次にくる住みたい街はここだっ! ~大井町編~

次にくる住みたい街はここだっ! ~大井編~

大井町といえば、レトロな立ち飲み屋が集まる「会社員が会社帰りに立ち寄る街」というイメージがありました。ところが最近、この大井町の「住みたい街」としての注目度が急上昇しているのです。
SUUMOの「みんなが選んだ住みたい街ランキング2015 関東版」の総合ランキングでは、まだトップ30に食い込んでいないものの、「穴場だと思う街ランキング」では10位にランクイン。
なぜ今、大井町の注目度が急上昇しているのか?大井町のどこが「穴場」なのか?今回はその理由を徹底取材してみます。

大井町ってどんな街?

まず、大井町をよく知らないという人のために、簡単に街の情報をおさらいしましょう。
品川区のほぼ中央に位置する大井町駅には、JR京浜東北線・東京臨海高速鉄道りんかい線・東急大井町線の3線が乗り入れており、交通の便の良さは区内でも屈指です。
品川駅へは3分、東京駅へは12分。りんかい線を利用すれば、オフィスの集まる品川シーサイド駅へは2分、天王洲アイル駅へは4分、東京テレポート駅へは7分と、お台場方面への通勤もラクラク。渋谷(10分)・新宿(16分)へも乗り換えなしで行くことができます。また、2015年6月に楽天本社が移転して一躍旬の街となった二子玉川駅とも、東急大井町線で16分で結ばれています。
さらに2027年には、隣の品川駅から名古屋駅までを40分でつなぐリニア中央新幹線の開業も決まっています。
また、駅前には、「アトレ大井町」「イトーヨーカドー」「ヤマダ電機」のほか、2011年3月にオープンした「阪急大井町ガーデン」などの大型商業施設があり、日用品の買い物には不自由しません。品川区役所や「品川区立総合区民会館(きゅりあん)」といった行政施設が駅近なのもメリットの一つと言えるでしょう。
東口周辺には映画のセットに出てきそうなレトロな飲食街が広がり、西口駅前には、「劇団四季 シアター四季劇場[夏]」があることで知られています。

このとおり、交通・駅周辺のスペックは十分ながらも、家賃はお隣の品川駅の相場よりも段違いに安いのです。

ワンルーム 1K・1DK 1LDK・2K・2DK 2LDK・3K・3DK 3LDK・4K~
大井町駅 8.1万 8.89万 13.83万 17.54万 20.78万
品川駅 9.2万 10.23万 17.57万 27.33万 28.92万
(SUUMO・賃貸家賃相場 2015年9月21日現在)

確かに、これは十分「穴場」と言えますね。でも、「穴場」たる理由がほかにももっとありそうな気がします。

大井町駅
京浜東北線・りんかい線・京急大井町線の3路線が集まった大井町駅。2002年にりんかい線が開通してからは、お台場方面への通勤客が飛躍的に増加

駅から徒歩圏内に物件が多い

そこで取材班は、大井町の街づくりのキーパーソンであるNPOまちづくり大井の加藤雅之事務局長に、大井町の特長を教えていただきました。
「大井町の穴場的な要素には、”住まいが駅から近い”という点があると思います。なぜかというと、大井町は”中規模な街”だからなんです。渋谷や新宿のように繁華街やオフィス街が巨大だと、どうしても住まいは駅から離れてしまいます。ところが大井町は、商業施設エリア、オフィスエリア、飲食街の規模はそこそこながらも、大き過ぎない。商店街や商業施設のすぐ後ろが住宅街になっている。だからこそ、駅から徒歩10分圏内の物件も探しやすいんですよ」
都内に住むならば、「駅近物件」は、物件選びの重要なポイント。物件を探す際は、「都市部」や「大きな駅」を狙って探しがちですが、たとえ最寄駅が主要駅でも、自宅が駅から徒歩20分以上だったり、バス利用だったりすると、毎日の通勤だけでもぐったりです。これは意外な盲点ですね。

NPOまちづくり大井の加藤雅之事務局長
NPOまちづくり大井の加藤雅之事務局長。行政や地元の人に働きかけ、駅前の緑化を行ったり、再開発案を立案したりと、さまざまなアプローチで街づくりに取り組んでいる

