固定資産税評価額とは?知っておきたい計算方法や見方、調べ方

最終更新日 2023年09月20日
固定資産税評価額とは?知っておきたい計算方法や調べ方

マイホームを持っていると毎年課税される固定資産税。その税額のもとになるのが「固定資産評価額」(通称「固定資産税評価額」。本記事内では、通称の固定資産税評価額で表記する)だ。固定資産税評価額とはどんなもので、どうやって決められているのだろう。家を買う前の基礎知識として知っておこう。

固定資産税にかかわる「固定資産税評価額」ってどんなもの?

固定資産税や不動産取得税の計算に使われる「固定資産税評価額」

家を建てたり買ったりすると、つきあいが始まるのが「固定資産税」だ。土地や家屋などの固定資産を持っていると、毎年納付することになる。毎年1月1日現在で、所有権を登記している人に対して課税されることになり、第1期の納付時期前(4~6月ごろ。自治体によって違う)に納税通知書が送られてくる。

固定資産税の標準税額は、原則固定資産税評価額×1.4%で計算されている。

また、都市計画法による市街化区域内に土地や家を持っている人に課税される「都市計画税」や、家や土地を取得したときに1回限り課税される「不動産取得税」、登記にかかわる「登録免許税」も、固定資産税評価額をもとに計算される。

では、いろいろな税金の計算のもとになる「固定資産税評価額」とはどんなものなのだろう?

固定資産税評価額は各自治体が個別に決定

固定資産税評価額は、固定資産税を決める際の基準となる評価額のこと。

固定資産税評価額は、土地や家屋などをそれぞれどう評価するかを定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村(東京23区は都)が個別に決める評価額のことをいう。各自治体の担当者がひとつずつ確認して決定している。

土地であれば、土地の時価の約70%が固定資産税評価額の目安といわれるが、そのほかに、土地がどんな場所にあるか(市街地なのか村落地域なのか)、面積や形状はどうか、道路がどのように接しているかなどによって、評価額は違ってくる。建物の場合は、新築時は請負工事金額の約50~60%が目安といわれるが、家の規模や構造、築年数などによって評価額が違ってくる。

わが家の固定資産税評価額はいくら?調べ方は?

すでに家を持っているなら納税通知書で分かる

現在所有している土地や家の固定資産税評価額を知りたいときは、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」を見よう。家や家屋の固定資産税評価額が記載されている。

課税明細書
実際に送られてくる課税明細書の一例(マンションの場合)。自治体によって様式が違う(SUUMO編集部にて作成)

⇒画像、もしくはコチラをクリックするとPDFでご覧いただけます。

上の画像は固定資産税の納税通知書に付いてきた「課税明細書」だ。いろいろな数字が書かれているが、固定資産税評価額は「価格」の欄に書かれている数字。例えば、「家屋1」の「価格」の欄に記載されている「8201100」という数字は820万1100円のこと。所有しているマンションの専有部分に対する固定資産税評価額だ。

課税標準額とはどう違う?

課税明細書を見ると、「価格」のほかに「課税標準額」というのが記載されている欄がある。通常、家屋の課税標準額は価格(固定資産税評価額)と同じだが、土地の場合は住宅用地に対する特例措置や負担調整措置などで調整されるため、課税標準額は固定資産税評価額よりも小さくなる。価格と課税標準額を混同しないように気をつけよう。

これから買う家の固定資産税評価額を知りたい!

今持っている土地や家の場合は、納税通知書が届けば固定資産税評価額を知ることができる。では、これから買う人や建てる人の場合、購入前に知ることはできないのだろうか。事前に固定資産税評価額が分かれば、購入後にかかる固定資産税額も分かり、入居後の家計の計画も立てやすい。

・新築住宅を購入する場合
どんな家になるかが決まらなければ家屋の固定資産税評価額は算出できない。新築住宅を検討していて、事前に固定資産税の額を知りたい場合は、モデルハウスやモデルルームで尋ねると、税額の目安を教えてもらえる。ただし、この段階で教えてもらえる税額は概算のため、実際の税額とは違う場合があるので注意。

・中古住宅を購入する場合
すでに固定資産税評価額は出ているので、購入したい物件がある場合は、不動産仲介会社の担当者に尋ねてみよう。

不動産取得税のもとになる評価額は固定資産税の評価額とは違うことも

年の途中で新築物件を購入した場合、固定資産税の納税通知書が来る前に、不動産取得税の課税が行われることがある。この場合は都道府県知事が固定資産評価基準をもとに課税標準となる評価額を出しているため、市町村等が算出する固定資産税評価額とは必ずしも一致しない。特に、居住用の家屋は固定資産税評価額よりも高くなるケースが多いので注意。

同じ床面積でも家によって固定資産税評価額は変わる?

構造、建材や設備の質などで税額は変わる

おおまかに言えば、建てるためのコストが高い家ほど、固定資産税評価額は高くなる傾向にある。同じ床面積の家でも、木造の家よりも建築コストが高い鉄筋コンクリート造(RC造)の家のほうが評価額が高いのが一般的。また、同じ床面積、同じ構造の家でも、キッチンやシステムバス、トイレなどの設備の品質や大きさ、数などが固定資産税評価額に影響する。

イラスト

マンションと木造の一戸建て、固定資産税が高いのはどっち?

固定資産税評価額は、立地や家の規模、構造などで違ってくるため、マンションと一戸建てのどちらの固定資産税が高いのかを、単純に比べることはできない。ケースバイケースだからだ。

とはいえ、同じ購入価格で、土地の評価額に大きな差がないエリアにある物件の場合、マンションのほうが木造一戸建てよりも固定資産税は高い傾向にある。これは、固定資産税は一般的には土地よりも建物のほうに多くかかるため。マンションは、敷地面積を住戸数で割った分が所有区分となり、購入価格のうち建物の占める割合が大きいからだ。

固定資産税評価額、間違っていることはない?

