■住まい探しの情報を得るのに誰と相談しましたか?(複数回答)
※2011年7月リクルート調べ(回答数2197名)
データでみると、3人に1人は親に相談している。この割合は、夫(妻)についで2番目に多く、友人・知人やプロである不動産会社より多い。
「私よりもむしろ母のほうが乗り気でモデルルームに一緒に行ってました」(39歳女性)のように、最初から相談した人もいれば、「最後迷ったときに、親ぐらいの年齢になっても住みやすいマンションはどっちか相談しました」(32歳女性)など、最後の最後で相談するなど段階はいろいろ。
「相談はしていない」という人のなかでも、最終的に決める前に「こんな物件にした」と報告する人は多いよう。
ただし、相談しない人も7割近くいる。「実家は遠方で、援助も考えていなかったから、まったく相談しなかった」(36歳男性)、「妻も僕も地方出身で、すでに生活の拠点が東京に移って長いので、相談しても仕方ない」(38歳男性)、「私の親はもう年金生活で援助は期待できないし、遠方なので特に相談する必要がなかった」(40歳女性)など、親が遠方の場合や、資金援助を最初から期待しない場合は、相談しないことが多いようだ。
■新居と実家の距離について「相談した人」と「相談しなかった人」資金援助に差はある
※2011年6月リクルート調べ
(全国,入居して1年未満の住宅購入者300人にアンケ-ト)
親に相談する内容は「エリア選び」と「資金援助」が重要なキーワードになっている。
例えば「帰省時に親から“近くに住んだら、援助してあげるよ”と言われたことが住宅購入のきっかけに」(27歳女性)など、実家近くに住むなら資金援助してもらいやすくなるようだ。ちなみに「実家との距離について親と相談した人」と「相談しなかった人」で分けると、相談した人のほうが援助を受けられたケースが多い。
親からしてみれば「相談してくれれば何かしら援助をする準備はできている」といったところかもしれない。新築マンション購入の無料相談会を開催するスーモカウンターでも、親と一緒に相談を受けるケースもあるようで、「特に親御さんが資金援助をされる場合ですね。スタッフがいることで、お互いの希望も言いやすく、その場で相場や物件価格の詳細もわかるので、援助の金額の目安がわかりやすいようです」とスーモカウンターのスタッフは証言する。
一方、「夫の親はすぐ近くに住んでほしかったようだが、私は避けたかった。夫を通して、通勤時間や保育園の空き事情から無理と説得した」(35歳女性)、「お互いの実家の中間地点で検討していたが、夫の親は近くに住んでもらえると思っていたようで、“いずれ同居するつもりもある”と納得してもらった」(38歳女性)など、親の期待通りの立地を選ばない場合も、何かしら説明をし、説得しているケースもあるようだ。
親から贈与を受けているのは全体の3割。しかし親世代でのアンケートでは6割近くが「援助したい」と答えているのだ。また、シングルのみのデータだが、援助を受けた人のうち、「援助してもらえるとは思わなかった」と答えている人のほうが、最初から援助を期待していた人より多い。
「お祝いという形で200万円くれた。うれしい想定外」(40歳女性)など、相談してみたら案外援助してもらえるケースも。親からすれば「何も言ってくれないので援助しようがない」と思っているのかもしれない。まずは、どこかのタイミングで親に相談してみては?100万円援助してもらえれば、頭金がそれだけ増え、ローン金額が少なくすむので、払わなくてもいい金利をおさえることができる。
さらにはマイホーム取得で資金援助してもらえる場合は、税制面でのメリットがある。方法は2つ。
(1)親や祖父母から一定の条件を満たす住宅取得資金を贈与された場合なら最大1000万円までが贈与税非課税になる
(2)「相続時精算課税制度」といい、65歳以上の親から18歳以上の子(※)への生前贈与に対する贈与税が2500万円までが非課税になるもの
(※一定の条件を満たす住宅なら親が60歳以上でOK)
