アインシュタイン・河井ゆずる プレハブ小屋での親子3人貧乏暮らしを原動力に、中目黒やタワマンに暮らすまで。「ちょっと背伸び」する住まい選び【家愛遍歴】

公開日 2022年07月29日
アインシュタイン・河井ゆずる プレハブ小屋での親子3人貧乏暮らしを原動力に、中目黒やタワマンに暮らすまで。「ちょっと背伸び」する住まい選び

人生の節々に発生する「引越し」。著名人の方々は、どのような観点で家を選び、今の暮らしに落ち着いたのでしょうか?連載「家愛遍歴」ではさまざまな方に、これまで住んだ思い入れのある家、そこでの暮らしについて伺います。

今回のお話を伺ったのは、人気お笑いコンビ・アインシュタインの河井ゆずるさん。貧しい家庭で育ち、雑居ビルの屋上プレハブ小屋で暮らしていたというエピソードはテレビなどでも語り草になっています。

「家や部屋に対する憧れが人一倍強かった」という河井さんのお部屋遍歴には、彼の半生がつまっていました。

「ネタ的に」住んでいたオシャレな街から、生活感のある街へ

アインシュタイン・河井ゆずるさん

――河井さんは3月に引越したそうで、アインシュタインの公式YouTubeチャンネルでも新居ルームツアーを公開しています。素敵なお部屋ですね。

2LDKなんですけど、リビングと隣の部屋の間の仕切りを開けっ放しにして、広めの1LDKとして使っています。

――今回のお部屋は、どうやって見つけたんですか?

マジでSUUMOですよ(笑)。前に住んでいた部屋は、収納があまりにも少なかったんです。服を沢山持っているので、大きな収納がある部屋に住みたいなと思って。それで、SUUMOに地図を指でなぞってエリア検索するやつ、あるじゃないですか。

――「なぞって検索」機能ですね。

それです。希望エリアに物件が出てこないと、ちょっとずつ円をずらしてなぞって……って繰り返しながら探してました。希望の立地にいい物件を見つけて、内見したものの間取りが好みじゃなくて「ここ、場所はええのにな」と泣く泣く諦めたんです。それが今住んでるマンションの別の部屋だったんですね。

でもやっぱり気になって3月頭にもう一度確認したら、偶然一部屋空いていたので即決めました。タワーマンションの上の方の階なんですけど、たまたまそこしか空いてなかっただけで、正直何階かにはこだわりがなくて、2階でも3階でも構わないです。

――YouTubeでは前に住んでいたお部屋のルームツアーの再生数も約90万回と、すごい数字です。テレビやYouTubeで芸人仲間からオシャレ部屋をいじられている姿も印象に残っています。

そもそも、前の部屋はネタ的に住んでいたところもあって。

――ネタ的に、というと……?

大阪から上京して一発目の家だから、絶対周りから「どこ住んでんの?」って聞かれるじゃないですか。でも、全然東京の土地勘がなくて。それで同期のライスの関町に「僕のキャラ的に、どこに住んだら一番面白い?」と聞いたんです。あいつは東京生まれ東京育ちだから。

そしたら「中目(黒)じゃない?」って言われたので、中目黒に決めました。もうわけもわからんまま、やっぱり「なぞって検索」を使って中目黒で探したっていう(笑)。

――「中目住んどるんや!」と、いじってもらう前提の部屋選びだったんですね。

そうですね(笑)。立地だけじゃなくて「ロケ映えする」というか、「こいつ上京してがんばってんねんな」みたいな部屋を選びました。共用廊下も面白かったんです。部屋の前だけピンスポットがあって、東京03さんのコントが始まりそうなオシャレな感じで(笑)。それで一年半くらい先輩にいじっていただいたし、「そろそろ減価償却できたな」と考えるようになって。
中目黒はテレビ局からも近いし便利なんですけど、個人的には街がオシャレすぎというか、おっちゃんとおばちゃんがやってて味がある居酒屋とか、昔ながらの商店街とかがあんまなくて。「もう少し生活感のあるところがいいな」と思って、今の街に引越すことにしました。