家屋に対する固定資産税評価額は、登記後にどんな家なのかを自治体の担当者が一軒ずつ訪問し、確認したうえで決められている。うっかり間違って、高い評価額になってしまう、ということはないのだろうか。

実は、毎年4月1日から最初の納期限の日までの間、固定資産税の納税者が自分の土地や家だけでなく、他の納税者の土地や家屋の固定資産税評価額を見ることができる「縦覧制度」が設けられており、固定資産縦覧帳簿(台帳)で確認できる。同じエリアのほかの土地や家屋と比較してみて、あまりに大きな違いがある場合、自分の土地や家屋が適正に評価されているかの審査の申し出をすることが可能。
また、固定資産課税台帳は、自己の所有している土地や家屋の固定資産税評価額を各市町村役場(東京23区は区役所)で閲覧できる。

固定資産税の税額を抑えるポイント

固定資産税の軽減措置を確認しよう

固定資産税の税額を抑える上で重要なのは、制度の仕組みを理解することだ。特に固定資産税にはさまざまな軽減措置が用意されているため、所有している土地や建物が軽減措置の対象になっているのか、対象になっている場合には正しく適用されているのか確認したい。

代表的な固定資産税の軽減措置には次のようなものがある。この機会にチェックしておこう。

●住宅用地の特例
住宅やアパートなど、人が居住する建物の敷地となっている住宅用地は、固定資産税が次のように軽減される。

200m2以下の住宅用地(小規模住宅用地) 課税標準額を6分の1に減額
200m2を超える住宅用地(一般住宅用地) 課税標準額を3分の1に減額

例えば、300m2の住宅用地の場合、200m2が小規模住宅用地、残りの100m2が一般住宅用地になるため、固定資産税の課税標準額が次のように減額される。

小規模住宅用地(200m2)×6分の1 + 一般住宅用地(300m2-200m2)×3分の1

なお、住宅用地の特例を受けるには、建物が建っていなければならない。建物が不要になったからといって、あわてて解体しないことも大切だ。

●新築住宅に係る固定資産税の減額措置
新築住宅の固定資産税には減額措置があり、一般の住宅は3年間、3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の住宅は5年間、固定資産税が2分の1に減額される。また、認定長期優良住宅の場合には、減額される期間が一般の住宅は5年間、3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の住宅は7年間になる。なお、減額措置の対象になるのは、令和6年3月31日までに建築された新築住宅だ。

●リフォームした場合の固定資産税の減額措置
新築後10年以上を経過した住宅で所定のバリアフリーのリフォームをした場合や、所定の省エネのリフォームをした場合、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額される。また、昭和57年1月1日以前に建築された住宅で、現行の耐震基準に適合する耐震のリフォームをした場合、翌年度分の固定資産税が2分の1に減額される。

固定資産税が適正な額なのかチェックしよう

固定資産税が高いと感じたら、次の点に注意して、適正に計算されているのか確認したい。

1)住宅用地として認定されているか
住宅用地なのに、住宅用地として認定されていない場合がある。例えば、駐車場として使われている土地でも、アパートの敷地内にある場合などは軽減税率が適用される可能性があるので注意しよう。

2)適正な用途で課税されているか
例えば農地は、住宅用地より固定資産税が安くなる。また、土地の地目が公衆用道路の場合には、多くの人が通行のために使っていると、申請によって固定資産税が免除されることがある。このように、固定資産税は土地によって違うため、適切な用途で課税されているのか確認しておこう。

3)建物が正しく評価されているか
建物は構造によって評価が変わる。そのため、木造や鉄骨造の建物を鉄筋コンクリート造と判定していたり、鉄骨の太さなどを間違えていたりすると、固定資産税が多く課税されてしまう。また、建物のリフォームで、建物の一部(減築)もしくは全部を取り壊した場合、届け出をすると減築として処理され、固定資産税が安くなる。建物が正しく評価されているか、届け出の忘れがないか、取り壊した建物に課税されていないかなども確認しておこう。

同じ土地なのに、4種類の価格があるの?

土地には固定資産税評価額以外にも価格が付いている

同じ土地なのに、4つの違った価格がある、というのを聞いたことがあるだろうか。「一物四価」といわれ、時価(実勢価格)、公示価格(公示地価)、相続税評価額(路線価)、固定資産税評価額の4つがあり、それぞれ違う基準で評価された価格だ。

まぎらわしいが、固定資産税の計算に使われるのは、固定資産税評価額だと覚えておこう。

時価
(実勢価格)
実際に取り引きされた価格。または周辺の取引事例などから推定した価格。国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」で閲覧できる
公示価格
(公示地価)
国土交通省が公示する標準地の価格。毎年1月1日時点の地価を評価し、毎年3月下旬に公示される。国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」で閲覧できる
相続税評価額
(路線価)
相続税や贈与税の課税基準になる価格。国税庁で選んだ標準地の道路の値段から、土地の価格が算出される。国税庁のWEBサイト内で路線価図等が公開されている
固定資産税評価額 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの基準になる。市町村が決定し、3年ごとに評価替えが行われる。送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できる。または市町村役場にある固定資産課税台帳で確認可能

固定資産税評価額は、立地や広さや構造などさまざまな要素で変わるので自分では出せない。でも、どれくらいになるかは知っておかないと、入居後の家計に影響する。おおよその金額を建築会社や不動産会社に聞いて、少し余裕をもって入居後の住居費を見積もっておきたい。

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取材・文/田方みき イラスト/tokico
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