次にくる住みたい街はここだっ! ~調布編~

次にくる住みたい街はここだっ! ~調布編~

「みんなが選んだ住みたい街ランキング関東版」(リクルート住まいカンパニー調べ)の20位以内には、まだ登場してきてはいないものの、今後「次にくる街」として注目度が高まること必至! と予想されるのが京王線の調布駅です。
注目の最大の理由は「再開発によって駅前が大きく変わり始めた」という点にあります。2012年8月に京王線の地下化工事(国領駅〜調布駅間)が完了したことにより、かつて地上にあった駅舎や線路は姿を消し、駅前に広大な空き地が出現。これにともない現在、駅周辺では商業ビルやマンションの建設、駅前広場の整備等が急ピッチで進められています。今回は、変わりつつある調布を実際に歩きながら、街の今と未来の姿を探ってみることにします。

多摩地区でありながら、新宿まで電車でたったの15分!

街へと繰り出す前に、調布とはどんなところなのか? 簡単に説明しておきましょう。調布市は東京都のほぼ中央、多摩地区の南東部に位置しています。総人口は約22万人で、多摩地区(26市)のなかでは八王子市、町田市、府中市に次いで第4位。駅の乗降者数も京王線沿線駅のなかでは、新宿駅に次ぐ第2位(1日約11万5000人)を誇っています。

多摩エリアと聞くと、都心部から遠いイメージを抱きがちですが、京王線の特急・準急が停車する調布駅は意外に交通至便で、新宿駅までの所要時間はたったの15分(特急利用)。京王線は地下鉄都営新宿線と直通運転しているため、市ヶ谷や神保町(御茶ノ水)方面へも乗り換えなしで行けます。
さらに、調布駅には京王相模原線も通っていて、レジャー施設「よみうりランド」や、2027年にリニア中央新幹線の停車駅となる橋本駅へも直通でアクセス可能です。

路線図

また、国道20号線(甲州街道)や県道19号線(鶴川街道)が街の中心部を走っているだけでなく、駅から車で5分ほどのところには中央自動車道の入り口(調布IC)があるため、マイカー利用者にとっても、調布は利便性の高い街となっています。

「街」としての成り立ちは古く、古代律令制の時代は「布」の生産地として、江戸時代には甲州街道の宿場町(布田五宿)としてにぎわっていたとか。その後、大正期に鉄道が開通したのを機に、住宅地として注目を集めるようになり、昭和に入ると「日活撮影所」など映画関連施設が多くつくられて”映画の町”として発展。映画全盛期には「東洋のハリウッド」と呼ばれていた時代もあったそうです。

大型商業店舗と古くからの商店街が共存する街

それでは、実際に街を歩いてみることにしましょう。地下の改札を抜けて地上に出たとたん、かつての調布駅を知る人の多くは、駅前のあまりの変貌ぶりに驚かされるはずです。開かずの踏切で分断されていたはずの北口と南口は完全に陸続きとなり、今まで駅舎や線路があった場所を、人々が自由に行き来しています。

2017年には商業ビルが3棟立つ予定
京王線が地下に潜ったことで、かつての線路跡には現在、空き地が目立つが、まもなく本格的な工事がスタートし、2017年には商業ビルが3棟立つ予定

駅の北側が街のにぎわいの中心で、北口駅前にはパルコと24時間営業の西友が鎮座。駅まわりには「調布銀座」「上布田商栄会」「調布百店街」など、数多くの商店街が広がっています。どの商店街もそれなりににぎわっていますが、とくに興味をそそられるのが、駅前から甲州街道へとまっすぐに延びた「天神通り商店会」。『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげる先生が調布市在住であったことから、この商店街には、鬼太郎、ねずみ男、ねこ娘など、妖怪モニュメントが数多く設置されていて、買い物客たちの目を楽しませています。

天神通り商店会
天神通り商店会(写真)を抜けて、甲州街道を渡った先にある「布多天神社」は、水木作品(墓場の鬼太郎)の中に鬼太郎が住んでいた場所として描かれている

一方の駅南側は、行政機関や文化施設、オフィスビルが多いエリア。駅前にはコンサートや講演会などに使われる「調布市グリーンホール」、駅から徒歩5分ほどの場所には「調布市役所」、ホールや図書館、研修室などを備えた「調布市文化会館たづくり」のほか、外資系保険会社の巨大オフィスビルなどが建っています。

2017年に多摩地区最大級のシネコンがオープン!

