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住宅ローンを利用して住宅を取得すると、税負担を抑える「住宅ローン控除(減税)」を受けられます。住宅ローン控除は確定申告を行うことで納めた税金が戻ってくる仕組みで会社員などの給与所得者であれば1年目に確定申告をすれば、2年目以降は年末調整で控除されます。個人事業主や自営業者の場合は毎年確定申告を行います。
また、スマホからの申告にも対応しているため、わざわざ税務署に足を運んだり郵送を使ったりする必要がありません。この記事では、住宅ローン控除の基礎知識に加え、確定申告のやり方やスマホでの申告について解説します。スマホから確定申告をしようと検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローンを利用することで受けられる「住宅ローン控除」ですが、具体的にどれくらい、いつまで控除になるのか気になる方も多いでしょう。まずは、住宅ローン控除の基礎知識から解説していきます。
自分が暮らすためのマンションや一戸建てを買うときにローンを利用すると、住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)を受けられます。これは、確定申告をすることで入居から一定期間、所得税が控除される制度です。その年の所得税から控除されるのは、年末のローン残高の0.7%相当額です。
会社員などの給与所得者の場合、所得税は勤務先が毎月のお給料やボーナスから源泉徴収し、その年の終わりに年末調整で精算されています。そのため、確定申告をする時期には、所得税はすでに納税済みになっているケースがほとんどです。住宅ローン控除を受けることで、納めていた所得税から控除される分が還付、つまり戻ってくることになります。所得税よりも控除額のほうが多く、控除しきれない額は翌年の住民税からも控除されます。
住宅ローン控除についてもっと詳しく→
住宅ローン控除とは。要件や手続き、控除率・限度額などを詳しく解説/住まいのお金・制度のマニュアル#20
住宅ローン控除で控除される税額は、住宅の性能や入居した時期などで違ってきます。どのような住宅ならいくらの控除額になるのか確認してみましょう。
| 2024年・2025年入居 | ||
|---|---|---|
| ローン残高の上限/控除期間 | 全期間の最大控除額 | |
| 認定長期優良住宅・低炭素住宅 | 4500万円/13年 【5000万円/13年】 |
409万5000円 【455万円】 |
| ZEH(※3)水準省エネ住宅 | 3500万円/13年 【4500万円/13年】 |
318万5000円 【409万5000円】 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3000万円/13年 【4000万円/13年】 |
273万円 【364万円】 |
| その他の住宅 | 0円 | ― |
| 2024年・2025年入居 | ||
|---|---|---|
| ローン残高の上限/控除期間 | 全期間の最大控除額 | |
| 認定長期優良住宅・低炭素住宅 | 3000万円/10年 | 210万円 |
| ZEH(※3)水準省エネ住宅 | ||
| 省エネ基準適合住宅 | ||
| その他の住宅(※4) | 2000万円/10年 | 140万円 |
例えば、新築の省エネ基準適合住宅を2024年に購入し、入居した子育て世帯で、年末のローン残高が4000万円あったとします。
入居の翌年に確定申告をすると「4000万円×0.7 %」=28万円がその年の1年目の控除額。2024年に納めた所得税が28万円以下なら、納めた所得税全額が戻ってきます。
さらに、所得税から控除しきれなかった分は所得税の課税所得金額等の5%(上限9万7500円)の範囲内で、翌年の住民税から控除されます。
住宅ローン控除で控除される税額は、自分が納めた税額を超えることはありませんが、税金が還付される期間は13年間、または10年間と長期間です。また、会社員など給与所得者の場合、住宅ローン控除の確定申告が必要なのは1年目だけ。2年目からは勤務先の年末調整で控除が受けられます。確定申告は面倒、などと思わずにきちんと申告すれば大きなメリットが得られます。

控除は住宅ローンを利用するすべての人に適用されるわけではありません。ここで、主な要件を紹介するので、自分が当てはまっているか確認してみてください。
住宅ローン控除の適用要件などについてもっと詳しく調べる
【国税庁ホームページ】
認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除についてもっと詳しく→
住宅ローンの減税をわかりやすく!新築・中古住宅、控除額、繰り上げ返済などの疑問にプロが答える!
