次にくる住みたい街はここだっ! ~溝の口編~

次にくる住みたい街はここだっ! ~溝の口編~

今回は「みんなが選んだ住みたい街ランキング2016 関東版」の中の「これから人気が出そうな郊外の街ランキング」(リクルート住まいカンパニー調べ)で16位にランクインした「溝の口」に注目しました。なぜ今、溝の口なのか? それは、この街が、人気上昇中のエリアに囲まれた「旬な穴場」だからです。沿線エリア活性化の相乗効果で、今後ランキングが上がる可能性もあるのでは? ということで、溝の口とは一体どんな街なのか、歩きながら探っていきたいと思います。

住んでる人に聞いてみた「選んだ理由といいところ」

路線図

神奈川県川崎市高津区の中心部にある溝の口は、東急田園都市線・大井町線とJR南武線(武蔵溝ノ口)が交差する交通の要所。東急田園都市線の沿線には、住みたい街として人気の高い自由が丘や二子玉川、たまプラーザがあります。なかでも3駅隣(急行2分、普通4分)の二子玉川は、昨年2015年に「二子玉川ライズ」のグランドオープンや「楽天」本社の移転で話題になり、2016年の「みんなが選んだ住みたい街ランキング(以下「住みたい街」)」では、15位から10位にランクを上げた注目度の高い街です。

南武線沿線には、これまた近年、注目度急上昇中の武蔵小杉(3駅隣、武蔵溝ノ口から8分)があります。武蔵小杉は、2014年の「住みたい街ランキング」で9位となり、初のトップ10入りを果たし、2015年は5位、今年は4位と快進撃を続けています。さらに、同ランキングの「今後、地価が値上がりしそうと思う街ランキング」部門では堂々の1位を獲得(リクルート住まいカンパニー調べ)。
二子玉川、武蔵小杉に住む主婦たちは、ニコタマダム、ムサコマダムとも呼ばれ、女子の憧れの的となっています。

眩しい人気エリアに囲まれ、影が薄い感が否めない溝の口ですが、意外にも、溝の口がある神奈川県川崎市高津区の人口は増え続けています。数年単位で見れば、武蔵小杉のある川崎市中原区には及びませんが、30年単位で見れば、むしろ高津区のほうが人口の伸び率は高いほどです。
その理由はどこにあるのか? 溝の口にマンションを購入した20〜40代のママさんパパさんに、溝の口を選んだ理由を聞いてみました。

「ファミリー向けの物件が豊富で、お手ごろだったんです。たしかにニコタマはオシャレですが、物件の値段も高いし、ライズのスーパーも高級だし、暮らすにはちょっと……という感じでした。ニコタマの物件を見た後に、たまたま寄ったのが溝の口で、ここなら値段も手ごろだし通勤にもちょうど良い!ということで決めました」(Aさん・女性)
「最初は武蔵小杉のマンションを検討していましたが、溝の口のマンションのほうが値段が手ごろなうえ、学校や公園が近くて、子育てするには環境がいいと思いました」(Fさん・女性)
「駅前になんでもあるので、車がなくても生活できる。安いスーパーもたくさんあって、生活しやすいですね」(Sさん・女性)
「再開発が一段落して随分キレイになりましたが、一本道を入ると昭和なところも好きです(笑)。昔ながらの商店が残っていたり、渋い飲み屋が多いのも楽しいですね。ここに引越してきてお酒が好きになりました」(Yさん・男性)
「溝の口は庶民的な街ですが、ちょっとオシャレな店でママ友とランチしたいとか、気の利いたものが欲しいと思ったらニコタマへ行けばいいんです。自転車で15分、歩いても30分ぐらいですから。ただし溝の口の普段着では行けません(笑)。まあ、溝の口は気楽で住みやすい街ってことですね」(Mさん・女性)

