住宅ローンの金利、同じ銀行なのに金利に幅があるのはどうして?

公開日 2021年04月01日
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
住宅ローンの金利、同じ銀行なのに金利に幅があるのはどうして?

住宅ローンの適用金利は、同じ銀行であっても、同じ金利タイプであっても数値が異なる場合があります。住宅ローン商品を見慣れていない人にとっては、何が何だかわからないのではないかと思います。今回は、基本から解説します。

住宅ローンの金利タイプによる違いは?

まずは、金利タイプの違いから再確認しましょう。
金利タイプの種類については十分に理解しているという人は、ここの部分は飛ばしてけっこうです。

住宅ローンの金利タイプは、固定金利型、固定金利選択型(固定期間選択型)、変動金利型といった3タイプがあるのが通常です。

●固定金利型

固定金利型は、適用金利が返済終了まで変わらないタイプ。代表的なものは【フラット35】ですが、各銀行でも独自の固定金利型を取り扱っている場合があります。適用金利は、長期金利(10年満期の国債の利回り)などをもとに決められているのが一般的です。2021年2月現在の適用金利は、年1.3%前後が主流です。

固定金利型は、返済終了まで適用金利が変わらない、つまり、元利均等返済であれば毎月の返済額が返済終了まで変わりません。この点は非常に安心できるタイプであると言えます。しかし、短期金利と長期金利を比べると、長期金利のほうが金利水準は高くなっているのが通常なので、変動金利型よりも固定金利型のほうが適用金利は高くなってしまうというデメリットが挙げられます。

●固定金利選択型

変動金利型と固定金利型の中間的な存在が固定金利選択型(固定期間選択型)です。固定金利選択型は、2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年などの当初一定の固定金利期間を選べるタイプ(固定期間の設定は、金融機関等によって異なります)。例えば、固定期間5年を選んだとすると、当初5年間は適用金利が固定されて、5年経過後に、その時点の金利水準で再びいずれかの固定期間を選択するか、変動金利型を選択するのが一般的です。

●変動金利型

変動金利型は、半年ごとに金利が見直されていくタイプ。短期の優遇貸出金利である「短期プライムレート」などを基準に適用金利が決まります。2021年2月現在の適用金利は、年0.5%前後が主流です。

半年ごとに金利が見直されるので、国内の金利水準が上がっていけば、それにともなって適用金利も上がっていきます。逆に、国内の金利水準が下がっていけば、適用金利も下がっていきます。

しかし現実には、基準となる短期プライムレートが10年以上変動していないので、ここ10年以内に変動金利型を利用した人の適用金利は、まったく変動がなかったはずです。

適用金利は、スワップレート(固定金利と変動金利の交換に使われる金利)などをもとに決められていて、金利水準は、2年固定や3年固定などの短期間の固定の場合、変動金利型に近い水準。一方、15年固定や20年固定などの長期間の固定の場合は、固定金利型に近い適用金利の水準になっているのが通常です。

住宅ローンの金利タイプ。固定金利型、固定金利選択型、変動金利型の返済額と適用金利の動きのイメージ
住宅ローンの金利タイプ。【1】固定金利型、【2】固定金利選択型、【3】変動金利型の返済額と適用金利の動き(画像制作/SUUMO編集部)

「結局、どの金利タイプを選ぶのが一番いいのでしょうか?」
といった質問をよく受けますが、私は20年以上前から同じ回答をしています。
安全性を重視するなら固定金利型です!

有利になる可能性に賭けたいなら、変動金利型でもいいですが、変動金利型のリスクをきちんと理解したうえで、自己責任でお選びください。

固定金利選択型も、適用金利の低さを優先すると
2年固定や3年固定を選択することになって、変動金利型とあまり変わらなくなります。
また、10年固定や20年固定のように多少の安全性を優先しようとすると、適用金利の水準自体が固定金利型とあまり変わらなくなります。
なので、どちらにせよ、積極的にはオススメしません。

住宅ローンの金利タイプを、変動金利型と固定金利型で迷うイメージ
(画像/PIXTA)

同じ銀行、同じ金利タイプでも適用金利が異なるのはなぜ?