(2)の制度は、相続税は発生する(贈与者が亡くなった)場合に手続きが必要など、なにかと面倒なので、1000万円以下の贈与なら(1)のほうが気軽。ただし今のところ、(1)の制度は2023年末日まで。
購入者の体験談から推測すると、援助をお願いするタイミングとしては大きく2つあるようだ。まずは、「夫の親から1200万円の資金援助の申し出があったことで家を建てることに」(36歳女性)、「妹が先に住宅購入で援助してもらっていたので、援助額は最初から決まっていた」(32歳女性)など、最初から援助および金額が決まっている場合。これは比較的多額な資金援助が受けられる場合に多いようで、援助額も含めた額で予算を考えられるメリットがある。
もうひとつは、「ほぼ物件が決まってから報告すると、“少しぐらいならお金を出してあげられる”と親が言ってくれた」(31歳女性)、「契約前に単刀直入に資金援助を申し出た」(29歳男性)など、お目当ての物件が決まった段階でお願いするパターン。この場合は、一緒に現地見学をし、予算オーバーした分だけ泣きつくなど、具体的な相談に乗ってもらいやすく、物件を決める途中に親からアレコレ意見をあまり言われないですむメリットがある。
ただし、「最初の候補物件は、スポンサーである親が気に入らずナシになりました」(37歳女性)など、援助してもらうと親の意見を聞かざるをえないことも多い。また「妻の親からは援助はなかったので、のちのちトラブルの元になるかもと考え、自分の親からの援助は断りました」(36歳男性)という意見も。
■親と住まいの関係は?~近居が半数以上
2006年既婚者とその親の住まい方について
(国土交通省調べ)※車・電車で1時間以上=離れて暮らす
親が近くに住んでいれば、子育ての助っ人になる、家事を手伝ってもらうなどメリットはいっぱい。親世代もかわいい孫と頻繁に会える、将来面倒を見てもらいやすいなど安心感がある。平成18年の国土交通省の調査によると、既婚者とその親世代の距離は「近居」が半数以上。
その内訳は、歩いて10分以内の超近居もいれば、車・電車で1時間以内とそれぞれ。共働きで毎日親のヘルプが不可欠なのか、週に1度訪れるぐらいがちょうどいいのか、自分たちにとって”ほどよい距離”がどれくらいなのか、マイホーム購入を機に検討してみては?
近居の方法としては、子世帯が実家近くで購入する方法もあれば、広すぎる郊外の実家を売って、親世帯が子世帯の近くに引越す場合も。「同じマンション内の別室を買いたいと、親子で探しているケースもあります」とスーモカウンターのスタッフ。
離れて暮らす人は、もともと地方出身だったり、仕事の都合で生活の拠点が実家から遠方だったり、「仕方がない」と思っているケースが多いようだ。
しかし、「離れて買うから親にはまったく報告しない」というわけではないようで、「夫の実家は関西で近くに住む選択はなかったが、私の実家近くだと姑が良い顔をしないだろうと、私の実家からも遠い場所にした」(26歳女性)、「マイホーム購入=地元には戻らないということと思ったようだが、子どものために買うと強調して納得してもらった」(41歳女性)、「兄弟同士で近くに住み、ここなら遊びにきやすいよと伝えた」(32歳男性)など、なにかしら配慮をしているようだ。
また将来的には「実家近くに引越す」「いずれ親を呼び寄せたい」という意見もある。
同居する場合は、そもそも同居自体について相談する必要がある。それは同居するほうの親だけでなく、「私の実家と同居することを、夫の親と兄に事前に了解をとりました」(36歳女性)など、もう片方の親に説明することも不可欠だ。
また、二世帯住宅を新たに建てる場合は、キッチン、風呂、玄関、どこまでを共同にするのか、お金の問題はどうるすのかなど、話し合うことは多い。「ハウスメーカーの営業担当を通して親の本音を探ってみました」(37歳男性)など、第三者をうまく使って意見調整することも。
新たに二世帯住宅を建てる場合は、お互い生活時間が違っても気を使わないよう、キッチンやお風呂は別にしたり、玄関を共用にして、親世帯との行き来が自然にできるような間取りにしたり、バリエーションはいろいろ。これからの生活を親世帯とどう過ごしたいか、夫婦・親子で話し合おう。