なるほど。ニコタマやムサコのような派手さはないけれど、ブランドよりも、地に足のついた生活を重視したい人にオススメの街と言えそうですね。
では、さっそく詳しく見ていきましょう。

素敵なカフェやレストランが集まる「フィオーレの森」
素敵なカフェやレストランが集まる「フィオーレの森」

ブランドよりも堅実性を重視する人にオススメ

JR武蔵溝ノ口駅の改札前
JR武蔵溝ノ口駅の改札前。会社員だけでなく学生も多く利用している

溝の口を選んだほとんどの方が挙げている理由は、好立地なのに物件が安いということ。まずは交通と物件の相場を確認しましょう。

3路線を利用できる溝の口は、都内への通勤にとても便利。半蔵門線直通の東急田園都市線を利用すれば、平日7時台で渋谷まで15分、表参道18分、青山一丁目21分、永田町23分、大手町33分と、都心の主要オフィス街へ乗り換えなしでアクセスできます。
また、2009年から東急大井町線が乗り入れて始発駅になったのも高ポイント。7時台の急行なら21分で、座って大井町まで行くことも可能です。
南武線を利用すれば川崎までは21分。そのほか、新横浜駅までを約30分で結ぶ東急の直行バスもあります。

路線図

23区に引けを取らない交通の便を誇りながらも、近隣の二子玉川、武蔵小杉と比べると、同じ条件の分譲物件を1000万円ほど安く探すことができます。
例えば、二子玉川、武蔵小杉で3LDK・駅から徒歩20分以内という条件で3000万円以下の中古マンションを探すことは困難ですが、溝の口なら2000万円台から見つけることも可能。
中古・新築の一戸建ても、同程度の条件で、二子玉川・武蔵小杉よりは1000万円程度お得に買える場合もあります。

さらに、賃貸マンションの場合は、溝の口はワンルームで6.6万円、武蔵小杉は7.3万円、二子玉川は7.4万円。3LDKタイプは溝の口が12.4万円、武蔵小杉は14.5万円、二子玉川は14.7万円。武蔵小杉や二子玉川と比べると、溝の口のほうが1~2万円安めとなっており、リーズナブルに物件を探せそうです。 (SUUMO家賃相場/2016年5月31日現在)

駅前は川崎市屈指の商業地域でなんでもそろう

ポレポレタウン
大規模な繁華街となっている駅前の「ポレポレタウン」。スーパーやディスカウントストア、飲食店、娯楽施設など約140店舗が軒を連ねる

溝の口駅周辺は川崎市屈指の商業地域で、買い物に不自由することはありません。

溝の口の商業施設のランドマーク的存在は「ノクティプラザ」。この施設には、「マルイファミリー溝口」を中心に、行政サービスセンターや郵便局、銀行や飲食店、アパレルショップ、書店などが入居しています。
以前の溝の口駅前は、再開発がなかなか進まず、「古い」「暗い」「ごちゃごちゃしてる」というイメージの強い街でした。それを変えたのが、1997年のノクティプラザのオープンでした。以降、1999年にはノクティプラザと駅をつなぐペデストリアンデッキ(駅前歩道橋)が完成。駐輪場も整備され、以前は多かった自転車トラブルも激減したと言います。
地元民の間でも、「昔はいまいちパッとしなかったけれど、どんどんキレイで住みやすい街に変わっていった」と評判。平成28年12月下旬には、現在進行中の南口広場整備工事も完成予定です。

駅前にそびえる「ノクティプラザ」
駅前にそびえる「ノクティプラザ」

さらに駅周辺には、総合スーパーのイトーヨーカドーをはじめ、食品系ならマルエツ、三徳、24時間営業の東急ストア。激安系ならオーケーストア、十字屋、ドン・キホーテがそろっています。2016年4月には、マルイファミリー溝口に、高級系スーパー「パントリー」がオープンし、目的によって使い分けられます。スーパーやディスカウントストアの充実ぶりは、沿線屈指と言ってもいいでしょう。
駅近の物件もお得ですし、駅前も充実しているので、車がなくても生活できる環境なのが心強いですね。