商業圏の充実ぶりや、行政機関や文化施設が駅近に集約されている様子を見る限り、調布駅周辺はすでに「街」として完成しているようにも感じますが、再開発によって、今後さらにどう進化していくのでしょうか? 以下、具体的な再開発計画について見ていきましょう。

すでに工事が終わったものから紹介すると、駅前に2015年、新しい大型分譲マンションが完成。北口にある15階建ての「グレーシア調布」と南口にある16階建ての「セントラルレジデンス調布ステーションコート」がそれです。どちらも低層階には商業施設のテナントが入っていて、はやくも街のにぎわいの創出に一役買っているようです。

今後の開発計画に目を移すと、旧駅舎跡地・線路跡地に「駅前広場」やロータリーが新たに整備されるほか、2017年には、駅前に大型複合商業施設が3棟開業する予定です。どんな施設になるのか、詳しくはまだ発表されていませんが、3棟のうち1棟は、イオングループの「シネマコンプレックス」(11スクリーン、約2100席)が入る施設になることが決定しています。
5年前にパルコ内にあった映画館が撤退して以降、調布市内には映画館が一軒もない状態が続いていましたが、ようやく名実共に「映画の街・調布」が復活するとあって、市民の間でも期待が高まっています。

再開発終了後の調布駅前のイメージイラスト
再開発終了後の調布駅前のイメージイラスト。ロータリーが2カ所につくられるほか、多目的広場や噴水なども整備される予定だとか(提供/調布市)

さらに調布市は、2020年の東京オリンピックの競技会場(近代五種・サッカー・バトミントン)にもなっているため、駅前だけでなく郊外にも開発の動きが見られます。FC東京のホームグラウンド「味の素スタジアム」に隣接した場所に、「武蔵野の森総合スポーツ施設(仮称)」が現在建設中。2016年10月には、約4800m2のメインアリーナのほか、サブアリーナ、プール、トレーニングルームなどを備えた、多摩地区最大規模を誇る体育施設が完成する予定だとか。オリンピック終了後は、スポーツイベントだけでなくコンサート会場としても活用されるようで、年間数百万人の集客が見込まれています。

地元を愛し、街に誇りをもっている人が調布を守っている

調布が再開発によって、今後より快適かつ便利な街へと変わっていくことは分かりましたが、地元住民たちは、こうした街の急激な変化や、今後の街のあり方をどう捉えているのでしょうか? 調布の情報や街の動向をインターネットで発信している「調布経済新聞」の大前勝巳編集長に、地元目線からのお話をうかがいました。

「確かに再開発によって街はどんどん新しくなってきています。新住民も今まで以上に増えていくでしょうね。でも、「落ち着きがあって治安のいい街」という調布ならではの雰囲気は、今後も守られていってほしいし、それが可能なのが、この街の良さだと思うんですよ」

調布の街には100年以上続いている老舗や、長く住み続けている住民も多く、彼らのなかには、街に対する愛着やプライドがしっかり根付いている。それが今後の街づくりにもプラスの影響を与えていくはずだと、大前さんはおっしゃいます。

「私は16年ほど前に調布に住み始めて、地域の若手経営者や後継者の方々とお付き合いさせていただくようになったのですが、そのとき、彼らの多くが”消防団”に所属しているという話を聞いて驚かされました。火事現場で消防活動をしている人はみんな消防署の職員だと思っていて、消防団という組織の存在自体、知らなかったのです。どこかで火事が起こると、彼らは自分の仕事をほっぽりだしてでも、われ先に現場に駆けつけるんですよ。地元を愛し、10年後、20年後の街のあり方に責任をもとうという気構えの人がこの街には非常に多いんです。そうした意識の高い人たちが街づくりの舵取りをしている限り、街がどんなに変貌しようとも、暮らしやすさの部分はこの先もずっと維持されていくはずです。そういう意味では「調布の魅力は人間にある」といってもいいのかも知れませんね」

大前編集長
「地元の魅力や情報を伝えることで、住民たちの街への誇りを喚起するのが私の仕事。みんなが自分の街に誇りや愛着をもてるようになれば、もっと暮らしやすい街にしたいと願うようになるはず」と語る大前編集長

手つかずの自然が今も残る、新宿に最も近い街

また、大前さんは「再開発の動きだけに注目するだけでなく、もともとの地域資源である調布の自然環境にも、もっと注目してほしい」ともおっしゃいます。

「都心へのアクセスが便利で、商業圏や文化施設が充実しているという点も、調布の魅力といえますが、個人的には都心に近いわりに自然環境に恵まれているという部分が、この街の一番の魅力だと感じています。駅から5分も歩けば、畑や林が広がっているし、近隣には他の自治体を含めて、素晴らしい公園がとにかく多いんですよ」

大前さんが挙げてくれた公園のなかから、オススメのスポットをいくつかピックアップしておきましょう。

  • 「神代植物公園」=約4500種の植物が植栽された公園。隣接した場所に無料で散策やスポーツが楽しめる「自由広場」もある。
  • 「野川公園」=野川沿いに広がる約40haの面積を誇る自然公園。
  • 「小金井公園」=歴史的な建造物を移築保存した「江戸東京たてもの園」(スタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』の風景モチーフとなった場所)を併設。
  • 「府中の森公園」=旧米軍基地跡地に整備された都立公園。
  • 「府中市郷土の森公園」=ウォータースライダーのあるプールや、じゃぶじゃぶ池などを整備した公園。
  • 「稲城ふれあいの森」=バーベキューやキャンプが楽しめる自然施設。

上記のうち、調布市内にある公園は「神代植物公園」と「野川公園」だけですが、他の公園もバスやマイカーを利用すれば20〜30分で気軽に出かけられる距離にあります。休日に子どもと一緒にレジャーを楽しみたいファミリーにとっては、都心に近い場所でこれ以上の恵まれた環境はないといっても過言ではないはずです。

