昨年からひとつ順位を下げたのが、大阪北摂地域の人気エリア・豊中市だ。阪急宝塚線が市の中心部を南北に貫いており、玄関口となる豊中駅から梅田駅まで12分という都心アクセスが良好なエリア。阪急沿線では古くから市街地の開発が進んでおり、たくさんの一戸建て住宅やマンション、事業所などが都市近郊型の街並みを形成している。「穴場だと思う街ランキング」で7位となった庄内駅も豊中市に位置している駅だ。空港が近いこともあり、高層建築物が少ないことも特徴と言える。
市の東部は吹田市との境界をぬうように北大阪急行が通っており、こちらも梅田へのアクセスが便利なエリア。2020年には千里中央から箕面まで延伸する予定もある。沿線には千里ニュータウンエリアの整備された街並みがひろがっていて、2008年に公共複合施設「豊中市千里文化センター」がオープン。図書館なども入り、さまざまなサービスを行っている。駅周辺では「よみうり文化センター」の再整備事業が進行中で、商業施設「SENRITOよみうり」のⅠ期部分が2015年7月にオープン。ショッピングモールや専門店を含むⅡ期工事が着手され、2017年春の開業を予定している。再開発では52階建てのタワーマンションの建設も予定され、全体の完成は2019年春の予定だ。
一方、市の北部は大阪モノレールが東西に走る。沿線の少路駅周辺は区画整理が進んだ人気住宅地のひとつだ。駅の西側を通る府道43号線は豊中ロマンチック街道と呼ばれ、道路沿いには人気のスイーツ店やレストランが点在し、にぎわいを見せている。大阪モノレールは蛍池で阪急宝塚線と接続し、大阪空港へとつながる重要な空港アクセス路線でもある。
2015年国勢調査によると、豊中市の人口は39万4495人で、5年前よりも5154人・1.3%の増加を示している。市の北部を中心にした住宅供給が続いていることと、ベッドタウンとしても根強い人気があることが人口増加の背景にありそうだ。
人口の増加はメリットもある半面、待機児童の増加という悩ましい課題も生じさせている。豊中市では2015年度から3年間で約1400人の定員増を図り、待機児童の解消を目指そうとしているが、2015年4月から10月にかけては132人増加し385人という結果となった。さらに、2016年4月入所への認可保育施設申込段階では、一次選考で900人以上が落選するという事態が生じている。
緑豊かな自然環境に恵まれ交通アクセスも便利な豊中市、今後も大型物件の供給も考えられるだけに、子育て環境をはじめとした基盤整備がクリアされれば、街の求心力も保たれていくだろう。