では、加藤事務局長のお話を検証するべく、実際に街を歩いてみましょう。
大井町には、駅を取り囲むように7つの商店街があります。そのうちの一つ、駅から東に延びる「大井銀座商店街」は、商店の上がマンションになっている物件が非常に多く、商店街の裏側は、マンションや一戸建てが集まる住宅街です。「大井銀座商店街」から北東に延びる「ゼームス坂」周辺は、繁華街から近いものの、閑静な住宅街になっており、中規模なマンションが多い様子。確かに加藤事務局長の言うとおり、駅から徒歩10分圏内でも探せる物件はたくさんあります。また、大井町を行く人々は30代以上のビジネスパーソンが多く、飲食店のキャッチやピンクゾーンがないので、繁華街と住宅地が近いとはいえ治安も悪くなさそうです。
ちなみに街を歩いてみて驚いたのは、不動産会社の多さ。加藤事務局長曰く「不動産会社が紹介した物件に不動産会社が入っている(笑)。ライバルを増やして大丈夫なのかなと思うのですが、それだけニーズも多いということでしょうね」

大井銀座商店街
駅東口から東に延びる「大井銀座商店街」の様子。写真奥のほうに3分ほど歩いて行くと閑静な住宅地へ
ゼームス坂界隈
駅から北東に延びるゼームス坂界隈。この界隈は緑も多くさわやかな雰囲気で、マンションが多く集まっている。写真左の石碑周辺は、幕末にゼームス坂を整備した英国人J.Mゼームスの邸宅跡地

ビジネスパーソンにうれしいインフラが駅前に集結

さて、今度は駅周辺を歩いてみましょう。
冒頭でも触れましたが、駅前にはまず、「アトレ大井町」「イトーヨーカドー」「阪急大井町ガーデン」「ヤマダ電機」といった大型商業施設が目につきます。
とりわけ駅直結の「アトレ大井町」は、「無印良品」「ユニクロ」「TSUTAYA」などの生活基本ショップはバッチリ押さえているほか、ネイルサロンや美容院、歯科医院、まつげサロン、リラクゼーションサロンなど、「駅前にあったらうれしいなぁ」と思うショップもしっかりフォローされており、生活のインフラレベルは非常に高いと言えるでしょう。
7Fと屋上にはスポーツジムの「ジェクサー・フィットネスクラブ大井町」があり、出社前や会社帰りに汗を流すのにピッタリ。しかもこのジェクサーの屋上には、アトレの店舗のなかで唯一、フットサル&テニスコートが設置されており、チームだけなく個人での参加も可能だそう。都市部では、近場にフットサルやテニスができる場所が少ない、やりたいけどチームメイトがいないという悩みをもつ人も多いので、運動好きな人にとってはポイントが高いのではないでしょうか。
また、「アトレ大井町2」には「小学館アカデミーアトレ大井町保育園」も入っているので、電車通勤の子育てファミリーにとってはありがたいですね。

次に注目したのは、2011年にオープンした「阪急大井町ガーデン」です。ここは、ビジネスホテル「アワーズイン阪急」を中心とした複合商業施設ですが、レストラン街や「阪急大井食品館」が入っており、生活サポート施設としてもありがたい存在。
この「阪急大井町ガーデン」で地元の人に大人気なのが、3・4Fにあるスーパー銭湯「おふろの王様」です。スーパー銭湯は一般的に郊外に多く、車がないと行きづらいところが多いのですが、駅から徒歩1分という立地にあるのはレアケース。スーツを着た男性がフラッと1人で入って行く姿も多く見かけました。会社帰りに一風呂なんて、ちょっといいですね。

こんな具合に、駅前は、忙しいビジネスパーソンのライフスタイルを強力にバックアップしてくれる施設が充実しています。

アトレ大井町
屋上にフットサルコートがある「アトレ大井町」。スーパーやベーカリーといった食品から日用雑貨、コスメ、ファッション、書店、クリニックまでそろっており、ここだけでだいたいの買い物は済んでしまいそう。ショッピングゾーンは10時〜21時、レストランゾーンは11時〜23時
阪急大井町ガーデン
新しさが際立つ「阪急大井町ガーデン」。「阪急大井食品館」や「おふろの王様」、レストランを利用する人でにぎわっている。ホテルが併設されているため、遠方から家族が泊まりに来る際にも便利

