれませんね。しかし、この相続時精算課税は、その名のとおり、相続のときに精算をしますので、必ずしもオトクだと断定することはできません。

例えば、父親から長男が3000万円分の財産をもらっていたとします。相続時精算課税を使うと、贈与の段階で(3000万円-2500万円)×20%=100万円の贈与税を支払っています。

その後、贈与者である父親が亡くなった場合は、父親の相続財産に、相続時精算課税で贈与された金額(この例だと3000万円)を戻して、相続税を計算することになります。

そして、仮に相続税額が500万円だったとすると、相続時精算課税で100万円の贈与税を先に支払っていますので、二重課税にならないように差し引き、400万円(=500万円-100万円)の相続税額が確定するのです。

つまり、相続時精算課税は、特別控除の金額が2500万円と大きく、2500万円を超えても一律20%の課税であるため、贈与の段階での税負担は非常に軽くなるようにできています。しかし、相続のときに相続財産に贈与した金額を加えなければならないので、相続財産が多い人の場合は相続税の負担が重くなる可能性がある制度だと言えるのです。

ここまで、贈与税の2種類の課税方法のポイントでした。ご理解いただけましたでしょうか。

住宅資金贈与の2つの特例とは?

住宅資金の贈与の2つの特例の説明をしましょう。

その1:直系尊属からの住宅資金の非課税制度

1つ目が、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」という制度で、2023年12月31日までに父母または祖父母から住宅資金の贈与を受けた場合、省エネ等の一定の基準を満たした住宅は1000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで非課税になるというものです。

この非課税枠は、贈与者が亡くなっても相続財産に加える必要はない、完全に非課税になる制度です。受贈者の年齢制限(18歳以上)はありますが、贈与者の年齢制限はありません。

そして、この制度は、暦年課税の基礎控除110万円と、相続時精算課税の特別控除2500万円のどちらとも併用することができます。

したがって、暦年課税なら、省エネ等住宅1110万円まで非課税、一般住宅610万円まで非課税となります。

相続時精算課税なら、省エネ等住宅3500万円まで贈与の段階では非課税、一般住宅3000万円まで贈与の段階では非課税となります。相続時精算課税でも、省エネ等住宅1000万円(一般住宅500万円)の非課税枠の部分は、相続の段階で相続財産に戻す必要はありません。

その2:相続時精算課税の住宅資金の特例

2つ目が、相続時精算課税制度の中の住宅資金の特例です。これは、相続時精算課税の贈与者(父母または祖父母)の60歳以上という年齢制限が、2023年12月31日までに行われる住宅資金の贈与については、適用されない(60歳未満でもOK)というものです。

例えば、住宅資金の援助をしてくれるお父さんがまだ60歳に達していなくても、相続時精算課税が使えるというわけです。

なお、2つの特例とも、直系尊属からの贈与が対象です。配偶者の親などからの贈与は対象外となります。したがって、配偶者の親が住宅資金を援助してくれる場合は、配偶者が受け取って、配偶者が住宅の一部などを取得する必要があります。もしくは、配偶者の親と養子縁組をすれば、配偶者の親も直系尊属となります

金額が多いなら相続時精算課税を併せての利用も検討

父母・祖父母からの住宅資金援助の金額が、省エネ等住宅で1110万円以内、一般住宅で610万円以内なら、暦年課税で直系尊属からの住宅資金の非課税制度を使えばよいでしょう。そうすれば、完全に非課税でもらうことができ、相続が発生しても相続財産に戻す必要がないからです。

一方、これらの金額を超える贈与を受ける場合は、相続時精算課税の非課税枠も利用することを検討すべきかと思います。省エネ等住宅で最大3500万円、一般住宅で最大3000万円まで、贈与の段階では非課税にできますし、その金額を超えた部分は一律20%の税負担で済みます。

ただし、トータルの税負担は、将来、相続が発生してみないとわかりません。相続財産がかなり多い人の場合は、長い年月をかけて暦年課税で贈与をしていったほうが、トータルの税負担は軽くなる可能性もありますので、具体的には会計士や税理士に相談して対策を練ることが重要かと思います。

なお、今後の税制改正の方針として、相続と贈与を一体化して課税する相続時精算課税のような制度をメインにして、暦年課税(基礎控除110万円)はなくなっていく方向性も検討されているようです。

現在の特例は2023年12月末までです。2024年からは制度が変わる可能性がありますのでご注意ください。

まとめ

贈与の課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類

住宅資金の贈与では、父母または祖父母から住宅資金の贈与を受けた場合の非課税制度がある

贈与税非課税の相続時精算課税制度は生前贈与2500万円まで贈与税が非課税

省エネ等住宅で1110万円以内、一般住宅で610万円以内の住宅資金贈与は直系尊属からの住宅資金の非課税制度を使うのがいい

現在の特例は2023年12月末まで。2024年からは制度が変わる可能性がある

イラスト/杉崎アチャ

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