“おひとりさま”の住まいは買う?借りる?将来をイメージした後悔しないための選択は?

公開日 2026年10月01日
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ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
“おひとりさま”の住まいは買う?借りる?将来をイメージした後悔しないための選択は?

「今は独身だけど、この先、結婚するかもしれないし…」
「親が高齢になったら、実家に戻ることになるかも…」
「転勤もあり得るし、家なんて買っていいのかな…」
などと、マイホームを買うかどうか迷っている“おひとりさま”も多いかもしれませんね。将来をイメージした“おひとりさま”の住まいは買う?借りる?後悔しないための選択についてお話ししましょう。

今、独身ならどんな視点で家を選ぶのがいい?

みなさん、こんにちは。
正直FPヒッシー先生こと菱田雅生(ひしだまさお)です。

先に私の考えを言っておくと、おひとりさまが家を買うなら、「一生住む家」ではなく「いつか売る、または貸すかもしれない家」として選ぶべきだと思います。マイホームの購入というより、不動産投資に近い目線で、「収益を生む物件に自分が住む」というイメージです。そうしないと、将来、損をする可能性が高まってしまうからです。

最も多い世帯は“おひとりさま”。そして将来の振れ幅も大きい

2025年の国勢調査(総務省統計局)によると、1人で暮らす単独世帯は約2369万世帯で、一般世帯の約41.4%を占めています。すでに、日本で最も多い世帯のかたちは「おひとりさま」なのです。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計(「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和6(2024)年推計-」)では、単独世帯の割合は2050年には44.3%まで高まる見込みです。

ただ、ひと口におひとりさまといっても、その後の暮らし方はさまざまです。

・結婚して、パートナーと一緒に住む
・親の介護などで、実家に戻る、または親と同居する
・一人っ子同士で結婚し、将来はお互いの実家を相続する
・転勤や転職で、住む地域が変わる
・収入が大きく増える、または減る

夫婦世帯やファミリー世帯は、住む場所や家族の人数がある程度固まっていることが多いですが、おひとりさまは「どこに、誰と住むのか」が大きく変わる可能性があります。つまり、買った家に一生住み続ける可能性は、ファミリー世帯ほど高くはないということです。

一人暮らしをしている男性のイメージ
(写真/PIXTA)

おひとりさまが家を買うなら、どんな家選びがポイントになる?

「一生住む家」ではなく「いつか売る・貸す家」として選ぶ

よくある迷いが、「結婚しても住めるように広めの物件にするか、今の自分に合った物件にして、結婚したら売るか貸すか」です。広めの物件なら住み続けられる可能性は高まりますが、その分、価格も高くなります。コンパクトな物件は身軽ですが、ライフスタイルが変われば手放すことが前提になるでしょう。

どちらを選ぶにしても、大切なのは、いざというときに売りやすい、貸しやすい物件かどうかです。具体的には、次のような点をチェックしておきましょう。

・貸した場合の家賃で、ローン返済と管理費・修繕積立金などをまかなえる
・売る場合に、ローン残高を下回らない価格で売れる見込みがある
・駅に近いなど立地がよく、単身者や共働き夫婦からの需要が見込める
・管理組合がきちんと機能していて、建物の管理状態がよい

同じ物件でも、「自分が住む家」として見るのと、「人に貸す物件」として見るのとでは、チェックするポイントが違ってきます。内装や設備の好みよりも、立地や需要のほうが重要になるわけです。周辺の家賃相場を調べて、「この物件ならいくらで貸せそうか」を確認しておくのもいいでしょう。

逆に、自分の好みだけで選んだ物件だと、いざ売ろうとしても買い手が見つからない、貸そうとしても借り手が見つからない、ということも起こり得ます。住まなくなった家のローンを支払いながら、新しい住まいの家賃も支払うという二重負担になってしまうと、家計はかなり苦しくなるでしょう。

購入物件を検討するおひとりさま女性のイメージ
(写真/PIXTA)

買う場合、借り続ける場合の住居費をシミュレーション

1LDKで比べると、住居費はどう違う?