自分だけの「行きつけ」を開拓する楽しみ

そして東口周辺に密集するのが、レトロな飲食街。街ぶら番組の定番『出没!アド街ック天国』(テレビ東京 土曜21時〜21時54分)でも1位として紹介された”街の顔”的な存在です。
テレビ東京の人気ドラマ『孤独のグルメ Season3』の最終回でもとり上げられ、主人公に「こういう路地 大好物…。こういう中に潜り込んだとたん…。腹が…減ってくる」と言わしめたツウ好みの界隈なのです。
この界隈の特徴は、「東小路(あずまこうじ)」と「平和小路」を中心に、小さな個人商店が無数にひしめいている点です。なかにはカウンターだけの店や、4人も入れば満席になってしまうような店も。
ジャンルは立ち飲み系や、昔懐かしい食堂や中華などが多く、精肉店をそのまま立ち飲みにした「肉のまえかわ」、激安立ち食い寿司の「いさ美寿司」、立ち食い中華「臚雷亭 (ローライテイ)」などの有名店はいつでも満員。パンケーキやエッグベネディクトのようなトレンドの食べ物があるわけではありませんが、チェーン店が進出してどの街の飲食街にも個性が失われていくなか、こうした昔ながらの素朴な”うまいもん”が集まる飲食街は、非常に貴重な存在だと言っていいでしょう。

東口を出てすぐの場所に広がる飲食街
東口を出てすぐの場所に広がる飲食街。客層は30代以降のビジネスパーソンが中心のため、怖い印象もなく、客引きも少なく健全な雰囲気

さてこの界隈、おじさん色が強いかとおもいきや、一人飲み女子も急増中。最近ではオシャレなビストロやワインバーも出来はじめ、店のバリエーションも豊かになっているのです。そんな夜の平和小路で出会った、制作会社に勤める30代の一人飲み女子は、大井町の魅力をこんなふうに語ってくれました。
「会社帰りに、晩ご飯を食べながらいつもこの辺で飲んでます。大井町に住んでもう7、8年になりますが、だんだん行きつけの店が増えてきて、お店の店員さんが『お帰り』と言って出迎えてくれるようになったり、常連さんとも仲良くなったりして。もう私にとって生活の一部ですね。元々、大井町に住みはじめた理由は、りんかい線沿いにある会社への通勤に便利だということでした。その後、会社は移転しちゃったんですけど、大井町からは居心地がよくて引越せません(笑)」
彼女のように、自分だけの”お気に入り”を探して街の人と触れ合い、自分の”ホーム”を増やしていくというのは、大井町に住む醍醐味(だいごみ)かもしれませんね。

小さな店がひしめく「東小路」
小さな店がひしめく「東小路」は、夜になるとがぜん活気づく。男性客だけでなく、女性客の姿も目立った

分譲マンションが増えており、子育て環境も整備されつつある

湾岸エリアへの通勤に便利で駅近に物件が多く、駅前にはビジネスパーソンにうれしいインフラが充実、自分好みの店を開拓する楽しみもある……。ここまで大井町を歩いた感想は、「忙しいビジネスパーソンのライフスタイルを充実させ、活力を与えてくれる街」というもので、シングルにとっては申し分のない住環境だということが分かりました。
では、ファミリーにとっての住環境はどうなのだろうと、前出のNPOまちづくり大井の加藤事務局長に、そのあたりの事情をうかがってみました。
「最近、駅から徒歩10分〜15分ぐらいのエリアでは、大手デベロッパーが、ファミリー向けの新しい分譲マンションを次々と建設して、どんどん売れているようですね。こうした動向も鑑(かんが)みて、ファミリーや子育て環境を充実させる面では今、さまざまな案をつくって動いているところです。警視庁と大井警察署およびJR東日本の協力により、近々実現が予定されているのは、大井町駅中央西口にある駅前交番の看板を目立たせて、防犯効果を狙おうという取り組み。大井町は元々治安がよい街なのですが、そこをさらに強化することで安心して子育てに取り組んでもらえればと思っています」
今後は駅周辺のバリアフリー化などにも積極的に取り組み、商業面の発展だけではなく、”住む人”目線でのトータルな街づくりを目指しているとのこと。

プラウド大井ゼームス坂
最近大井町で増えているファミリー向け新築マンションの一つ「プラウド大井ゼームス坂」。このほかにも、区役所のそばの「ブリリア大井町ラヴィアンタワー」など、大規模マンションが増えている