貧乏時代の支えは、母の言葉。「死ぬ気でやったら何でもできる」

アインシュタイン・河井ゆずるさん

――YouTubeやSNSをみていると、河井さんは住まいや生活にすごくこだわりがあるように感じます。

高校卒業するくらいまでは、3人家族で小さい汚いアパートにずっと住んでいて、その後は雑居ビルの屋上のプレハブに住んでいたんです。スタート地点がエグかったので「二度とこんな思いをするまい」という気持ちが強いというか、そのころの反動はあると思いますね。

建築物そのものを見るのも好きなんです。建築デザインの本を読んで「こんな部屋があんねんな~」みたいな。家や部屋に対する憧れは人一倍強かったと思います。

――幼少期~大阪時代のエピソードは、テレビ番組などでも公表していますよね。つらい環境にくじけたりしなかったのでしょうか?

母親の影響が大きいですね。ちっちゃいころから「死ぬ気でやったら何でもできる」って、よく言われてたんです。そりゃあ苦しい時期もありましたし、「こんな環境で悔しい」みたいな、被害者のような意識もちょっとあったんですよ。

でも、「五体満足で産んでもらって、健康以上の幸せはない、幸せな条件はもうそろってるぞ」って、自分自身に言い聞かせながらやってきたというか。

――河井さんって、ハングリー精神はあるけれど明るくて、どこかヘルシーさを感じていたんです。お母様の言葉が支えだったんですね。

ヘルシーな貧乏(笑)! ほかにも、18歳で働き始めてから、色々な先輩に可愛がってもらったことも大きいですね。芸人の世界に入ってからもそうです。どんなに売れてる先輩だって挨拶もきちんとしているし、僕みたいな箸にも棒にも掛からないようなやつのことも拾ってくれた。「それに比べて僕は……」みたいな気持ちもあったけど、それが原動力になって今があると思います。

念願の初一人暮らしは四畳半で収納なし、それでも最高だった

アインシュタイン・河井ゆずるさん

――最初の一人暮らしは、何歳くらいのころですか?

ずっと実家が大変だったので、23、4歳のころにやっとですね。NSCを卒業してから2年目くらい。最初に住んだ部屋は、四畳半、ユニットバス、収納ゼロの部屋で、家賃は水道代込みで4万2千円のマンションでした。新しくはないけれど、中はリフォームされて綺麗だったし、何の文句もなかったですね。

――むしろ初めての一人暮らし、自分だけの部屋に感無量だったのでは。

いや~、嬉しかった! どんな部屋だったか、今でもめっちゃ鮮明に覚えてます。

――四畳半で収納がない部屋に、不便は感じなかったのでしょうか。

全く感じてなかったです。透明の衣装ケース一箱に最低限の服だけ入れて、それを自転車に積んで家を出たんですよ。ちっちゃいちゃぶ台とテレビと、調理器具だけ。あとは何にもなかったです。それでも本当に嬉しくて、最高でしたね。

その部屋には、結局3年くらい住んだのかな。その後、実家のプレハブがなくなるってことで、また家族と暮らして。ようやく落ち着いたタイミングで、再び一人暮らしに戻りました。

――二度目の一人暮らしはどんなお部屋で?

いい部屋じゃないけど、最低限の生活はできるような感じの部屋でしたね。当時は芸人の他にもアルバイトも色々やっていて、ちゃんと収入もあったんで。それこそ不動産屋でアルバイトもしていたし。その経験は今でも部屋探しにめちゃくちゃ役立ってます。

――不動産屋でアルバイト! 河井さん流のお部屋探しのコツを教えて下さい。

まずはどの条件を譲るか。つまり優先順位をちゃんと決めておくことと、契約書をしっかり見る……とかですかね(笑)。

あとは、不動産屋に友達や知人がいるなら、その人の紹介で決めたほうがいいのかな。知り合いなら話がしやすいし、その人の営業成績になるから力になってくれるし。東京に来る前、大阪で最後に住んでいた部屋も知り合いに頼んだんですけど、資料100枚くらい出してもらって、そこからバッと選んで、内見も1日に7、8軒くらいまわりました。

――7、8軒も!