「公園が充実しているだけでなく、手つかずの自然が残っているのも調布ならではの魅力ですね。駅の北側にある「深大寺」の裏手には、都心部では今や貴重となった「自然林」がまだまだ多く残されていて、カブトムシやクワガタも多く生息しています。また、深大寺周辺は「蕎麦」が名物の観光地としても人気の場所なので、地方から親や友人が遊びに来たときに、案内してあげても、きっと喜ばれるはずですよ」

神代植物公園
「神代植物公園」にはさまざまな木々や草花が植えられていて、四季折々の自然風景がたっぷり楽しめる
自然林が鬱蒼と生い茂る「深大寺」の参道沿いには、蕎麦屋や土産物屋が数多く建っている
自然林が鬱蒼と生い茂る「深大寺」の参道沿いには、蕎麦屋や土産物屋が数多く建っている。ゲゲゲの鬼太郎グッズを販売する「鬼太郎茶屋」などもあり、最近は台湾からの外国人観光客も多いとか

子育て中のママたちが集まって情報交換を楽しめるカフェがオープン

遊び場やレジャースポットが近隣に多く、駅前が栄えているわりに治安が守られている調布には、子育て中のファミリーも多く住んでいるようで、行政側も子育て支援に積極的に取り組んでいるようです。
そんななか、とくに注目を集めているのが、2015年4月に南口にオープンした複合施設「こどもとフラット」。この施設は、「気軽に子どもを預けられる施設が欲しい」、「雨の日も子どもが遊べるスペースが欲しい」、「親同士が交流をはかれる施設が欲しい」という市民の声からうまれたもので、フロア内には、子育て広場、一時預かりおよび定期利用保育施設、子育てカフェ「aona」などがつくられていて、連日、ママさんやチビッコたちでにぎわっています。

カフェから出てきた若いママさんの一人に「こどもとフラット」の魅力についてうかがうと、こんな言葉が返ってきました。

「一般の飲食店では、子どもが一緒だと騒いだり泣いたりして他のお客に迷惑がかかるのでは、と気がひけてしまいがちですが、ここのカフェは子連れで気兼ねなく利用できるのがいいんです。靴を脱いで入るシステムで、床にも天然木が使われていて、子どもが這い回っても安心。通っているうちに知り合いも増えて、子育てについての情報交換が行えるようにもなったし。私たち子育て中のママにとっては力強い味方となる施設だと思いますね」

子育てカフェ「aona」
子育てカフェ「aona」では、スタッフ手づくりの美味しいメニューがそろっている。一番人気は地元の野菜をふんだんに使ったaona定食(950円)

カフェは、地元の有志たちによって設立された「NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット」が管理運営しているそうですが、ちょこネットではほかにも、子育て応援サイト「コサイト」を立ち上げて地元の子育てに関する情報を発信したり、子育てイベントを開催したりと、さまざまな活動を行っています。行政だけでなく、こうした住民主導の動きが見られるのも、暮らしや街づくりへの意識の高い人が多く住む、調布ならではといっていいでしょう。

調布駅にこだわらずに、隣の駅に住むのも賢い選択かも?

この記事を読んで「調布って住みやすそうな街だなぁ」と改めて思った人も多いはずですが、気になるのが物件相場です。都心に近いうえに、自然環境にも恵まれた場所というだけあって、物件価格は多摩地区のなかではわりとお高め。
ちなみに再開発地域に去年建てられた新築分譲マンション「セントラルレジデンス調布ステーションコート」の価格を紹介すると、2LDK、3LDKタイプで4980万〜6880万円(2016年販売時価格)。駅から離れた中古マンションに目を向ければ2000万円台のものも見つかりますが、新しめの物件は総じて高めのようです。

賃貸物件の家賃相場を見ると、ワンルームは6.3万円、2LDKタイプは11.7万円、3LDKタイプは14.4万円(SUUMO家賃相場/2016年3月18日現在)。同じ京王線沿線の街として比較対象になることが多い府中駅の相場は、ワンルームが5.9万円、2LDKが11.1万円、3LDKが13.8万円なので、比較しても、決してリーズナブルとはいえないようです。

しかし、調布駅の駅近にこだわらなければ、若干安い物件も見つかりそうです。ちなみに京王線は駅と駅との区間が狭いため、調布駅へは東隣の布田駅からも十分徒歩圏内だし、その隣の国領駅や、一駅西に下った西調布駅からも自転車で10分程度なので、近隣の駅に選択肢を広げて探してみても良いかもしれません。ちなみにお隣の西調布駅は、2LDKが10.8万円、3LDKが13.4万円と、調布と比べると1万円ほどお安くなっています。

いずれにせよ、駅前の再開発が完全に終わり、すっかり新しい街に生まれ変わったあかつきには、街のブランドイメージがさらに高まりそうです。物件探しをはじめるなら早いほうがよさそうですね。

取材・文:中村宏覚 撮影:鈴木さや香
公開日 2016年05月06日
最終更新日 2016年09月22日
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