住宅ローンのシミュレーション、自分でやってみるときに気をつけるべきことは?

近年は、非常に便利な世の中になったもので……などと書き始めると、自分がとても年を取ってしまったように感じますが、独立系FPとして活動し始めて23年の間、住宅ローン関連の情報に接している筆者からすると、現在は昔に比べて本当に便利な世の中になったものだと思います。

約20年前は、各金融機関で取り扱う住宅ローン金利を調べるのも、いちいち金融機関に問い合わせる必要があったり、住宅ローンの返済額の計算や家計のシミュレーションは自分で表計算ソフト(エクセルやロータス(若い人は知らないかも……))を使って計算したりする必要がありました。それがまさにFPの仕事なのですが。

それが現在は、住宅ローン金利の比較サイトがいくつもあり、住宅ローンに関するシミュレーションもWEB上で簡単にできるようになりました。なかには、【フラット35】の資金計画シミュレーションなどのように、家計の収支状況の入力も可能で、FPが作成するキャッシュフロー表のようなものまで簡単につくれるようにもなっています。

しかし、FPとして何百件もの家計のシミュレーションをしてきた筆者から言わせていただくと、実は、それらのシミュレーションは突っ込みどころ満載で、利用の際には気をつけるべき点がいっぱいあるのです。

シミュレーション結果の「借入可能額」には注意

シミュレーション作成者も利用者のためになるようにとの想いがあったのだと思いますので、容赦なくダメ出しをするのは心苦しいのですが、注意すべき点を知らずに利用して資金計画を立て、将来の家計が大変なことになってしまうのは、利用者はもちろん、シミュレーション作成者も望まないことだと思いますので、きちんと指摘しておきたいと思います。

まず、多くの金融機関等のWEBサイトにも載っている「現在の年収から借入可能額を調べる」ですが、ハッキリ言います。ここで出てくる数字をうのみにするのはキケンです。なぜなら、「借りられる額」と「返せる額」は違うからです。

例えば、【フラット35】の2020年9月の最多金利(1.32%)で、年収500万円の人が35年返済で借りるとして「計算する」ボタンを押すと、なんと、「4902万円」という計算結果が出てきます。この金額を見て、どう思いますか?

住宅取得に関する勉強をあまりしていない人だったら、「自分は4902万円までなら借りられるんだ」と勘違いをしてしまうかもしれません。

年収500万円で5000万円近くも借りてしまったら、今後よほど収入が増えていかない限り、厳しい生活を強いられるか、家計が破たんしてしまうでしょう。「借りられる金額」と「返せる金額」には大きな開きがあるのです。返せる金額を冷静に見積もることが重要なのです。

それから、「月々の返済額から借入可能額を調べる」というシミュレーションも多くのサイトにありますが、こちらのほうがよりリアルな数字になります。自分の返せる金額、返せる期間を冷静に見積もってから、このシミュレーションで計算するのであれば、安心して借りられる金額がわかります。

現在の家計状況や、将来の住宅費以外の出費も考慮すること

しかし、注意すべき点もあります。自分の返せる金額、返せる期間を冷静に見積もったのかどうかです。将来の教育資金や老後資金の貯蓄などもきちんと考慮し、本当に無理のない金額や期間なのかが重要なのです。単に、いま支払っている家賃と同額で計算すればいいというものではありません。

細かい話ですが、住宅購入後は固定資産税や都市計画税などの保有税や維持費もかかってきます。光熱費の負担も増えるケースが多いでしょう。教育資金や老後資金の貯蓄も、すでにきちんと計画的にやってきている人は大丈夫かもしれませんが、本当に計画的にできているのかの確認が必要です。

このような細かな試算までカバーした「資金計画シミュレーション」が【フラット35】のサイトのなかにあります。現在の家計をもとに住宅購入後の将来の家計を長期間にわたってシミュレーションするキャッシュフロー表まで作成できるようになっています。初めて見たときには、よくここまでつくったものだと思いました。

教育費は、公立か私立かを進学スケジュールごとに選択でき、住宅購入後の維持費や保有税の数値も変更できるようになっています。生活費や一時的な支出も変更できます。さまざまな数値を変えてシミュレーションできるので、非常によくできていると思います。

ただし、ここも気をつけるべき点が。年齢や年収、家族構成を入力するだけで、サンプルの生活費や教育費が計上され、簡単にキャッシュフロー表が完成してしまうことには注意が必要です。

生活費や教育費は、家庭によってかなり異なります。その家庭ごとの価値観によって、お金のかけかたが違うのです。それが、年収と家族構成だけで自動入力され、キャッシュフロー表ができてしまい、将来の収支状況や貯蓄残高がグラフで表示されるのは、誤解をまねく可能性があると思います。

その結果を見て「この資金計画なら大丈夫だ」と勘違いした人が、将来、シミュレーションとは全く違う家計の状況になったとしたら……、とても怖い話です。

本当にきちんとしたシミュレーションを行うのであれば、家計の使途不明金も含めて、家計の現状をきちんと把握することが重要なのです。現在の家計が正確につかめていなければ、将来の予測は不可能です。

そういう意味でも、家計のシミュレーションをきちんと行いたいのであれば、経験豊富なFPに、きちんと相談料を支払って試算してもらってください。いまは、さまざまなものが無料で利用できる時代になってきていますが、「なぜ無料なのか」という視点を常にもって見ることも重要だと思います。

イラスト/杉崎アチャ

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公開日 2020年10月07日
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