ここで、中古マンション(1LDK)を買う場合と、賃貸の1LDKに住み続ける場合の住居費を比べてみましょう。

シミュレーションの前提条件

【購入の場合】
・中古マンション(1LDK)3000万円。頭金300万円(1割)と諸費用150万円(5%)は自己資金で準備
・住宅ローンは2700万円。【フラット35】年3.46%(2026年9月実行分の最低金利)、返済期間35年、元利均等返済
・管理費・修繕積立金・固定資産税などは合計年35万円とし、物価上昇率年1.0%で上昇していくものとする

【賃貸の場合】
・家賃は月12万4000円。2年に一度2%ずつ上昇し、同じく2年に一度、家賃1カ月分の更新料がかかるものとする

■月々返済額
月々の返済額 購入 賃貸
11万964円
管理費・修繕積立金込み約14万円
家賃
12万4000円
■購入と賃貸の入居費の違い
累計住居費 購入 賃貸
35年(住宅ローン返済期間) 約6569万円 約6412万円
40年(住宅ローン返済+5年) 約6821万円 約7532万円
50年(住宅ローン返済+10年) 約7367万円 約9929万円

購入の場合、賃貸よりも負担が重くなる

この前提だと、購入の場合の毎月返済額は11万964円。管理費などを含めると月14万円ほどになり、家賃12万4000円より負担は重くなります。

ローン完済後、購入した場合の負担は維持費だけになる

累計の住居費は、35年時点で購入が約6569万円、賃貸が約6412万円と、ほぼ同じ水準です。ただ、住宅ローンを完済すると購入の負担は維持費だけになるので、40年時点では購入が約6821万円、賃貸が約7532万円と逆転し、50年時点では購入が約7367万円、賃貸が約9929万円と、2500万円以上の差がつく計算です。

前回の記事でも触れましたが、物価や家賃の上昇が続くのであれば、長く住むほど購入が有利になりやすいといえるでしょう。ただし、この試算は同じ家に50年住み続ける前提です。途中で住み替えることになれば、損得は売却価格や家賃収入によって大きく変わります。だからこそ、おひとりさまは「出口」を意識した物件選びが大切なのです。

賃貸の「身軽さ」にも大きな価値がある

一方で、賃貸にも大きなメリットがあります。それは、収入の増減やライフスタイルの変化に合わせて、住まいを替えられることです。

収入が増えればもっと広い部屋に、減れば家賃の安い部屋に。結婚、親との同居、転勤など、先が読みにくいおひとりさまにとって、この身軽さは金額には表れにくい大きな価値と考えることもできます。

もちろん、老後も家賃を支払い続ける必要があることや、高齢になると借りにくくなる場合があることなど、賃貸のデメリットも押さえておく必要があります。

家を買うか借りるか迷うイメージ
(写真/PIXTA)

おひとりさまこそ、セールストークに乗せられないように

最後に、ぜひとも気をつけてほしいことをまとめます。

おひとりさまの場合、家を買うかどうかを決めるのは、基本的に自分1人です。止めてくれる家族がいない分、勢いで決めてしまいやすい面があります。

特に注意したいのが、不動産会社などのセールストークです。

「これから金利がどんどん上がるので、早く買ったほうがいいですよ」
「今が買い時です」
「家賃は支払い続けても何も残りません。捨てているのと同じですよ」

などと提案されると、つい焦ってしまうかもしれません。

たしかに、金利がさらに上がる可能性はありますし、家賃を支払っても資産が残らないのは事実です。まったくの間違いというわけではありません。でも、これらは購入を決断させるための典型的なセールストークでもあります。金利や物件価格の先行きは誰にもわかりませんし、家賃は住まいの自由度を確保するための費用と考えることもできます。「今買わないと損」と言われても、その場で決める必要はありません。

30年先、40年先までのライフプランをシミュレーションしたい場合は、中立的な立場のFPなどの専門家に相談し、自分の収入や貯蓄、将来の可能性を考慮しながら、「この物件を買っても、老後まで家計に問題はないか」「結婚や転勤で住み替えることになったら、どうなるのか」といったことを具体的に試算してもらうとよいでしょう。数字で確認できれば、冷静に判断しやすくなるはずです。

おひとりさまの家選びは、自由度が高いぶん、判断もすべて自分次第です。「借りられる額」ではなく「返せる額」で、そして「いつか売る・貸すことになっても困らない物件」を。衝動買いで後悔しないように、じっくり検討してくださいね。

まとめ

独身で家を買うなら「いつか売る」または「貸すかもしれない家」を選ぶ

将来貸すかもしれない場合は、自分の好みよりも立地や需要が家選びのポイント

物価や家賃の上昇が続く場合は、長く住むほど購入が有利になりやすい

賃貸には、収入の増減やライフスタイルの変化に合わせて、住まいを替えられるメリットがある

イラスト/杉崎アチャ

SUUMOコンテンツスタッフ

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