東京23区の西部に位置し、都会と郊外の両面の良さを併せ持つ杉並区。かつては、学者や文化人が多く移住してきたことでも知られる。1923年に発生した関東大震災以降、都心の被災者が郊外へと移り住み始めたのを機に住宅化が進み、発展を遂げてきた。
区内には、JR中央線・西武新宿線・京王井の頭線・丸ノ内線などが通り、交通の便が良く、都心へのアクセスにも困らない。また、同区内には複数のバスが運行しているだけでなく、市営のコミュニティバス「すぎ丸」も3路線走っている。運賃は大人・子どもとも1乗車100円(未就学児は無料)と利用しやすい金額で、区内移動の貴重な足として地元で愛用されている。
人気エリアは「高円寺」や「西荻窪」など。ともに独自のカルチャーを持つ。高円寺は古着屋や低価格の居酒屋、ライブハウスなどが多く、古くから夢を持つ若者を引き付ける街として認知されてきた。また、西荻窪は、アンティーク家具を取り扱う店が多いことや、最近では独創的な飲食店やカフェ、雑貨店の出店が相次いでいることもあり、若い女性からも注目をされている。
また、行政サービスも住民の声を取り入れながら、定期的な改善が図られている。特に子育て支援に積極的で、2016年4月からは妊娠中からの子育てを応援するべく、子育て応援券「ゆりかご券」を交付。また、出生時から2歳までの毎年、2万円分の「杉並子育て応援券」を交付するなど、産前から出産後まで切れ目のない支援が特徴だ。
また、高齢者への支援制度も充実している。例えば、介護保険などの公的サービスを受けていない75歳以上の高齢者を対象に「安心おたっしゃ訪問」をスタート。支援センターの職員や民生委員が困りごとなどを確認し、高齢者が孤立しないよう気を配っている。
幅広い年代の住民がより良い生活を送ることができるよう、さまざまな取り組みを施している杉並区。日々の生活に刺激を与える文化と、行政の住みやすさを希求する姿勢が、人気の秘密なのだろう。