住宅ローンの繰り上げ返済、メリットや手数料、注意点を解説!

住宅ローンの繰り上げ返済、メリットや手数料、注意点を解説!

住宅ローンの返済は毎月やボーナス時に決まった金額を支払うのが一般的だが、任意で借入元金(以下、元金)の一部を支払う「繰り上げ返済」という方法もある。どんなメリットや注意点があるのか、見ていこう。

返済期間が短くなるタイプと返済額が軽くなるタイプがある

繰り上げ返済とは手元に余裕資金があるときに、月々やボーナス時の返済とは別に任意で元金の一部を返済する方法のこと。支払ったお金はすべて元金の返済に充てられるので、支払う予定だった利息を減らすことができる。なお、元金の全額を返済する「全額繰り上げ返済」に対し、一部だけ返済することを「一部繰り上げ返済」とも言う。以下で述べる繰り上げ返済はすべて一部繰り上げ返済を指す。

この繰り上げ返済には2つのタイプがある。繰り上げ返済によって返済期間が短くなる「返済期間短縮型」と、繰り上げ返済後の毎月返済額が減額される「返済額軽減型」の2つだ。

返済期間短縮型をイメージ図で確認すると、繰り上げ返済した額に相当する元金が“中抜き”される形となり、短縮された期間分の利息がすべてカットされることがわかる。「返済期間が短くなるので、『退職までに住宅ローンを完済したい』といったケースで有効です」と、ファイナンシャルプランナーの久谷真理子さんは教えてくれた。

一方、返済額軽減型は繰り上げ返済した分だけ元金が減るのは同じだが、返済期間は変わらず、繰り上げ返済後の元金残高と残りの返済期間で返済額を計算し直す仕組みだ。元金が減っているので利息も減り、毎月の返済額が軽くなる。「このタイプが適しているのは「教育費が重くなるのに備えて月々の返済負担を軽くしたい」といったケースです」(久谷さん、以下同)

繰り上げ返済の仕組み

返済期間短縮型のほうがトータルの軽減額が大きい

では繰り上げ返済で実際にどのくらいの支払いを減らせるのか。3000万円を金利1.2%(固定型)、35年返済で借り入れ、3年後に100万円を繰り上げ返済する設定で久谷さんに試算してもらった。

まず繰り上げ返済をせずにずっと返済し続けた場合、毎月返済額は8万7510円で、35年間の総返済額は3675万円ほど。これを返済期間短縮型で繰り上げ返済したとすると、返済期間が1年5カ月短縮され、総返済額は47万円ほどの軽減となる。

一方、返済額軽減型で繰り上げ返済をすると、毎月返済額が3000円以上軽くなって8万4373円にダウン。総返済額は20万円ほどの軽減となる。

繰り上げ返済のタイプによる軽減額の比較
借入額 金利 返済期間 毎月返済額 総返済額(A)
3000万円 1.20% 35年 8万7510円 3675万円

返済期間短縮型

残りの期間 毎月返済額 総返済額(B) 軽減額(A-B)
30年7カ月 8万7510円 3629万円 約47万円

返済額軽減型

残りの期間 毎月返済額 総返済額(C) 軽減額(A-C)
32年 8万4373円 3655万円 約20万円

※繰り上げ後の総返済額には繰り上げ返済額を含む。返済期間短縮型の繰り上げ返済額は約102万円

「同じ時期に同じ額を繰り上げ返済すると、返済期間短縮型のほうがトータルの軽減額が大きくなります。また同じ金額でも早い時期に繰り上げ返済したほうが軽減が大きくなり、金利が高いほうが軽減効果は大きくなります」

インターネットで手続きすれば手数料は無料がほとんど

繰り上げ返済をする場合、手数料がかかるケースがあるが、インターネットで手続きする場合は無料のケースがほとんどだ。借り入れ時に保証料を一括払いしている場合は、保証料の一部が返戻される際の保証会社の事務手数料も確認したい。無料になるケースも多いが窓口で手続きする場合は1万円程度かかるケースもある。

繰り上げ返済をいくらからできるかは金融機関やローンにより異なる。1万円以上としている金融機関が多いが、1円以上というところも。なお、【フラット35】は金融機関の窓口で手続きする場合は100万円以上の返済が必要だが、インターネットの場合は10万円から繰り上げ返済できる。

なお、繰り上げ返済のタイプは返済期間短縮型と返済額軽減型のどちらかを選べる金融機関が多いが、返済期間短縮型だけというところもある。

繰り上げ返済のし過ぎで家計が苦しくなったら本末転倒

支払う利息を減らせる繰り上げ返済だが、利用する際には注意すべき点もある。

「返済期間短縮型は利息の負担を大きく減らせる点がメリットですが、繰り上げ返済した後も月々の支払いは変わりません。借金をなるべく早く返したいという気持ちもあると思いますが、その後の家計が苦しくならないよう見通しを立ててから利用しましょう」

また、繰り上げ返済をすると手元の貯蓄を取り崩すことになる点にも気をつけたい。

「当面は使い道がない貯蓄だからと、安易に繰り上げ返済に使ってしまうと、いざというときに困ることにもなりかねません。住宅設備や家電が故障して取り替えるとなると、それだけで10万円単位のお金がかかることも。使い道の決まっているお金はもちろん、ある程度の予備費は常に手元に残しておくようにしたいものです」

さらに入居して10年間は住宅ローン残高に応じて所得税などが減税される住宅ローン控除を利用する人が多いが、ケースによっては繰り上げ返済で残高を減らすと控除で戻ってくる税金が減ってしまうこともある。

長い目で見て繰り上げ返済のメリットは小さくはないが、家計に支障が出ては本末転倒だ。生活費や教育費などとの兼ね合いも考慮して利用するようにしたい。

取材・文:大森 広司
公開日 2017年10月16日
最終更新日 2017年10月17日
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