新築マンションや大規模宅地開発の一戸建ての場合、不動産会社は自社の物件を売る「売主」だが、中古物件の多くは、不動産会社は売主と買主の間を取り持つ「仲介」役を担っている。今回は主に「仲介」役の営業担当とのやりとりをとりあげる。
どんな営業担当なら、よいパートナーなのか。漠然と思い立ったときから実際に家を購入するまで、先輩購入者の体験談を聞いてみました!こんな営業担当なら、どんどん頼ってみたいもの!
漠然と「家を買うと思い始めた」時期。その段階で、不動産会社に相談してみては? 信頼できる営業なら、どんな住まいがいいのか、上手にアドバイス、条件を整理してくれる。
最初に、エリア、間取り、築年数など、とにかく思っていることを細かく伝えました。無理っぽいことも、誠実に対応してくれました。(30代 女性)
なんとなく「3000万円前後しか買えない」と思っていましたが、相談したら「3500万円でも大丈夫」とのこと。早めに相談してよかった!(30代 男性)
数ある広告から条件に合う物件を探す時期。自分たちだけでは限界がある。よい営業ならニーズをくみ取って、いい物件を見つけてくれる。
1件見学後「ここが不満」というと、次に紹介してくれる物件が、その不満点がない物件。この人に会ったことで家の理想像がどんどん明確になっていきました。(20代 女性)
とにかくそのエリアのことに詳しい人で、その物件が相場より割安か割高かを正直に教えてくれる。自分で考えるよりぐっと効率的で助かりました。(30代 女性)
実際に物件見学をし、検討する時期。正直判断が難しいことも。信頼できる営業なら、プロならではの見るべきポイントを教えてくれる。
「管理面も重要ですよ」と言われて、ゴミ置き場や自転車置き場など、素人が見落としがちな、チェックポイントを指摘してくれたのが良かった。(30代 女性)
「上の人の足音は?」と聞くと、実際に現地に足を運び、聞こえる音を確認してくれた。デメリット点も隠さず言ってくれるので信頼できた。(40代 女性)
「これなら!」と購入物件を決断する時期。信頼できる営業なら、プロの目と情報で「本当に買っていいのか」アドバイスしてくれる。
リフォーム費用の見積もりを、すぐさま工務店に頼んでくれ、リフォーム代込みで予算内に収まるよう、売主に価格交渉をしてくれました。(30代 女性)
古さがネックで購入を決めかねていたら、管理会社を通して大規模修繕をしたかどうか、不安点を入念に調べてくれたので、決断できた。(30代 男性)
申し込みや契約、ローン申請などをする時期。慣れない用語や手続きが多く、難しい。信頼できる営業ならうまくナビゲートしてくれる。
契約書類の書き方ひとつから、分からないことだらけ。でも電話やメールでひとつひとつ丁寧に教えてくれてありがたかったです。(20代 女性)
一度自分で訪ねたときは、銀行の窓口ではローンを断られてしまって……。でも営業担当者が直接かけあってくれて、無事審査を通りました!(30代 女性)
満足な家を購入するには探す過程も重要。そのためには営業担当者とよい二人三脚を組むこと!
つまり信頼できる営業と出会えれば成功したのも同じなのだ。そんな頼れる人なら、その後もし住み替えることになっても安心だ。
最初は複数の会社に相談していたんですけど、徐々に連絡がこなくなるなか、1社だけが急がせることなく、こまめに連絡をしてくれていました。(40代 男性)
質問や不安をぶつけたら、分からないことは調べてすぐ回答してくれた。おかげで、長く探していたのに出会った後は一気に決まりました。(30代 女性)
では、どんな人が「信頼できる営業」と言えるのだろう。ここでは「6つ」の役割に注目。これらの役割をこなす営業担当を味方につけて、家探しを成功に導こう
単に「不動産会社の営業=家を売る人、”セールスマン”」と思っている人は多いのでは?確かにそうだけれど、不動産会社の営業担当の役割は、ただ物件を紹介するだけでなく、調査、交渉、手配など、多岐にわたる。
つまり、不動産のプロフェッショナルであることはもちろん、まるで企業のコンサルタントのようだったり、プロスポーツ選手のエージェントのようだったり、ノウハウを教えてくれるアドバイザーだったりするのだ。
「こんな家がいいなぁ」と漠然とした思いや将来のライフプランから、条件の優先順位を付けたり、「これだけ妥協すれば予算内で見つかります」と助言をしたり、家族で意見が対立したときに調整役を担ったり。営業担当はいわば「コンサルタント」。相場に詳しく、豊富な経験があるからこそ、納得感のある落としどころが見つかるはず。
仲介会社の営業は、担当地域の物件のことなら何でも知っている情報通。数ある物件のなかから、自分だけでは探せない、希望にぴったりな物件を見つけてくれる、いわば「エージェント」。ネットだけでは分からない、街のリアルな住み心地にも精通し、日々最新の物件情報が入るので、自分だけで探さず、プロの手を借りるのがベスト。
見学時に疑問や不安に思ったことは何でも質問を。信頼できる営業なら、即答できなくてもきちんと調べて回答してくれたり、ユーザーの立場になって欠点も教えてくれる。営業担当はいわば「アドバイザー」。また、その物件が気に入らなかったら、その理由をふまえて次に紹介する物件に活かすことができることも、よい営業の条件といえる。
売る側はなるべく高く売りたいもの。中古の場合、個人の売主が多いので、面と向かっては交渉しにくいもの。そこで間に入って交渉してくれる営業の出番。良い営業はいわば「ネゴシエーター」。特に値下げ交渉は「引き渡し時期はいつでもいいから」「クロス張り替え分サービスを」と先方が譲歩しやすい条件を提案するなど、腕の見せ所だ。
いざ購入となると、今度は契約やローンの申し込みなど手続きが多くなる。特にローンをどう組むのかは難しい。金利は固定か変動か、どの銀行に何年で組むのか、その家族に合わせた資金計画の提案も営業の仕事で、営業担当はいわば「資金プランナー」。銀行の審査が通りにくい、返せるか心配など、不利な場合こそどう動いてくれるかが重要だ。
すべての購入の過程で、常にユーザーが求めているのは、不動産知識の豊富さや情報力、豊富な経験からくる交渉力や提案力。営業担当がいわば「不動産プロフェッショナル」であること。つまり信頼できる営業と出会えれば、どの過程でも満足度の高い家探しができるのだ。ベテランはもちろん、誠実な若手の営業にも期待しよう。