選ぼうとする金利タイプが決まったとします。
ところが、同じ銀行の同じ金利タイプなのに、銀行の窓口やwebサイトに記載されている適用金利に幅があるケースも多く見られます。

例えば、みずほ銀行のwebサイトで2021年2月の適用金利を見ると、
・変動金利型:0.475~0.775%
・固定金利型(返済期間31~35年):1.04~1.19%
となっています。

このような適用金利の幅は、多くの金融機関等でよく見られるものです。
金融機関等ごとに適用金利が決まる条件について細かな違いがありますが、大きく分けると以下の5つのパターンのどれかにあてはまるのが一般的です。

パターン(1)保証料が一括か金利上乗せか

近年では、【フラット35】のようにもともと保証料が不要になっているものや、保証料の代わりに融資手数料として徴収するところもあるので、必ず保証料が必要になるわけではありませんが、保証料が必要な銀行等の場合は、保証料を一括払いするタイプと金利に上乗せするタイプを選べるのが一般的です。その場合、金利に上乗せするタイプは適用金利が0.2%程度高くなるのが通常です。

パターン(2)事務手数料が定額か定率か

住宅ローンを組む際の事務手数料が、定額か定率かによって適用金利が異なるパターンです。

・定額タイプ
融資金額にかかわらず一律3.3万円や5.5万円などの事務手数料がかかる

・定率タイプ
融資金額の2.2%や3.3%などの事務手数料がかかる

どちらかを選択できる銀行等の場合は、定率タイプのほうが適用金利は低くなっているのが通常です。ただし、定率タイプは借入金額が多くなるほど事務手数料の金額も大きくなります。

なお、融資金額の2.2%や3.3%などの金額を、保証料として一括して支払うか、事務手数料として一括して支払うかを選択できるところもあります。この場合、保証料ではなく、事務手数料として支払ったほうが適用金利は低くなるのが通常です。ただし、保証料であれば、一部繰り上げ返済を行った際の保証料の戻りがありますが、事務手数料の場合は戻りがない点には注意が必要です。

パターン(3)金利引き下げの全期間タイプと当初タイプ

銀行等によっては、店頭表示金利(基準金利)から実際の適用金利を算出する際の金利引き下げ幅を、返済期間の全期間を通じて一定の幅にするタイプと、当初の一定期間の引き下げ幅を大きくするタイプを選択できるところがあります。その場合、当初タイプのほうが当初一定期間の適用金利は低くなっているのが通常です。

パターン(4)頭金が多いか少ないか

【フラット35】でも頭金を1割以上入れるか入れないかで適用金利が異なりますが、銀行等の独自の住宅ローンでも、頭金が多いか少ないかで適用金利に差をつけているところがあります。頭金が多いほうが適用金利は低くなるのが通常です。

パターン(5)年収や年齢、勤務先、給与振込指定などの状況

これは銀行等の審査結果によって適用金利に差ができるもので、一般的に適用金利が低くなる要素は
・年収が多い人
・年齢が若い人
・勤務先企業が安定している人
と言われています。

ただし、自分の適用金利が何%になるのかは、審査をしてみないとわからないのが通常です。銀行等ごとの詳しい審査内容は基本的に公開されていないためです。

そのほか、給与振込や公共料金の引き落としの口座をその銀行に指定することが、金利引き下げの条件となる場合もあります。

複数の銀行等の住宅ローンを比較検討することが重要

このように、同じ銀行等でも同じ金利タイプであっても適用金利には幅があって、人によって異なる場合がありますので、自分の場合の適用金利がどの程度なのかを複数の銀行等に問い合わせ、比較検討することが重要でしょう。

そのうえで、適用金利だけでなく、事務手数料や保証料、その他諸経費なども含めた総負担額で比較することも重要です。その際には、途中で繰り上げ返済をする予定かどうかも考慮に入れるとよいでしょう。

まとめ

住宅ローンの主な金利タイプは、変動金利型、固定金利型、固定金利選択型

同じ銀行、同じ金利タイプでも、住宅ローンの借り方によって適用金利が違ってくる

借入先を検討する際は、「自分の場合の適用金利」を複数の銀行等に問い合わせること

イラスト/杉崎アチャ

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