僕、一軒あたりの内見に5分かからないんです。マンションのエントランスとか、共用部分のポストまわりとか、部屋に入ってからの水回りとかを見たら、自分が好きな部屋かそうでないかはすぐ判断できるので。

これも、知り合いにお願いするメリットのひとつなんです。知らない不動産屋の人に案内してもらっていたら、そんなすぐに「あ、この部屋はもう見なくて大丈夫です」って言えないじゃないですか。

――だからこそ、そのスピード感でお部屋選びができたんですね。2011年に結成したアインシュタインは、2016年に「第一回 上方漫才協会大賞」初代大賞に。そのころから、関西だけでなく全国的な知名度を獲得するようになりました。間取りやインテリアなどにこだわるようになったのは、そのころからでしょうか?

「2020年に東京に出る」というのは、数年前の段階で決めていたんです。なので大阪にいる間は最低限のもので全部我慢してましたね。「東京に行ったら家具も電化製品も、ちゃんとしたやつを買おう」という気持ちで。

背伸びして選んだ東京の部屋。大阪との家賃の差も仕事へのモチベーションに

アインシュタイン・河井ゆずるさん

――そして、2020年に計画通り上京。大阪と東京の家賃の差って、結構大きいと思うんです。びっくりしませんでしたか?

いや、「結構」どころじゃないです(笑)。「(家賃が)倍になるで!」っていうのは周囲からも聞いていたんですけど、大阪の家賃の倍でも部屋のグレードが少し下がる。

それこそ「なぞって検索」で、最初は築浅で風呂トイレ別、広さは45平米以上、家賃はこのくらい……と、自分がほんまにええなと思う条件でチェック入れたら、物件がほとんど出てこなくて……。

――最終的に、河井さんはどこを妥協したんですか?

家賃ですね。こっちに出てきたタイミングで、すでに芸歴も自分自身の年齢も結構いってるので「ここでビビってもな」と。「この家賃を払えるように仕事を頑張るぞ」という考えに切り替えました。ちなみに、大阪時代の部屋は11万円で、ちょっと仕事を頑張っていれば払えるくらいの金額だったんです。それに比べたら、上京後は常に緊張感がありますね。

――住む場所、部屋のグレードが変わることで、仕事への向き合い方も変わったのでしょうか。

大阪にいたころに比べて、仕事についても色々考えるようになりました。なんとかお家賃を払えていますけど、今でも仕事が途切れないか、めっちゃ怖いですけどね(笑)。

――ちなみに、相方の稲田さんも同時に上京しましたが、YouTubeの動画を見る限り、稲田さんはあまりお部屋にはこだわりがない……?

そうですね。「何にこだわってんやろ?」って僕も思うくらい、あいつはあんまりこだわりがないんですよ、多分(笑)。僕は逆にこだわりが多すぎるのかもしれないけど。

「誰が来てもくつろげるような部屋にしたい」インテリアへのこだわり

アインシュタイン・河井ゆずるさん

――こだわりが多すぎる、とおっしゃるように、SNSや動画で見る河井さんのお部屋はいつも片付いていますよね。忙しいはずなのに、すごいです。

いやいや、一回気を抜くとワッと散らかることもあるんです。けど、後輩の子と家で飲むことがあれば、そこで片付けることが多いですね。

――人を呼ぶことで掃除や片付けへの緊張感が生まれるの、わかります。今のお部屋は2LDKを広めの1LDKとして使っているとのことですが、仲間や後輩たちと集まれるような間取りを選んだのでしょうか。