このほかに子育て面で特筆すべきは、品川区の小学校は、学区制ではなく自由選択制であるため、区内ならばどの学校にも通うことができます。ほか、小中一貫教育や外部評価制度が導入されているので、教育を重視するファミリーにはオススメと言えるでしょう。

さらに、駅周辺には昔ながらの駄菓子屋も2軒残っており、子どもがのびのび遊べる公園もいくつかあります。そのなかの一つ、品川区役所の向かいにある大井中央公園は、子どもを遊ばせる若いファミリーでにぎわっており、「新しい住民がどんどん増えている」という加藤事務局長の言葉を実感しました。
ちょっと足を伸ばして京急本線の立会川(たちあいがわ)まで行けば、緑豊かな「しながわ区民公園」もあり、サイクリングやBBQを楽しむこともできます。
これらのことから、大井町は今後、ファミリー層からますます注目を集めていきそうです。

大井中央公園
新しくクリーンな印象の大井中央公園。芝生の丘や噴水、遊具などが設置され、近所の子どもたちでにぎわっていました。周辺にはマンションも多いため、静かで子育てに適した環境と言えそうだ
しながわ区民公園のBBQスペース
しながわ区民公園のBBQスペース。緑が多く、無料のレンタサイクルもあるので、休日を過ごすのに最適

これまであまり大きな災害を受けていない

さらに、分譲マンションや一戸建ての購入を検討したい人にとって興味深い情報を得ることができました。
「大井町は平安時代の資料で名前が確認できるほど昔から開けた街でしたが、人口が飛躍的に増えたのは大正12年、関東大震災の年です。大井町も震災で被害は受けたものの、大規模な火災は免れ、被災状況は他の街より軽微だったようです。そこに、大規模な被害に遭った横浜や上野の人たちが移り住んできたんです。地盤が比較的安定しているということが幸いしたのかもしれません」
そう教えてくださったのは、会社を退職後に品川の歴史を研究している平林幹夫さん。生まれも育ちも大井町という生粋の地元っ子です。このエピソードは、旧大井町役場が発行した小冊子『大震災記念誌』に記録されており、資料によると、多いときで3万人もの避難民が大井町に押し寄せたそうです。
また、まだ記憶に新しい東日本大震災の際も、海が近いために心配される「液状化現象」は、区内では都立大井埠頭中央海浜公園、都立潮風公園以外では起こらなかったそうです(品川区「品川区のまちづくりの現状と動向」)。

自然災害が猛威をふるう昨今、「大規模な災害の被害を受けていない」というのも、住む街を選ぶうえで心強い判断材料になるかもしれないですね。

まだ未知数の大井町の可能性とは?

今回取材班が街を歩いてみて、改めて大井町に住むオススメポイントをまとめてみました。

  • ◎3路線が集まり、都市部や湾岸エリアに通勤しやすい
  • ◎2027年には隣の品川駅からリニアが開業するので、さらなる再開発も期待できる
  • ◎品川駅の隣なのに、家賃が品川駅より段違いに安い
  • ◎駅から徒歩圏内に物件を探しやすい
  • ◎駅周辺には商業施設、区役所などがバランス良くそろっている
  • ◎個人経営のアットホームな店が多く、行きつけを探す楽しみがある
  • ◎ファミリー向け物件が増え、防犯面にも力を入れている

このように、知られざる「穴場」的要素がそろった大井町ですが、10、15年の長い目で見ると、実はさらなる発展の可能性を秘めているのです。
例えば現在、西口駅前の「劇団四季 シアター四季劇場[夏]」の隣には、JR東日本の社員住宅の跡地があります。現在、品川区とJR東日本がこの土地の有効利用について協議しているそうですが、いつ、どのように開発されるのかは未知数。同様に、「阪急大井町ガーデン」と「イトーヨーカドー」の間を通る「駅前中央通り」(通称どんたく通り)を中心とした駅周辺エリアにも再開発案が持ち上がっています。

JR東日本の社員住宅
耐震上の理由で廃止となったJR東日本の社員住宅。全6棟720世帯分の広大な敷地がどう再開発されるのか、今後の動向が楽しみ

2020年の東京オリンピック、さらには2027年のリニア開業を控えて、これらの開発エリアはどのように発展していくのでしょうか。今、注目度急上昇中の大井町ですが、これからもまだ注目度は上がっていきそうですね。

取材・文:鈴木さや香 撮影:中村宏覚
公開日 2015年10月28日
最終更新日 2016年09月22日
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