ちなみに西口駅前には、再開発以前の溝の口の面影を残した「溝の口駅西口商店街」が残っており、街の個性の一つとなっています。

溝の口駅西口商店街
小さな昭和レトロな飲み屋が軒をつらねる「溝の口駅西口商店街」。仕事帰りの会社員で毎日大盛況

自然が多く、子育て環境も良い

自然や公園が多く、子どもと一緒に遊べる環境が良いことも人気の理由の一つです。

近隣には、多摩丘陵の豊かな自然が残る「東高根森林公園」や、夏にはカブトムシやクワガタに出会える「久本山・熊野森緑地」、桜の名所として知られる「二ヶ領用水」「久地円筒分水」「梶ヶ谷第1公園」や「津田山」などがあります。そして自転車で5分も走れば多摩川土手が。
JR武蔵溝ノ口の隣、津田山駅から徒歩7分の場所にある「川崎市子ども夢パーク」もオススメです。ここは、子どもの自主性を尊重した児童施設として有名で、わざわざ関東以外から訪ねてくる人もいるそうです。園内ではスポーツをしたり工具で何かを創作したり、専門のスタッフと一緒に焚き火をしたりと、子どもの自由な感性を発揮できる遊びができます。

街としての歴史も古く、江戸時代は、江戸っ子に人気だった「大山詣り」の大山道の宿場として栄えました。その名残で、多摩川までの旧大山道沿いには今も古い商家が残っており、ウォーキングやサイクリングも楽しめます。また、この街道沿いは、岡本太郎さんの母・岡本かの子さんの生家や、溝の口生まれの人間国宝第1号の陶芸家・濱田庄司さんの作品が所蔵される資料館などもあり、文化度の高いエリアでもあります。

加えて、高津区では農地を活かした都市計画の一環として「たちばな農のあるまちづくり推進事業」に取り組んでいます。子どもと一緒に体験できる農業イベントや、野菜の直売(偶数月の第3日曜、9〜12時、久本薬医門公園)も行っているので、食育の面でも恵まれているのです。

東高根森林公園
東高根森林公園は、1.3haの県指定史跡「東高根遺跡」と、2.9haの県指定天然記念物「東高根のシラカシ林」からなる広大な公園
川崎市子ども夢パーク
子どもなら誰でも気軽に遊ぶことができる「川崎市子ども夢パーク」。9〜21時、第3火曜と年末年始休。入場無料
二ヶ領用水
大山街道と交差する「二ヶ領用水」。並木が美しく、春には桜の名所に

注目を集めるマンション住民の取り組み

子育てファミリーにとって魅力的なのは、環境だけではありません。
今、高津区久本地区にある「ザ・タワー&パークス」「パークシティ溝の口」「メイフェアパークス」の3つのマンションの「コラボ」が、静かに注目を集めています。
この3マンションは、地域に開かれた餅つきや芋煮イベント、熊本地震被災地への支援活動などに、マンションを超えた連携で取り組みました。マンションが横のつながりを持って何かを行うのは、全国的にも珍しいこと。この取り組みの発起人でもある、パークシティ溝の口の元理事・山本美賢さんと、ザ・タワー&パークス在住の3人のママさんにお話を伺いました。