住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要です。しかし、会社員などの給与所得者は確定申告を行ったことがない方も多く、何を準備すればよいのか、どのように申告すればよいかわからない方もいるでしょう。そこで、住宅ローン控除の確定申告について、詳しく解説します。
住宅ローン控除の適用を受けるための確定申告は、入居年の翌年に行います。2024年に入居した場合(2024年の確定申告)は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までです。
なお、予定納税をしている人、給与所得者で所得税を納めた人、個人事業主で所得税を源泉徴収されている人などの還付申告は1月から行うことができます。
| 入居日 | 2024/1/1~12/31 |
|---|---|
| 確定申告期間 | 2025/2/17(月)~3/17(月) |
確定申告はどこでどうやって申告するものなのでしょうか。その方法はさまざまです。確定申告書は税務署でもらえたり、国税庁のサイトからダウンロードしたりでき、申告書を作成したら住まいのある地域を管轄する税務署への郵送や持参で手続きができます。また、スマホやパソコンを使ってWeb上で申告をすることもできます。
確定申告には以下の方法があり、自分にとって都合の良い方法を選ぶことができます。
インターネットで申告
パソコンを使い国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、e-Taxで申告する
スマホとマイナンバーカードを使って確定申告書を作成し、e-Taxで申告する
税務署の確定申告書作成コーナーでe-Taxを使用して申告
郵送で申告
国税庁のサイトから確定申告書をダウンロード、または税務署から入手し、記入して税務署へ郵送
国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、印刷して税務署へ郵送
持参して申告
国税庁のサイトから確定申告書をダウンロード、または税務署から入手。記入して税務署へ持参
住宅ローン控除の確定申告を行う際には、以下の書類を準備しておく必要があります。書類を入手できる場所も含めて確認しておきましょう。
| 必要書類 | 入手先 |
|---|---|
| 確定申告書 | 国税庁ホームページ、税務署 |
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | |
| マイナンバーが確認できる本人確認書類 | 市町村役場 |
| 源泉徴収票 | 勤務先 |
| 住宅ローンの残高証明書 | 住宅ローンを借り入れた金融機関 |
| 建物・土地の登記事項証明書 | 法務局 |
| 不動産売買契約書(請負契約書)の写し | 不動産会社 |
| 住宅性能を示す書類 (建設住宅性能評価書、住宅省エネルギー性能証明書など) 耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し(中古住宅の場合) |
認定長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の場合は、住宅性能を満たしていることを証明する各書類が必要となるので、忘れずに準備しておきましょう。
確定申告は原則2月16日~3月15日までの1カ月の間に行う必要があります。ただし、住宅ローン控除の還付申告に関しては、入居した翌年の1月1日から行えるので、早めに準備しておくことをオススメします。一般的な確定申告の流れは以下のとおりです。
住宅ローン控除を受けるには、確定申告時に「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を提出する必要があります。新築購入の場合は「新築又は購入した家屋等に係る事項」、リフォームの場合は「増改築等をした部分に係る事項」を記入します。住宅の取得対価、床面積、住宅ローンの年末残高など、必要な項目を記載していきましょう。
計算明細書の作成後は、確定申告書Aの第一表・第二表を作成します。源泉徴収票の情報をもとに転記し、「還付される税金の受取場所」に本人名義の口座を記載すれば申請完了です。
※スマホからのe-Tax申請やマイナポータル連携を活用することで、スムーズに手続きできます。
住宅ローン控除の確定申告の書き方についてもっと詳しく→
マンションを買って住宅ローン控除を受ける。申告書の書き方や、控除を受けるための条件などを解説
個人事業主や自営業者は1年目だけでなく、2年目以降も確定申告で住宅ローン控除の手続きが必要となりますが、会社員などの給与所得者は2年目以降になると年末調整で住宅ローン控除の手続きが行えます。
年末調整の時期になると税務署から書類が送付されるので、金融機関から送付された残高証明書と合わせて勤務先に提出してください。
住宅ローン控除の手続きはスマホからでも行うことができます。スマホから確定申告を行う場合、何を準備すればよいのか、どのような流れで行われるのか、事前に確認しておきましょう。
スマホを使っての確定申告は、年々便利になっています。これまでも国税庁のサイトの確定申告書作成コーナーでは、スマホ向けの専用画面が提供されていましたが、2025年1月からは、住宅ローン控除がかかわる所得税のすべての画面が、スマホで操作しやすい画面に。また、同じく2025年1月から、スマホ用電子証明書を利用することで、マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、申告書の作成やe-Taxの送信が可能になりました(ただし、Android™でのみ利用可能。Androidの名称は、Google LLCの商標または登録商標)。