そうかも。後輩の子といえど、やっぱり汚い状態で家に呼ぶのも悪いですし。誰が来てもくつろげるような家がいいなと思っています。

――後輩想いですよね。前のお部屋のルームツアー動画でも、後輩からのプレゼントだという鏡をリビングに飾っているところが紹介されていました。

あれは本当に嬉しかったです。今の部屋にもありますよ。でもね、あの星条旗のデカい鏡があると、インテリアにだいぶ制限が出てくるんですよ(笑)。「アメリカ好き」って言われているけど、そんな好きでもないですよ。単に周りから薄いキャラに仕立て上げられただけで。

――でも新居にも、ちゃんと飾っているんですよね。

はい、そうですね(笑)。あとは野性爆弾のくっきーさんにもらった盾が邪魔で邪魔で(笑)。あれが一番置き場所に困ってます。

――(笑)。インテリアを考える際、何を参考にすることが多いですか?

Instagramのハッシュタグを見ることが多いですね。

――どんなハッシュタグを?

「インテリア オシャレ」です。

――ストレートですね(笑)。最近参考にしたいと思ったインテリアや収納はありますか?

やりたいことを全部やったらキリがないんですけどね、DIYパーツブランドのLABRICOを使ってキッチンをバーカウンター風にしてみたいですね。他にも色々あるけれど、まだ家具の配置も決まってないし、照明の数も足りてないし……。

――今後、どんな部屋にしていきたいですか?

東京の家も今回で2軒目になり、色々欲しいものも増えてきて、家具もちょっと背伸びしてリーズナブルなやつというよりはホンマに良いなと思ったのを買うようになったし、少しずつでもいいから、妥協しないようにしていきたいですね。ちゃんと完成したらまたYouTubeにあげようかと思っています。

一軒家や二拠点生活、高級マンションへの憧れは持ちつつ、「背伸び」が丁度いい

アインシュタイン・河井ゆずるさん

――河井さんが将来的に住みたい、理想の家はありますか?

一軒家には憧れがありますね、住んだことがないもので。大阪の市内で生まれ育ったので、田舎暮らしもいいな、環境のいいところにめっちゃ大きい家建てたいな、とか(笑)。今でも二拠点生活というか、海の近くに家を借りて、東京で仕事をして休日は後輩呼んで……みたいな生活には憧れますね。

――逆に「THE 芸能人!」って感じの、都内の高級マンションはどうですか?

それも検索しますね。一回家賃を「上限なし」で検索して、高い順に見たことがあるんです。「上限なし」といってもたかが知れてるやろ……と思ったら! 東京ってすごいっすわ。何百万の家賃の部屋が普通に出てきますもんね。

それを更にInstagramで探してみたら、不動産屋さんが中を公開している動画が出てくるんですよ! あんなん見ない方がいい!

――意外です。ハングリー精神が刺激されるのかなと。

なんかもう、羨ましいじゃないですか(笑)。そりゃ、いつか住んでみたいと思いますけど、額が額なので現実味がないんですよ。

――「背伸び」くらいが丁度いいんですね。

だから今は「次のステップ」くらいの価格帯で調べています。でも、東京の家って家賃5万上げるくらいじゃあんまり変わんないんですよね。10万から15万なら、ちょっと変わるかもわかんないですけど、15万から20万はそんなに印象は変わらなかった。とはいえ、家賃が10万上がるってとんでもないことじゃないですか。

――1年で120万円ですもんね。背伸びはするけれど地に足はついてるというか、絶妙なバランス感覚ですね。

でも、最近は腹をくくろうと思っています。子どものころからずっと唇を噛みしめて「安い方」をチョイスしてきたので、今度は同じように唇を噛みしめつつも「逆の方」をチョイスしていきたいですね。

アインシュタイン・河井ゆずるさん

<編集:小沢あや(ピース株式会社)
<構成:藤谷千明>
<撮影:小原聡太>

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