「マンションは、竣工年によって入居している世代が異なる傾向にあります。つまり、古いマンションほど高齢化が進み、新しいマンションほど世代も若いのです。すると『高齢化』『修繕』『子育て世代の断絶』などの問題が起こってきます。例えば私の住む『パークシティ溝の口』は、私がたまたま理事になった2011年の時点で、60歳以上の住民が65%を超えていました。逆に、小学生は1100世帯以上もある中で60人程度しかいないんです。そこで、うちより新しい近所の『メイフェア』や『タワー』と交流して、蓄積したノウハウや情報を交換し合えばいいんじゃないかと思いついたんです。修繕のことなら一番古いうちが提供できるし、逆に、子育て情報とマンパワーの少なさは助けてもらうことができる」(山本さん)
「私たちのような新しいマンションの住民は、いろいろとやりたいという気持ちはあるんですが、どうやってやったらいいか分からなかった。だから、やり方を教えてくれたり、企画やまとめ役をやってくれる人が出てきてくれたのはよかったと思います」(伏見幸さん)
「3マンションのパパママは、子どもの学区が一緒なので連携しやすかったです。バザーとかでなれてるから、連絡網や段取りもバッチリ。実際に芋煮とかやってみて、動けることが分かりましたね(笑)」(森野佳奈子さん)

最近では、4月に起こった熊本大震災の際に、3マンションのママさんたちが主体となり、被災地に救援物資を募ったそう。するとなんと、わずか数時間の間に30個ほどの物資が集まり、最終的には3日間でダンボール85箱もの物資を送ることができたそうです。送料もすべてカンパでまかないました。

「ラインやフェイスブックで参加者を募ったら、すごい速さで反応がきましたね。今回は被災地の役に立つこともでき、いざ震災が起こったときに必要なものも分かったし、緊急時に子どもたちを守っていく自信にもなりました」(吉屋智子さん)

左から、山本美賢さん、森野佳奈子さん、伏見幸さん、吉屋智子さん。緑豊かなパークシティ溝の口にて
左から、山本美賢さん、森野佳奈子さん、伏見幸さん、吉屋智子さん。緑豊かなパークシティ溝の口にて

再開発から、一歩進んだ街

大規模マンションが多いニュータウンや再開発された街では、地域社会との断絶や、急激な高齢化にともなうゴーストタウン化、空き家が増えることによるスラム化といったリスクが指摘されています。
溝の口は、1927年(昭和2年)の南武線武蔵溝ノ口駅の開業以降、企業の工場や研究所の街として発展。円高や人件費のための生産拠点の海外移転や縮小にともない跡地に大規模マンションが増えていった、典型的な再開発の都市の一つと言っていいでしょう。
しかし、紹介した3マンションのコラボのように、ニュータウン劣化の波に抗う動きが住民の側から生まれていることは、新しい街のブランド力につながりそうです。

「私たちが現実的に考える『住みたい街』は、緊急時に、子どもを守れるコミュニティが機能している街ですね。私たち親にとって大切なことは、災害や事件があったときに、どうやって子どもを守っていくかなんです。そんなときに、素早くご近所と連携して対応できるつながりが、ここには出来上がりつつあると思います」(森野さん)

最後に、今回の取材で分かった溝の口の魅力をおさらいしてみましょう。

  • ・交通至便な立地にもかかわらず、近隣の人気タウンより物件が安い
  • ・マンション、一戸建てともに、家族向けの物件がお得で充実
  • ・駅前にはスーパーがたくさんあり、生活しやすい
  • ・再開発が一段落しているので駅前がキレイ。駐輪場も増えた
  • ・車がなくても困らない環境
  • ・渋谷までわずか15分なのに、自然豊かで子育て環境が良い
  • ・再開発が落ち着いて、新世代の地域コミュニティが活性化しつつある

以上のように、溝の口は地に足がついた暮らしやすい街だということが分かりました。また、再開発が一段落しても一定の人気があるのは、住みやすさに一定の評価がある証とも言えるので、安心感があります。先に移り住んだ住民たちが地域コミュニティの地ならしをしてくれているというのも、大きな魅力といっていいでしょう。
何かと再開発中の新しい街が話題になりがちですが、本当に住みやすいのは、溝の口のような再開発「済み」の街かもしれませんね。

取材・文:鈴木さや香 撮影:中村宏覚
公開日 2016年06月29日
最終更新日 2016年09月23日
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