2024年にマイホームを購入し、住宅ローン控除を受ける人は、便利になったスマホでの確定申告をするのもよいでしょう。
スマホでの確定申告。スムーズにできるかどうか不安になるかもしれません。ここでは、大まかな流れと必要書類について紹介します。
確定申告の時期になってから慌てないためにも、必要書類などは早めに準備しておくことが大切です。スマホでの確定申告で準備すべきものは、以下のとおりです。
住宅取得に関する書類は控除の種類によって異なります。国税庁ホームページで確認できますが、国税庁の「チャットボット(ふたば)」に質問することでも確認することが可能です。
また、2024年分の確定申告まではマイナンバーカードと読取対応のスマホまたはICカードリーダライタが必要でしたが、2025年1月からスマホ用電子証明書に対応しており、マイナンバーカードをわざわざ読み取らなくても申告書を作成できるようになりました。なお、スマホ用電子証明書を利用するには、事前にマイナポータルアプリから利用申請・登録が必要です。
【国税庁ホームページ】
スマホとマイナンバーカードでe-Tax!|令和6年分 確定申告特集
認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
スマホでe-Taxをするにはマイナポータルアプリが必要です。マイナポータルアプリをダウンロードして、e-Taxの「つなぐ」に接続し、利用者情報の登録をしておきます。マイナポータルと連携することで、控除証明書などのデータが一括取得され、入力が簡単になります。
スマホで国税庁の「確定申告特集」を検索し、「確定申告書等作成コーナー」へ入ります。

画面の案内に従って住宅や収入の情報を入力しますが、事前に国税庁のホームページから「住宅ローン控除入力メモ」をダウンロードし、メモを作成しておくことで、確定申告書への入力がスムーズになります。
確定申告書への入力が完了したら、書類を「保存」し「送信」することで確定申告書の提出となります。
確定申告書を送信した後、住宅の取得に関する各種書類は、住まいのある地域を管轄する税務署へ郵送(提出)しますが、スマホのカメラ機能を利用してイメージデータ(PDF形式)で送信することもできます。
スマホでの確定申告は、ゆっくり落ち着いて、順に入力していけばいつの間にか確定申告書が完成しています。とはいえ、初めての場合は自分にできるのか、時間がかかるのではないかと心配な方もいるでしょう。そこでオススメなのが国税庁の動画チャンネルです。スマホで確定申告する詳細な方法を、詳しくわかりやすく解説しています。
国税庁動画チャンネル「チャレンジ!自宅からのe-Tax スマホ申告 住宅借入金等特別控除編」
スマホから住宅ローン控除の確定申告を行う場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?また、どのような点に注意すべきなのでしょうか?ここで、メリットと注意点を把握しておきましょう。
スマホを使ってする住宅ローン控除の確定申告にはさまざまなメリットがあります。
・計算間違いがない
紙の確定申告書に金額を記入して自分で計算する場合は、計算ミスを起こす可能性があります。サイト上の確定申告書作成コーナーは自動計算されますから、入力ミスがない限り計算間違いはありません。
・源泉徴収票は撮影で自動入力
「給与所得の源泉徴収票」はスマホのカメラで読み取ることで該当項目に自動入力されます。入力する項目を間違えたり、数字を打ち間違えたりといったミスがありません。
・印刷などの手間がかからない
税務署に確定申告書を郵送や持参で提出する場合、確定申告書の印刷や郵送のための準備、持参する場合は税務署との往復があります。スマホでの申告の場合はそれらの手間や時間が必要ありません。
・休日や夜間でも申告できる
e-Taxでの申告はメンテナンス時間を除いて24時間行うことができます。仕事の合間や帰宅後、休日など時間や場所にしばられず、都合の良い日時に申告ができます。

手順など、わかりやすいスマホでの確定申告ですがいくつか知っておきたい注意点があります。
・住宅借入金等特別控除は住宅ローン控除のこと
スマホで確定申告書の作成をしているとき、普段は目にしていない専門用語に戸惑うことがあります。表示される「住宅借入金等特別控除」は住宅ローン控除、「住宅借入金等」は住宅ローンのことです。
・書類を送信する場合はデータ容量の制限がある
売買契約書などの住宅取得関連の書類をイメージデータとして送信する場合、1送信あたり最大14.0MB、ファイル数は最大136ファイル、送信回数は最大11回といった容量の制限があるので注意しましょう。
・ふるさと納税をした人は住宅ローン控除に加えて申告が必要
ふるさと納税や医療費控除、株式の特定口座などで申告が必要な場合は、住宅ローン控除に加えて確定申告で申告をする必要があります。住宅ローン控除の1年目は、会社員等が利用できる「ふるさと納税のワンストップ特例制度」は使えません(住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で処理されるため、ふるさと納税はワンストップ特例制度で申請が可能です。
住宅ローン控除はローンを利用して住宅を取得すると所得税の控除が受けられる制度
入居の翌年に確定申告をすることで控除が受けられる
パソコンやスマホでの電子申告は書類の印刷や郵送などの手間がかからない
源泉徴収票をスマホのカメラで読み取ると自動入力されるなど便利な機能も利用できる