家づくりは、家族が一緒に過ごす時間が長いリビングからイメージをふくらませる人も多いもの。家族のだんらんスペースのつくり方を改めて考え、いざ参考になるものを探してみようと思ったとき、「そういえば居間とリビングって何が違うの?」といった疑問を持つこともあるでしょう。一級建築士の丹羽さんに、家族のだんらんスペースの基本的なつくり方を聞いてみました。
居間とは何でしょうか。辞書を引いてみると、「家族が普段いる部屋」と出てきます。時代によりその役割は少しずつ変わりましたが、日本家屋においての居間は、家族のだんらんスペースで、簡易なローテーブルを出したり片付けたりしながら、食べたり、遊んだり、家の用事を済ませたり、眠ったりして過ごす、多目的な場でした。
間取りは「〇LDK」などの表示が多く、家族のだんらんスペースは「リビング」と呼ぶことが一般的になっていると思います。リビングは、英語の「リビングルーム」の略称です。でも、いざ自分の住まい経験から新居をイメージする段になって、「そういえば、実家で家族が集まる場といえば居間だった」と思い出し、居間とリビングは何か違うのかと考える人も多いのでは。かつて客間が一般的だった日本家屋では、居間はあくまでもプライベートな家族の居場所。一方、欧米でのリビングルームには、ゲストを通す空間という役割があったようです。客間が一般的でなくなった最近の家においては、来客があったときには家族が集まって過ごす空間に通すことが必然となり、居間とリビングルームの意味合いは、ほぼ同じと考えていいでしょう。
居間・リビングのレイアウトとインテリアは、同時に考えるのがベスト。できた空間に入る家具から選ぶのではなく、気に入った家具に合わせてレイアウトとインテリアをトータルでつくれるチャンスです。全ての細かい家具まで決めておく必要はありませんが、今使っているものを使う予定だったり、マイホームを機に購入を狙っているものがあるなど具体的な予定があるなら、そのデザインやサイズは先にプランナーに伝え、レイアウトに活かしてもらいましょう。
なお、マイホームを検討する際には、この先30~40年など長期的な家族の展望や新居でどんな暮らしをしたいのかといった要望をしっかり家族で話し合い、意見をまとめておくことが大切です。と同時に、普段のリビングでの過ごし方を振り返り、プランナーに伝えられるように準備しておくとよいでしょう。普段の過ごし方やずっと変わらず好きなものを伝えて会話を深めることは、レイアウトもインテリアも、ぐっとその人の生活スタイルや価値観に寄った提案につながるそうです。注意点としては、プランナーに何か具体的なレイアウトやデザインの好みを伝えなくては、と気負ってしまい、事例をたくさん見る中で多く目にするデザインを正解と思いこんでしまうこと。たくさんの事例を見ていろいろな方法を学ぶのは良いことですが、デザインの流行を自分の好みと勘違いしたままプランナーに要望を伝えないように気をつけてください。
最近よくあるオーダーは、広いLDK。以前より家全体が広くなったというわけではないので、レイアウト上、個室よりも家族のだんらんスペースを優先したいというものです。「ダイニングをゆったり」「ゴロゴロできる空間重視」など、LDKのどの部分を広く割り当てるかはライフスタイルにより違いますが、共働きの世帯が増え、家にいる時間が短い傾向にある中、家族が一緒に過ごせる空間を優先するのは自然の流れ。なるべく皆で長く過ごせる、多機能な居間・リビングが人気です。どんな居間・リビングがあるのか、アイデアを見てみましょう。
リビングは、「ダイニングテーブルを置いて、テレビに向かってソファをおく」とイメージしがちですが、実際は広さや家族の過ごし方の好みによりさまざまなレイアウトが考えられます。まずは、自分たちがどんな過ごし方を快適と感じるかをじっくり話し合い、プロのイメージがふくらむような会話の準備を進めてみませんか。
居間とリビングは基本的に同義で「家族のだんらんスペース」
レイアウトとインテリアは、同時に検討するのがベスト。ずっと好きなものをプランナーに伝える
家族が長い時間一緒に過ごせる、多機能な居間・リビングが人気