バリアフリーの住宅をつくるには? トイレや玄関、お風呂など場所別のポイントと、減税制度を紹介

バリアフリーの住宅をつくるには? トイレや玄関、お風呂など場所別のポイントと、減税制度を紹介

高齢者や障がいのある人だけでなく、誰にとっても暮らしやすいバリアフリー住宅。では、家を建てるときには、どこをどんなふうにバリアフリーにしておけばいいのだろう。また、リフォームでバリアフリーにする場合の注意点は? 一級建築士のYuuさんからアドバイスをもらった。

世代や体の状態によって違う、必要なバリアフリー住宅の仕様

どんなバリアフリーがいいのか、世代や状況別の新築やリフォームを例に解説

赤ちゃんから高齢者まで、誰にとっても安心して暮らしやすいのがバリアフリー住宅だ。バリアフリーといっても、仕様はさまざま。例えば、トイレの手すりひとつとっても、左右どちらの壁につけるのがいいのか、適した高さはどれくらいかなど、必要とする人の状態によって使いやすい設置の仕方が違ってくる。つまり、どんなバリアフリーがいいのかは、ケースバイケースということになる。そこでまずは、バリアフリーを意識していない若い世代、高齢者、支援や介護が必要な人などの世代や状況別に、どんなバリアフリーを取り入れればよいのかを解説していこう。

バリアフリーを意識していない若い世代の場合

体が元気に動く若い世代でも、注文住宅を新築するなら、将来を見据えてバリアフリー住宅にしておこうと考えるケースは多いだろう。

「バリアフリーの基本を押さえておくといいでしょう。まず、大切なのは段差のない家にすることです。わずか1~2cmの段差が実はいちばん危険です」(Yuuさん、以下同)

足をあまり上げなくても通れる小さな段差は、普段意識しない分、疲れているときや、部屋が暗くなったときなどに、うっかりつまずくことがある。また、子どもが歩き始めたり、走り回る年齢になったときにつまずいてケガをすることも。

「そのほか、将来を考えるとドアはできるだけ引き戸にしておくこと。引き戸は片開きドアに比べ、車椅子や杖を使って歩く際でも開閉がしやすく、家具の配置がしやすいというメリットもあります。また、水まわりは広めにしておき、行き止まりのない回遊式の間取りにしておくと車椅子でも動きやすいですね。回遊動線の水まわりはバリアフリーなだけでなく、家事がしやすいというメリットもあります」

また、階段や廊下、玄関、トイレなどにつける手すりは体重をかけて利用すると大きな負荷がかかり、補強の下地がないと手すりが外れて危険。将来、手すりが必要になりそうな場所には、あらかじめ補強下地を入れておいてもらうと、設置する際のコストアップを抑えられる。

引き戸の敷居
筋力が低下すると小さな段差でつまずきやすくなる。家の中の段差は新築時から極力ないほうが思わぬケガを防げる(画像/PIXTA)
新築住宅 階段 1階より
手すりのある階段は若い世代や子どもにも安心。将来、反対側の壁にも手すりをつけることを想定して、補強の下地を入れておくのがオススメ(画像/PIXTA)

終の住処を、と考える世代の場合

これから高齢者の仲間入りをしていく世代や、これから建てる家、またはリフォームする家は終の住処になると考えている世代の場合は、もう一歩進んだバリアフリープランにしておくといい。

「床に段差をつくらないことに加えて、浴室や寝室の寒さを解消してヒートショックを防ぐようにしておきたいですね。家の中の温度を一定にする室温のバリアフリーのために、家そのものの断熱性を高めることがポイントです」

そのほか、階段などに足元を照らす照明をつける、部屋の照明を明るめにするなど、安全を考えた照明計画を。ただし、加齢とともにまぶしさが苦手になるためシェードなどで光を調節するのがオススメ。また、床材には滑りにくいものを選ぶ、指の力が弱くなるのでドアの取っ手は大きいほうが開閉時にラクなど、細かなところに配慮しておきたい。

「このような仕様は、若い世代にとっても暮らしやすい家になります」

要支援、要介護の人の場合

家族が支援や介護が必要になったり、同居することになったりという場合は、介護される人ができるだけ自分の力で動けるような仕様にすることが大切。また、支援・介護をされる人だけでなく、支援・介護をする人の負担を軽くする必要もある。
介護のためのリフォームや新築の場合、体の状態によって適したプランは違うので、地域のケアマネージャーなど専門家に相談したい。

トイレや玄関、お風呂などのバリアフリー。知っておくといいポイントは?

