食器や調味料、家電など、モノがあふれてしまうキッチン。必要なものをさっと取り出しやすく、ラクに片付けられるようにするには、キッチンの引き出しや棚をどう活用すればいいのでしょう。収納のポイントを、 おうちスタイリスト(R)の米村大子さんに教えてもらいました。また、ラクに収納できる、最近のシステムキッチンも紹介します。
整理収納アドバイザーとして、整理整頓や片付けのアドバイスをしたり、実際に一般家庭の片付けに行ったりする機会が多い米村さんに、キッチンはどんな風に散らかるケースが多いのか、それはなぜなのかを聞いてみました。
「鍋や調味料、まな板、菜箸など、調理で使ってそのまま出しっぱなしのキッチンは多いです。モノを元あった場所に戻すことが片付けなのですが、片付かないのは『どこに収納するのかを決めていない』『そもそも収納する場所がない』『収納という概念がない』などが原因にあります」(米村さん、以下同)
調理器具や調味料がコンロやワークトップに残っていると、調理をするときの作業スペースが狭く、使いにくいキッチンになってしまいます。
「モノの定位置を決めることで、片付ける際に『どこに片付けよう』と考えなくて良い、出しやすくしまいやすいキッチンになり、家事の時短にもつながります」
では、キッチンの引き出しや戸棚をどう活用すればいいのか、収納方法の鉄則やアイデアを見ていきましょう。
「モノは使う場所の近くに収納することが鉄則です。鍋や食器などを出したりしまったりするための移動が少ないほうが料理も片付けもラクですよね」
では、ワークトップの下やつり戸棚、それぞれの収納場所に何をしまえば、出しやすくしまいやすいのかを見てみましょう。
(1)コンロ下
調理で火を使う場面をイメージしてみましょう。使うのは鍋やフライパン。そのほか、油やレードル(お玉)、菜箸などもここにあると便利。
(2)作業スペース下
調味料、麺類などの食材、まな板や包丁などのキッチンツール、カトラリーなど、調理中に使用頻度の高いものを。
(3)シンク下
ザルやボウル、洗剤など、水仕事に関係するものはここへ。
(4)つり戸棚
手が届きにくいつり戸棚の場合は、重箱など普段あまり使わないものを収納。落下しても危なくないよう、軽く、割れないものを。
(5)システムキッチンの背面(ダイニング側)
ダイニングやリビングに向かって開く収納には、テーブルで使うコーヒーメーカーやカップ類、コーヒー豆など。お客様用のカップなど使用頻度の低いものをしまっておくのもいい。
(6)背面収納
食器棚(キッチンボード)としての使用が一般的。食器のほか、買い置きの食品をしまう食品庫として使うのも便利。
(7)背面カウンター
ここはあえて何も置かずにおけば、できた料理を置いておいたり、最後の飾り付けをしたりするのに使いやすい。また、オープンな対面式のキッチンの場合、リビングから見える場所なので花を飾っておくなどゆとりのスペースにするのもオススメ。
必要なものが、必要なときにまとめて取り出せるよう、収納棚や引き出しの中でグルーピングしておくと出し入れが効率的。
「収納場所に迷うこともなく、スッキリ片付きます。『お弁当箱、箸、ランチクロス』『クッキー型、めん棒、アイシングペン、ラッピング用品』など、つくるもの別にしてもいいですし、お弁当が必要な曜日や時期が家族で違うなら『お弁当セット』をパパ用と子ども用に分けてもいいですね。グループ分けしたモノは、箱などの容器に入れておくと一度に取り出せます。色や形をそろえれば、100均で売られているカゴでも整然とした印象にできます」
よく使うものは、立ったまま手を伸ばせば届く出し入れのしやすい高さの引き出しや収納棚に。踏み台が必要な高い場所、しゃがまなくては出し入れしにくい床に近い場所には、普段はあまり使わないものや買い置きの食品などを収納。
「それほど高い場所ではなくても、棚の奥は手が届かずデッドスペースになりがち。その場合、取っ手付きのカゴを使って収納すれば出し入れがしやすく、よく使うものを収納しても不便を感じません」
最近のシステムキッチンは、たくさん収納できて、しかも出し入れもしやすいさまざまな工夫で進化中。どんな工夫が見られるのか、ほんの一部ですが紹介しましょう。
キッチンの収納は出しやすく、しまいやすいことが重要ポイント。どこに何をしまえば効率的に調理や片付けができるかを考え、今使っているキッチンに工夫をするのも楽しいですね。また、リフォームや新築、家探しの際には、キッチンは設備や広さだけでなく、収納を使うときのことをイメージしてチェックしてみるといいでしょう。