親が団体信用生命保険に未加入。相続が発生したら、ローンは子どもが引き継ぐの?

公開日 2023年11月02日
ヒッシーのマネー騎士(ナイト)
親が団体信用生命保険に未加入。相続が発生したら、ローンは子どもが引き継ぐの?

民間の住宅ローンを借りるときは、団体信用生命保険(以下、団信)への加入が住宅ローン契約の条件になっているケースがほとんどです。しかし、【フラット35】の場合は、団信への加入は任意。この場合、完済前に、ローン契約者が死亡すると遺族はローンの残りを相続して返済しなければならないのでしょうか。

住宅ローンは団信加入が融資の条件となっているのが一般的

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを返済中の人にもしものことが起きた場合(死亡または高度障害状態などの所定の状態になった場合)に、その時点のローン残高と同額の保険金が下りて、ローン残高と相殺される保険です。

団信に入っておけば、もしものことが起きても遺された家族にはローンが残らないので、とても安心できる保険だといえるでしょう。そのうえ、保険料も比較的割安なので、住宅ローンを組むときには多くの人が加入するのが通常です。

実は、民間の銀行や信用金庫などの各金融機関オリジナルの住宅ローン商品の場合は、団信に加入できることが融資の条件となっているものが一般的。そのため、団信に加入せずに住宅ローンを組むこと自体が困難です。団信の加入者が多いのは、そのような背景もあります。

一方、以前、公的住宅融資を行っていた住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の団信(機構団信)は、昔から任意加入でした。住宅ローンの申込時に、団信に加入するかしないかを選べる仕組みだったのです。そのため、住宅金融支援機構がつくった【フラット35】(取扱窓口は銀行などの民間金融機関等)の団信も、ずっと任意加入でした。団信に加入する人だけ、別途、特約料(保険料)を支払う仕組みです。

しかし、2017年10月に制度改正が行われ、【フラット35】の団信も、民間の一般的な住宅ローン商品と同様に、特約料(保険料)が金利に含まれるかたちとなり、「任意加入」から「原則加入」に変わりました。ただ、健康上の理由やその他の事情等で団信に加入せずに【フラット35】を利用することも可能になっています(その場合は適用金利が0.2%高くなります)。

相続時にローンを引き継ぎたくない場合は「限定承認」か「相続放棄」

何らかの理由で団信に加入せずに住宅ローンを組んでいた場合、当然ながら、ローンの返済中に死亡または高度障害などの状態になったとしても、ローンの残債はなくなりません。返済中の本人(親)が亡くなった場合は、相続人である配偶者や子がローンを引き継いで返済していくことになるのが原則です。

例えば、ローンを返済中の父親が亡くなった場合は、同居している母親がローンを引き継いで返済していくことになるでしょう。一方、配偶者である母親が父親よりも先に亡くなっていた場合は、その住宅を相続する子が、その住宅についてのローンも引き継ぐことになるのが通常です。

相続の際に子どもが親の借金を引き継がずに済むためには、亡くなってから3カ月以内に「限定承認」か「相続放棄」を申請する方法があります。

限定承認

限定承認は、亡くなった親名義の財産に借金などのマイナスの財産がある場合、相続するプラスの財産の範囲内でのみ返済することを申請するものです。したがって、仮にマイナスの財産のほうが多かったとしても、プラスの財産で返済できる分だけ返済すればよいので、マイナスの財産が残ってしまうことがないのです。

ただし、限定承認は、相続人全員で申請する必要があります。相続人のうち誰か1人だけが単独で申請することはできません。

相続放棄

相続の放棄は、その名のとおり、相続そのものを放棄するので、プラスの財産もマイナスの財産も相続しないことを申請するものです。借金などのマイナスの財産のほうが明らかに多かった場合は、限定承認か相続放棄か、どちらかを選択すべきでしょう。

ちなみに、相続放棄は相続人全員ではなく、単独で申請することが可能です。また、相続の放棄をしても、受取人になっている死亡保険金等は受け取ることができます。

健康上の理由でないなら借り換えで団信加入も

親が団信に未加入だったことが発覚した現時点で将来のためにできることとしては、まずは未加入を選んだ理由を聞いてみましょう。

団信への未加入が健康上の理由でないなら、現在返済中の住宅ローンを借り換えることで、借り換え後のローンについて団信に加入することができるはずです。団信は、ローンの返済の途中から加入することができないのが通常なので、借り換えによって新規のローンを組むときに加入すればよいのです。

一方、持病などの健康上の理由で団信に加入できなかった場合は、借り換えをしたとしても団信に加入することは難しいでしょう。その場合は、万一の際に住宅を売却することでローンを完済できるのかどうか、住宅の評価額を定期的に確認しておくと安心かもしれません。また、親が亡くなった際に、相続した預貯金やその他の金融商品等でローンを完済できるのかどうか、金融資産の状況も確認しておくとよいでしょう。

なかなか子どもの立場からは親の相続のことについての話を切り出すことは難しいかと思いますが、団信に加入していなかったことが発覚したのをキッカケに、将来のことについてどのように考えているのかを聞いてみるとよいかもしれません。

住宅ローンについて話し合う親子のイメージ
親が団体信用生命保険に加入せずに住宅ローンを借りている場合、将来のことを考えて、借り換えや万一の際の完済方法などを親子で話し合っておこう(画像/PIXTA) 
まとめ

住宅ローンは団信加入が融資条件なのが一般的。任意加入だった【フラット35】も2017年10月からは原則加入

団信に加入せず、返済中に亡くなった場合は、相続人である配偶者や子がローンを引き継いで返済していく

ローンを引き継ぎたくない場合は「限定承認」か「相続放棄」を選択する方法もある

親が団信未加入なら、その理由に合わせて対策をしておく

イラスト/杉崎アチャ

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