誰にとっても安心な場所別バリアフリーの例

【トイレ】片側だけでも手すりがあると便利
トイレに腰かけたり、立ち上がったりといった動作は、元気なときには苦にならない。しかし、若くても、ぎっくり腰になって動くのが辛いときや、妊娠中で思うように動けないときなど、手すりがあると安心感が違う。暮らす人の年齢に関係なく、片側だけでも手すりをつけておくといい。手すりの見た目が気になる、という人は、小物を飾れる棚をつけておき、手すり兼用にするといいだろう。

トイレ 手洗器
ペーパーホルダーの上部を手すりを兼ねた棚にすると、見た目もおしゃれ(画像/PIXTA)

【室内ドア】吊り下げタイプの引き戸で床の段差を解消
車椅子生活になったとき、ドアの開閉を自分でしやすいのは片開きドアよりも引き戸のほう。リフォームで片開きドアから引き戸にすることもできるが、新築時から引き戸にしておくとリフォームのコストがかからない。敷居が不要な吊り下げタイプの引き戸なら床に段差もできず、ホコリもたまりにくいので掃除がラクなメリットも。

(左)上吊式ドアレール(右)新築の部屋
上部にレールが取り付けられた吊り下げタイプの引き戸。敷居が不要なのでフラットな床になる(画像/PIXTA)

【玄関】スロープがつけられる余裕を敷地に確保しておくと安心
高齢になっても積極的に外へ出ることで、心と体の健康を維持しやすい。そのためにも玄関のバリアフリー化は大切だ。写真のように高めの位置にある玄関は、将来、ゆるやかなスロープを設けられるように、玄関まわりの敷地にゆとりを確保しておきたい。

手摺を付けた新築住宅の玄関
高めの位置にある玄関は、将来、スロープが必要になった場合に備えて玄関まわりの敷地に余裕をもたせておきたい(画像/PIXTA)
バリアフリーの玄関
前面道路までの敷地にゆとりがない場合は、建物に沿わせたスロープにするとなだらかで車椅子でも利用しやすくなる(画像/PIXTA)

【浴室】滑りにくく、あたたかさにも配慮されているか確認を
最近のシステムバスはバリアフリーに配慮したものも多い。
「一度腰かけてから浴槽に入れるデザインのものや、洗い場から浴槽のふちまでがまたぎやすい高さのもの、滑りにくい床など、さまざまな配慮がされています。断熱性も高くなっていて、ヒートショック対策もされています。新築やリフォーム時にシステムバスを選ぶときは、これらの点も確認するといいですね」

バリアフリーリフォームで知っておきたい減税制度のこと

所得税や固定資産税が減税される

条件を満たすバリアフリーリフォームを行うと、所得税や固定資産税が減税される「バリアフリー改修促進税制」。対象になるのは下記のいずれかに当てはまるバリアフリー改修工事だ。

・通路等の拡幅
・階段の勾配の緩和
・浴室改良
・トイレ改良
・手すりの取り付け
・段差の解消
・出入口の戸の改良
・滑りにくい床材への取り替え

所得税の控除、固定資産税の減額措置は下記のとおりだが、それぞれ対象となる人の年齢や所得、工事の内容などに条件があるため、工事の契約前にリフォーム会社に確認をしておこう。

・投資型減税(所得税)

ローンの借入の有無にかかわらず利用できるのが「投資型減税」。最大控除額は20万円で。リフォーム後の入居開始日が2021年12月31日までのバリアフリーリフォームが対象。

・ローン型減税(所得税)

ローンを利用した場合に利用できるのが「ローン型減税」。最大控除額は5年間で62.5万円。リフォーム後の入居開始日が2021年12月31日までのバリアフリーリフォームが対象。

・固定資産税の減額

補助金を除く工事費の自己負担額が合計50万円超などの条件を満たした場合、翌年分の家屋の固定資産税の3分の1が減額される。工事完了が2020年3月31日までのバリアリフォームが対象。

介護保険からの住宅改修費の支給

介護保険の認定を受けている人が、手すりをつけたり、段差を解消するなどのバリアフリーリフォームをする場合、介護保険からその費用(20万円が上限)の9割(所得により8割)相当額の「住宅改修費」が支給される。

対象となる工事を検討しているときは、まずは、担当のケアマネージャーや地域支援包括センター、各市町村役場に問い合わせや相談を。

まとめ

まだ元気な世代でも、新築時にはバリアフリーを意識した家にしておくと暮らしやすい

終の住処の新築やリフォームでは室温差をなくし照明や動きやすい動線を考えた家に

減税制度や費用の支給についてチェック!要支援、要介護の人が暮らす家のバリアフリーリフォームなら、介護保険から住宅改修費が支給される

●取材協力
Yuu(本名:尾間紫)さん

一級建築士。長年、リフォームの現場で培った経験から、住宅リフォームコンサルタントとして幸せなリフォームを実現するためのノウハウを発信。セミナー講演や執筆活動、人材育成研修などを通し、消費者と事業者の間をつなぐかけ橋となるべく奔走している。毎日新聞での連載やwebサイト「リフォームのホント・裏話」で最新情報を発信中。
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取材・文/田方みき 
公開日 2019年05月31日
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